やる夫達は並行世界と繋がった聖杯戦争に参加するようです。 作:しきん
最近、前書きのネタが尽きかけてしまっております。
大変申し訳ございませんが、暫くの間、前書きはお休みさせていただきます。
聖暦2110年 11月29日 夕方 穂群原学園
終礼が終わり、玄関フロアは下校しようとするNPC達で溢れ返る。
「おーい、遠野!」
その中で、男子NPCの1人が少年に声をかける。
少年の名は遠野志貴。この世界で行われる聖杯戦争に参加するマスターの1人である。
志貴に与えられた役割は穂群原学園に通う高校2年生であり、今のところはこの世界に関する知識を得る為に学業に励んでいる。
「この後、皆でカラオケに行くんだけど、遠野も一緒に行くか?」
「あー、ごめん。俺、これからちょっと用事があるんだ」
「やっと終わったんだ」
志貴と同級生が話していると、そこに1人の少女が近付いて来た。
白い長袖Tシャツと黒いショートパンツの上にオリーブドラブにメインカラーのジャケットを着込み、黒いキャップを被るコーデ。黒髪ロングヘア―に緑色の瞳。身長は志貴や同級生と比べてあまり差は無く、傍から見れば同年齢に見えるだろう。
「・・・もしかしてこの娘、お前の彼女?」
「まあ・・・そんなところかな」
髪の色が似ているのもあり、志貴と少女はお似合いのカップルに見える。
NPCも少女が志貴の彼女である事を理解すると、それ以上は言わなかった。
「じゃ、また明日」
「また明日な、志貴~!」
元から学生だった事もあり、志貴は短期間でこの世界に慣れる事に成功した。
更に、真面目でお人好しな性格も相俟って、早々にクラスに順応し、何人かと仲良くなっている。
だが、NPC達は知らない。遠野志貴と少女・・・アーチャーが、主従の関係である事を。
NPC達と別れて暫くすると、志貴は少女に話しかけた。
「じゃあ、学校の中に戻るか」
志貴の言葉に、アーチャーが驚く。
「まさか・・・マスターも行くの?」
「当然だろ。流石に女の子1人だけに偵察させる訳にはいかないし」
本戦開始前における志貴達の方針は2人掛かりでの情報収集、これに尽きる。
別に、志貴が戦略家とかそういう類の人間とか、という訳ではない。幾ら戦争といえども、戦闘において、一般人に被害が及ぶ事は極力避けねばならないと考えている、それだけの事なのだ。その為には自分達だけでなく、他の陣営についての情報も集めておく必要がある。
現段階ではどの陣営とに対しても中立の姿勢を見せているが、何れ誰かと同盟を組む必要も出て来る事も考えるなら、この方針は妥当と言えるだろう。
偵察の優先対象は穂群原学園に通う陣営。理由は勿論、穂群原学園に通う志貴としては最も近い立ち位置にあるからだ。
2人は校門を通り、校舎の中に入った。
数分後
志貴達は校内を歩き回っていた。
校内にはまだ多くの人が残っている。教室で世間話をする生徒達や部活に励む生徒達、職員室で業務をこなす教師達に生徒の相談に乗る教師。
今回、接触する相手は―――
「空振り・・・みたいね」
「早めに帰ったのか。もう少し残っていると思ったんだけど」
―――残念ながら、既に校内にはいなかった。
「確か、雪音クリスって名前だったっけ。アイドルとしてはまだデビューしてないらしいから、それまでは放課後に学校に残る時間は少しぐらいはあると思ったんだけど・・・当てが外れたかな?」
「アイドルに関する事はよく分かんないけど・・・」
志貴達は、高等部1年B組の生徒の1人がマスターである可能性が高い事を突き止めていた。
『雪音クリス』という名の少女で、現在までに集めた情報によると、デビューを間近に控えたアイドルという事が判明している。
「また今度、当たってみる?」
「う~ん、どうするかな・・・」
やっぱり、デビュー直前だと忙しくなるのか・・・?
しょうがない。今回は諦めよう。
「・・・今日はもう帰るか、瑞鶴」
「分かりました、マスター」
志貴とアーチャー・・・瑞鶴はそのまま踵を返し、穂群原学園を後にした。
夕方 アーンヴァル街
道中、下校する際のNPC達とのやり取りを少し思い出す。
―――この後、皆でカラオケに行くんだけど、遠野も一緒に行くか?―――
「・・・カラオケか。時間があったら行ってみようかな」
「マスター、聖杯戦争の本戦ってあと1ヶ月で始まるんでしょ。偵察の事も考えたら、流石にそんな余裕は無いんじゃない?」
志貴の声に、瑞鶴が苦言を呈する。過酷な世界を生き抜いてきたアーミヤにとって、これから戦いが始まるという時に気を抜くのは危険な行為である。こういう反応をするのも無理は無い。
「確かにそうだろうけど。でも、1ヶ月なら猶予期間としては十分じゃないか?週末なら学校は無いだろうし」
「まあ、私もカラオケには興味あるし・・・考えておくわ」
渋々ではあるものの、瑞鶴はそう返答した。
―――そういえば。
「そういえば、瑞鶴は聖杯にどんな願いを掛けるんだ?」
気付いたら、瑞鶴に対する疑問を口に出していた。
「何よ、藪から棒に」
「ああ、いや―――俺達、出会ってまだ間もないだろ?だから、つい気になって」
オタクの類でもない限り、大抵の日本の高校生が軍事、増してやその歴史に興味を持つ事はあまりないだろう。
事実、俺は瑞鶴が空母である事をこの聖杯戦争で初めて知った。
大まかな概要は昨日ネットで調べたが、重要なのは歴史における瑞鶴じゃない。今、目の前にいる瑞鶴だ。
兵器だった筈が、人間の姿で召喚された瑞鶴が何を思うのか。
「願いか・・・あるとしたら、前世をやり直したいって事くらいかな」
「前世・・・」
「うん。前世で守れなかった仲間を守りたい。翔鶴姉も瑞鳳も武蔵さんも守れなかったから」
瑞鶴は、言うなれば幸運艦だった。
だが・・・生前における彼女の周りで沈んでいった僚艦は決して少なくない。
恐らく、彼女はそれに負い目を感じているのだろう。
「守れなかった仲間を今度こそ・・・って事か」
「そういうマスターはどうなの?何も無しにここまでやろうって訳じゃないんでしょ?」
「俺か―――」
そういえば、まだ決めていなかった。
・・・決まりそうにないな。
「―――これといったものは無いかな。もし聖杯を手に入れたら、瑞鶴が使ってくれ」
「マスター・・・ありがとう」
瑞鶴の顔に笑みが零れた。そんな気がした。
夕日が完全に沈むまで、あと数分。
[マスター 遠野志貴]
能力:直死の魔眼(『死』を視覚情報として捉える事の出来る眼。この目が読み取って視覚する『死』とは、『生命活動の終了』ではなく『いつか来る終わり』という概念である。正確にはある種の超能力であり、死を視覚化出来る眼球と、それを認識し理解出来る脳が揃う事により、初めて機能する。一般的な魔眼のように他者へ移植しても意味が無く、逆に眼球を潰したとしても死を視覚化する事が可能。『死』は線と点で見えるもので、強度を持たない。『死の線』は存在の死に易いラインを表し、線をなぞり断てば対象がどんなに強靭であろうと切断される。また、線で斬られたその部分は『殺された』扱いとなる。『死の点』は死の線の源であり、寿命そのもの。死の点を突かれた場合、例外無くその存在は死ぬ)
出典:月姫
性別:男
武器:ナイフ
役割:穂群原学園に通う高校2年生
願い:特に無い
方針:取り敢えず、今はどの陣営に対しても中立の姿勢を貫く
令呪の位置:右手の甲
財閥の家系で鬼との混血として裏で知られる遠野家の長男。幼少期に二度の臨死体験をし、それによって物の死を見る事の出来る『直死の魔眼』を得てしまう。それが元で一時は気が狂いそうなほど悩んでいたところを蒼崎青子により救われ、その際に魔眼殺しの眼鏡を貰い、眼鏡をかけている間は魔眼の力が抑えられるようになった。実は遠野志貴は遠野家の長男ではなく養子。遠野家によって滅ぼされた暗殺を成業とする退魔の一族『七夜家』の人間。本名を七夜志貴という。当時の七夜家当主である七夜黄理の長男として生まれ、暗殺を辞めた七夜家の忍里で静かに暮らしていたが、七夜一族の退魔能力を恐れた遠野槙久が軋間紅摩を使い、当主の黄理を始め一族を皆殺しにする。志貴も殺されかけるが、その時槙久が自身の長男である遠野四季と名前の音が同じだった事に気紛れを起こし、彼は遠野に引き取られた。槙久は志貴に、四季・秋葉の幼い混血に対し七夜一族の血による抑止力を期待していたが、歯止めにはならず、ある日、四季が暴走するという事件が起こる。槙久は四季に襲われ死にかけた志貴から一族の記憶を洗脳により完全に消し、分家の有間家に追いやって厄介払いをした。この時より『遠野志貴』という人生が始まった。性格は良くも悪くも、真面目でお人好し。基本的に中立的で優しく、困っている人間は放っておけない性質であり、特に女性に対しては甘い。ただ、こうした部分は意識を変えられた洗脳と、青子先生の教えによる部分が大きく、本質は世捨て人じみた自然主義者である。また、眼鏡を外すとポエマーになるらしい。
[サーヴァント 瑞鶴]
クラス:アーチャー
出典:艦隊これくしょん
性別:女
ステータス:筋力C、耐久C+、敏捷D+、魔力B、幸運A+、宝具A
属性:中立・中庸
スキル:対魔力D(魔術への耐性。一工程による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度のもの)
単独行動C+(マスター不在・魔力供給無しでも長時間現界出来る能力。マスターを失っても1日半は現界可能)
艦娘-(第二次世界大戦において活躍した艦艇の記憶を持って生を受けた少女。水上戦闘に適性を持ち、移動を可能とする他、敏捷等に有利な判定を受けられる。瑞鶴の場合、空母としての特性が発展し、Cランク相当の千里眼にも等しい視力を有する)
嵐の航海者A(船と認識されるものを駆る才能。集団のリーダーとしての能力も必要となるため、軍略、カリスマの効果も兼ね備えた特殊スキル)
宝具:『翔鶴型航空母艦二番艦(ずいかく)』(航空母艦『瑞鶴』を模した武装。サイズは瑞鶴の身体に対応したものとなっている。空母の武装として、展開した艦載機を自在に指揮が出来、航空射撃による援護を行わせる事も可能。艦載機を用いて大規模な一掃も出来るが、それによって齎される被害は時として甚大なものとなる)
武器:長弓(一見すると何の変哲もない長弓のようだが、艦載機を発艦させるのに必要不可欠なものであり、定期的に手入れを行う必要がある)
艦載機(ミニチュアサイズの艦載機群。零式艦上戦闘機、彗星、天山の3種類からなる。魔力で生成したものであり、戦闘中に撃破されても魔力を回復する際に補充する事が出来る。なお、長弓を用いて繰り出すタイプのものである為、長弓を構えていない状態では繰り出す事が出来ない)
願い:前世をやり直し、仲間を守りたい
方針:マスターに従う
翔鶴型航空母艦二番艦『瑞鶴』。姉妹艦である翔鶴と共に日本海軍の主力艦として活躍した正規空母であり、マリアナ沖海戦まで一発も被弾しなかった幸運艦でもあった。レイテ沖海戦のエンガノ岬沖海戦で沈没し、その艦歴に幕を閉じた。性格はやんちゃで押しが強い、所謂『お転婆』。また、自らの艦歴の影響から、七面鳥に対する苦手意識を持っており、クリスマスに対しても苦手意識を持っていたりする・・・らしい。なお、艦娘としての記憶は史実準拠である。
言峰綺礼と組むサーヴァントは・・・
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