円環世界のわるぷるちゃん   作:めぐるうさぎ

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年末最後の更新です!次回は3日以内になるかと思われますm(*_ _)m
それでは皆さん良いお年を!


襲来

 

 

「さて、気を取り直して…話し合いましょう」

 

「…そうしてもらえると助かるわぁ。ね、お優しい皆さん?」

 

 

 頭を上げて憎まれ口を叩く忘却の魔女(イツトリ)へギロっと睨むような視線が向けられる。だが、当の本人は何処吹く風といった様子ではクスクスと笑っていた。

 そのままイツトリは自身に特に悪い印象を抱いていないワーちゃんと神の事以外には基本的に慈悲深い影の魔女(エルザマリア)の隣にくる。

 

 

「ふん、私は認めてませんけどね…インキュベーター様に復讐しようなどと考える愚か者と一緒に行動なんてごめんですよ?」

 

 

 イツトリの登場でいつの間にかキュゥべえの被り物を外していた針の魔女(キトリー)。ワーちゃんはわざとでは無いが、インキュベーターに憎しみを抱くイツトリはわざとそれを破壊しようとするからである。

 

 

「何言ってんだテメエは…キュゥべえ狂いのお前も似たようなもんじゃねーか」

 

「全くじゃ。して、イツトリ。お主は何を知っておる?わしらと行動したいと言うならば知っている情報全て吐け」

 

「そうね…まずはおさらいからよ。この円環の理には女神様がいらっしゃった。それはもう知っているわよねぇ?」

 

 

 コクリと皆が頷く。ワーちゃんははいはいと手を上げる。彼女はそれに加えて美樹さやかと百江なぎさの存在もあったと言った。得意げに語った彼女の頭をクスクスと笑いながらイツトリが優しく撫でる。

 

 

「ええ、あの子達も巻き込まれたみたいねぇ。ウフフ、運がない子達だわ全く…」

 

「我々の言う悪魔…それはすなわちあなたが言っていた暁美ほむらがこの騒動を引き起こした元凶。その認識でいいですか?」

 

「さすがパトリシアちゃん。花丸あげちゃうわよぉ」

 

 

 実際に魔力で花丸を作り出したイツトリがパトリシアに向けて飛ばしたが、それをパトリシアが結構ですと跳ね除ける。

 

 

「もともとは魔女化寸前だった暁美ほむらを救う為に下界に降りた女神様だったんだけどねぇ…実は暁美ほむらの魔女化にはあのインキュベーターも絡んでいたのよぉ」

 

「インキュベーター様が!?…っ!そういう事ですか…ふふふっ!とうとう観測したんですね、この円環の理を!!」

 

「遅かれ早かれそうなるとは思っていましたが…ですが、今回の騒動はインキュベーターが原因ではないのでしょう?」

 

「ええ、女神様はインキュベーターの企みは察知していて色々あったけど奴らが拠点としている星の一つの破壊に成功しているわぁ」

 

「な…ななななな…なんですとぉぉぉおおぉっ!?じゃあインキュベーター様…で、でも…ああいや!?あーっ!?」

 

 

 喜んだり嘆いたりのリアクションがうるさくて話が進まないのでキトリーを隅に追いやりつつ一同は話を続ける。

 小難しい話になってきたからか、ワーちゃんはハコの魔女(エリー)のモニターに寄りかかる形でウトウトしていた。おそらく面倒臭くなったのだろう。中にエリーはおらず、持ち運びしていた人形もいつの間にか消えていた。

 

 

「こほん…では、奴らの企みを阻止した女神は元の目的を遂行しようとした…そこで暁美ほむらが力を奪い取ったというわけじゃな?」

 

「そうなるわぁ。ウフフ…奇跡の力で手に入れた記憶操作の能力を上手く使ったのかしらね?その辺りは私も見たわけじゃないからわからないけれど…」

 

「…女神の能力を奪った…次元が違うわけですわ。勝ち目があるとは思えませんの」

 

「魔女を滅する女神様の力ですもの。その一端を奪ったとはいえ魔女の力を使う私達じゃ勝つのは不可能でしょうねぇ」

 

「…それは今ここにいる全員で…いや、円環の理の全ての魔法少女で悪魔と戦うとなってもか?」

 

「そうねぇ…私達が壁になってる間にワルプルギスが攻撃してかすり傷をつけられたら上出来かしらぁ」

 

 

 事情に詳しそうなイツトリはそう断言して見せた。それには皆の顔が歪む。ワルプルギスの夜が負けたとはいえ、個々の能力を駆使して皆でかかれば何とかなるかもしれない。そう考えていたのは甘かったのだと理解する。

 

 

「絶望的…というわけですか。おお、死なば諸共も出来ないなんて…」

 

「ま、そうなるわよねぇ。せっかく貰ったこの命を無駄にしたいなら特攻するのもいいんじゃない?」

 

 

 静寂が広がる。聞こえるのはすやすやと気持ちよさそうに眠るワーちゃんの寝息のみになった。だが、そこで頭をフル回転させていた者達が逆転の一手を思いつく。

 

 

「………違うな。それはわしらが普通に攻めた時の場合じゃろう?」

 

「あら?ウフフ、どういう事かしらぁ?」

 

「…認めるのは癪ですけど…お前の能力を使えば一応、どうしようもない我々のような雑魚でも戦えるようにはなるはずですよ。まあ全てが上手くいけばの話ですけどね〜」

 

「むにゃむにゃ…はっ!なんかまたやな感じがする…」

 

 

 何かを閃いた様子のイザベルとキトリー。彼女達の言葉にイツトリの口元も吊り上がる。その時、何故かワーちゃんはここでハッと起きて辺りを見渡していた。

 

 

「…?イツトリさんの固有能力は【除去】…それでどうするんですの?」

 

「暁美ほむらにはおそらくだが、能力は効かねえはずだ。それで何が出来んだ?」

 

「………除去すれば悪魔と戦える…その為に消すもの…?」

 

「まだわからないかしらぁ?それは私達が…」

 

「っ!?あぶない!!」

 

 

 イツトリが私達が…と言った所で隣にいたワーちゃんが彼女を急に押し飛ばす。軽く悲鳴を上げて尻もちをついたイツトリだが、先程まで彼女がいた所には突き出された黒い手があった。それは穢れを帯びており、貫かれていたならば致命傷は免れないもの。

 

 

「…私の接近に気がつくなんてやるじゃない。ワルプルギス?」

 

「ま、まさか…?そんな馬鹿なっ!!」

 

「何故ここに…!時空を飛び越えてきたというの…?」

 

 

 パキ、パキパキッと突き出された手の周りの空間がまるで鏡のように割れていく。そして、黒く染まった闇の翼と露出度の高い漆黒のドレス。それに良く合った長く伸びた黒髪の姿が露わになる。そう彼女は…

 

 

「暁美…ほむら…!」

 

 

 この騒動の原因で女神の力を持つ暁美ほむらがこの円環の理にやってきていた。彼女から発せられる穢れと魔力がすぐにこの空間に満ちていく。

 これまで対峙した者達とは次元が違うプレッシャーに皆が迂闊には動けずにいた。それは一度戦ったワーちゃんやゲルトルートも同様だった。

 

 

「あら?あなた達に名乗った記憶はないのだけど…どうやって知り得たのかしら?」

 

「…さて。どうやってだったかしらねぇ?あなたに教える義理もないわぁ」

 

「そう。まあそれを知った所でどうなるわけでもないわ。フフッ、それもしても…私を排除しようと作戦会議でもしていたのかしら?念には念を入れて潰そうと思ったのは正解だったかもしれないわね」

 

「…っ!あの悪魔から微かにインキュベーター様の匂いがする…?お前!インキュベーター様に…何をしたのですかっ!?」

 

「真相を知った子達は奴らに恨みがある子ばかりだと思ってたけどそうでもない子もいるのね。ふふっ、奴らは今、私の制御下にあるわ。とめどなく沸いてくる呪いを処理するには奴の力が必要だもの…」

 

「………殺す!!」

 

「神の力を悪用する悪魔め…!ここで貴様を倒せば終わりなら刺し違えてでも…!!」

 

 

 不気味に笑うほむらに対し、凍りつく身体を奮い立たせて真っ先に動いたのはキトリーとエルザマリアだ。槍のような針と身体以上の大きさの十字架が悪魔を襲う。

 

 

「あらあら…止まって見えるわよ?」

 

 

 それを宙に浮かび上がる事でひらりと身を躱した悪魔ほむら。口元に手を持っていき、力の差を嘲笑う。ここで他の魔法少女も動きを見せた。彼女らは軽く目配せし、最後にワーちゃんを見る。

 

 

「あの馬鹿共…!くそ、俺達も続くぞ!!」

 

「ここまできたらやるしかありませんね…!援護します!」

 

「ええい!作戦はない!!もうやぶれかぶれじゃーっ!!」

 

 

 空振りし、上を向いたキトリーとエルザマリアに向かって指を向けた悪魔ほむらにギーゼラが竹刀を投げて妨害し、パトリシアの魔力を込めた糸が絡みつく。さらに地面に人の大きさよりも遥かに巨大な手を描いたイザベルはそれを具現化させたかと思えば、それは飛んでいき悪魔の身体を握り潰す。

 

 

「こんなもので私を留めておけると思っているのかしら?」

 

「なら、これもお付けしますわ!イバラよ!!」

 

「ついでに触手もプレゼント!…さあこれが今私達が出来るささやかな抵抗よぉ」

 

 

 糸と手とイバラと触手の四重の拘束は流石に一瞬では振り解けない。悪魔ほむらは小さく溜め息を吐いたかと思えば全身より魔力と穢れを爆発させて強引に吹き飛ばす。

 それは拘束どころか、技を放った全員が思いっきり吹き飛ばされてしまう。ただ一人、皆の攻撃の最中に力を溜めていたワーちゃんを除いて。

 

 

「よーし!パワーマックス!!みんなありがとーっ!!」

 

 

 身体に紫のオーラを纏い、両手を後ろに上げて超スピードで助走をつけて突撃するワーちゃん。ただの突撃ではあるものの、それは暴風の如き速度であり、地上であったなら瞬く間に地表の文明をひっくり返してしまう程の力を秘めている。

 

 

「フッ、面白い…きなさい、ワルプルギス!」

 

「とっつげきぃっ!!やぁぁぁああぁぁぁーっ!!!」

 

 

 悪魔ほむらの表情は変わらない。余裕綽々の態度で笑う彼女を討ち滅ぼす為に放たれたワーちゃんの渾身の一撃に全てが賭けられる。

 

 

 そして、それが激突した。その衝撃で円環の理の結界内が大きく激震する。ワーちゃんの突撃の勢いで皆は再び吹き飛ばされてしまったものの、命に別状はなく立ち上がり、顔を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………やっぱりこうなるわよねぇ」

 

「フフッ、流石に腕が痺れたわ。やっぱり伝説の名は伊達ではないわね。ワルプルギス!」

 

「くっそぉ…ボクの…全力がぁ…」

 

 

 弾き返され、悔しそうに呻くワーちゃんと手を抑えながらも全く効いている様子のない悪魔の姿が皆の目に映った。

 




時間ある時に画像はっつけときます。

多分こんな感じの薔薇園の魔女

【挿絵表示】

魔女になったゲルトルートの使い魔は唯一魔女に従順。その理由は彼女の優しさも然ることながら元のセクシーさも考慮されていたのかもしれない。

魔女は誰が好き?

  • 舞台装置の魔女
  • 薔薇園の魔女 Gertrud
  • お菓子の魔女 Charlotte
  • ハコの魔女 H.N.Elly...
  • 銀の魔女 Gisela
  • 人魚の魔女 Oktavia...
  • 芸術家の魔女 Isabel
  • 委員長の魔女 Patricia
  • 救済の魔女 Kriemhild...
  • 絶望の魔女
  • くるみ割りの魔女 Homulilly
  • 針の魔女 Quitterie
  • 忘却の魔女 Itzli
  • おめかしの魔女 Candeloro
  • 武旦の魔女 Ophelia
  • その他   ...
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