ただ、そのすべてがうまくいっている・・・わけではなかった。放課後・・・、
「たしか、こう動いて、こうして、ああして・・・」
と乃亜は1つ1つの動作の確認をしていた。このあと、乃亜は智と紅奈とともに3人合わせての練習をすることになっていた。そのための最終確認を乃亜はしていたのである。
そして、ついに時間になった。乃亜は、智、紅奈とともに花樹と桜花のもとに集まった。ちなみに、理亜は今日もいろんなお仕事により不在であった。むろん、あつこも次の作詞作曲をするために自分の家へと戻っていた。
そんな乃亜たち3人に対し花樹はこう言った。
「少しずつ合うようになってきたけどまだまだだと思う。それでも頑張ってできる限り合わせていこう!!」
これには乃亜たち3人とも、
「「「はい!!!」」」
と大きな声を出した。
そして、始まった合同練習。乃亜は競技用の車椅子を動かしながら一生懸命パフォーマンスをしていた。少しでもあの映像の旺夏のパフォーマンスに近づけるように乃亜は一生懸命練習していた。そのせいか、乃亜、
(ふ~、ここまではなんとか誰にもぶつからずにパフォーマンスすることができた。この調子で頑張っていきます!!)
と思えるくらい誰にもぶつからずにパフォーマンスをすることができた。あの新曲のパフォーマンスの映像は乃亜たち3人にとって1つの指針となった。この曲に出会うまでは乃亜たち3人ともどうパフォーマンスすればいいか、いや、花樹と桜花を含めてわからないことが多かった。乃亜みたいな車椅子のスクールアイドルはあまりいない、ということはそれを含めた上でパフォーマンスした経験をしたことがあるスクールアイドルなんていないことにもつながってしまう。そのため、この新曲に出会うまでは、つまり、3人合わせての最初の練習のときは、乃亜たち3人、花樹、桜花、いろいろと考えながらパフォーマンスの練習をしていたのである。むろん、それはとても難しいものだった。だから、3人合わせての最初の練習の時は、乃亜、智、紅奈、ともによくぶつかっていたのである。だが、新曲、乃亜たち3人にとって初めての曲、その曲の映像はどうすれば車椅子の乃亜にぶつからずにパフォーマンスすればいいのか、それを指し示す1つの指針となった。今はその指針のもと、新曲の映像にあった3人のパフォーマンスをもとに乃亜たち3人がそれぞれ頑張ってパフォーマンスしようとしていた。むろん、それは乃亜たちにとって新たなるもう一つの指針になろうとしていた。というのも、この映像のパフォーマンスをもとに車椅子の乃亜がぶつからずにパフォーマンスできるようになればその経験がもとになって乃亜たち3人のパフォーマンスの幅が広がる、といえたのである。そんなこともあり、この映像のパフォーマンスは乃亜たち3人、花樹、桜花にとってその基礎となるものとなったといえた。
まぁ、そんなことは別にして、乃亜、パフォーマンスをしている最中、つい、智の方を見る。すると、
(なんか、智、まるであの(新曲の)映像のパフォーマーと同じようなパフォーマンスをしているようにみえる。。智も頑張っているんだね)
と、乃亜、そう考えてしまう。そう、智はあの新曲の映像のパフォーマーと同じようなパフォーマンスをしていたのである。というのも、智はもとからダンスは得意中の得意であった。そのため、新曲の映像のパフォーマーと同じパフォーマンスを、特にダンスについては少しの練習をするだけで完璧にマスターできたのである。ただ、とうの智本人はそんなことなて考えていなかった。むしろ、
(今は乃亜と紅奈の3人でダンスをしている。僕1人でダンスをしているわけではない。だからこそ、乃亜と紅奈と呼吸をあわせていかないと・・・)
と、智、乃亜と紅奈と呼吸を合わせることに集中していた。たしかに智はダンスは得意中の得意であった。だが、それは智1人の場合の話である。ほかの人とダンスをすることはよくある話である。その場合、ほかの人と呼吸を合わせる必要がある。そして、今回も智はほかの人と、乃亜と紅奈とともにダンスを、パフォーマンスをしている。そのため、智は自分のダンスのことよりも、ほかの2人、乃亜と紅奈と呼吸を合わせることに集中していたのである。
だが、そんなときだった。突然、
ドカッ
という音とともに、智、
「えぅ!!」
と後ろを振り返る。すると、そこには・・・、
「えっ、紅奈!!」(智)
そう、紅奈が智にぶつかってきたのである。
と、そこにさらなる不幸が降りかかる。突然ぶつかった智と紅奈に向かって、乃亜、
「あっ、ごめん!!」
と車椅子ごと2人にぶつかってきたのである。これには、智、
「うっ!!」
と乃亜を受け止めると乃亜に向かって、
「乃亜、大丈夫?」
と心配そうに言った。すると、乃亜、
「それだったら大丈夫!!」
と元気よくみせていた。むろん、これには、花樹、桜花、ともに、
「3人とも心配させないでくれ・・・」(花樹)
「無事でなりより・・・」(桜花)
とほっと胸をなでおろしていた。
ところが、ここで、智、紅奈に対しこう叫んでしまう。
「紅奈、なんでぶつかってきたわけ!?そこは紅奈がくるポジションじゃないだろ!!」
そう、今回の衝突の原因をつくってしまったのは紅奈だった。というもの、本当なら智が当初予定していたポジションに移動するのと同時に紅奈が別のポジションに移動する手筈であった。だが、その紅奈がそのポジションに移動せず、逆に智が行くはずのポジションに間違って移動してしまったのである。そのため、智と紅奈はぶつかってしまいさらにそこに車椅子の乃亜もぶつかってきたわけである。むろん、乃亜も間違って2人にぶつかってきたわけではない。たまたま2人がぶつかってきた場所が乃亜のパフォーマンスする際の経路にかぶっていたのだ。さらに乃亜は車椅子に乗って移動していることもあり急に止まることができなかった。そのため、乃亜も2人にぶつかってしまったのである。
とはいえ、その原因をつくった紅奈に対し智は怒っていたのだが、とうの紅奈はというと・・・、
「・・・」
と無言を貫いていた。これには、智、
「お詫びの1つもないわけ!!」
と紅奈に対しさらに怒るも紅奈はただ、
「・・・」
と無言をいまだに貫いていた。
すると、智、紅奈に対しキレてしまう。
「紅奈、少しは本気でパフォーマンスをしてくれないのか!!本気にしないとまた同じことが起きてしまうだろうが!!」
ただ、それでも、紅奈、
「・・・」
とさらに無言になってしまった。これには、智、
「もう勝手にすれば・・・」
と匙を投げてしまった。
だが、こんな紅奈であったが内心ではこう思っていた。
(智、ごめん。私、ただの道具だから・・・。ただの道具だから、私、どうすることもできない・・・)
自分はただの道具、そう紅奈は唱えるしかできなかった・・・。いや、唱えざるをえなかった・・・。
こうして、また合同練習を再開するも今度は別の個所で紅奈と智、乃亜がぶつかるといいた失敗が連続して起きてしまった。それでも練習をかさねるも本番当日まで一度もぶつからずに全体を通して練習することができなかった。これではさすがの花樹と桜花も、
「本当に本番は大丈夫なのだろうか・・・」(花樹)
「それはやってみないとわからない・・・」(桜花)
とお手上げするしかできなかった・・・。