リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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エレンとの邂逅

 まず最初に、このループの現象を起こしているのは時計型魔法遺産(アーティファクト)の《ル=キル時計》だ。

 

 元は《時の天使》ラ=ティリカの眷属であったル=キルが《魔王》ティトゥス=クルォーによって時計に改造された存在。それが《ル=キル時計》という代物。

 

 正直に言って、無理ゲーなのだ。

 

 エレンを止めようとすれば設定されたルールに接触し、番人(ルーラー)であるル=キル御本人様に殺される。

 

 しかも、ル=キルの権能である"滅びをもたらす風の翼(ル=キル)"は防御不能、回避不能の攻撃だ。

 

 ……どうしろと?

 

「はぁ……」

 

 正直、エレンに接触することすら危険だ。

 

 話すだけならまだしも、ループを止めさせようとすれば俺は番人(ルーラー)に殺されるだろう。

 

 ……クソゲーだ。

 

 けど、なにか行動しなければ何も始まらない。

 

「……行こう」

 

 今回は、ジャティスは頼れない。

 

 "第三者がループ情報を入手した時、その第三者を排除する"というルールがあるからだ。

 

 俺の場合は原作知識なので、情報の入手とは少し違うから外れるが、ジャティスと共有することはできない。

 

 だから、俺一人でやるしかないのだ。

 

 ……まずは、変装してループ関係ない話題でエレンと話してみよう。

 

 いや……変装というより、外見ごと変えてみようかな。白魔【セルフ・モリポルフ】とかで……あ! どうせなら……うん、いいこと思いついた。

 

 

■□■

 

 

 ループ2周目。

 

 三日目の座学試験である『総当たり魔術決闘戦』の第一試合を終えたエレンは、帰り道を歩いていた。

 

「……前回よりも、魔力量も多くなってたし……頑張ろう。システィに勝つために」

 

 明日の模擬戦にも勝てるように、己を奮い立たせているエレン。

 

 そんな彼女に、声がかけられた。

 

「……ねぇ、もしかしてエレン=クライトス?」

「え?」

 

 名前を呼ばれたエレンが振り向くと、そこには白い長髪の、民族衣装のような服を着た女性が居た。

 

 その肌には、どこかの民族特有のような模様が入っている。

 

「あ、ごめんね? 急に声をかけちゃって……ほら、今日の模擬戦に出てたでしょ? 観客として見に行ったから、出場者の人の顔は覚えてるんだ」

「わ、私のことを……? あ……祖父の七光りで代表候補に選ばれた、とか思ってますか……?」

「えっ、なんで!? ……確かにそんな風に思ってそうな人も居たけど、それは皆じゃない。少なくとも、私は凄いと思ったよ」

「え……!?」

 

 女性の意外な言葉に、エレンは驚きを隠せない。

 

「ど、何処がですか……? 自分で言うのも難ですけど、私って弱いですよ……?」

「うん、確かにエレンは弱いね」

「ウッ!」

 

 女性の容赦の無い言葉に、エレンは胸が苦しくなった。

 

「……だけど、諦めてなかったでしょ?」

「え……?」

「最後まで諦めないで、全力で攻略法を考え抜いて、少しでも隙があれば喰らいついていく……そんな姿は、私にはカッコよく見えたよ。ね?」

「……!」

 

 その優しい想いに、エレンの心は温かくなった。

 

 自分の事を、そんなふうに褒めてくれる人は他に居なかった。

 

 だから、そんなことを言われたら。

 

「……ありがとう、ございます」

「良いの。私は本音を言っただけだよ……って泣いてる!?」

 

 エレンはポロポロと、大粒の涙を流してしまっていた。

 

「あわわわ……どうしよう……だ、大丈夫だよー? ほら、ハンカチあるから! これで拭いて!」

「──、ありがとうございます……」

 

 鼻水を啜り、ハンカチを受け取って涙を拭き取る。

 

「ほら、深呼吸深呼吸……」

 

 言われた通りにエレンは深呼吸を繰り返す。

 

 すると、段々気分が落ち着いてきたような気がした。

 

 そして、今更ながらにエレンは女性の名前を聞いていないことに気がついた。

 

「……そういえば、貴女は……?」

「あ、ごめんね。そういえば名乗ってなかったなぁ……」

 

 うっかりしてたと言いたげな顔で、女性は胸に右手を当てた。

 

「私のことはセラって呼んでほしいな。よろしくね、エレン」




※監修:ジャティス。
 セラを細部まで再現してくれました。

ティアさんのトチ狂ったかのような変身相手のチョイス。喋り方も変わっているのは自分自身への暗示魔術です。変わったのはあくまで喋り方だけで、中身の人格は全く変わってないです。
なぜセラになったのかというと、自分そっくりのリィエルと会っているはずなので、そのまま行ったら警戒されると思ったからです。
ついでに愉悦できる。一石二鳥。
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