自分に自信がない最強パーティーメンバーが辞めたがる件 作:白石基山
※前回までのあらすじ!
襲われた! 撃退した!
襲ってきた冒険者達は埋めた。スズ曰く、この山はモンスターが少ないので放置して食わせるのは多分無理とのこと。特に山の上のほうはモンスターがいないらしい。……それって聖女の遺跡でもあるんじゃねえかなって思いもしたが、まあスズなら知ってそうだから黙っとく。
「金品や装備はどないしたん?」
「一緒に埋めた」
「ならええわ。感知系魔導掛けられたら感じはせんかったけど持たんほうがええ」
なるほど。地獄への駄賃程度に考えていたけどスズはちゃんと見てた。さすが助かるー。
「レオさんほんとに強いんですねー。一応援護しようと構えてたんですが無駄でした。スズさんにも邪魔になるって止められたんですが、本当に邪魔になりそうでしたね」
エルフ種のアニーは先程の戦闘をしきりに感心していた。森の木々を利用して飛び回るなんて初めてみたとのこと。俺も俺以外がやってるのモンスターくらいしか見たことはない。……俺モンスターじゃないよ?
「いきなり連携するのは無理あるしね」
「そ。レオっちの戦い方非常識やし」
「あはは、確かにあの感じだと邪魔にしかなりませんね。敵の風魔導に合わせて打ち消すくらいなら出来たんですけど」
「後出しで合わせられるなら充分凄いと思うけど?」
「いやーなんとなく何撃とうとしてるかは分かりますから」
……もしかしてこの娘、ちょっと凄い娘か? わざわざ一人でヒト里歩き回ってたくらいだから実は凄い娘なのかも知れない。
「さてと。それはそれとして早く用事済ませて、山から出るっていうかタオに帰ろう」
「せやな」
「あの、ここでの用事って何なんですか?」
とっとと歩き出した俺たちに慌てて着いて来るアニーが当然だと思う疑問を聞いた。でも言えない。
「秘密かなー」
「あ、そうですか」
スズの答えにアニーはあっさりと引いた。こちらの用事に深入りする気はないようだ。良い娘だ。
山中。スズがたまに使っていたという小屋でアニーに待ってもらうことになった。アニーは特に悩まず即答で了承してベッドにてすやすやと眠りだした。
街中ではきっとまともに寝てなかったんだろうなと思うが、すぐさま寝たところを見ると信頼されているらしい。
山小屋からある程度離れたところでスズも「着いてきとらんとこ見ると、ほんとに爆睡しとるみたいやな。狸寝入りかと思ったけどな」と笑っていた。
後でアニーに聞いたところ、「だってレオさんなら私くらい殺す気ならすぐに殺せるでしょう?」と物騒な返事だったのでこの娘の肝はめちゃくちゃ据わっていることが分かった。
スズが途中立ち止まる。スキルを複数重ね掛けしたように見えた。何か干渉してくるものを感じるもスズに着いて先に進む。
「やっぱレオっちは通れるんやね」
スズが俺を見て予想通りや! としたり顔である。
「……もしかして魔力障壁か魔力系の妨害でもあった?」
「正解♪」
スズは上機嫌に答える。こういうのは先に言って欲しいもんである。……ってあれ?
「もしかしてスズって聖女の遺跡潜れたりするの?」
「え、言ったことなかった? ウチにはどんな罠でも通用せんよって」
「スズって聖女以外で史上初なんじゃない? もしかして聖女だったりする?」
「……はぁ」
何故か思いっきりため息を吐かれる。解せぬ。
「何言うとんの。すり抜けるのなんてレオっちも出来てるやん。お揃っちやな!」
「技術で通れるスズとお揃っち扱いで良いかは疑問だけど」
「ええやん、細かいことは。ウチがそう言うとるんやからそれでええの! ……ここや。ウチの秘密基地にして宝物保管庫!」
スズがいいなら良いや。目的の場所に着いたし。……って来たのは岩壁の前。扉どこ?
「ちなみに聖女の遺跡ちゃうで。多分元魔女の棲家、やね」
「ええ?」
「いやいや考えてみてみ? 仮に聖女の遺跡やったら教会が把握しとるに決まってるやん。その場合、教会の騎士が入り口固めとるわ」
「それはそう」
「せやろ? あ、ちなみに聖女の遺跡も入ったことはあるで。ぜーんぜん読めん書物があったくらいやったから、何も盗らんと帰ったけど。あんなんいつでも盗れるし」
なんて雑談しながらスズがトコトコ歩いて岩に突っ込んでそのまますり抜けるように入っていった。
「ええ……?」
「ほら、はよ入ってき」
なんで? と考えていたら岩からスズが上半身だけ覗かせた。考えるだけ無駄か。再びスズが中に消えた。
なんとなく岩に手を付いてみようとするとスッと中に手が入る。スズの背に手を付いてしまった。うん。幻影とかそういう類らしい。岩の質感までリアルに表現されている。ほえー凄いなーとそのまま中に入る。
顔を真っ赤にしたスズが拳を振るわせている。
うん、背中じゃなかった。
胸だった。
よし。
「ごめん」
攻撃が出来ないスズに変わり、自分の顔を思いっきり殴り吹っ飛び床に倒れる。
「……ま、事故やろし勘弁したるわ」
「ありがとうございます」
やべ。いいとこに入った。立ち上がろうとしたら足がもたついた。ふらつく。倒れる。スズの胸に顔を突っ込む。肋骨に当たりゴンっと音が鳴る。
再びスズが顔を真っ赤にして拳を震わせる。
「ほんとごめん」
「ああ、もう自分殴らんでええ! 先に進まんやんけ! ほら、行くで」
もう一度拳を構えたところで止められ、スズがとっとと先に進み出したのでスズの後を追いかける。壁中に棚があり明らかに高級な宝! って感じのものから武器防御、何これ? なものまで多種多様である。
「勝手に扉とか開けんといてな。レオっちなら死なんとは思うけど」
「うっす」
「あ、やっぱ先に見せとくわ。考えたらレオっちだから死ぬかも知れん。ふつーやったら魔力障壁があるからびっくりはしても死にはせんのやけど」
スズがそんなことを言いながら奥の方にある扉の取手に手を掛ける。
「ええか? 絶対中に入ったらあかんで。そこから見といてな」
「うっす」
スズがこっちをジト目で見ながらめちゃくちゃ念押ししてくる。そんなに念押しされたらむしろちょっとウズウズしてくるっていうか……「レオっち?」嘘ですごめんなさい。
「もう……ほんと駄目やからな」
スズがそう言って扉を開いた。天井は岩肌。壁も岩肌。何もない。
床もない。
「落下系のトラップ?」
「ちょっとちゃうかな。下、覗いてみ?」
「おう」
言われた通り、そっと近づいて下を覗く。底がない。下に広がっているのは。
「空?」
「うん」
「雲が流れてる?」
「せやね」
ん? どういうこと?
「魔女の棲家に隠された秘密。大地の底は空! 面白いやろ。あ、一応床の代わりに魔力障壁が敷かれとるんやけどレオっち貫通して落ちると思うから気をつけてな」
「お、おう……。え、ウソ。まじで?」
「実際見せとるやろ。ウチ思うんよね。大陸六ヶ国の周囲を囲む魔力の霧。マジクの爺ちゃんのおる神域。誰も抜けた事がないっていうその先。抜けた人間全員落ちて死んだんちゃうかなって。おもろいやろ」
ニシシと笑うスズに呆気を取られる。
「教会も把握しとるか分からんのよね。そういう文献存在しとらんし」
「大地って底があったんだ……」
「底を抜けたら空! うん、教会が隠しとる事実もきっとあるやろうし知らん真実もたくさんあるやろうなって。世界って面白いやろ?」
ゆっくりでも完結するまで書きたいなって。
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