ヤンデレな女の子に愛されるだけの話 作:ストレア=リネレイト
誤字あったら報告ください。
「……ぃ。せ…ぱ…。……てく……さい」
「〜〜〜ん。今日は休、日……」
「もう休日とかいう概念ないでしょ。起きてください!」
そう言い、俺の布団が勢いよく捲られた。
体を巡る外気に体を丸めて返事をする。
「ふぁい、今行くから......」
あれから数日が経った。結局、あの日の事はうやむやになった。してしまった。
あんなに拒絶をした後の告白で困惑している間に向こうから
『いきなり言われても難しいですよね。時間はあります。返事はゆっくりで良いんですよ。』
と言われた。そうしてできた時間のおかげで気付いたこともある。
俺は後輩の天才が故の悪いとこは嫌いだがそれは後輩という人間自体
を嫌いになることでは無かったのだ。
「「いただきます」」
後輩が作ってくれたご飯を二人で食べる。
一応俺も作れるのだが後輩が作る方が上手い。不思議だ。
そんな感じで今は返事に関しては目を背けつつ、一緒に暮らしている。
「「ご馳走様でした」」
「やっぱりお前の作る飯美味いな。俺も一応できる筈なんだけどな」
「ふふっ♪それは隠し味に愛情たっぷり混ぜてますから。………今の夫婦っぽくないですか?」
「………うっぐぅぅ……やめろ…それ」
なんとこの女、日常の節々にこういうのを混ぜてくるのだ!
そのおかげでここ数日はラブコメ主人公も砂糖を吐くレベルのあまーい空間になっている。
そして後輩は自分で言っといて顔を赤くしている。
(かわっ………じゃない!
可笑しいだろ!後輩という女は、もっと、こう、人をいつも小馬鹿にして、
なんか性格悪い感じなのに。なんで急に“女”部分を出してくるんだ。
こんな好き好きオーラ全開の奴だったっけ……。演技だと思いたいのにこの前のあれが脳裏を過ぎる…!)
「まぁまぁ。とりあえず今日は何しましょうか。昨日のゲームの続きします?」
「う〜ん。一度に全部やると後々やる事なくならね?
よく夏休みとか連休であるやつ」
そう、流石に百年経てば会社なんて退職扱いな訳で。
だからと言って嬉しいのかと言われれば難しい。
後輩によると若返り技術のおかげで俺の寿命は無いに等しいらしい。
定期的に薬を打てば半永久的に生きれるのだとか。別に永遠の命に興味はないが。
「じゃあ今日は巨大ロボ乗ってみませんか?」
「何そのSFでしか聞かない様な超技術単語」
「何って決まってるじゃ無いですか。腕が変形して銃になったり背中からミサイル打ったり
高周波ブレードで何もかもを切り倒したりできる奴です」
思わず喉を鳴らした。そんな少年心をくすぐる様な物が存在して良いのか?
気になる。めっちゃ気になる。乗りたい。
俺は魔法とか剣とかそういうのもカッコいいと思うが
それはそれとして変形ロボとかもかなり感じる派の人なのだ。
◆◆◆
という事で後輩に案内されてやって来たのは屋外………の様だが違うらしい。
どう見ても頭上に青い空は見えるし屋内というには壁が見えない。
床は屋内同様金属質で数メートル幅の正方形の板が敷き詰められている。
「本当に中なの?それかこれもお前の作った超技術の賜物か?」
「はい。先輩が今から乗るロボにも使われている外側の映像を内側の壁に
映し出す物です。外の方が都合は良いのですが此処は一二を争うくらい汚染が酷いので」
「なんでって………あぁ」
「はい。ww3が終わる頃に各国は責任の押し付け合いを始めました」
お分かりだろうか。革新的な技術によって始まった戦争。
元々は違う用途だったとはいえ作ったのは誰か。
「それでお前のとこに飛び火したって訳か?」
「正確に言うと一部の国は私を黒幕にご指名です。
ご丁寧に情報操作までしてくれた様で、国民は私の事を毎日呪ってる様ですよ」
俺は隣に居る後輩の手を握って言った。
「俺はちゃんと味方だからな」
「そこは抱き締めてくれても良いんですよ?」
「……別にいいだろ//」
「はい、これでも十分嬉しいですよ」
因みに乗ってみた感想だが、最高だった。他に言葉はいらん。
派手に数メートル跳んだ時はホントに声が出た。最初こそ操作に手こずったが練習すれば
すぐにコツは掴めた。俺はジェットコースタがあまり好きではないのだが機体の中にいる間は
浮遊感を感じないようになっているらしくて怖くもなかった。
そして一番興奮したのは腕が剣に変形した時だ。用意された鉄塊を滑るように切り裂いたときは
ヤバかった。右腕で切り裂いて左腕を銃に変え遠くの的を打ち落とす。
ゲームの主人公にでもなった気分だった。後輩は偉大である。
◆◆◆
次の日の朝、起きてリビングに行くとそこには置き手紙が。
『今日は仕事で用があるので一日中会えません。夜には戻ります。
自由にしていただいて構いませんが下手に機器に触らないで下さい。爆発します』
へー。今日は一日中居ないのか。目覚めてから後輩はいない日は初めてである。
食事に関しては大丈夫だとして、今日は何するか。
一旦RPGでもしようかとpcに電源を入れるが、少し前に後輩と一緒にプレイしたことを思い出す。
「…やっぱり散歩でもするか」
ということでやってきたのは研究区。触ったら爆発する?つまり見るだけなら大丈夫ということだ。
まぁ見に来たといっても見た目じゃなんの研究かもわからないのだが。
左右のところどころにある窓から中身を覗き見るとマウス実験が多いように見える。
他にもロボットの腕やレーザーでも射出しそうな物々しい機器が多く見られた。
そうして歩いて行き特に曲がるわけでも別れ道も無く行き止まりになった。
目の前の扉は今までのとは少し違いスライド式では無く普通の扉だった。
今までの実験室は入った途端に何か起こりそうだったから入らなかったが
目の前の木製の扉は時間に置いて行かれた様で少し懐かしさを覚える。
「............」ゴクッ
見てみたい。後輩の事を少しでも知ってみたい。
冒険心でも無いが此処には後輩の大事なものがある様な気がした。
鍵はかかっていなかった。取手はするりと周った。
「っ……はぁ」
自動で電気が付き驚いたが直ぐに感嘆の声に変わった。
中はそこそこの広さがあるがその殆どを本棚で埋められている。
そして部屋の隅には簡素なベッドと机が置いてあった。
なんとなく腰かけてみるが別に黴臭いわけでもなかった。
しばらく使われていない訳では無いのか。
さて。この大量の本を見ていこうか。
この空間を圧迫する棚には所狭しと同じ背表紙の本が敷き詰められていた。
こう言うのは左上の方が最初の巻と相場は決まっている。
部屋の隅の棚まで移動して一番左上の古そうな本を丁寧に取り出す。
表紙はボロボロで掠れた文字でなんとか日記と読めた。
相当昔の日記である事に間違いはない。俺はゆっくりと表紙をめくった。
200x年 ◯月×日
今日からにっきをつけることにした。
外ですることもないのでちょうどいいひまつぶしだ。
お父さんとお母さんはあいかわらずわたしのことをきみわるがっている。
幼ちえんでもわたしとおなじようなこはいないみたい。
先生もお母さんたちとおなじかおをしている。
◯月△日
今日はおなじくみの子をなかせてしまった。
あっちが先にへんなやつだとか言ってきたのに
お父さんが言うには言いかえしたらだめらしい。
へんなの。
200x年か一桁だけ掠れているが平仮名の多さや幼稚園と書いてあるから
俺が後輩より出会う前の事か。この頃から天才ぷりは発揮されていたが
そのせいで周りとは馴染めていなかった様だ。
所々に簡単な漢字が書いてあったりするのは自分で勉強したのだろう。
そこから数ページは特に変わりのない事が書かれていた。
だが「暇だったので一緒に遊ぼうと思ったが入れてもらえなかった」
というのは珍しく悲しみがこもっている様で少し文字が崩れていた。
□月◯日
あれからなんでまわりからの目がおかしいのかわかった。
わたしはふつうよりもずっとあたまのせいちょうが早いみたい。
なかまに入れてもらえないからさんすうドリルをしていたら
先生どうしでわたしを見て「もうあんなのしてる」「はやすぎますね」
って言っていた。お母さんははやくてわるいことはないって言ってた。
じゃあだいじょぶだ。
□月◇日
さいきん、禾ムがおもってるよりもまわりのあたまはあるいのでは
とおもっている。もう年長になっているのにまだおもちゃのとりあいとか
よくわかんないことでけんかしている。そういえばそろそろかけ算
というのにちょうせんしようとおもっている。
△月◇日
今日は小学校に入ってだいたい一しゅう間。
ならう事はほとんど知っているものばっか。
幼ちえんと同じで私はあまり仲良くなれない。
クラスの子は今日もちえ比べと言い、しょうぶをしかけて来た。
かた手間に答えてたらおこってどっかいっちゃった。
◇月×日
お父さんが転きんするから引っこすって言い出した。
学校ではおわかれ会とか手紙とか貰ったけど読めないし
あまり楽しくなかった。次はもう少しマシだといい。
気付けばあっという間に1〜2冊読み終わって小学生編に入っていた。
俺と後輩は小学校で出会ったはずだが........まか小さい頃の事をずっと覚えられる訳ではないしな。
次のページを捲ろうとした時、そこに付箋が付いている事に気がついた。
□月◯×日
今日初めて負けた。なんでかはわからないけどとても変な気持ちになって
気持ちわるくていっぱい泣いた。今は大丈夫だけど。
相手はクラスの自しょう天才の男の子、5時かん目の体いくだった。
50メートル走でいきなり勝負をしろと言われた。
その子はいつもテストで100点を取ってはみんなにほめられて
自分は天才だからと言っていた。テストで同じ点を取っている私がいやなのかな。
でも私には勝負する理ゆうがない。それにこういう事を言う子はいつも負けてズルだと言う。
だから無ししていつも通りに自分の中で一ばんいい速さを出そうとしてた。
でも負けた。手をぬいていたわけでは無い。私が最初は前にいたのに最後にはあっちが前にいた。
私はまだ二年生。男子と体に差があるわけではない。むこうは体の動かし方なんて
むちゃくちゃで私は考えて走っているのに。なんで、なんで。
▽月◯日
今日、お母さんがあやまってきた。今までさけててごめんなさい。だって
ふつうとは違う私がこわかったらしい。
せっかくだから最近私を困らせている感じょうについて聞いてみたら
私は意外と負けずきらいだと言う事がわかった。
そう、私はあの子に負けたのが悔しい。だからこの気持ちを忘れないように
ここに書く。私はあの子に勝つ。次は負けない。
▽月〇日
あれから丁度3年が経った。私はもう5年生になる。
その間を思い返してみるとただ楽しかった。全ては先輩と出会ったおかげだ。
毎日が輝いていた。最初はテストで勝負していたのがどちらも満点を取るようになると
問題を自分で作って出し合うようになった。復習程度の範囲だったのが徐々に
広がってどんどん先の所も出す様になり、向こうが一年は先の内容を紙に書いて来た時には
思わず嬉しくなって中学校の内容を出し返してしまった。そしたらなんと次の日答えてくれた。
その上、問題を出し返された!親に聞いたのだろう。自分でも半分くらいしか解らないだろう。
それでもこれ程嬉しかったことはない。そのお陰で暇だからしていた学習が
やる意味を得たせいで思わず高校範囲を終わらせてしまった。先輩を絶望させない為にも黙っておこう。
◎月□日
今更だが私は彼の事を先輩と読んでいる。理由はある時、中学や高校では上下関係ができ、
先輩、後輩、と呼ぶ事を知った。簡単に言うなら凄い方と凄くない方。
これはぴったりだと思った。本人は嬉しそうにドヤ顔してた。
〇月×▽日
高学年になったからか周りの女子は男子というのを意識し始めているようだ。
先輩は文武両道で活発な性格。クラスの中心なので男女問わず人気がある。
最近話したこともない女子から彼について聞かれるのだが何故か雑に答えてしまった。
〇月△日
私は先輩が好きらしい。
好きとはなんだ?
好き:相手に友好又は男女として好意を持っていいる事。
後者についてはそれらしい感情が解らないから前者のはず。
だがそれにしてはお母さんの反応が不可解だった。勘違いという線もあるが。
〇月◇日
私は彼が好きなようだ
いや待て、まだ脳内の整理がついていないみたい。
そうだ、証拠が足りない。調べたところ、好きな相手には特定の感情を抱くことが
あるようだ。つまりそれが有るか無いかでわかるのだろう。
〇月□日
私は彼が好きだった。
なんで同じことを三日連続で書いているのだろう。
まぁいい。兎に角、解ってしまったものは仕方がない。
先輩が中庭に呼び出されたから覗いてみたら告白されていた。
そこで思わずどうやったらあの子を転校させられるか、と考えてしまったのだ。
これは嫉妬ということなのだろう。こんなに感情が動いたのはあの時以来だ。
〇月■日
今日、決めたことがある。
私からは告白等はしないことにした。もちろんほかの子に盗られるくらいなら
その限りではないが。
これからも先輩と沢山勝負したい。今のままじゃ先輩は勝つことはないだろう
だからいっぱい支えるのだ。障害があるなら台の作り方を見せてあげよう。
道に迷うならその先にあるものを見せてあげよう。
先輩になら見せるだけで十分だ。それだけで彼はきっと私に追いついて
その先に行ってくれる。どれだけ時間がかかってもそれを成してくれるだろう
何というべきか……とりあえず中学範囲しかやっていないと嘘をついてたのは分かった。
許さん。
にしてもあの後輩も恋愛関係には疎かったとは好きとは何かについて何日も考えていたのは
可愛いと思ってしまった。あの後輩もわからないことがあるのだ。
因みにここから後は俺でも知っているようなことばかりだった。
だけど高校のとき俺に他の人間が来ないように常に番犬のようなことをしていたらしい。
つもりこいつのせいで俺は高校、大学と一切交友関係が築けなかったのだ。
まぁ終わったことだし、後輩の可愛い独占欲と思っておけばいいのだろうか。
……今自然と後輩を可愛いと思ってしまった。
いや、確かに顔は整っているし今までの行動も俺への好意と思えば許せ…る、じゃなくて。
一旦、本命のおれが気を失った後を読んで落ち着くか。
202x年△月〇日
正直に言おう。結婚したい。十数年前に「私からは告白しない」キリッ
とか言っていた自分を殴りたい。もう我慢できない。付き合ってイチャイチャしたい
文化祭とかで甘酸っぱいデートしたかった。でも過ぎてしまった時間は仕方がない。
だから告白したい。幸いにも先輩には女どころか私以外の人の影すらない。
だがそれすら無に帰すような壁がある。
今日はもう寝る。
△月×日
先輩を遊園地へ誘うことができた!
告白しようとして日和ってしまった結果なのだが。
でもあそこで告白するよりも観覧車の中とかのほうがムードがあって良いのだろう。
そして何より先輩の誕生日も兼ねているのだ。プレゼントも考えておかないと。
△月××日
△月×□日
明日は先輩の誕生日で違うそれはもうこなくて
プレゼント何にしたっけ、ちがうこんな事書く必要はなくて
ちがうちがうちがう先輩はいなくなったりしない
△月×◆日
もう落ち着いた。私は大丈夫。
今からするべきことをまとめよう。
まずは先輩の肉体を盗み出す。裏の方で目途はつけてある。
金は今までの株と研究で得た分のおかげで問題はないだろう。
手に入れたら研究を始めるわけだが今ある研究所では設備が足りない
山奥の土地を買うことも視野に入れなくては。
私は先輩を救うためなら犯罪なんていくらでもやろう。
先輩を救えない国の法など守る必要がない。先輩を殺した犯人がたったの7年以下で刑務所から
出てくるのか?巫山戯るな。兎に角、私はやらなければならない。
死んだ先輩を蘇らせる。
■月×日
肉体を手に入れた。まずは腐らないように保存をした。
少し触れた時に分かる冷たさが今も残っている。
できれば培養でもしたかったが死んだ細胞では難しい。
まずは他の検体を探して少しずつでも調べるしかない。
×月●日
これといった成果はなし。
私の考えとしてはまず生きた状態の先輩の肉体を作りそこにどうにかして
先輩の意識、精神?を復活させる。一番難しいのがここだ。
肉体に関しては目の前に設計図の塊があるのだ。やりようはいくらでもある。
問題は意識だ。例えば死体の血液を生きている時と同じように循環させたとしよう。
その体は死んだばかりで細胞も死んでいない。臓器も人工の物で代替する。
人工的に酸素、栄養を回せば体が死ぬことはないだろう。
だが一度死んでいるのだ。どれだけ健康な体に置き換えても物体として存在する訳では無い物は
戻ってこないだろう。ほかにも脳は微弱な電気信号で動いている。ならばそれを人工的に完璧に
再現したとしよう。それは意識を取り戻すことになるのか。機械の電源を入れるように一度動かしたら
ついたままになるのだろうか。現代でもわかっていないことだ。何故ただの物質、意思を持たない塊が
自律的に行動しているのだろうか。結局想像してもわからなかった。
■●月〇日
また失敗した。ここに移動してずいぶん経つ。さすがに自分一人では手が足りない。
だからと言ってここにサル共を招き入れるわけにはいかない。これは私のすべきことだ。
以前考えた精神の再現することについて、これも考え始めた方がいいだろう
〇月▽日
そろそろ、何年40年は経ったか?この様に普通の日記を書くのも久しぶりだ。
私も流石に老けて来た時間が足りない。不老薬でも作ろうか。売れば資金にもなるな。
ならば■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■■■■■■■■*1この感じなら簡単に出来そうだな。あっちへ回しておこう。
これだけ経ってもまだ意識についてはわかっていない。精神の再現に関しても私自身のしか出来なかった。
何が足りない?
▽月●日
出来た!出来たぞ!ついに他人の精神の再現ができた!
足りなかったのは記憶だったんだ。今までは脳の動きや特徴を完全に再現しても
何処か本人とはかけ離れてた。だから成功例である自分との差を見てみたら、
あったのだ。それは経験、知識、記憶、本人にしか解らない訳だ!。
あんなに小さな部位に人間の一生が詰まっている。
何故今まで解析しなかったのか不思議でしかない。
そして何より成功した時にふと思ったんだ。先輩もできるのではないか?
▽月△日
最悪だ。あんなもの先輩と呼べる訳がない。本当に気分が悪い。
それが伝播して交渉役が取引先を撃ってしまったらしい。無理もないか。
まだ足りない。もっと研究しないと。
◯月×日
被験体と先輩の差はなんだろう。
思い当たるのは一つだけだ。生きているかどうか。
恐らく精神の再現は完璧だった。だが所謂魂の様なものがないのだろう。
更に私は先輩の事を知り尽くしている。だからあの違和感にすぐ気づいた。
もしかしたら被験体も些細な物があったのかもしれない。
魂、あるかどうかも解らない。魂の重さは21gと言うのがあるらしい。
信じる事はないが仮にあるとするならば、それは今も何処かを漂っているだろう。
この世で有が完全に消える事は無い。なんらかの形で消費されない限りは
形が変われど存在しているの事に変わりはない。
例え別世界にあったとしても必ず見つけて見せる。
◯月◯日
先日見つけるとは言ったものの結局方法は解らない。
知ってるとするならば死者だけだろう。
つまり私には解らない。死の体験なんてできる訳がない。
ましてや死者に聞く事なんて、、、
いや、擬似体験ならできる?いやでも人は思い込みだけで死ねる。
体験なんて、いや設備を整えれば?
先輩、私に力を貸してください。
◯月●日
全て解った。貴方の苦しみも魂の行方も蘇生方法も。
未だかつて無いほど頭が冴え切っている。
怖かった。あの感覚に慣れてはいけない。
でも先輩も経験した事。乗り越えるべき試練。
さぁ、先ずは世界を手に入れよう
月 日
明日、私は装置を起動させる。長かった。
あれから更に何十年も経った。
今の世界の人口は20億もいないのでは無いのだろうか。
まぁ私の所為ではあるが。国の首共は驚いただろうな
半世紀近く世界を発展させて来た科学者がいきなり牙を剥いたのだから。
更に突然他国から侵攻されて始まった世界大戦。先進国が疲弊した頃に
私が全世界に奇襲攻撃を仕掛ける。そして手に入れた土地は全て発電所等のエネルギー
生成所に変えた。人々は政府に管理させて使うエネルギーは最小限に。
そうして世界の殆どがディストピアとなった。
空は地球ごとソーラーパネルで覆った。天を覆う星空は全て偽物だ。
他の天体にも手を出した。そこからずっとエネルギーを貯めて理論が完成した後も
ただ、この日を、待ち続けた。
正直失敗はあり得る。何故なら簡単に試行できる様な代物ではない。
失敗したら私はどうなってしまうのか。まぁ諦めはしないだろう。
以前、正体不明のエネルギーを検知した事があった。
座標は周囲に何も無い「無」の空間だった。その時は神の仕業かも
なんて流したが神を暴いてやるのも良いかもしれないな。
先輩、愛してます。また会いましょう。
「これで、最後…か」
正直、俺が死んだと言うのを読んだ時、ストンと腑に落ちた。
あの感覚は今でも残っている。とても生き残れる状態ではなかった。
今の俺は後輩の事が怖いが好きだ。逃げようにもどうすれば良いかわからない。
俺は死人であり外はなんか凄い事になっているっぽいし。
それよりも後輩が帰ってくる前に「さっさと戻りたい?」
「っ!誰だ!」
「誰だって、一人しかいなよね。先輩」
後ろを振り返るとそこには美しい後輩がいた。
「全部見ちゃったね。どうかな驚いた?引いた?怒った?
まぁ全て私にはわかるけど。あまりこう言う事はしたく無いんだけど
私に対してその感情はよく無いよね?」
後輩はゆっくりとこっちへ歩いて来る。
「来るなぁ!化物。こんな事してまで俺は生き返りたいなんて言って無い!」
「いたっ。人の日記を投げつけるなんて、それに化物ねぇ。
愛する妻にそれは無いんじゃ無いかなぁ!」
突然体の力が抜けて床に倒れた。後輩に何かされたのか?
「う、kぁ、なn、だ」
「ねぇ先輩。一度死んだけどさ、その体どうやったと思う?
先輩の細胞を元に1から作ったのさ。それでね?その時思いついたの。
先輩と繋がりたいなぁって。だから安全も兼ねて繋げたのココ」
そう言って彼女は可愛らしく頭を指差した。ね?わかるでしょ?
「今の気持ちは?」
「最高………!?」
「でしょ?私もとっても嬉しい。先輩の脳を少し弄って私と繋げたの。
だから先輩の考えてる事は全部私に筒抜け、逆に私から送り返すこともできます」
こんな風に、ね?やめろ更に脳が体を動かしてる事はわかるでしょ?
だから万が一のために先輩の体も制御できる様にしたの。
「お前、俺の事好きなんだったら、これ…外せよ」
「でも先輩は私の事が嫌いだったでしょ?だからずっと少しずつ私が好意的に見える
様にしてたんです。だから先輩が心から好きになってくれたなら外せるかも?
それに…ね」
後輩は倒れてる俺に乗っかって顔を近づけて来る。
「ふふっ。ファーストキス、やっと貰えました。嬉しいです。先輩も嬉しいでしょ?
私には解ります。時間はあるのでこれからもいっぱいキスしましょうね」
そう言う後輩はとても
「先輩は私の事、愛してますよね?添い遂げてくれますよね?」
「い…ああ。あた、りまえだろ。俺もあああいしてる」
俺の意思とは反して言葉が紡がれていく。
後輩はこんな俺じゃ無い何かでも良いのだろうか。
後輩は唯、嬉しそうに俺を抱きしめる。いやだ、せめて……
後輩が喜んでいるのが俺に伝わって来る。思わず俺も嬉しくなった。
そう、別に逃げる必要は無い。世界で此処が一番過ごしやすい場所だから。
既に壊れた世界だ。愛する人とゆったり過ごすのが一番良い。
「先輩、愛してます」
俺もあいしてたよ
先輩
名前はまだ無い。決して考えるのが面倒とかでは無い。決して。
一般人からすれば十分天才の部類。文武両道、時間をかければ割となんでもできる。
が、本物の天才を知ってしまった。
負けず嫌いで後輩に負けては勝負を仕掛けてた。
後輩
名前はまだ無い。決して思いつかない訳では無い。本当に。
ガチの化物(天才)偉人もビックリの天才エピソードしかない。
一目見ただけで殆ど理解できる。自分の事を天才と自負していた。
が、本物の天才を知ってしまった。そこからは自分はただ出来るだけで
発展性のない紛い物だと思う様になる。
世界
この二人に振り回された被害者。シテ………コロシテ。
評価、感想、お気に入り登録してくれると作者が夏休み分を取り返そうと投稿が早くなります(多分)