「それじゃあ行ってくる」
「頑張ってね!」
「もちろん!」
サリーがダンジョンを見つけてから二週間後、ボス部屋を見つけ【水泳】と【潜水】スキルのレベルをマックスにしたサリーはボス部屋に向かっていた。
あれから【蛙】について分かったことは水中での動きにサポートがあることが分かった。
サリーはしばらくしてボス部屋の前に戻って来た。
「よし!行こう!」
サリーは戦略を練ると目の前の左右で白と黒に別れた大きな扉へと舞い戻っていった。
扉をゆっくりと開く。中は巨大な球体の部屋に半分水が溜まった造りになっていた。
サリーにとっての嬉しい誤算は酸素があったことだ。これで無理をして短期決戦に持ち込む必要がなくなったのである。
「ぷはっ…さぁ…こい!」
サリーの目が真剣な色に染まる。それに応えるように一点に収束した光が形を成し巨大なシャチが現れた。
シャチはその巨体で突進攻撃をしてくる。
サリーはその動きを完全に見切り、体を捻りすれすれで回避し、すれ違い様に赤く輝く短剣で鱗と肉を僅かに切り裂く。
「【スラッシュ】!」
短剣には【状態異常攻撃II】がかかっており、シャチの体に毒を注ぎ込んでいく。
数回繰り返したところでシャチのHPが八割を切る。
そこでシャチの動きが代わり尾びれで範囲攻撃を前方に繰り出す。
「【ダブルスラッシュ】!」
しかし、サリーには届かない。
「【パワーアタック】!」
【状態異常攻撃II】によって麻痺になった敵にサリーの短剣が根本まで突き刺さり、シャチのHPは五割を切った。
行動パターンの変わりどきである。
シャチの額に魔方陣が浮かび上がりそこから超音波が発射される。
サリーが回避したあと、超音波が当たった壁が崩れた。あの超音波に当たってはならないとサリーは確信する。
超音波がサリーのいたところにしか飛んでこないことに逃げ回っていたサリーが気づく。
それならと壁を蹴り迫る超音波の下をくぐり抜けシャチに近づく。
「【パワーアタック】!【ウィンドカッター】!」
その隙にシャチのHPを残り二割まで削る。
それと同時。部屋が水で満たされる。
上下左右の壁に超音波を発生させる魔方陣が現れる。
続いてシャチが口を開けると、その口の中には超音波の魔方陣よりも強い輝きを放つ魔方陣があった。
サリーが反射的に動かす。
直後、サリーの居た場所に向かって真っ直ぐに高速の水のビームが放たれる。
周りからも超音波が迫りサリーが落ち着きを失っていく。
焦りは思考を停止させる。
こういう時こそ落ち着いて。
サリーは自分に言い聞かせる。焦る心を落ち着け鎮めて集中する。
五感を全て使いシャチの攻撃を先手先手で回避する。
それはもはや未来予知。
チートにも似た圧倒的なPS。
「【パワーアタック】!」
サリーは放たれる攻撃を綺麗にすり抜けてシャチを抉る。
そして遂に。
シャチのHPバーは空になった。
◇◇◇
部屋に溜まっていた水が、全てどこかへと抜けていって、中央に大きな宝箱が現れる。
サリーは喜ぶより先に、地面に仰向けに寝転がった。
「あー…やっぱ本気で集中すると疲れる…」
レベルアップとスキル取得の通知が鳴り響くが、そんなものの確認は後だとサリーは寝転び続ける。
しばらく寝転がったサリーはテンションを元に戻すと、宝箱の方に向かった。
「いざ、オープン!」
中に入っていたのは海のように鮮やかな青を基調として、端には泡を思わせる白があしらわれたマフラー。
腰くらいまでの長さの端が黒い水色のコートとそれに合わせた上下の衣服。
そして光の届かない深海のように暗いダガーが二本と、それをしまうことができる鞘、水色のベルト。
サリーは全ての装備の能力を確認していく。
『水面のマフラー』
【AGI+10】【MP+10】【破壊不可】【蜃気楼】
『大海のコート』
【AGI+30】【MP+15】【破壊不可】【大海】
『坂又の衣』
【AGI+20】【MP+10】【破壊不可】【シャチ】
『深海のダガー』
【STR+20】【DEX+10】【破壊不可】
『水底のダガー』
【INT+20】【DEX+10】【破壊不可】
【シャチ】
シャチっぽいことが出来るようになる
「これは…私のスキルの
取り方が影響したのかな?ふふふ…私好みの装備だなぁ。メイプルよりも装備が多いけど…【破壊成長】とスキルスロットはないんだね」
サリーは、スキルの確認は明日メイプルと一緒にしようと考えながら洞窟を後にした。それ程に疲労していたのだ。
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サリー強化回でした。このままいくと追加タイミングがないため装備に取得させたかった【シャチ】を着けました。