リコリコ×拓銀令嬢 ~実弾は日本を変える~ 作:フェデラルジオグラフィック
二日市とふろう先生よりお礼回をいただきました。
感謝の極みでございます。
https://ncode.syosetu.com/n3297eu/661/
あの人のエゴサの力どうなってるんですかね?身内のDiscordぐらいしか広報していなかった気がするんですが。
精神が不安定なので感想返しはもう少し待ってください。
ちなみにお礼回を知ったのは感想欄の記述だったりします。
Side 桂華院瑠奈
件の会合から一週間後、東京 九段下。
私「桂華院瑠奈」は自室にて四通の便箋に見下ろしている。あの日あの店にいた者の中で店員も含めて最も若い自分自身が最終的な決裁者であることをこれらの封筒はまざまざと示している。わたしは思う。おそらく一番合理的な選択は、これらの封筒を全て燃やして、『そのような組織も案件もなかった』という形でふるまい続けることだろう。たまに『きまぐれ』であの喫茶店に顔を出して、店主と『世間話』に講ずるだけ。しかし、『日本の負の遺産』に長い間触れてきた自らの経験と『遺品整理士』としての自負がそれを拒絶する。
意を決して便箋の封蝋を破る。差出人は最も暗殺に近い人。前後の挨拶といった前置きを軽く読みつつ本題に集中する。
……… お嬢様はご想像いただけるでしょうが、わたくしはDAという存在を認めません。家柄の伝統に縛られた者たちに一度煮え湯を飲まされた身からすれば*1当たり前の話です。またビジネスマンとして、自分自身はともかく部下や同業者が法律の根拠なく監視され、あまつさえ暗殺されることがさも当然であるという環境に身を置くことを到底承服いたしかねます。 幸いなことにお嬢様にはDAを監督するための正当性を持ち、多少のことをものともしない胆力と財力をお持ちでございます。DAという組織をお嬢様ご自身が引き受け、その組織を完全に解体する意思を表明されるのでしたら、わたくしはその決断を祝福するとともに、あのクソッタレギャンブラーと共にわたくしの持てる力を惜しみなくその事業に注いで御覧にいれましょう。 ……… P.S. お嬢様が『見て見ぬふり』を選択されるのでしたら、わたくしは自らの身を守るために桂華電機連合のCEO職を辞してアメリカに渡る所存です。わたくしの提案でなくとも構いませんので、どうか『ご覚悟』を決めていただきたく存じます。 Sincerely. カリン・ビオラ
まあ当然と言えば当然か。生まれてこの方ビジネスマンとしてやってきた人間ならば「いつ殺されるか分からない」「企業秘密を含めてすべてのやり取りが国家に渡る」ことは全く承服できないだろう。手紙を監視カメラから見えないように慎重にたたんで机の脇に動かし、次の便箋を破る。差出人はもう一人のアメリカ人である。
……… 本件について合衆国とあまり関わり合いになりたくないというご意思をお持ちでしたら先に謝罪を申し上げておきます。私のほうでワシントンのつてに個人的に連絡を取りました。現在の世界情勢に対応することに精いっぱいのため、カンパニー*2は今回の件について積極的に関わるつもりはないとのことですが、ビューロー*3とペンタゴン*4はラジアータおよびお嬢様があの場でおっしゃったことについて非常に強い関心を示しております。ただし暗殺部隊の存在については三者ともに時代遅れである、という認識が強いようです。 カンパニー、ビューロー、ペンタゴンの三者の意見をまとめますと、この件に関する最も理想的な解決方法は、DAの監督権をお嬢様が継承したうえで暗殺部隊のみを解体し、ラジアータという仕組みは残すことであると考えます。暗殺部隊の存続並びにラジアータを引き続きDAとして秘密にするか、公の組織として法の枷をはめるかは別途詳細について相談する余地は十分にあると考えます。お嬢様がDAを掌握し、またラジアータを維持する場合、ペンタゴンはお嬢様に対する支援を一段階上げることを検討するという言質を非公式なルートですが取得しております。 ……… P.S. この手紙の内容は合衆国政府の公式な見解ではなく、この手紙と異なる結論が下された場合でも合衆国は貴方様に対する態度を変更することはない、と明記しておきます。 Best Regards. アンジェラ・サリバン
左眉と口元を引きつらせながら先の手紙と同じようにたたんで脇に動かす。彼女の経歴を考えれば不思議でも何でもない主張である。アメリカ…いや中東の市街地や山岳地で度重なるテロ攻撃に悩まされる軍隊からすれば民間通信を傍受して即座にテロの予兆を掴もうというラジアータという試みは興味深いプロジェクト。ラジアータ計画を破棄ないし妨害すればアメリカの国防族は私への支持を取りやめる可能性がある。だからそれをみすみす捨てるな、という分かりやすい圧力である。次にどちらを手に取るか思い悩む。30秒ほどの間をあけたのち、手に取ったのは長老の信書。彼は恐らくこの件については最も頼りになる人の一人である。彼に従うことが最善なのだろうか?
……… DAという組織はその特殊性ゆえにその能力を十全にかつ円滑に発揮することができるかは庇護する者の素養に負う。君の祖父はそのことをよく知るがゆえに庇護者の一方にアメリカという国家を選んだ。君の父親はそれに反発し自分ですべてを切り盛りしようとして失敗し、闇に葬られた。DAは庇護者ですら脅威とみなせば抹殺する。この国の体制に楯突くことは時として死を意味することを常に忘れないでいただきたい。 君にとって最も賢い選択は『見て見ぬふりをすること』であるが、君がそんなことをする人間だとは私は思っていない。ゆえに次善の策を提案する。桂華院の人間としてDAを庇護し、その組織体制には基本的には手を付けないことだ。その上でラジアータの機能や能力を拡充していけば、多少リリベルやリコリスの数を減らしたとしてもこの国の治安の維持増進を継続することができるはずだ。君のこれまでの言動と実績を加味すると、ラジアータという新しい構成要素を用いて新しい時代に適応した『八咫烏』を定義するに最もふさわしい人物は君をおいてほかにいないと私は断言する。 どうしてもDAの力を削ぎたいのであれば、私が死んでから行うがいい。ただしこの場合に考慮にいれなければならないことは、曲がりなりにもDAは一世紀半近く日本の治安を守り続けてきた組織であるということだ。DAの力を縮小することは日本における凶悪犯罪の抑えのひとつを取り除くことに等しい。その後の日本がどういった治安情勢になるか、私には想像できないし、したくもない。 世の中きれいごとだけで回らないということは、政財界に深くかかわる『小さな女王様』ならばよくわかっていることと思う。先の短い老人の頼みと言えばそれまでだが、どうかこの国にとって最善の選択を取っていただきたい。 ……… 追記 君がDAを庇護し導くに足る人物であることを証するために、直筆の推薦状を同封している。必要ならば使ってもらって構わない。 敬具
手紙の内容に頭を抱える。自分の父親はバブル崩壊での事業失敗で追い詰められ、「COCOM違反」によるスキャンダルがとどめとなって自殺したとは聞いていたが、それすらダミーで、実際はDAの主導権争いに敗れて処分されていたとは。あのクソ親父は本当にろくなことをしてくれない。しかもこれが事実ならばDAはその娘である私にいい顔はしないだろう。あの長老がDAを納得させる
軽い頭痛を引っ張りながら最後の封を開ける。差出人は会合ではほとんど無言であった作家先生の参謀。
………
日本警察としての意見は後田さんが書いていただけると信じておりますから、わたくしは岩沢都知事の安全保障のアドバイザーという立場から、ご友人である桂華院瑠奈嬢にとって最も安全となる方策を提案させていただきます。
貴方のご祖父さま、桂華院彦摩呂殿に学ぶのです。彦摩呂殿はDAという組織を庇護するとともに、DAという組織を自分への脅威に対し一種の私兵として運用することに長けていたと聞いております。ご祖父様のようにDAを上手く使いこなすことができれば、あなた様の安全はより一層強固なものとなるでしょう。後田さんとわたくしは貴方様がDAを指導されることこそこの国の10年後にとって最良の選択であると認識しております。お嬢様は彦摩呂殿にはない強力な『表の力』がありますから、『裏の力』であるDAを掌握すれば、ご自身の立場を表と裏両方から補完する非常に強固な体制を整えることができます。
ラジアータについては私個人としてはあまり仕組みとして納得はしかねますが、DAを統べる立場として考えた場合、お嬢様が予想する未来へ進むのであれば、将来的に一層強力な武器としても使えるようになるはずです。ゆえにこの試みにつきましても十年、二十年と継続して拡大発展を続けるべきであるとわたくしは考えております。
この国の相手の力を活かして自分の矛となす合気道というものがございます。これにならい、自らに降りかかる力を自分の力として活用することこそ、貴方様ご自身の安全を最も確実に保証するとともに、この国の安全保障に対する脅威への確実な対処を行う体制を整えることができるようになると信じております。
………
謹言
ちょっと待て、警察出身者がこれ書いていいのか、おい。極秘の独立系治安維持組織という特大の爆弾を抱えることは覚悟していた。しかしそれを「私兵にしてしまえ」とは、これまた大きく出たものである。私がリコリスやリリベル使って恋住総理の暗殺を試みる、なんて事態を考慮していないのかしら?実際にやる気はさらさらないし、やったとしても武永大臣までにするけど。…そんなおふざけは置いておいて、私の(政治的・物理的両面においての)
さて、四人の提案を読んだところで頭を整理しよう。
ハーメルンのフォント機能で遊ぼう回。
ちょっと冗長になるので、手紙を読む回と要点をまとめる回で一度分けることにしました。
お手紙読んで、方針決めたら各所への根回し話をすっ飛ばしてお嬢様にDAに乗り込んでいただこうか検討中。