そんな悪鬼であったがふとあることを考えていた。
(だが、俺の人生は真っ暗であると思ったがまさかあんなことになろうとはな・・・)
そして、悪鬼は思い出そうとしていた、この学校、勝どき学園の先生として赴任してきたことを・・・。
(悪鬼)
俺の運命を変えたもの、それも、「勝利こそすべて」という考え、そのものによるものが大きかった。俺はずっと、「勝利こそすべて」、その考えのもと、刑務所でやってきた。刑務所ではこれからのためにといろんな本を読んでいた。勝者になるためにはどうすればいいか、それだけのことを考えていた。そのため、体力づくりなどもしてきた。これにより今では筋肉もりもりのマッスル体形になってしまった。それどころか、いろんな本を読んでいたためにいろんなことについて博識となった。人に教える方法、ずっと勝者であり続ける方法など、すべてを習得していった。
そんななか、国は「勝者」になるための学校をつくる、世界において勝者であるための学校を作る、そんな話を俺は聞いた。このとき、俺はその学校に興味をもった。だが、俺は犯罪者、その学校に関わることなんてできないと考えていた。
だが、そんな俺に国は手を差し伸べようとしていた。突然、国から、「勝者になるための学校、「勝どき学園」の先生として赴任してくれないか」、と言われたんだ。もし先生として赴任してくれたら俺の刑の一時停止と短縮、それに身元や自由の保証、というご褒美付きだ。
ところが、その先生の中身は俺にとって意外なものだった。というのも、投資や経営学の先生だけでなくスクールアイドルの先生もしてくれ、といったものだったのだ。まさかこの俺が俺の娘がやっていたスクールアイドル、その先生をしてくれ、というとはな・・・。俺はスクールアイドルなんてただのお遊びだと軽蔑していた、そのスクールアイドルのせいで俺の人生はマイナスになった、それなのに、その俺がスクールアイドルの先生になれ、というのだからなぁ。まぁ、その理由が世界的な発言力を得たい、といったまともらしい理由なんだけどなぁ・・・。
国が悪鬼を勝どき学園に呼ぶ理由、それは世界的な発言力を得るためであった。それはなぜか。それは国が芸能界をターゲットに見据えていたからであった。というのも、国としては芸能界において圧倒的な地位を築くことで世界的な発言力を得ようと考えていた。昨今の芸能界に生きる人たちの発言力は計り知れないものである。ひとたび自分の考えを述べればその人を支持する数多くの人たちがその考えに賛同してしまう、それくらい芸能界に生きる人たちの発言力は強い、いや、その人たちこそ世界のオピニオンリーダーともいえたのである。もちろん、それは世界的な地位を得ている人たちに限っての話ではない。日本においてもそれは言えていた。むろん、日本のその人たちにそんな発言力なんてない、といわれるかもしれない。でも、それでも、ワイドショーなどでご意見番としてその人たちが登場すればそれによって世の中に対して自分の考えを発言することができしそれによって自分の考えを世の中に広げることができる。それくらい芸能界に生きる人たちの発言力は強いのである。国はそれを狙っていた、国としての考えをその人たちの発言力によって世界中に広げることができる、いや、席巻させることができる、国として常に勝ち続けるために・・・。
そして、その国が目を付けたのがスクールアイドルだった。というのも、スクールアイドルなら国としての考えを若いときから浸透させることができることや世間の目にさらされることなく育てることができるため、それらにより、国、いや、自分たちの駒として、自分たちが優位になるような、そんなアイドル(芸能人)を作るためだった。
そんなスクールアイドルを育てるための先生として国が目をつけたのが悪鬼だった。悪鬼は逮捕されてもなお勝利のみを追い求めていた。それは刑務所のなかでも同じだった。勝利するためにいろんな勉学や運動に励んでいた。それくらい悪鬼の勝利への執念はすさまじかった。そんな悪鬼の姿を国は求めていた。国の思惑、それは世界的な発言力を得るくらいのアイドルを得ること、それを含めての学校、勝どき学園、その学校の理念は「勝利こそすべて」である。つまり、世界において「常に勝ち続ける」、それくらいのアイドルを国は追い求めていた。そんなアイドル、いや、スクールアイドルを育てるには勝利のみを追い求めていた悪鬼がうってつけであった。
だが、ここで1つ疑問が残る。それは、悪鬼の専門分野は投資と経営、であり芸能はまったくの専門外だった、ということだった。それなのになぜ悪鬼がその専門外の芸能も担当になったのか。それは、国がただのアイドルとしてではなく博識を持ったアイドルとして育成しようとしていたからであった。たしかに芸能人はオピニオンリーダーになれるくらいの発言力を有している。だが、その人たちがある現象においてなにも知らずに発言をしてしまうとあとあとバッシングを受てしまう、それによりその芸能人の発言力は低下するどころかなくなってしまうことだってありえるのだ。そのため、国としては博識を持ちつつも国としての考えを代弁しくれるくらいのアイドルを作ろうとしていたのだ。で、悪鬼は刑務所において勉学に励むことでいろんな博識を得ていたり刑務所内での運動、体力づくりにより得た知識などによりアイドルに必要な体力関連の指導もできる、なので、そんなアイドルの育成に悪鬼は適任であった。まぁ、悪鬼の娘がスクールアイドルだった、というのもその理由の一つなのですがね・・・。
ただ、悪鬼はこれでも囚人である、そこが悪鬼が先生になる1番のネックであった。囚人を先生として雇うこと自体前代未聞であった。でも、それでも国としては悪鬼を勝どき学園の先生として迎え入れたかった。そこで、国は悪鬼に対して先生になるための対価を提示してきた。それが刑の執行の一時中断と刑期の短縮だった。悪鬼が勝どき学園の先生として勤めているあいだは刑の執行を一時中断とし、それに加えて刑期の短縮もした。いやそれどころか(学園内だけだが)身元や自由の保証もしたのだ。むろん、これは超法規的措置だが国はそれを認めた上で悪鬼を勝どき学園の先生として迎え入れたいと言ってきたのだ。むろん、これには、悪鬼、
(普通ならありえないことだが刑期の短縮などとはありがたい)
と二つ返事で承諾、こうして悪鬼は勝どき学園の先生として勝どき学園に赴任してきたのである。
だが、悪鬼はスクールアイドルのというものをただのお遊びとして軽蔑していた過去があった。また、自分の娘がスクールアイドルであり、その娘によって悪鬼は逮捕されてはマイナスの人生を過ごしていた。それくらい悪鬼としてはスクールアイドルそのものを憎んでいた。そんな悪鬼がスクールアイドルの先生になる、という皮肉めいたものもあった。ただ、それでも悪鬼はこう考えることでその憎しみを力に変えようとしていた、
(スクールアイドルはスクールアイドルでもって制する、そうすればこの憎しみも抑えることが、いや、自分に反逆した者たちに対して逆襲することができるかもしれないな・・・)(悪鬼)
と・・・。
こうしてスクールアイドルの先生ととなった悪鬼であったがものにふける時間は過ぎたとばかりに、
「それじゃ、「対決」の準備をしましょうかねぇ」
となにかの準備を始めた。まず、なにかステージめいたものを設営し人を集めていた。
そうしていくうちに、
「悪鬼先生、ランニングが終わりました」
と走り終えた鶴見が悪鬼に言ってきた。どうやら、女子高生3人、ランニングを終えたようである。そんな女子高生3人に対しその子たちの先生である悪鬼はこう告げた。
「さぁ、お前たち、今日は「対決」の日だ。お前たちの力を十分相手に見せつけるのだ。そして、勝利しろ!!いいな、絶対に勝利しろ!!」
これには、女子高生3人とも、
「「「はい、わかりました、悪鬼先生!!」」」
と大きく言うと悪鬼の作ったステージの前に並んで立った。
すると、その女子高生3人の前に同じ年齢の3人の女の子が並んだ。その女の子たちに対し女子高生3人の1人、鶴見がその女の子たちに対して大声でこう叫んだ。
「いいか、お前らは私たちにとってただの肥しにすぎないのだ!!お前たちなんてすぐに倒してこの学園から追放してやる!!」
それに続けとばかりに女子高生3人のかほと美月も大声で叫んだ。
「私たちは絶対に勝つ、勝ち続ける!!お前たちなんてすぐにひねりつぶしてやる!!そして、私たち3人は勝ち続けるのだ!!」(かほ)
「私は完璧にパフォーマンスするだけ。でも、あなたたち、パーフェクトなパフォーマンス、できるの?できないよね。なら、幼稚なパフォーマンス、して、恥をかけ!!」(美月)
それはまるで勝者が敗者をさげすむような光景だった。まるで自分たちがすでに勝った、そんな感じだった。だが、これには、悪鬼、
(ふむ、今日もあいつらはやる気満々だな。これで今日も勝った、勝ち続けることができる)
と考えてしまった。そう、これは女子高生3人にとってそれが当たり前であったのである。あの女子高生3人は勝ち続けることが絶対目標でありこれまでもその目標に向けてずっと勝ち続けてきた。そのためか、なにがあっても勝ち続ける、それがあの女子高生3人にとって当たり前であった。なので、悪鬼は最初から勝利に向けて勢いつけている女子高生3人に絶対的な信頼をしていたのである。
その悪鬼は鶴見たち女子高生3人とそれに面している女の子3人に対してこう告げた。
「それでは、今から月一の「対決」を行う。いいな!!」
「対決」、それは勝どき学園芸能コーススクールアイドル科において月一回行われる試合であった。それは鶴見たち女子高生3人とほかの(学園内の)スクールアイドルグループがステージ上において対決、というか、2組ともステージでライブを行い、無作為に選んだお客さん(勝どき学園の生徒たち)によってどっちがよかったか選んでもらいより多く票を集めた組が勝者となる、そんなものだった。ただ、ただの試合、「対決」、ではなかった。なぜなら、この「対決」はこの「対決」に出場している者にとって生死を賭けた戦いなのだから・・・。だって、この「対決」の勝者は勝どき学園のスクールアイドル科において王者に君臨することができる、そして、敗者は・・・。それについてはあとで述べることにしよう。
とはいえ、ついに「対決」は始まった。先行は鶴見たち女子高生3人の相手である女の子3人。「対決」のステージ、ということで女の子3人ともに一生懸命パフォーマンスをする、こう思いながら・・・。
(「対決」に負けたくない!!勝ちたい!!なんとかしてでも勝ちたい!!)
女の子3人はなんとしてでも勝ちたい、そんな一心だった。だって・・・、
(だって、勝たないと私たちは・・・、私たちはこれからを生きていくことなんてできないから!!)
そう、この「対決」で鶴見たち女子高生3人に勝たないとこれからを生きていくことができないのだから・・・。
そんな必至さからなのか観客である勝どき学園の生徒たちからは、
「うわぁ、すごくうまい!!」
「これまでの「対決」のなかでも1番だよ(鶴見たち以外で)・・・」
と感嘆の声が聞こえてきた。いや、あの悪鬼ですら、
(たしかに観客たちが感嘆の声をあげるくらい相手方もレベルが高いことは認めてやる)
とまんざらでもない様子。そう、この女の子3人のレベルは悪鬼も褒めるくらい、いや、全国レベルといっっても過言ではなかった。
だが、それと同時に悪鬼はこうも考えていた。
(でも、鶴見たちと比べてしまうととてもレベルが低すぎる・・・)
そう、悪鬼からしたら全国レベルの実力を持つあの女の子3人ですらも鶴見たち女子高生3人と比べたら圧倒的にレベルが低い、いや、低すぎる、と思ったのである。
そうこうしていくうちに女の子3人はライブを終えた。その瞬間、観客である勝どき学園の生徒たちからは、
パチパチパチ
という拍手が送られてきた。だが、ただそれだけ、であった・・・。
そして、ついに鶴見たち女子高生3人のライブが始まる。仁王立ちしている悪鬼に対し、鶴見、
「悪鬼先生、勝ってきますから」
とただたんに言うとともにステージへとあがっていく。続けて、
「ふんっ、あの人たちは負けるなんてないです。あの人たちに現実をみせつけてきます!!」(花帆)
「今日も完璧に勝つ!!完璧に勝つ!」(美月)
と花帆と美月はそう言ってはステージへと上がっていった。これには、悪鬼、
(ふんっ、今日も、鶴見、かほ、美月の完全勝利だな)
と鶴見たち女子高生3人を見てはそう思うとともにその3人に対して、
「あぁ、圧倒的な力で勝ってこい!!」
という声を投げかけた。
こうして、鶴見たち女子高生3人のライブが始まった。