円環世界のわるぷるちゃん   作:めぐるうさぎ

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一番好きな魔女はお菓子です。
途中、魔女の補足が何度か入ります。そうなんだーくらいの感覚で見ていただければ嬉しいかなって…そう思うんだ。


崩壊

 

 女神様とその従者達が偽りの見滝原に向かってからもう長い時間が経過していた。ワルプルギスの夜、もといワーちゃんはと言うと…

 

 

「ぐが〜すぴ〜むにゃむにゃ…」

 

 

 こうしていびきをかいてぐっすりとおやすみ中だった。女神様に言われた通りに五分間ジッとしていた彼女であったが、30を数えた所で数字がわからなくなり、目を瞑って考えているうちにそのまま夢の世界に行ってしまったのだ。哀れなり。

 そして、そんな彼女に近づく影が一つあった。

 

 

「あら?…ワーちゃん?またソウルジェムを無くしちゃったのかしら…」

 

 

 すやすやと眠るワーちゃんだが、そんな事など知らずにたまたまここを通りかかった長身の女性。すらっと足まで伸びるバラの花をイメージさせるタイトドレスには体のラインが浮き出てしまう程に彼女は抜群のプロモーションを持っている。

 そして、草原のように青々とした緑の長髪を揺らしながら、彼女にどこか気品を感じさせる足取りで近づいていく。

 

 

「まあ!眠っているだけですのね…しょうがない子!ワーちゃん?ワーちゃん?起きてください…」

 

 

 眠っているだけと気がついた彼女は気持ちよさそうに呼吸に合わせて上下するその身体を優しく声をかけながら揺する。やがて、眠たそうに目を擦りながら覚醒したワーちゃん。

 

 

「…ふがっ!?…あれ、ゲロじゃん…何してんの?」

 

「ゲロじゃありませんわ!ゲルトさんとかルーちゃんとかもっと可愛く呼んでくださいまし!!」

 

 

《薔薇園の魔女(真名Gertrud)》

性質は不信。なによりも薔薇が大事。その力の全ては美しい薔薇のために。

結界に迷い込んだ人間の生命力を奪い薔薇に分け与えているが、人間に結界内を踏み荒らされることは大嫌い。

 

《本作のげるとるーと》

可愛いものとお花が大好きなお嬢様。ここを少しでも魔法少女の天国らしくしようとお花畑を作ろうとしているが、ここにいる魔法少女はどいつもこいつも花より団子なのでよく散らされてブチギレている。

また魔女一か二を争う程に使い魔を保有しているが、その一匹一匹に彼女の魔力が込められた勲章を授け、名前をつけるほどに使い魔を大切にしている。

 

 

「いいこと?ワーちゃん!ゲルトさんって一度呼んでみてくださいまし。さん、はいっ…」

 

「あ〜〜〜っ!!!そんな事より、ゲロ!女神様見てない!?なぎちゃんとさやかとかでもいいから見てない!?」

 

 

 そんな事とバッサリ切られ、むぅと口を尖らせるゲルトルート。だが、ワーちゃんが話を聞かないお馬鹿なのは円環の理に導かれている皆には既に周知の事実なのでしばらくの沈黙の後に口を開く。

 

 

「………はぁ…もう行かれましたわよ」

 

「えっ!?」

 

「ですから、もうとっくに昔に下界へと行かれましたわ。そのお二人と私や他の方々の使い魔を沢山連れてね」

 

 

 と言った彼女は使い魔の大半をさやかに連れていかれた為、怒りを滲ませながらボヤく。借りるとだけさやかに言われて使い魔を連れていかれた事を根に持っており、使い魔を大事にするゲルトルートは一匹でも怪我をさせてたら即ブチギレてさやかに襲いかかるつもりだ。

 

 

「あれ?って事はボク置いていかれた!?」

 

「つ、連れていく約束をされてたのですか!?そんな事をしたら世界など簡単に滅びてしまうというのに何故そのような馬鹿な真似を…?詳しい経緯を教えて貰えませんこと?」

 

「えっとね…かくかくしかじかでここで待ってたら連れていくかどうか考えてくれるって!言ったもん!!」

 

「なるほど…状況が飲み込めました。ワーちゃん…誠に言いづらい事ではあるのですが…考えるだけで連れていくなんて一言も言ってませんわ女神様は…」

 

「えっ…あっ?んあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 それを聞いてポカーンとしていたが、しばらくしてその意味を理解出来たようでワーちゃんは地団駄を踏んで怒りを露わにする。そして…

 

 

「あっ!どこに行かれるのですか!?ワーちゃん!」

 

「もうあったまきたからボクも下の世界に行く!!またねゲロ!」

 

 

 そう言って止めようとしたゲルトルートの声を聞かずに微かに目に見えるか、見えないかの超スピードでワーちゃんは壁やら扉やらをいろいろ突き破って行ってしまった。

 

 

「はぁ…ワーちゃん、そっちは正反対ですわ…」

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

「キトリー、ギーゼラ、今の…感じましたか?」

 

 

 ここは下界へと繋がるドアの前。そこには二人の少女と耳から手のようなものが伸びる真っ白な小動物を模した被り物の頭に黒いコートを羽織った不審者がいた。

 セーラー服服風の衣装が良く似合う黒髪を長く伸ばした眼鏡の少女がもう一人の少女と不審者に質問する。

 

 

「ええ、ええ!今だけではなく過去、未来の全てで確かにインキュベーター様のお心と言葉はこの私の胸の中に…」

 

 

 インキュベーターへの敬愛をくねくねと身体を揺らす事で表現する不審者。

 

《針の魔女(真名Quitterie)》

その性質は敬愛。宇宙のために全てを捨てて戦った魔法少女の成れの果て。彼女はまだ自分が宇宙を救うと信じている。

 

《本作のきとりー》

インキュベーターの事が好きすぎる馬鹿。その愛はいつでもどこでも彼の顔を模した被り物を身に付けてしまう程。だが、正義感の高さや頭の回転の早さからインキュベーターが絡まなければ女神様も彼女を起用する事がある。

インキュベーターを陥れた為か、女神様の事は嫌っているものの、それでも救済を受け入れ、円環の理に導かれたのはもう一度インキュベーターに会う為である。すなわち愛だ。

 

 

「違うわボケ。あんな白豚の話してねぇっつの…オレも感じたぜ委員長。女神と貸した使い魔の奴の繋がりがきれるのをよ」

 

 

 気味の悪い動きをしながら言葉を発するキトリーの隣でそう返したのは不良が着るであろう特攻服に身を包み、腕を組む銀髪のショートヘアーの少女。

 

《銀の魔女(真名Gisela)》

その性質は自由。

高速で移動する結界の中に潜んでいるが 魔女自身は非常に愚鈍。残念ながら科学的な力は一切使えない。

かつては全身目も眩むほどの銀色であったが、 海岸線の夕日を眺めているうちにずいぶんと錆びてしまった。

 

《今作のぎーぜら》

裕福だったが、それと共に厳しい家庭環境で育ち、それに耐えきれなくなった彼女は願いで誰にも邪魔されない自由を追い求めた。その結果がこの特攻服にサラシというバリバリの不良スタイルであるが、本人はとても気に入っている。

竹刀片手にパーツ型の使い魔を組み立てたバイクに乗って今日も円環の理と下界を駆け回る。

 

 

「ああ、インキュベーター様に逆らった愚かな駄女神の事でしたか…おおかた何かに失敗したんでしょうね。連れて行ったのも煩悩の塊二人ですし」

 

「失敗したってのだけ同意してやる。インキュベーターに出し抜かれたか…それよりヤベー奴にやられたか…だな。どうする?助けにいくか?」

 

「えー…別にこのままでいいでしょ?女神不在が続けば円環の理もぶっ壊れますし〜インキュベーター様にも干渉して貰える可能性もありますし〜ムフフ」

 

 

 くねくねする勢いが増し、身につけるインキュベーターの被り物のせいもあってキトリーに対するイライラも増していた。そんな中、委員長の魔女であるパトリシアは眼鏡をクイッと上げて冷静に頷く。

 

《委員長の魔女(真名Patricia)》

その性質は傍観。蜘蛛のような糸を吐き結界内の空に自分だけの学園を作って学生達と変わらぬ日常生活を繰り返している。

下校チャイムを鳴らせばこの魔女はどこかの住処へと帰ってゆくだろう。

 

《本作のぱとりしあ》

魔女化後も被害は極力出さずに結界内で教室を作って学園生活を送っていただけあり、恐ろしく真面目で優しい。だが、融通が聞かない訳でもなく、この円環の理内では一番の常識人。

押しつけられ続けた委員長という肩書きもここまでくると愛着を感じるものになっており、おバカが多いこの円環の理をまとめる事が自分の役割と認識している。あまりにも度が過ぎる出来事は見なかった事にし、女神様に丸投げする。

 

 

「そうならない為に円環の理の総力を上げて助けに行くべきだと私は思います。ですが…」

 

「何か問題でもあんのか?」

 

「インキュベーターなら手強い相手ですが、まだどうにでもなる敵と言えます。ですが、もし本当にあなたの言うヤベー奴が女神様を制御していたとしたら…」

 

「ま、我々のようなクソザコナメクジにどうこう出来る相手じゃないですよね〜というか、これ…マジでチャンスですよ!インキュベーター様!!」

 

アーハッハハハッ…

 

「うるせえアホ!!…かといってこのままだと女神がいない円環の理は無法地帯となるぜ?オレも自由の身になるのは嬉しいが、このシステムがなきゃ世界がどうなるか…」

 

アーハッハハハッ!

 

「…わかっています。ですが、私たちが消されてしまえば終わりです。慎重に…」

 

 

「アーハッハハハッ!やっと到着!!あ、ぬいぐるみ発見!」

 

 

 ドガンと壁が崩れ、やってきたのは結界内をぐるりと一周してここに辿り着いたワーちゃん。彼女はキトリーを見つけると一目散に駆け寄り、力いっぱい抱き締める。突然の乱入で皆は驚くが、それ以上に…

 

 

「げぇっ!?わ、ワルプルギス!?あぎゃぁぁぁぁっ!そんな力で抱き締められたらインキュベーター様がぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 被害を受けているキトリーの絶叫がこの場に響き渡る。もがく不審者の頭は揺れ、被り物が耳を揺らしながら凄い勢いでガタガタと震えていた。

 ワーちゃんはそれを見て大爆笑し、手を離した彼女はさらにその耳から伸びた手のような部分を掴むと思いっきり引っぱった。伝説の魔女の力に耐え切れるはずもなく、被り物はビリビリと音を立てて引きちぎられてしまう。

 

 

「あ、取れた!?な〜んだキトリーか…」

 

「あひゃひゃひゃひゃっ!?!?!?!?インキュベーター様あぁぁぁぁぁっ!?んおぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 

 被り物の中から現れたのは緑髪をツインテールにした可愛らしい女の子。背丈はワーちゃんよりも少し大きいくらいでそれほど年齢も変わりない。

 敬愛するインキュベーターの被り物を無惨にも破かれ、すぐに興味を失いポイ捨てされた彼女は女の子が上げたらいけない叫びをしながら地面に転がり回っていた。

 それを見てワーちゃんはひとしきり笑った後、二人を無視して先程の話を続けるパトリシアとギーゼラに向き直る。

 

 

「ねね!ボクその先に用があるから行かせて〜」

 

「…いけません。この先は下界に繋がる扉がある。遊びで入るような場所ではないのです。それに今は忙しいですから、ね?」

 

「そこをなんとか!いいんちょ〜!」

 

「ダメなものはダメです。ワー子さんはいい子ですから向こうでキトリーと一緒に遊んできてください。ほら、キトリー。転がって遊ぶなら彼女と一緒にしなさい」

 

 

 キトリーは全身で悲しみを表現するように、ぱっくり裂かれたインキュベーターの頭を大事に抱えながら涙を流して転がっている。

 いい加減鬱陶しくなってきたのでキトリーと共にワーちゃんを連れていかせようとしたのだが、ワーちゃんの顔はえ、こいつと…と聞こえてくるような絶妙に嫌な顔をしていた。

 

 

「えー…インキュバスインキュバスってうるさいからやなんだけど…」

 

 

 その言葉には思わず、隣で話を聞いていたギーゼラだけでなく真面目なパトリシアでさえも吹き出してしまう。だが、それを許さない魔法少女が一人…キトリーの目が光った。

 

 

「インキュベーター様を悪魔みたいに呼ばないでください!!インキュベーター様はあの可愛らしい見た目とは裏腹に宇宙を救うという崇高な理念に基づいて活動される救世主なのですよ?そのような方の為に私たちというちっぽけで空虚な存在が役に立てる喜び…そして、対価として何でも願いを一つ叶えていただけるという慈悲深さ…まさに神と言っても過言でもありません!で、す、が!あの邪神【鹿目ーどか】は哀れなピエロのお陰で類まれなる因果を秘めていたというのに神の啓示を無視するどころか、叛逆しこんなシステムを作り上げた!あの【ー目ーどか】が素直に契約していれば宇宙は救われた!【ー目ーーか】のせいで宇宙は…ん?」

 

 

 誰も聞いていなかった話が不意に止まる。自分で違和感に気づいたからだ。そして、それは他の人物にも広がる。

 

 

「何言ってるのか大半聞き流してたが…なんだぁ…!?オレも少しずつ女神の事が思い出せなく…いや、忘れて?」

 

「くっ…こ、これは…まずい!おそらく下界で世界が書き換えられています!!【ー目ーーー】が女神であった記憶が…なくなって…」

 

 

 ギーゼラもパトリシアも様子がおかしかった。頭を抱え、地面に崩れ落ちる。その額には汗が滲み、激しく息切れをし始める。

 パトリシアの言う通り、下界では今女神の力を一部吸収した暁美ほむらが悪魔として降臨し、自分の思い通りになる世界を再編していた。それにより女神様が女神様であった記憶は改変され、もはやどうなってしまうのか誰にも想像がつかない。

 

 

「あばばばばば…インキュベーター様、インキュベーター様、インキュベー…」

 

「アーハッハハハッ!みんなおもしろーい!でも、あんまりふざけてたら女神様に怒られるよ〜?」

 

 

 二人はとうとう倒れ、しんどそうに頭を抱えながらもキトリーは女神様の事はどうでもいいのでインキュベーターの事だけはわすれないようにと不気味に名前を呟く。地獄みたいなそんな状況の中、ただ一人ワーちゃんだけは皆の様子を指を指して大爆笑しながら見ていた。

 

 

「ワー子…お前なんともないのか!?」

 

「うんにゃ?何が?」

 

「さ、さすが伝説の魔女…我々のようなクソザコナメクジとは違って規格外な力を持つ彼女は世界の変革にも耐えうるのでしょうかね…!?」

 

 

 その言葉を聞いてハッと目を見開くパトリシア。しばらくの沈黙の後に顔を歪ませたかと思うと彼女はワーちゃんの方へ顔を向ける。

 

 

「もはや一刻の猶予もありません…じきに女神様の記憶を失う今の我々では探しに行きたくとも探せません!ワー子さんに…かけるしか…」

 

「ちっ!そのようだな…おい、ワー子!!お前に頼む!女神とついでにバカ二人を連れて戻すんだ!!これはお前にしか出来ない事だ!!」

 

 

 女神様の記憶がなくなればこの出来事の記憶もなくなる。もし、そうなれば考えられる最悪のケースとして誰も女神様を助けに行けずに円環の理はそのまま永久に時が止まる、もしくは緩やかに滅びを待つという事になるだろう。

 唯一記憶を保有するのがワーちゃんというのが、もう不安しか残らないが、何もしないよりかはマシな為、彼女達はいまいちピンと来てなさそうなワーちゃんに全てを託した。

 

 

「女神様とバカ二人…だね!うん!わかった!!」

 

「ワー子さん…頼みましたよ…」

 

「ちょいまちです!ついでにインキュベーター様も連れてき…あっ?」

 

 

 元気に頷いた彼女にキトリーが余計な事を言おうとした所で異変が起き、皆の動きが止まる。それは一瞬の出来事ですぐに彼女たちは再び動き始める。

 倒れていたパトリシアとギーゼラは立ち上がり、何で倒れたのか不思議そうにしていた。キトリーは手に持ったインキュベーターの被り物を見て、また絶叫と地面に転がる行為を始める。

 

 

 

 その日、円環の理から女神様という存在が消えた。円環の理は終わりを迎えるだろう。そして、ここからが始まりとも言える。

 

 使命を忘れて地上に落ち、かつての記憶も力を失った女神様【鹿目まどか】とその従者達。彼女たちを連れ戻し、再び円環の理を機能させる為。

 

 悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界をたった一人の少女の為に書き換えてみせた一人の少女。悪魔と化した【暁美ほむら】との戦い…が、わかっていない円環の理のたった一つの希望ワーちゃんはただ日常を楽しく過ごす為に下界へ降りる準備をし始めるのであった。

 




魔女はまだまだいますが、ひとまず4人ぶん出ました。人気所からマイナーな所ついたつもりです。
魔女の名前は知ってる人多いだろうけど流石に真名までは皆覚えられてないでしょ…覚えられてないよね?

時系列的にはアルまどが裂けちゃうしてから叛逆の物語終了までの出来事になりますね。

魔女は誰が好き?

  • 舞台装置の魔女
  • 薔薇園の魔女 Gertrud
  • お菓子の魔女 Charlotte
  • ハコの魔女 H.N.Elly...
  • 銀の魔女 Gisela
  • 人魚の魔女 Oktavia...
  • 芸術家の魔女 Isabel
  • 委員長の魔女 Patricia
  • 救済の魔女 Kriemhild...
  • 絶望の魔女
  • くるみ割りの魔女 Homulilly
  • 針の魔女 Quitterie
  • 忘却の魔女 Itzli
  • おめかしの魔女 Candeloro
  • 武旦の魔女 Ophelia
  • その他   ...
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