ヤンデレな女の子に愛されるだけの話 作:ストレア=リネレイト
私が校舎裏へ向かうと何やら話し声がします。恐らく秋風さんと誰かが話しているのでしょう。
少しだけ耳を澄ませまてみましょう。
「…日図書室で会ってるじゃん」
「それでさ、この”ラブレター”についてなんだけど、なんで俺に出したの?」
……へぇ。やってくれましたね。ラブレターですか。一体何処の卑女でしょうか。
一先ずすべきなのは情報収集です。相手が誰か見てみましょう。
私は少しだけ顔を覗かせてみました。確か秋風さんと同じ図書委員の女ですね。
名前は確か…何でしたか。まあ良いでしょう後で調べます。
一応ボイスレコーダーとカメラを回しておきましょう。あの女生徒を特定するのに必要です。
「…もしかして嫌でしたか?いえ、嫌ですよねわたしなんかに好きとか言われても」
ええ。嫌に決まっています。秋風さんは私と結婚する予定なので。
ですが私は財閥をいずれ率いる者です。庶民の表現の自由ぐらい認めてあげます。
秋風さんの魅力に気付いたのは褒めてあげたい位です。まあ、どうせ叶わぬ想いでしょうが
「い、いや全然嬉しいよ!」
は?い、いえそんな筈がありません。きっとあれでしょう。秋風さんは
優しいので断りこそしますが一応お世辞を言っているだけでしょう。
あんな私より権力も無ければ財力も無い、ましては個人としての能力も無い小娘を
私が近くに居ながら選ぶ訳がありません。
「本当ですか?」
「ホントだよ」
「えへへ。えっと秋風君、秋風君?」
「うわ!!!なに!?」
「どうしたんですか?ぼうっとして」
「ご、ごめんなんでもないよ」
突然、秋風さんが真面目な顔をしました。
おそらく今から私の為に断ろうとしているのでしょう。
「本田さん」
「は、はい!」
「こんな俺で良ければ付き合ってください!」
「………え、本当ですか」
は?
奇しくもあの女と同じ事を考えてしまいました。嘘ですよね本当の筈がありません。
気付かない内に手に力が籠ってスマホが悲鳴を上げました。
「うん。本田さんといるのは楽しいよ。改めてよろしく」
「…はい。こちらこそよろしく、お願いします」
「えっ!なにしてんの本田さん!」
余りにも信じがたい光景でしたが、あの女はさらに私に追い討ちをかける様に秋風さん
を抱擁しました。秋風さんが穢されていきます。
「…っ!!卑しい売女め!」
奥歯を万力の如き力で噛み締めます。耐えなさい。今は耐える時です。
本当はこの場で殴り殺したいです。ですがそれを秋風さんの前でやってしまえば
彼は私を恐れ、離れて行ってしまうでしょう。私は全力で頭を使い、策を練ります。
「えへへ、わたしは彼女なんですから別にいいでしょう?」
「別に両手で抱きしめてくれて構いませんよ?」
「温かいな」
「そうですね」
目の前の会話を見て思います。本当に腑が煮え繰り返りそうです。
そうですね、ただ別れさせるのではつまらないです。
あの女には報いを受けて貰わなくてはいけません。私の愛しい方を誘惑した大罪の。
恐らくこの後二人は帰るでしょうから、ここは一足先に撤退しましょう。
私はメイドに電話を掛けました。
「遅くなりすみません。車を。
あと、学校に潜入している者達を屋敷に早急に呼び出してください」
門を出て少しすれば車がやって来ました。運転手に急ぐ様伝えます。
屋敷に着き、潜入している者達が全員いる事を確認すると私の部屋に集めます。
「揃いましたね。端的に言います。秋風さんが他の女に誑かされました」
何で集められたか不安になっていた彼らに緊張が走ります。
「なので貴方達には働いて貰います。まずは誑かした女についてです。」
私はスマホの動画を彼らに見せます。すると一人の男が答えてくれました。
「お嬢様、恐らくですがその少女は図書委員会に所属しており、名前は本田だったはずです」
本田、ね。名前は判明したので男に全力で調べさせるように伝言を託して退室させます。
家の諜報部は優秀ですからすぐに成果を上げてくれるでしょう。
「さて、別れさせる為の案がある者はいますか?」
私が尋ねると何人は困った様な顔をしてしまいます。まあ当然すぐには出てきませんか。
と、思いきや2人の女がおずおずと手を挙げました。
「あ、あの。単純に消すと言うだけではダメなのでしょうか」
「駄目です。それでは生温いです」
正しく一刀両断。
何を言うかと思えば、その程度の事ぐらい思いつかない訳がないでしょう。
「さて、あなたの方はもっと良い案が?」
「はい、悪評を広めるというのはどうでしょうか。流石に悪い噂がある相手と交際と
言うのは嫌でしょう」
「それは悪くは無いのですが、広める噂をどうすれば…」
「それについても私に案があります。先程お見せいただいた動画を使いましょう」
動画?あれにはとても悪評となる物はあると思えませんが…一体何をするのでしょうか。
少し興味が出てきたのでもう少し聞くことにしました。
「それで旦那様の悪評を流します」
「お前、今何を言っているのか分かっていますか?」
この女どんな名案があるのかと思えば秋風さんの悪評を流す?
そんな事許される訳がないでしょう。
あの女を排除するためとはいえ秋風さんを傷つけるのは違います。
「はいりかいしています、ですが本題はここからです」
ですがこの女は私の琴線に触れているのもお構いなしに話を続けます。
そこまで自信があると言うなら聞かせて貰いましょう。
「まず流す噂に関しては旦那様がその女子生徒を襲ったことにしましょう。
潜ませている者達全員で噂を広めればかなりの効果があるかと。
すると旦那様への風当たりは当然強くなります。」
「はぁ?それであなたはそれで何が言いたいんですか。
巫山戯ている様なら後に相応の処分を覚悟なさい」
「落ち着いてください。周りは敵だらけの旦那様、もしそこに寄り添ってくれる
美しき方が居ればどうなると思います?」
お嬢様?と最後に付け足す彼女。ふむ、少し考えてみましょう。
やってもいない罪をやったと言われ周りは敵だらけ、そんな中1人だけ
自分を信じてくれる存在。
「…良い案ですね、秋風さんを傷付けるのは不本意ですがリターンが大きいです。
やりましょう。という事で、提案してくれた貴女が現場を見つけて
動画を撮った人、他の方々がそれを扇動させましょう。」
「動画はそのまま流されますか?」
「いえ、取り敢えず音を消すなどして真実が分かりにくくなる様にしましょう
後はもう少し襲われている様に誇張を入れれば良いと思います。
丁度解析を頼んでいますので、同時にやらせましょう」
段取りはこの辺りでいいでしょう。
後は時間が経てば噂が広まり自然と彼が頼れるのは私だけになります。
秋風さんの心が折れて私に依存するまで少し時間がかかるでしょうが、
一度広まれば後は此方のものです。
「ところでお嬢様、この案を採用されても相応の処分はするのですか?」
「はぁ、抜け目無いですね。上手くいけば無くなるかもしれませんよ」
一応今回潜入させている者は尻尾を切っても問題ない様な者ばかりなのですが。
本当に解ってるのでしょうか。
この者達の気を引き締めさせるために、少し語気を強めて言い放ちます。
「おい、お前達……」
「失敗など許されませんよ。もし、そんなことがあれば…理解していますね?」
『ッ!はい、お嬢様』
「よろしい。それでは速やかに行動に移しなさい」
絶対逃がしませんよ。貴方は私だけの物ですから。
にしても私に依存している彼はどれだけ素晴らしいのでしょうか。
楽しみです。
潜入している人達
大体が弱みを握られている。子会社の娘とかそんなのが多い。
強かな女
自分の案が採用されて嬉しい。この後、少し待遇が良くなった。
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