美月たちPWのステージも中盤に入った。完璧なダンスをする美月、このとき、美月はこう思っていた。
(私は完璧な人間。完璧じゃないとダメ。だから、より完璧じゃないとダメ。完璧にダンスをしないと、パーフェクト・ダンスをみせいないと、あのときのアイドルのダンス、それを越えないと・・・)
美月の心のなかにあるもの、それはあのときの、美月が完璧さを追い求めようとなったときの記憶だった・・・。
美月は小さいときから踊るのが大好きだった。ことあるごとに施設にあるテレビを見ては、
「ふ~」
とテレビに映っていたアイドルを見てはその真似をして踊っていた。とはいえ、テレビに映っているアイドルのダンスはプロ顔負けの本格的なダンスであり、まだ幼かった美月にしたら、
(難しいけど楽しい!!もっと、うまく、もっと、うまくなりたい!!)
と少しでもうまくなろうと必至になって踊っていた。
そんななか、
「う~ん、う~ん」
といつものようにテレビに映るアイドルのダンスを真似している美月であったが、突然、
「アニメ、早く見ようぜ!!」
と美月と同じくらいの歳の少年たち3人がテレビのチャンネルを変えてしまったのだ。というのも、施設にあるテレビは1つしかなくいつもテレビのチャンネル争いが起きていた。ただ、いつもは美月の友である鶴見が少年たちを力づくで抑えるため、美月はアイドルの出る歌番組をいつも見ることができていた。だが、今回はその鶴見が用でその場にいなかった。そのため、美月はテレビのチャンネル争いに負けてしまったのである。
ただ、これで諦める美月ではなかった。美月は少年たちに対し、
「はやく変えて、歌番組に変えて!!」
と何度も頼むも少年たちからは、
「邪魔するなよ!!」
と美月をどかそうとしていた。それでも、美月、
「変えて!!」
と必死になって言うと、少年たち、急に歌番組にチャンネルを変えては美月に対し、
「それじゃ、このアイドルのダンスをやってみてよ!!」
と言ってきたのである。これには、美月、
「えっ、これって・・・」
と黙ってしまう。というのも、このときの歌番組に出演していたアイドルはプロレベルのダンスをすることで有名だったのだ。そのアイドルのダンスを美月にしろと少年たちは言ってきたのである。そのため、あまりの難しさに美月は愕然とするしかなかったのだ。
ただ、それでも、このアイドルのダンスをしないと美月は歌番組を見ることができない、ということもあり、美月はできる限りテレビに映し出されるアイドルのダンスの真似をしようとしていたのである。
だが、所詮、美月は幼かった。なので、プロレベルのダンスに追いつくことは無理があった。美月、
「はっ、はっ、はっ」
と少しでもそのダンスに追いつこうとするもそのアイドルと美月の差は歴然だった。そのダンスと比べても美月のダンスは年相応のものだった。そのため、少年たちから、
「へたくそ!!」
と言われてしまう始末。これには、美月、
「うぇ~ん」
と泣き出しそうになった、そのときだった。突然、
「こりゃ!!」
と鬼の形相の美月が少年たちのところに突進し少年たちを蹴とばした。これは少年たちが美月をいじめている、そう鶴見が思ったからである。
そして、鶴見は泣いている美月に対し、
「大丈夫だったか?」
と尋ねてきた。鶴見は美月にとって頼れる姉御である。美月になにかあったときは鶴見が飛んできては美月のことおをなにかあったときには鶴見が飛んできては美月のことを助けるのである。で、今回も鶴見は美月を助けたのだが、この鶴見の問いに、美月、
「うぇ~ん」
とさらに泣いてしまった。これには、鶴見、
「美月、どうした?」
と再び尋ねると、美月、今の思いを口にした。
「私の踊り、へたくそ、って言われた・・・」
そう、美月は傷ついていた。少年たちは自分の踊りがへたくそだと言われることを・・・。美月にとって踊ることは自分のアイデンティティであった。その踊りを少年たちは貶したのである。そのため、美月からすればこの少年たちの行為は美月の心をえぐるものだった。
ただ、そんな美月の思い知ったのか、鶴見はこんなことを言い出してきた。
「美月、今日はうまく踊れなかったけど、次は完璧にそのダンスをマスターしよう!!少年たちにバカされるくらいなら完コピするくらいに、完璧に踊ればいいんだよ!!」
そう、鶴見は美月に対して励ましの言葉を送ろうとしていた。ただ、ただの励ましだと美月はさらに傷つく。なので、鶴見は完コピできるくらいは完璧に踊ることを言ってきたのである。
だが、それが美月の今後を決めることになった。この鶴見の言葉を聞いて、美月、はっとするとこう思ってしまった。
(た、たしかに、鶴見の言う通り!!完コピできるくらい、完璧に踊ればいい。完璧に踊れば、バカされない。完璧えあるべし!!)
そう、美月は鶴見の言葉を真に受けてしまったのである。美月にとって鶴見は頼れる姉御である。それが、今回、自分が好きな踊りを少年たちがバカにしたのである。もうそんないやなことにはなりたくない、その思いが美月をそういうふうにしていたのである。
こうして、美月は独学でダンスの練習や体力づくりをするようになり、1年後、まえまで踊ることができなかったプロレベルのダンスをするアイドルのダンスを完全にマスター、いや、踊ることができたのである、美月は・・・。
ただ、これには1つの弊害が起きてしまう。美月は踊りに、いや、ダンスに完璧さを追い求めようとしたばかりか今度は自分のすべてにおいて完璧さを追い求めようとしたのである。いや、今まで隠されていた美月の完璧主義者としての血が呼び覚まされたのかもしれない。とはいえ、美月はより完璧さを追い求めるようになりダンスはおろかすべてにおいて完璧であるべきと考えるようになったのである。また、より完璧であるためになにかあるときにはあのときの、少年たちにバカされたときの、あのテレビに映っていたアイドルのプロ級のダンスのことを思い出してはそのアイドルのダンス以上のものを、より完璧なものを追い求めるようにしたのである。
だが、そんな美月にもいやなことがあった。それは美月が中1のときのことだった。むろん、施設の閉鎖についてであった。これには、美月、
(みんなとバラバラになる。それはいや!!鶴見とかほとバラバラ、いや!!」
といやがっていたのである。というのも、Liella!のあのステージを見たあと、美月、
(私のダンス、鶴見とかほの役に立ちたい!!なら、スクールアイドル、やる!!)
とやる気をみせていたのである。そのため、そのステージ以降、美月は鶴見とかほと一緒にスクールアイドルの練習を一緒にしてきたのだが施設の閉鎖により3人がバラバラになろうとしていたのである。これにはかほは抗議していたのだが、逆に美月は、
(どうすれば・・・、どうすれば・・・)
と理詰めすぎてしまいなにも言えなかった・・・。
そんな美月、鶴見、かほに対し救世主が現れた。そう、ある男が施設の閉鎖を聞きつけて勝どき学園から美月たち3人をスカウトに来たのだ。これには、美月、
(私たちに、スカウト、きた・・・。これはチャンス!!完璧なダンス、さらに完璧、する!!)
と思ったのか二つ返事で勝どき学園入りを決めたのである。
そして、スカウトにきた男こと悪鬼のもと、美月はいろんなダンスの技術を叩き込まれることになった。これにより、美月のダンスは超成長をとげ、どんなアイドルのダンスを完コピして完全にマスター・・・するだけでなく、そのダンスを組み合わせて新しいダンスを作り出すこともできるようになった。
そんな美月に対し悪鬼はこんなことを言ってくる。
「いいか、美月、お前のダンスは超一流だ。いや、完璧だ。だからこそ、それを戦いに活かせ!!完璧なものほど勝利に近づくのだ!!)
この悪鬼の言葉に、美月、
(完璧であればいい、それなら勝利に近づく。勝ち続けるには、完璧、じゃないとダメ)
と、これから進む道、完璧であること、それをさらに追い求めること、いや完璧じゃないとダメ、そう思えるようになったのである。こうして美月はより完璧になろうとしていた。それにより美月たちPWは連戦連勝を重ねることになった。
そして、今に至るのだが、美月はこの「対決」についてこう考えていた。
(私は完璧、だからこそ、勝利できる!!私、完璧を追い求める。完璧こそ正義!!)
この思いとともに美月は完璧なダンスでもって相手チームを圧倒、こうして今回も勝利をもぎ取ったのである。