リコリコ×拓銀令嬢 ~実弾は日本を変える~ 作:フェデラルジオグラフィック
お嬢様もリコリコも本が立て続けに出たので財布ががが。
閲覧数が少しずつ増えてきております。ありがとうございます。
さて、本格的に二つの作品を絡めていきますよ。
「これは、なに?」
新宿ジオフロントのオープン後に判明した初期不良にまつわる諸雑務も落ち着いたころ、東京九段下の自室で、私はある書類を見てこう言った。書類の出所は桂華電機連合のCEOである白人女性といつぞやニューヨーカー相手に仕手戦を繰り広げた不良ギャンブラーの日本人男性である。
「御覧のとおり巨大なコンピュータシステムのプロジェクト計画書でございます」
ギャンブラーがうやうやしい言い方で少女に説明する。
「岡崎、あんたが持ってきている時点で厄ネタなのは確定なのよ。そしてわたしにワザワザ持ってきてるってことは不良債権問題並みにヤバい爆弾ってことでしょ?わたしが見た限りで怪しいところを一個ずつ読み上げればいいかしら?まず一点目、こいつの表紙に岩崎の代紋が刻まれていること。二点目、こんなビルワンフロア分のシリコンの塊をどこに据えるか契約書に全く明記されてないってこと。三点目、これだけデカいコンピュータの使用目的がはっきりわからないこと。四点目、先の二点に疑義があるにもかかわらず取引が実施されているということ。より具体的に言えば仕向地と使途が明記されていない取引な上、ココム違反の前科があるウチが関わっているにもかかわらず、兵器開発用クラスの先端コンピュータの輸出入の許可が通ってしまっていること。もっと言ってほしい?」
「大丈夫です、お嬢様。その三点さえ把握されていれば今回の件の説明が付きます」
「OKカリン、説明をよろしく。そこの不良に話をさせると確実にこじれるから」
「承知いたしました。人払いのほうをお願いします」
カリンの言葉に従って私は顔で使用人に退出を促す。使用人が別室(と言っても映像で監視できるのだが)に入っていく。
「それじゃあ、この厄ネタを見てみようじゃないの。一つ目と四つ目は大体察しが付くわ。
「ご明察です、お嬢様」
「伊達にあなたの下で働いてはいないわよ。さあ出しなさい。そっちが本命でしょう?」
私に促されカリンと岡崎が資料を一冊ずつ出す。
「え~と、岡崎の資料が『赤松商事の半導体関連製品取扱い目録』…最近岩崎とその系列へ大量の基盤や部品類を卸したみたいね。カリンは『特定システムに対するケーカカードのデータアクセス許可に関する覚書』…ってこれ対象データがほぼ全てに渡ってるじゃないの。昨年施行された法律*1を踏み抜くわよ」
「さっすが我らのお嬢様。俺たちが言いたいことを一発で当ててくださる」
おどけて見せる岡崎を軽く無視しながらカリンに向き合う。
「この覚書通してないでしょうね?」
「それが…」
「通してしまった、いや
頭を抱えているところに岡崎がさらに畳みかけてくる。
「そんでもってこれは
「
「その諸々の覚書がこのシリコンの塊とつながっているってことね。つまるところ
「Exactly. だからこそわたくしはお嬢様に相談しているのです。この案件は明らかに非合法活動です。明るみになれば我々桂華院や岩崎どころか日本全体を巻き込む大スキャンダルになりかねません。場合によっては今のうちに潰すべきなのかと」
カリンの返答に対し、しばらく黙り込んで頭の中を整理する。桂華院グループ及びムーンライトファンドは世界中あらゆる分野にまたがっている。ことIT分野においては主要プレイヤーの筆頭でもある。しかし寄り合い所帯ゆえにこういった秘密の案件の主要プレイヤーには適さない。秘密の案件は組織体制がしっかりした―それこそ年単位で不正を隠せるほどの―岩崎に頼むのが合理的である。
しかしその規模と得意分野ゆえにこういったプロジェクトでこのグループから完全に外れて仕事をすることはできない。ゆえにこうやって片鱗を掴むことになる。そして日米情報産業のトッププレイヤーである以上こういった案件では嫌でもそれがたくさん手に入ってしまう。それをまとめれば相手が何を秘密にしたいかおぼろげながら見えてくるというもの。
しかしそれを私自身の個人的な一存で潰すべきだろうか?確かに今手に入る情報で判断すれば法令違反なのは明白だ。しかし現状では怪しいデータセンターの計画があるだけで、その使用目的が非合法活動であると断定できているわけでもない。一先進国の官僚が何の策もなくあからさまな法令違反を犯すとは考えにくい。返し技を提示されれば開示した内容によって生じる矛先は私自身に向けられる。この案件を「見なかった」ことにして、万一の場合は岩崎を切り捨てるのがリスクの低い解決法だろう。スキャンダルにかこつけて岩崎を傘下に収めるチャンスに転がすのも桂華院の経済基盤を固めるという観点から見れば悪い話ではない。独占禁止法が面倒になってくるが…。一方ただでさえ今の政権とそりが悪い状況下で極秘裏に実行されていると思われる国家プロジェクトに何の算段もなしにNOを突き付けるリスクは大きすぎる。
「それはわたしの一存ではとても決められないわね。専門家が必要よ。アンジェラを呼びましょう」
通信の傍受を行う国家機関と言えば大きな先例がアメリカにある。彼女達は厳密にはその機関の直接の関係者ではないし、現役を退いて10年近くたっているが、桂華院の人間として認知されているのでいつぞやのように直接大使館に行くよりは角が立たない。この件に関して内密に話ができる人間の中では最も詳しい人間であると断言できるだろう。エヴァを呼ばないのは彼女が完全な紐付きで「内密」の要件を満たさないことと、紐がついているため
「お嬢様、それなら都知事にも一言添えたほうがいいですぜ」
「あの作家先生を?」
私の問いに岡崎はしたり顔で答える。
「彼の参謀の一人は元警視庁警備部のやり手官僚で、日本版FBIを作ろうと躍起になっていた時期がありますから、何か知っている可能性があります」
「OK。その人にも都知事経由で声をかけておきましょう。すぐには予定が取れないだろうし、この件について時間を取って話ができるのは少し間が空くことになるけど、それでいいかしら?」
「お嬢様の仰せのままに」
カリンがそう言うと二人は部屋を出て行った。
はてさて、今回はどんな案件が出てくることやら。
現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 の第四巻出ましたね。
私は電子書籍で読んでおりますとも。メイド長の挿絵が怖いのなんの。
そして四巻を読み切って気づいた。コレ何もフォローしないと恋住総理がダブスタのクソオヤジになってしまう。それはそれで面白いんだけどなんか補完を入れておかないとまずそう。