リィエル・レプリカと転生日誌   作:氷月ユキナ

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2周目の終わり(Ω)

 あれから、エレンとは自分でも驚くくらいに仲が良くなった。

 

 親友と行っても過言じゃないんだろうかと言いたいぐらいには。

 

 泊まっている学院のホテルでも一人だというエレンを無理矢理誘って、一緒にレストランで夜ご飯も食べた。

 

 何回か話していたので、愚痴なども話してくれるようになった。

 

 自分の祖父であるゲイソンにメイン・ウィザードになれと口煩く言われるやら。

 

 クライトス家なんて知ったことではないやら。

 

 それでも、システィーナには何としてでも勝ちたいやら。

 

 場の雰囲気に酔っていたのか、システィーナとの過去まで話し始めたときはどうしようかと思った。

 

 エレンがチョロすぎて心配になるよ俺は……。

 

 そんなこんなでエレンと楽しく話をした俺は七日目の試合を見に来ていた。

 

 ──ぉおおおおおおおおおーーッ!

 

 会場が揺れて、観客の気分が最高潮となる。

 

 第七試合場で注目されていた二人の試合が始まるからだ。

 

 片や、アルザーノ校のエース。システィーナ=フィーベル。

 

 片や、クライトス校のエース。レヴィン=クライトス。

 

 ……そこに、エレンの姿は無かった。

 

 ここに来れることはなく、既に敗退してしまっていたのだ。

 

「はぁー……」

 

 勝敗が分かっている試合ほど、ツマラナイものは無い。

 

 ぐで〜……と観客席の椅子に体重を預け、俺は天井を見上げていた。

 

 ──おおおおおおおおおおおおおおおおおーーッ!

 

「ふわ〜ぁ、終わったぁ……?」

 

 見れば。

 

 地面に膝をついて肩で息をしている満身創痍のレヴィンと、両足で立ったまま右手を高くあげて歓声を受けるシスティーナの姿があった。

 

「勝者──システィーナ=フィーベル!」

 

 審判のその言葉に、会場は熱狂に包まれる。

 

 ……そこはかとなく、既視感(デジャヴ)のある光景だ。

 

 まだ二回目だから飽きてはいないが、この展開が何度も続くと思うと憂鬱すぎる。

 

 そうして、そのまま学院アリーナで。

 

 選抜会閉会式が行われて、メイン・ウィザードにシスティーナの名が呼ばれるだろう。

 

 ……もう、ここに居る意味は無いな。

 

「……ジャティス君のところに帰ろう」

 

 外に出ようと思った俺は、学院アリーナへ集まっていく観客達とは正反対の方向に歩き出した。

 

 

■□■

 

 

「…………え?」

「……先生? どうかしましたか?」

「いや……はは、何でもねぇよ。ただ、観客の中に、見たことあるやつが居たような気がしてな。……いや、ただの気のせいだったわ」

「そうなんですか? 気になるなら、行ってみても……」

「何言ってんだよ白猫。ほら、俺達もさっさと学院アリーナに行くぞ! 誰がメイン・ウィザードに選ばれるか、楽しみなこった!」

 

 

■□■

 

 

 ──終わり(Ω)が訪れる。そして、始まり(Α)へと回帰して──

 

 

■□■

 

 

 ────。

 

「──ィ──ア……ほら……起き……」

 

 ………………。

 

「──ティア? ほら、起きなよ……もう朝だよ? 今日はグレンの生徒達の魔術祭典なんだよ? 行きたいと言ったのは君じゃ──」

「起きるから、一人にさせて」

「……ティア?」

「お願い」

「……分かった。だけど、どうしようもなくなったら僕を頼りなよ? 僕らは共に正義を執行する、パートナーなのだからね……」

「ん」

 

 それだけ言い残して去っていくジャティスを見送った俺は、頭を回す。

 

 これから、どうするか。

 

 ……まず、エレンを説得しても意味は無い。

 

 この騒動を起こしている黒幕は、《ル=キル時計》の竜頭を持っているゲイソン=クライトスだからだ。

 

 だが、馬鹿正直にゲイソンを殺しに行ったとしても、ティトゥスに改造されたル=キルに迎撃されて瞬殺されるだけだ。

 

 ……まず、最低でもエレンに味方になって欲しい。

 

 けれど、それにはどうするべきか。

 

 今のエレンはシスティーナに勝つことだけを目標にしている覚悟ガンギマリ状態だ。

 

 たかだか数日話した程度の人の説得で諦めてくれるような子じゃないことは、前回の周での仲でよく知っている。

 

 色々と振り返ってみたが、相も変わらず無理ゲーだ。

 

 ……もう、死ぬこと前提で俺がループの記憶継承しちゃってること、エレンにバラしちゃおうかな……そしたら何か変わらないかな? 駄目元でやってみよ。

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