円環世界のわるぷるちゃん   作:めぐるうさぎ

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突入だけど突入じゃない…思ったよりも長くなるので分割払いでどぞ


見滝原へ

 

 

「ワー子、お主は下界へ降りよ!そして、失われた女神を見つけ出すのじゃ!!」

 

「い、イザベル…?正気ですか!?何故…!」

 

 

 芸術家の魔女(イザベル)が言い放った言葉にワーちゃん以外のこの場にいる全員が驚愕する。

 そして、皆の言葉を代弁するように委員長の魔女(パトリシア)が彼女に聞き返した。彼女の瞳は眼鏡のレンズの上からでもわかる程に揺れている。

 

 

「うむ、お主たちの疑問はもっともじゃろう。そして、わしも未だに全てを掴めたわけでもない」

 

「そんな曖昧で大丈夫ですか〜?パクリ絵師さん?ワルプルギスと引きこもりと一緒になって馬鹿やってるって方が信憑性あると思うんですけどね〜?」

 

「うむ、人の話を聞く前から嘘と決めつけるのは良くないぞ?変人よ。やはり、醜い白豚を好む輩は心まで狭くなるのかの〜?」

 

「どちらもその辺でやめてくださいまし!まず、詳しい話を聞かせてくださるかしら?イザベルさん、エリーさん」

 

 

 売り言葉に買い言葉。彼女と針の魔女(キトリー)はあまり仲が良くない。というか、基本的に契約内容を告げずに契約させ、真実を知らせて絶望させる…という手口をするようなインキュベーターを敬愛しているキトリーは基本的に誰とも仲が良くない。

 なのでこのような場面であってもすぐに喧嘩が始まりそうになったのだが、それは薔薇園の魔女(ゲルトルート)が制止する。

 

 

『説明メンドイ━━━━( `∀゜)━━━━ !!!イザベルよろ(*>▽<*)ゞ』

 

「ちっ、まあいいじゃろう…お主の能力があってこそだしの…まずワー子の言う女神様という存在についてじゃ」

 

 

 ハコの魔女(エリー)のモニターにはそう映し出されていた。絶妙に人をイラつかせるような顔文字で丸投げされたイザベルだが、舌打ちしただけで抑えて語り始めた。

 

 

「女神様!!ベルリン思い出したの!?」

 

「いいや、まったく」

 

 

 ボケたイザベルが元に戻ったと一瞬喜んだワーちゃん。しかし、間髪入れずに返ってきた言葉にガックリと肩を落とす。

 

 

「だが、その存在は確かにこの円環の理にあった!…

と考えておる」

 

「…?何が言いてえ?この円環の理でそんな話は聞いた事がねーぞ。むしろついさっきアイツから初めて聞かされた話だぜ」

 

「ええ、ワーちゃん…まあ、神の話と言うならマリアさんからは毎度聞かされるものではありますが…」

 

 

 首を傾げる銀の魔女(ギーゼラ)はなんだかよくわかってなさそうなワーちゃんを指差す。神と言うならばとパトリシアは沈黙を保っていた影の魔女(エルザマリア)を見た。彼女は静かに話を聞いて考えを纏めている。やがて…

 

 

「………あったとはどういう事なのですか?神は…!我が主はどうなっているのですか!?」

 

「ワー子の話を聞いて、小さな違和感を覚えての。念の為、わしの記憶をこの引きこもりの能力で見てもらった…するとの、わしの円環の理に来た時の記憶にノイズのようなものがかかっておった」

 

「…?どういう事ですの?」

 

「皆はここにきた時の事を思い出せるか?わしは今まで疑問に思う事はなかった。こうして認識するまでは何故かずっと都合のいいように考えておったのじゃ。今一度皆も考えてみてもらいたい!」

 

「おお…おお!やはり、そうなのですね!」

 

「…へー、パクリ絵師の話もまんざらデタラメってわけでもなさそうですね…」

 

 

 思い当たる節がある人物は次々に声を上げ始めた。エルザマリアとキトリーだ。そして、他の魔法少女達も自分が何故ここにいるのかを思い返していく。

 しかし、それがわかる人物は女神様に連れられてきたというワーちゃんを除いて誰一人としていなかった。

 

 

「…確かに思い出せませんね。あなたの言う通りです。しかし、それでは女神という存在やワー子さんを下界へ行かせる理由にはなりませんよ?」

 

「うむ、それはその通りじゃ」

 

「えー!?イザベル!そこは諦めないでもっと言ってよ〜!!じゃなきゃもうびゅーんって行くしかなくなるよ!?」

 

「安心せぇい!!ワー子よ。お主はわしらの知らぬ記憶を持っておる。なら、その実際に体験した記憶を見れば皆納得せざるを得ないのではないか?」

 

「なるほどな、それをエリーの能力で見るわけか…!記憶は嘘はつけねえもんな」

 

「…私も異論はありませんわ。使い魔の数が合ってるはずなのに合わない…その違和感の正体がわかるかもしれませんしね」

 

『オー!ノーッ 私の嫌いな言葉は一番は努力で二番目は頑張る…くぁw背drftgyふじこlp;@:「」』

 

 

 と画面に映し出された所で突然ガゴンとモニターから音がした。エルザマリアが笑みを浮かべたまま力いっぱい両手で圧力をかけていた。

 不味い音と変な画面に切り替わった事からパトリシアとイザベルが慌てて止めに入る。信仰心が強いエルザマリアは神の事になると気が短く、何をするかわからないのだ。

 

 

『反省はしている、だが後悔は…くぁw背drftgyふじこlp;@:「」』

 

 

 よせばいいのにまたふざけたエリーに再びエルザマリアが襲いかかる事があったものの、なんとかワーちゃんがエリーのモニターの前に立たせ、能力を発動させる事が出来た。

 モニターの映像は切り替わり、ジジジとノイズと共に何かを移し始めた。皆固唾を呑んでそれを見守る。

 

 

「全然見えねーぜ?これは…どれくらい過去の記憶だ?」

 

「しっ!見えてきました。これは…」

 

 

アーハッハハッ!

 

 

 砂嵐になりながらも微かに映し出されたのは町を破壊していく使い魔の行進で逃げ惑う人が死にゆく…そんな光景だった。建物が崩壊する音と吹き荒れる風の音に加え、聞き覚えのあるような笑い声が聞こえてくる。

 

 

「これは…ワルプルギス様が見てるものでしょうか…おお、なんと痛ましい!笑い声もどこか悲しげで…」

 

「魔女の存在が認識出来ない現実世界では凄まじい自然災害とされているようですが…これはそんなレベルで片付けていいものなのか」

 

 

 その時、プチュンと画面は消える。そして、次に映し出されたのはインキュベーターの姿。次の瞬間、この空間が揺れた。

 

 

「んおぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!インキュベーター様ぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁあぁぁぁっ!!!!」

 

 

 キトリーが声にならない歓喜の雄叫びを上げていた。さらに制止しようとした皆の誰よりも早くモニターに近づいてモニターを両手両足でガッチリ掴んで抱き抱える。

 気持ち悪いし、単純に邪魔なのでパトリシアが彼女を引っ張って糸で彼女をグルグル巻きにした。

 

 

“…君のその祈りの為に、魂をかけられるかい?”

 

「うーん、よくわかんないけどボクにあるもんなら持っていってくれていいよ!」

 

“いいだろう。契約は成立だ!もう一度、君の願いを言ってごらん?”

 

「ボク、魔法少女になる!そして…」

 

 

 ジジジ…そこでその場面は暗く暗転する。何百年、下手したら何千年と魔女として活動していた彼女が持つ膨大な記憶にエリーも戸惑っているらしい。暗転後に映し出されたNaw lording。よく見ればところどころ誤字をやらかしている。

 

 

「今のは契約の時の記憶だな。そういや何を叶えたんだろーなあいつ」

 

「うむ、気にはなる。だが、それは今見るべきものではないはずじゃ!」

 

 

 次に映し出されたのは楽しげな記憶。どうやらここに来てしばらく後の出来事だ。目の前には長いふわふわの銀髪のワーちゃんと同じ小学生程の少女が映る。呆れたふうに話す彼女だが、どこか楽しげで姉のように見えた。

 

 

「なぎちゃん詳しいね〜!いろいろありがとーっ!」

 

「えへ…えへへへっ!で、でも!ちゃんづけじゃなくてちゃんと先輩と呼ぶのです!この円環の理ではなぎさの方が上なのですっ」

 

「誰だ…?こんなやつ円環の理にはいねーぞ」

 

「…!なるほど、本当に我々が持っていない記憶をワルプルギスは保有してるようですね…」

 

 

 さらに画面は変わり、今度はこの円環の理内をあの超スピードで走り回っているのか、揺れる視界が映し出される。だが、彼女に追いつこうとする青い光があった。微かに青い髪の少女が映る。

 

 

「こらー!ワー子!あたしのCDをまた輪投げに使ったでしょー!!今日という今日は許さーっん!!!」

 

「アーハハッハハッ!さやかー!こっちだよ〜」

 

「彼女も知らない方ですね…ワー子さんと張り合えるスピードを持っているなんてすごい方です」

 

「彼女がさやか…!私の大事な使い魔を奪っていった者!おのれさやかっ!!」

 

 

 先程ワーちゃんより存在しない使い魔はさやかに連れていかれたと言われたのを覚えていたゲルトルートの怒りは逃げるワーちゃんを捕まえ、得意げに笑う彼女に向けられる。

 そこでの映像は終わり、またNow Loadingと表示された。今度は誤字もなく、また映像も鮮明になってきている為、エリーもようやく彼女の記憶を読む事に慣れてきたらしい。

 

 

「もういいの」

 

「「「っ!?」」」

 

 

  場面はワルプルギスの夜視点で向かい合う神々しい光を放つ一人の魔法少女へと移った。その声、その姿に思わず皆の目が見開かれる。

 もちろん未だに記憶はないし、姿も普通の魔法少女ではあるものの彼女こそが女神様であると誰もが本能的に理解した。

 

 

「もう、いいんだよ」

 

「もう誰も恨まなくていいの。誰も、呪わなくていいんだよ。そんな姿になる前に、あなたは、私が受け止めてあげるから」

 

 

 そう言って彼女は弓を構え、矢を引き絞る。ピンクの矢が放たれ、幾多の魔法陣が展開された所で画面は暗転した。おそらくワルプルギスの夜の最後であったのだろう。その時のワルプルギスの夜の笑い声は解放された事を喜ぶかのように穏やかで安らかなものであった。

 

 

「おお…!おおっ!神…今のが我が神!おぉぉぉぉぉおおおおっ!!」

 

「今のは本当に…?でも、記憶だ…嘘はつけない…」

 

 

 そして、その後は鮮明に顔はぐにゃりとしているものの女神様と思わしき姿と共にこの円環の理にやってきた時の記憶。皆に挨拶する記憶。それからパトリシアとギーゼラが円環の理の運命を託すまでに至る流れを映し出した。

 

 それを見た皆はイザベルの言う通り、ワーちゃんを信じざるを得なかった。そして、女神様の顔を知るのは彼女だけな為、あのワルプルギスの夜を下界に連れていかなければならない事も理解する。そこでいつの間にか眠っていたワーちゃんも目を覚ます。

 

 

「むにゃむにゃ…はっ!寝ちゃってた!?」

 

「ワー子さん、我々はあなたを信じて送り出す事にしました」

 

 

 その言葉を最初は理解出来ず、ポカンとしていたワーちゃんだった。しかし、数秒後に飲み込む事が出来たようでヤッホーイとその場で飛び上がり、ヘイヘイヘイと嬉しさのあまり小躍りし始める。

 

 

「よーし!!じゃあみんなで突撃しようよ!!さやかとなぎちゃんは皆顔わかるんでしょ!?」

 

「うむ、その二人はお主の記憶で顔は見れた。じゃが皆で行くのは危険じゃ!」

 

「ええ、インキュベーターにしろ他の脅威にしろ敵がわからない以上、慎重にならざるを得ません」

 

「全滅すれば全てが水の泡ですわ。最初は2人、もしくは3人で行くべきだと思いますの」

 

「じゃ誰が行くかだが…ワー子は癪だが外せねえ。顔知ってるのこいつだけだしな。で、他に…」

 

「はい!!はいはいはいはい!!私行きたいです!下界へ行けばインキュベーター様に…ゲフンゲフン、女神様一生懸命探します!探しますともええっ!!」

 

「おいたわしや神よ…神…神、神神神っ!!神を早くお救いせねば!私もぜひ同行させてください!神の為なら私はなんだって出来ます!」

 

 

 キトリーとエルザマリアが意気揚々と手を上げた。そのあまりの必死っぷりに一同ドン引きでワーちゃんですらこの二人と一緒に行きたくないオーラを醸し出している。

 

 

「ワー子だけでも危険なのにお前らが加わるとさらにやばい事になりそうだから駄目だ」

 

『働きたくないでござる_(:З/ )_働いたら負けかなと思ってる( 。- -。)zzZZ』

 

「お主なぁ…そうだ、他の奴はどうする?声をかけるか?」

 

「…いえ、余計な不安を煽るべきではありません。後で手伝ってくれそうな方には説明する方針ではいますが、それ以外の方はそのまま日常生活を送ってもらいましょう」

 

「その方がいいですわね…あのお方には知られたくないですし、気取られないようにしませんと」

 

 

 ゲルトルート言うあのお方。それには皆も青い顔になる。天真爛漫で最強の力を持つワーちゃん以上の問題児がこの円環の理にはいる。その魔法少女だけには知られないようにしないといけない。

 

 

「とりあえずはじゃ、今いる面々で行こう。で、誰が行くかの話に戻るがの〜?」

 

「…ここは個々の能力で決めましょう。あ!えっと…今のはギャグなんかではないですよ?」

 

「わかってるから言わなくていいぞ?寒くなるだろ」

 

「アーハハッハハハッ!!おもしろーい!パトリシア!!」

 

 

 皆でああでもない、こうでもないと話し合った結果。ワーちゃんは確定で近くに入れば自身の使い魔がわかる上に搦手の得意なゲルトルート。嫌がり、渋々ではあるものの画面がついた電子機器からならこの円環の理に強制送還出来るエリー。この三人で行く事にした。

 

 

「未知の敵じゃ…一回の探索で終わらせようとせずに何かわかったら戻るくらいの気持ちでよいぞ!」

 

「二人とも…ワー子さんをくれぐれも頼みますよ。あなた達にかかっているんですからね?」

 

「アッハハハ!もー心配性だなぁパトリシアは…!大丈夫だって!ボクを信じてよ〜」

 

 

 そして、ワーちゃんとゲルトルートが立つ。遅れて普段着の文字Tシャツの上によれよれの白いワンピースを着て、麦わら帽子を被ったエリーがやってきた。空間を越えて使い魔を操作出来ない為、彼女も行く必要があった。

 

 

「何年ぶりでしょう…あなたの姿を見たのは…」

 

「ニートついに働く、ですね〜」

 

「たまには陽の光浴びてこい!引きこもり!」

 

「うるさいですね…」

 

 

 後ろから聞こえる野次に麦わら帽の下から心底嫌そうな彼女の顔と言葉が向けられる。白いワンピースと負けないくらい白く病弱そうな顔と普段自分から動く事が無い為か、ここまで来るのにすらふらふらの足取りで既に疲れている様子のエリーは今にも倒れそうである。

 

 

「よし、じゃ…いこっか!!」

 

「ええっ!」「やだ…」

 

 

 こうして三人は下界であり、悪魔によって改変された偽りの見滝原へと入り込む。

 

 そうして世界に出来た歪みは波紋のように広がり、学校生活を送っていた悪魔の元にすぐに伝わった。彼女は顔を歪ませると隣で楽しそうに笑うピンク髪の少女から離れ、すぐさまその姿を消した。

 




アンケートに影の魔女エルザマリアと鳥かごの魔女(真名Roberta)ロベルタが入ってなかった…ファンの方ごめんなさい。私、ダメな子でごめんなさい…m(._.)m

魔女は誰が好き?

  • 舞台装置の魔女
  • 薔薇園の魔女 Gertrud
  • お菓子の魔女 Charlotte
  • ハコの魔女 H.N.Elly...
  • 銀の魔女 Gisela
  • 人魚の魔女 Oktavia...
  • 芸術家の魔女 Isabel
  • 委員長の魔女 Patricia
  • 救済の魔女 Kriemhild...
  • 絶望の魔女
  • くるみ割りの魔女 Homulilly
  • 針の魔女 Quitterie
  • 忘却の魔女 Itzli
  • おめかしの魔女 Candeloro
  • 武旦の魔女 Ophelia
  • その他   ...
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