自分に自信がない最強パーティーメンバーが辞めたがる件   作:白石基山

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12.金のルドラン像(二体目)

 悲報。金のルドラン像、二体目が送られてくる。

 

 嫌がらせか? うちの広間に二体も光り輝くおっさんの像があるんだが? 照明に反射して眩しいんだが? あ、シルがカーテン被せてくれたわありがとう。

 

 ルドランのおっさん曰く、「娘のルーランが君から言われた事に奮起したようだよ。わしから借金して「私が見た目を磨いてるだけの女じゃないって事を見せてあげるわ! なんならレオを買い取ってやるんだから!」といって商売を始めたらしい。

 それがどうにも商才があるらしく、店を始めてすぐに三ヶ月くらいで借りた分を返せる目処がついたらしい。「わしの王国一の商人って肩書きも娘に奪われる日がいつか来るかも知れんわい。いやまだまだわしも負けんがな!」と、あの後本当に娘にボコボコにされたらしいおっさんはアザやらたんこぶだらけの顔で豪快に笑っていた。いやおっさん王国一は自称やんけ。

 

 んで引きこもり娘の件の感謝として二体目が送られてきた。いらん。スズ、これ処分……え、これ以上純金大量に流通させると純金の価値がぶっ壊れるからしばらく無理? ま?

 

 

 

「これは趣味がとても悪いですねレオさん」

 

 

 像を見て、像の出っ張った腹を撫でながら聖女クルスさんは苦笑いである。それはそう。

 

 

「そう? 俺もそう思うわ。今日は、というか今日もというか、最近わりとウチのギルドハウスにいる気がするなクルスさん」

 

「まぁ、それはレオさんのせいでもあるんですけどね」

 

「俺?」

 

「『四罪』の壊滅、大層なご活躍だったそうじゃないですか」

 

「ああ、別に俺たちの名前出さなくて良いって言ったのに王国騎士団と『白獅子』が協力してってロサリアさんが発表しちゃったんだよな。真面目だよなあの人ほんと」

 

「ええ、それで最近教団側で問題になってるの分かります?」

 

「何が?」

 

「『黄龍』、『蒼麒麟』、『翠玄武』は王国側の人間、更に『白獅子』までも王国側ではとか言ってるんですよウチの上の方々は」

 

「何も国内でやーやーやる訳でもあるまいし」

 

「違いますよレオさん。そのレオさんの言うやーやーをやらない為にバランスが大切なんです」

 

「……きな臭いの?」

 

「まあ、その為にロサリアが神殿騎士団に力の違いを見せつけましたから。勝ち目が無いと分かってるうちは起こらないでしょうけど、不満の溜まり方はひどいみたいですね。少しガス抜きが必要なんですよウチも。というわけで協力してくれません?」

 

「ええ……」

 

 

 

 つまりは俺たち『白獅子』はロサリアさんともクルスさんとも友好な関係ですよアピールが必要なのだという。まあ別に神殿騎士団の人らも信仰が深く生真面目って感じで悪い人達じゃないし、無駄に血が流れるのは俺だって避けては欲しいし。でもだ。

 

 

 

「クルスさん、俺たちが王都でクルスさんの、年に一度のサン・ブリジビフォア祭で聖女の護衛役を務めるって神殿騎士団の人達大役を取られたとか言って怒ったりしない?」

 

「まさか。『白獅子』の勇名、少しは自覚したほうが良いですよ? 『黄龍』と並び剣を振るう者の憧れなんです。王前でロサリアと引き分けた貴方の事を、ロサリアにボコボコにされた神殿騎士団が反対出来る訳ないじゃないですか」

 

 

 笑顔で辛辣な事言ってる聖女ウケる。

 

 

「ていうか素だと俺より強いクルスさんに護衛なんてひでぶ」

 

 

 話してる最中に目の前から消えたクルスさん、と同時にゴリラに殴られたような衝撃が後頭部に加わり、「今のはレオが悪いな」とか「レオさん……」とかなんか後ろから聞こえたような気がしながら意識を手放したのだった。

 

 

 

 

 

 

 ハッ! と目を覚ましたら馬車でコロコロと輸送されてる最中であった。ん? これは……シルの膝枕である。よし、もう一回寝よ……

 

 

「駄目ですよ?」

 

 

 殺気!? いやクルスさんか。殺気で合ってたわ。教団の馬車で俺たち『白獅子』と『朱天狐』クルスさん、ついでに『蒼麒麟』レイラも俺たちの住む都市タオから王都ブリジビフォアに輸送中と。

 

 

「あれ、俺なんで眠ってたんだっけ?」

 

「眠かったのでは?」

 

「うーん……まぁ寝てたからそうか」

 

 

 深く考えるのは辞めよう。考えると後頭部が何故か痛い。

 

 

 

 

 

 王都ブリジビフォアにて年に一度開かれる、サン・ブリジビフォア祭。我らのホスグルブ王国最大のお祭りである。全国から集まる人、人、人の群れ。その人々の目的はクルスさん、いや聖女の奇跡である。

 

 俺はいつもの旅人の服にその辺の剣……ではなく、教団が用意していた(というか絶対クルスさんが用意した)なんか凄い装飾の白銀の鎧に、獅子の立髪を見立てたすんごいモコモコ(白いファー)が付いた裏地の赤い純白マントを付け、儀式用のこれまた装飾が凄すぎて絶対実戦向きじゃない剣を持たされた。

 

 ロサリアさんに会った時に「やあ、似合ってるじゃ……ないか」と微妙な反応されたけど、絶対似合ってないんだろうなコレ。「裏地が朱……」とかなんとか小さな声で言ってたから「いやこれクルスさんが勝手に用意して着せられちゃって」って返したら「あ、ああ……そ、そうなのか」って動揺してたけど泣いちゃうぞ俺。

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