リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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精神的BLのタグが無いと、怒られてしまいました……
普通に入れた気でいました。本当にすみませんでした!


おまけ 二人の金欠

「……ティア。悪いニュースが一つある。聞きたいかい?」

「ん……聞かせて」

 

 ……今、俺たちを襲っている危機がある。

 

「薄々気づいているとは思うが……今、僕たちは圧倒的な金欠だ……ッ!」

 

 それは、金欠である!

 

 ……ん? 今まではお金どうしてたのかって?

 

 そりゃあ天の智慧研究会から奪ったり、ジャティスの錬金術で作った魔道具(マジックアイテム)を売ったり、二人での短期アルバイトとかだ。

 結構マジメに働いてるんだよ? レストランとかでは可愛いとか言われたことあるし。

 

 そんな感じでやりくりしてたのだが、最近フェジテ最悪の三日間を思い通りに行動できたお祝いとして贅沢をしてしまったので、お金がなくなってきてしまった……具体的に言うと、超高級レストランでジャティスと色々高い食べ物を頼みまくってしまったせいだ。

 

 反省しよ……。

 

「ティア、何か良い策は思いつくかい?」

「……ジャティスは?」

「ある程度は思いつくけど……ティアの意見も聞いておこうと思ってね」

 

 ……一つ思いついたけど、これは"面白い"んじゃないか?

 

「……一つ、ある」

「ほう……? それは?」

 

 俺の思いついた作戦、それは。

 

「賭け事、しない?」

「……へぇ? 良いじゃないか」

 

 ギャンブルでの荒稼ぎだ。

 

 

■□■

 

 

 俺たちは競馬場に来た……のだが。

 

「さぁ……4番が来るよ」

「……ん」

 

 

■□■

 

 

「ほらね? "読んでいた"んだよ」

 

 

■□■

 

 

「やっぱりね……"読んでいたよ"」

 

 

■□■

 

 

「どうだい? ティア。"読んでいた"通りだろう?」

 

 

■□■

 

 

「ふぅ……"読んでいた"からね」

 

 

■□■

 

 

「チートすぎない?」

 

 競走馬のレースを見ていた俺は、心からの疑問を口にした。

 

「僕の女神の【ユースティアの天秤】の計算結果が、どうなるかを告げてくれるからね……僕の買った馬券の的中率は、100%だよ」

 

 うっわー! ずっるー!

 

 皆さーん、この人チート使ってまーす!

 

 ……いや、というかさ。

 

「まだやるの……?」

「まあね。こういう機会に、できるだけ稼いでおかないと……」

 

 気付いてるのかな? 馬券購入担当のスタッフさんにすごい睨まれてるよ!?

 

 いや、これ気付いてて敢えてスルーしてるなジャティス……これは酷い。

 

「ティアはどの馬にしたい?」

「ん……この子で」

 

 ジャティスは毎回、先に俺に馬券を選ばせる。

 

 多分、ジャティスがどうするかを関係なく選んでほしいんだろうけど……今のところ、全部外してるんだよね。

 

「なら、僕はこっちの馬の馬券を」

「……ッ、畏まりましたよお客様……ッ!」

「ああ、頼むよ」

 

 スタッフさんの鬼のような怒気を、ジャティスはさらりと受け流す。

 

 ジャティスのメンタル強えー、神鉄(アダマンタイト)で出来てるんじゃないの……?

 

 

 ……結局、何度やっても俺の馬券が当たることは一度も無かった。なんでだ。泣きたい。

 

 

■□■

 

 

 ……帰り道。

 

「……がっぽがっぽ」

「そうだね。競馬のお陰だ」

 

 大量のお金を持って、俺達は最近泊まっている近場の宿へ向かっていた。

 

 けど……そこで俺はふと、複数の気配に気付いた。そして……その理由は、一瞬で納得した。

 

 競馬場で凄いヘイト稼いでたしなー、と。

 

「ジャティス、気づいてる?」

「ああ、もちろん」

 

 二人で頷き合うと、俺達は人の気配の無い路地裏へと入った。

 

「……出てきなよ」

 

 ジャティスがそう言うと、近くの角から何人もの黒ずくめの人達が出てくる。

 

「はぁ……大方、あの競馬場の奴らに雇われたんだろう? 僕が稼ぎすぎてたから……とか、そんなところで」

「正解だ。その灰髪に眼鏡に黒のフロックコート、隣にメイドの少女を連れている男……貴様だな。何らかの方法でズルをしてお金を奪ったのは」

「ズルだなんて哀しいなぁ……僕はルール通りにやっただけなのに、そんなふうに思われるなんてね」

「黙れ。……とにかく、死んでもらうぞ」

 

 リーダー格の男が合図を出すと、周りの人達も一斉に俺達に向かって飛んでくる。

 

「ティア、その場を動かないで。死ぬから」

「ん」

 

 お金の入った袋を落とさないように力を込めてその場に立っていると。

 

 ──ごぱっ。

 

 周りの人達の身体から、いつの間にかあった斬られたような傷から血が溢れ出し、俺に刃が届く前に絶命した。

 

「ほらね? "読んでいた"んだよ」

 

 それを見届けたジャティスは、余裕たっぷりに悪い顔で嗤った。

 

「な、何が……くッ、かかれぇ!」

 

 リーダー格の男が指示を出し、今度はジャティスに向かって襲いかかるが。

 

 ──どぷっ。

 

 先ほどと同じような現象が起こり、傷一つ付けられずに死んだ。

 

「ひっ、ひいいっ!」

 

 リーダー格の男が情けない声を出して、地面にバランスを崩して座り込む。

 

「やれやれ……まさかこんな事になるなんてね。けど、この神鉄(アダマンタイト)を試したかったところだし、ちょうど良かった」

 

 ジャティスは左腕を剣に変形させて、リーダー格の男に向ける。

 

「や、やめ──」

 

 ──そして、振り抜いた。

 

 

「ふぅ……疲れたね。宿でゆっくり休もう」

「ん」

 

 そうして、二人は路地裏から出て宿へ歩いていく。

 

 血に濡れた惨劇など、まるで無かったかのような自然な足取りで。




グレン達サイドとは違う微妙に歪んでいる雰囲気を出せた……気がしました。
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