円環世界のわるぷるちゃん   作:めぐるうさぎ

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ほむほむ登場回


悪魔

 

 

「うわぁ〜っ!うわぁ〜!!すっご〜いっ!!」

 

 

 都会の真ん中に降り立ったこの世の者在らざる者達。右を見れば天に届きそうな勢いで立ち並ぶビルの数々。左を見れば円環の理内の結界と同じくらいの大きさのショッピングモール。そして、前を見上げれば見渡す限り行き交う人達とそれに混ざるほんの少しの使い魔の気配。

 そのどれもが前世の記憶もなく、初めて下界に来るワーちゃんにとっては新鮮でワクワクさせるものであった。

 

 

「こら、ワーちゃん?遊びに来たわけじゃありませんよ?」

 

「太陽…暑い…足…痛い…漫喫で休んできていい?」

 

「早すぎますわよ!?とはいえ一度落ち着いて座れる所に…」

 

「あのおっきい所のてっぺんに行ってみたい!!行ってくるね!!」

 

「お待ちなさいワー…ああ、行ってしまわれた…エリーさん!?」

 

「うっぷ…人とこの空気に酔った…吐きそう…ごめん、休ませて…」

 

「…も、もう無理ですわっ!!面倒見きれませんわ!!もう勝手になさい!!私も好き勝手させていただきますからねっ!?」

 

 

 人混みの中に消えたワーちゃんとうずくまって口を抑えるハコの魔女(エリー)。真面目に彼女達と行動を共にしようと思っていた薔薇園の魔女(ゲルトルート)は我慢しきれずに使い魔を探しに行ってしまう。

 

 こうならないように危惧していた委員長の魔女(パトリシア)達の心配はよそにそれぞれが別行動となってしまった。

 エリーは漫画喫茶で満喫し、ゲルトルートは花屋で花と会話して情報を探る。そしてワーちゃんはというと…

 

 

「アーハハッハハッ!!アーハハッハハッ!!」

 

「こら〜〜〜っ!君!!危ないから降りてきなさい!!」

 

 

 一番高い高層ビルの屋上でこの見滝原全体を見下ろしていた。壁などなくどこまでも続くこの世界に感動し、彼女はただただ笑っていた。

 だが、ワーちゃんは柵を飛び越え、一歩その先を踏み出せば地面に口付けする事になる所にいた為、警備員のおじさんに止められていた。それでも気にせず景色を見渡していたのだが。

 

 

「………なんだろう、嫌な感じがする」

 

 

 不意に感じる嫌な気配にワーちゃんの笑いも止まる。そして、キョロキョロと周囲を見渡す。美しい見滝原の風景は変わりない。

 背後を振り返ると警備員のおじさんは消え、変わりに制服姿の一人の少女がいた。長く美しい黒髪をかき上げる少女は先程まであそこにいただろうか。そうワーちゃんが疑問に思っていると嫌な気配は彼女から感じる事に気がつく。そして…

 

 

「フッ…ウフフフフッ!アーハハハハハッ!!」

 

「!?アハッ!アーハハハハハッ!!」

 

 

 突然、黒髪の少女が笑い出す。それに負けじと何故かワーちゃんも笑い出した。二人の笑い声がこのビルの屋上に響く。彼女達の他に誰もいないこの空間はいつの間にか降りる為の階段の扉は締まり、出られないし、誰も入る事は出来なくなっていた。

 

 

「ごめんなさい、少し奇妙な因果を感じてね。やっぱりあなたと私は切っても切り離せないのかしら?」

 

「えっ!?ボク、どっかで会った事会ったっけ?」

 

「私が一方的に知っているだけ。フフッ、さて…ワルプルギスの夜はいったい何をしに私の世界まで来たのかしら?」

 

 

 やっぱり自分の事を知っている少女を不思議そうに見るワーちゃん。もしかしたら人違いをしているかもしれないと思ったが、自分の名前を呼んでみせた事でその可能性もなくなる。

 しばらく思い返してみても出てこなかったので気になっている事を聞くのであった。

 

 

「私の世界?ここはお前が作った世界なの!?」

 

「ええ、そうよ。ここは神にも等しいあの子を貶めてあの子の為…いえ、私の自己満足の為に改変した世界」

 

「えっと…よくわかんないけど…お前が女神様とさやかとなぎちゃんを消し去った犯人なんだな!?」

 

 

 言っている事が難しすぎてついていけなかったのでワーちゃんは単刀直入に聞く事にした。フッと息を吐くように笑って見せた少女はコクリと頷く。

 

 

「そうよ。もっとも彼女達はこの世界で生きている。使命を忘れ、それぞれの暮らしに満足して幸せにね」

 

「そんなもん楽しくもなんともないよ?幸せは与えられるものなんかじゃないもん!」

 

「いいえ、これは魔法少女とならなければ有り得た未来。彼女達も心のどこかで望んでいた幸せな世界なのよ。子供には難しいかもしれないわね、フフッ…」

 

「むうっ!子ども扱いするな!ボク、お前嫌いだ!」

 

 

 ビシッと指を差してワーちゃんは堂々と嫌いと言ってのけた。黒髪の少女は目を点にしていたが、しばらくするとクスクスと笑い…

 

 

「奇遇ね。私も貴方が嫌いよ。何にも出来ない無力だった頃の私を思い出すもの。でも、今は違う」

 

 

 そう言った直後、彼女の背中から穢れを振り撒く漆黒の翼が広がった。悪魔のようなその翼をはためかせる少女に思わずワーちゃんも息を飲む。しかし、すぐに立ち直って見せてグッと手を握り締めると闇を放つ少女の形をした悪魔に対して言い放つ。

 

 

「お前を倒して女神様を救う!!ぜったいぜぇ〜ったい救ってみせる!!」

 

「救う?救うですって?…貴方がそれを言うの!?何度も何度も立ち塞がって彼女の幸せの邪魔をして…」

 

 

 闇がこの空間を満たしていく。光射していたこの場は暗雲が立ち込めて薄暗くなる。やがて、ポタポタと雨が降り始めた。

 少女から溢れ出すドス黒いオーラはその身体を覆い、姿を変える。黒を基調とした禍々しい悪魔のような姿となった彼女から尋常ではない魔力と穢れを感じさせられる。

 

 

「気が変わったわ。貴方も記憶を消してこの世界の住人にしてあげようと思ったけどヤメよ。ここで始末する」

 

「お前の作った偽物の幸せに騙されるくらいなら死んだ方がマシだもん!それに…」

 

 

 ピシッとワーちゃんの踏んでいた箇所に亀裂が入る。かつて誰にも討伐果たせずに魔法少女達の間で伝説となった魔女。その魔女が全力を解き放つ。

 背中には白い魔法陣が浮かび、フワリと宙へ浮かび上がる彼女は姿かたちこそ違うものの紛れもなくワルプルギスの夜そのものであった。

 

 

「ボクの力を舐めないでよねっ!!」

 

「流石に美樹さやかや百江なぎさのようにはいかなそうね。いいわ、魔女を滅する女神の持つ力。その一端を奪った私の力を見せてあげるわ」

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 ワルプルギスの夜と世界を改変した悪魔が戦う同時刻。ゲルトルートは花屋で買った薔薇の花束を手にこの周辺で使い魔を探していた。そして、一匹の綿毛に髭が生えたような使い魔Anthonyを発見し、話を聞いていたのだが…

 

 

「この魔力の高まり…!あのビルの上から感じますわ!」

 

 

 使い魔を連れてビルへと走るゲルトルート。その最中で見覚えのある人形の使い魔とそれが持つモニターが同じ方向に向かっている事に気づく。

 

 

『(。・ω・)ノ゙ コンチャ♪』

 

「エリーさん!感じましたか?今の…」

 

『はい ←

 いいえ』

 

「おそらくワーちゃんが戦っているのはこの世界を改変した者…!私達も急ぎましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

「その程度かしら?」

 

 

 

 

 ワーちゃんは床で倒れていた。背中の魔法陣は割れ、服もところどころがボロボロだ。それに対する羽根の生えた少女の形をした悪魔は傷一つなく薄く笑みを浮かべるだけ。

 

 

「はぁ…はぁ…ま、まだまだっ!!え〜いっ!!」

 

 

 息切れしながらも飛び上がったワーちゃんは手から黒い衝撃波を空から見下ろしていた悪魔へと放つ。しかし、スっと人差し指を立てたかと思えば悪魔はそれで衝撃波を空へと弾いて見せた。

 

 

「お返しよ」

 

 

 黒い翼をワーちゃんの方へ向けて羽ばたかせたかと思えばその翼から黒い羽根が雨のようにワーちゃんへと降り注ぐ。逃げ場のない彼女に次々と飛来していき、大爆発を起こした。

 

 

「くっ…くぅ…ボク…まだ戦えるぞ…っ!」

 

「あら。まだ息があるのね?跡形も残すつもりはなかったのだけど…」

 

 

 地面に膝をついて片腕を抑えていたもののまだ形を残していたワーちゃんに素直に驚く悪魔。しかし、次は無いと言わんばかりに彼女へと指を向けた。紫の光がその指先から発せられる。

 

 

「終わりよ。さよなら、ワルプルギスの夜」

 

「させませんわ!茨よ!!」

 

 

 宙へ浮かぶ悪魔に向かって一本の薔薇が飛んでいく。それはワーちゃんへ向けていた指先の光をその薔薇に当てた事により、防がれてしまうもののその薔薇がイバラへと変化し、悪魔の身体にギチギチに絡みつく。

 

 

「ゲロ…あ、エリー!?わわっ!」

 

 

 人形がボロボロのワーちゃんを掴み、そして強引にモニターの中へ突っ込んだ。彼女は液晶に吸い込まれ、その中へ消えてしまう。円環の理への強制送還だ。

 

 

「逃げるつもり?フフッ」

 

 

 イバラで拘束されていたのも一瞬ですぐにそのイバラが枯れて自由となる悪魔。

 呻いたゲルトルートも素早く地面を蹴り、人形達や自身の使い魔が入った後に液晶の中に飛び込む。それと同時に悪魔の翼から羽根が放たれた。再びこのビルの屋上で爆発が起きる。

 

 

「………逃がしたか…まあいいわ」

 

 

 すぐさま降り立った悪魔。だが、そこに魔法少女達の姿は無い。見事、悪魔から逃げ切ってみせたのだ。

 悪魔は元の制服姿の少女の姿になり、地面にあるモニターの破片を掴みあげた。それはすぐにパラパラと粒子となって消えていく。

 

 

「ワルプルギスの夜。最強の魔法少女ですら今の私には敵わない…フフッ」

 

 

 少女は先ほどの戦いを思い出す。圧倒的な自身の力と手も足も出せないワルプルギスの夜。もはや円環の理と言えど敵はいないも同然と考えた彼女は再び来るであろう魔法少女達を嘲笑いながらその場から消え去った。

 




ほむほむはフットワークが軽いので観測したらすぐ飛んできます。魔女を滅ぼす願いをしたまどかの力を奪っているので魔女(その力を使える魔法少女も)に対しては特攻持っています。

多分こんな感じの委員長の魔女

【挿絵表示】

魔女は誰が好き?

  • 舞台装置の魔女
  • 薔薇園の魔女 Gertrud
  • お菓子の魔女 Charlotte
  • ハコの魔女 H.N.Elly...
  • 銀の魔女 Gisela
  • 人魚の魔女 Oktavia...
  • 芸術家の魔女 Isabel
  • 委員長の魔女 Patricia
  • 救済の魔女 Kriemhild...
  • 絶望の魔女
  • くるみ割りの魔女 Homulilly
  • 針の魔女 Quitterie
  • 忘却の魔女 Itzli
  • おめかしの魔女 Candeloro
  • 武旦の魔女 Ophelia
  • その他   ...
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