3人一緒での初めての練習を始めてから1時間後、何度もやったものの、車椅子の乃亜にぶつかるなどのアクシデントが多発していた。そんなわけで、
「それじゃ、乃亜、智、紅奈、まずは1つ1つの動きを着実に確認していこう」(花樹)
と、まずは動作1つ1つを確認していくことになった。
そんなときだった。突然、若い女性の声が聞こえてきた。
「練習の進み具合はどう?」
これには、花樹、
「あっ、理亜!!」
と突然入ってきた若い女性ことスクールアイドル部の顧問である理亜に言うと花樹の隣にいた桜花が理亜に対し、
「ちょっとしたことがありまして・・・」
と今日練習で起きたことを1つずつ話してくれた。これには、理亜、
(まぁ、こんな個性的なメンバーがいるなか、初めての練習、それじゃ仕方ないこと・・・)
と花樹と桜花の苦労も理解していた。まぁ、たしかに、車椅子の乃亜、自分のことを男だと辞任しているダンスの得意な智、それに、紅奈、そんな個性的なメンバーばかりのグループを指導している花樹と桜花の苦労もわかるものである。それくらい理亜は花樹と桜花のことを理解していたのである。
ただ、ここに理亜が来た理由は乃亜たち3人の練習の様子を見に来ただけはなかった。理亜はほかの用事のことでもここに来たのである。それは理亜の次の言葉からも如実に現れていた。理亜は花樹と桜花を見るとすぐに乃亜たち3人の方を向いてはこんなことを言い出してきたのである。
「乃亜、智、紅奈、今度の休み、地元で大きなお祭り、ある。そのお祭り、私たち、聖女スクールアイドル部、出場する。なので、今から、それに向けての練習、する!!」
これには、乃亜、
「えっ、本当ですか!!私たちにとって初めてのステージ!!とても嬉しい!!」
と歓喜極めいていた。むろん、智も、
「僕の雄姿をみんなに見せることができる!!」
と勢い込んでいた。
ただ、紅奈だけは2人とは違っていた。このとき、紅奈、こう考えていた。
(私はただの道具・・・。他人の指示があればそれに従うのみ・・・。そう、私はただの道具・・・)
それはまるで誰かの操り人形のようであった。自分には意思がない、ただ、他人の指示を受けてそれに従うのみ・・・、そう感じられるものであった。
一方、花樹と桜花はそれどころではなかった。というのも・・・、
(うそだろ!!まだ3人合わせての練習を始めたばかり、それも全然あっていない・・・。そんな状況の中でお祭りのステージなんて無茶がある!!)(花樹)
(う~ん、なんとかしてでも形にしなければお祭りのステージは失敗してしまう・・・。そうならないためにも乃亜たちの育成計画をもう1度考え直さないと・・・)(桜花)
そう、現実的にいうと、これまで乃亜たち3人とも個別の練習をしてきたため、3人そろっての練習は今日が初めてであり、なおかつ、いくらやっても合わせることができなかった。それなのに、突然、次のお休みに乃亜たちにとって初めてのステージを行うなんて現時点においてむちゃであった。むろん、成功させるためにもそれに向けての練習を急ピッチで進めないといけないことを考えると今一度乃亜たちの育成計画を考え直さないといけないのは明らかであった。
そのためか、花樹、理亜を責める!!
「理亜、3人合わせての練習は今日が初めてなんだよ。それなのに、今度の休みに祭りのステージなんて厳しすぎる!!なんとかならないわけ!!」
だが、これには、理亜、花樹にこう告げた。
「花樹、すまない。私も、今の(乃亜たち)3人の状況、わかる。だけど、地元の団体の要請を無下に断ることができない。花樹、本当にごめん・・・」
そう、理亜も理亜なりの苦慮があったのである。というのも、あまりの忙しさのあまり、乃亜たち3人の練習の世話をすることができない理亜であったが乃亜たち3人の状況は花樹と桜花を通して把握していた。そのため、乃亜たち3人合わせての練習は今日が初めて、それも合わせることができない、そのことも理亜は知っていた。だが、聖女スクールアイドル部が今でも活動できるのは聖女をはじめとする地元の応援あってのものだった。それくらい聖女スクールアイドル部は地元である函館に根付いていた。そんなこともあり、これまでは地元のお祭りの出演要請があれば聖女スクールアイドル部はスクールアイドルの甲子園であるラブライブ!の日程などといった特殊な事情がない限り出演を快諾するのが普通だった。むろん、その祭りのステージに出演することで練習とは違った本番という経験を得ることができるという利点もあったりする。そんなわけで、たとえ今の乃亜たち3人の状況があったとしても理亜はその祭りのステージをむげに断ることができなかったのである。なので、そのことを知っていた花樹はというと、
(う~ん、むげに断れることができないことも仕方がないのだけど、今の乃亜たち3人の状況じゃ・・・)
と悩んでしまっていた。
ただ、理亜はその言葉に続けてこう告げた。
「あと、今さっき、あつこから連絡、あった、乃亜たち3人の初めての曲が完成したと・・・」
この理亜の言葉に、桜花、驚く。
「えっ、ついに乃亜たち3人にとって初めての曲が歓声したのですね!!」
この桜花の言葉を受けて、花樹、こう考えてしまう。
(ついに乃亜たち3人にとって初めての曲が完成した。これが乃亜たちにとっていい起点になってくれたらいいのだが・・・)
翌日・・・、
「1,2,3,4、2,2,34」
と今日も乃亜たち3人は花樹と桜花の指導のもと、3人合わせての練習をしていた。次の休みにお祭りのステージ、ということもあり、個別の練習よりも3人合わせての練習に時間を割いていた。
だが、それでも状況は変わらなかった。
「はい、そこ、前に進んで!!」
と花樹が言ったそばから、
ガチャ!!
「うわっ!!」(乃亜)
と乃亜の車椅子が紅奈の足を踏みつけてしまった。これには、乃亜、
「紅奈、ごめん・・・」
と紅奈に謝るもとうの紅奈はというと、
「・・・」
と無言のままだった。これには、桜花、
(やっぱり、昨日の今日じゃ変わるわけないよね。たしかにその通りだけどこれを次の休みのお祭りのステージ本番にまでには間に合わせないといけないんだよね。いったいどうすればいいわけ・・・)
と悩んでいた。
そんなときだった。突然、
「花樹、桜花、お待たせ!!」
と1人の若い女性が花樹と桜花のもとに現れた。これには、花樹、
「あっ、理亜!!」
とその女性こと理亜の名を呼ぶ。そう、そこに現れたのは理亜だった。
そんな理亜は花樹と桜花に対し、
「花樹に桜花、ある人を連れてきた」
と言うと理亜の隣にもう一人の若い女性が現れては花樹に対しこう言ってきたのである。
「花樹さん、お久しぶりです。あつこです」
これには、花樹、
「あつこ、お久しぶり!!」
と大きな声をあげては喜んでいた。そう、理亜の隣に現れた女性はあつこであった。本名、蝶野あつこ。前作「SNOW CRYSTAL」をすでに読んでいらっしゃる読者の方ならもご存じだろう。あつこが聖女に通っていたとき、あつこは、理亜、(理亜の姉である)聖良の2人が組んでいたスクールアイドルユニット「Saint Snow」の曲の作詞作曲などのサポートを一手に引き受けていたの。そのため、まわりからはあつこのことを「Saint Snow第3のメンバー」と言われていたのである。そして、聖良が卒業した後、紆余曲折を経て、花樹、理亜とともに「SNOW CRYSTAL」を結成、スクールアイドル活動をまい進、その結果、ラブライブ!優勝を果たした、それくらいのレジェンドであった。そんなこともあり、乃亜、
「まさか、あのレジェンドスクールアイドルのあつこに会えるなんて・・・」
と目をキラキラにさせていた。一方、紅奈は、
「あっ、あつこ、お久しぶりです。前回はお世話になりました」
とお礼を言うと、智、そんな紅奈に対し、
「えっ、紅奈、あつことなにか関係があるわけ?」
と紅奈に質問する。たしかに、紅奈はあつこと面識があるようなそぶりをしていたようである。これには、紅奈、こう答える。
「えぇ、たしかに。だって、あつこは、私たち聖女スクールアイドル部にいつも曲を提供してくださるから・・・」
この紅奈の言葉に続いてあつこもこう答える。
「まぁね。たしかに、私、こうみえてもスクールアイドルなどの曲を作詞作曲する職についているからね!!それに、昔、私がお世話になった部だもの。だから、私、いつもこの聖女スクールアイドル部に曲を提供しているの!!そう考えると(聖女スクールアイドル部の部員である)紅奈さんとは周知の仲といっても過言じゃないんだよね!!」
そう、あつこは、現在、作詞作曲家として活動していたのである、それもスクールアイドルなどの曲を中心に。あつこは母校である聖女を卒業したあと、付属の大学に進学、大学3年のときに作詞作曲家になりたいと思い東京の音大に編入、そこで有名な作詞作曲家に従事、そこで作詞作曲の腕を磨いては数年間に函館に戻ってきたのである。その後、あつこは函館の地にてスクールアイドルなどの曲を中心に作詞作曲することになったのだが、どうしてか、あつこ、今や新進気鋭の作詞作曲家として人気になってしまった・・・。ただ、これには、あつこ、
「それはちょっとほめ過ぎだよ~」
と今でも謙遜していた。
とはいえ、あつこがこの場に現れた、ということは・・・、
「もしかして、私たちの新しい曲が完成したのですね!!」(紅奈)
そう、ついに聖女スクールアイドル部の新曲が・・・、乃亜たち3人にとって初めての曲がついに完成したのである。これには、乃亜、智、ともに、
「ついに私たちにとって初めての曲・・・。緊張する・・・」(乃亜)
「僕たちにとって初めての曲かぁ~。ちょっと感慨深い・・・」(智)
と緊張と感動が一度に押し寄せていた。
そんな乃亜たち3人に対し、花樹、あつこにこう言ってくる。
「あつこ、それなら、早く、その曲を聞かせて!!」
この花樹の言葉に対しあつこは、
「はいはい、わかったわ」
と対応するとともに桜花と理亜に対し、
「それじゃ、学校の視聴覚室を借りるからその手続きをしてね」
とお願いをした。これには、理亜、
「なるほど、視聴覚室ね!!」
とあつこに言うと、あつこ、
「そう、この曲を見せるためのね!!」
と意味深な発言をした。と、ここで、桜花、こんな反応をみせる。
「ということは、ついにあの映像も完成したのですね!!」
この桜花の反応に対し、あつこ、ただたんに、
「うん、その通り!!」
と言葉にした。むろん、これには、理亜、
「あぁ、あれを見せる、のか・・・」
と反応をみせるも、乃亜たち3人、置いてきぼりをくらったのか、
「?」
と頭の上にハテナマークを浮かべてしまった・・・。