ラブライブ!STAR PEACE   作:la55

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函館編 第4話 その5

 そして、ついにお祭り本番の日が訪れてしまった。一回も全体を通して練習することができなかったためか、乃亜、

(一度もすべてを通じて合わせることができなかった・・・。果たして本番では大丈夫なのだろうか・・・)

と心配するほど乃亜たち3人にとって最悪の状態のなかで本番にのぞむことになってしまった。

 だが、それに加えてこの祭りのステージに新たなる要素が加わることに・・・。

「えっ、対バン方式に変更!?」(花樹)

なんと、祭りのステージが対バン方式に変わってしまったのである。というのも、本当であればスクールアイドルのステージは聖女スクールアイドル部の1グループのみだったのだが、昨日になってある学校がこの祭りのステージに参加することを表明、さらに乃亜たち聖女スクールアイドル部との戦いを望んできたのである。ただ、祭りの実行委員会としてはたとえ2グループ増えても楽しくしてくれたらいいのではと当初は考えていたものの、その学校は、いや、国はその大きな権力を傘に祭りの実行員会を屈服させてしまった。その結果、その祭りのステージはその学校のスクールアイドルグループと乃亜たち聖女スクールアイドル部との対バン形式によるステージへと変貌したのである。これには、花樹、桜花、ともに、

(まだ乃亜たちはあまり仕上がっていないんだ!!それなのに対バン方式のステージなんて乃亜たちをさらに傷つけてしまう・・・)(花樹)

(それほど強引に対バン方式にこちらを引きずり込むなんてその学校はこの聖女スクールアイドル部を憎んでいるわけ?昔の私のお父様(木松悪斗)ですらこんな強引さはなかったのに・・・)(桜花)

と乃亜たちのことを心配したり相手のことについてつい考えてしまったりと困惑そうにしていた・・・。

 

 そして、ついに祭りが始まった。その祭りの本部テントには聖女スクールアイドル部の顧問である理亜、指導教員である花樹と桜花、そして、その部員である、乃亜、智、紅奈、がいた。というのも・・・、

「今から聖女スクールアイドル部の相手となる学校の人たちを紹介します」(祭り実行委員会長)

そう、今日のステージ、いや、戦いの相手となる学校のスクールアイドル部との初めての顔合わせをすることになったのである。これには、乃亜、

「いったいどんなスクールアイドルグループが現れるのかな?」

とちょっとわくわくしていた。

 そんななか、ついに相手グループが現れた。すると、突然、相手グループからこんなことを乃亜は言われてしまう。

「くっぷぷぷ、まさか車椅子の部員がいるなんて相手の負け確定でしょ!!」

これには、智、

「開口一番それを言うなんて失礼極まれないだろうが!!」

と乃亜のことを思ってか言ってきた相手に向かって怒鳴ってしまう。

 すると、理亜は智に対して、

「智、今は顔合わせの時間。だからこそ、静かにして!!」

と注意すると、智、

「う~、仕方がない・・・」

と黙ってしまった。

 その後、理亜は相手グループに向かって、

「みなさん、こんにちは。私たちは聖女スクールアイドル部です。おろしくお願いします」

と言うと、乃亜、智、紅奈、ともに、

「「「よろしくお願いいたします」」」

と相手グループに向かって挨拶をした。

 だが、相手グループは違った。乃亜たちが挨拶をした瞬間、

「まぁ、負けるグループに対して挨拶をしたとしても無駄だと思いますがこちらも挨拶するのが礼儀なので挨拶させて頂きます」

と相手グループのリーダー格の少女が嫌味を言いつつも挨拶するようなそぶりをみせた。これには、理亜、

「では、早速お願いします」

とわざとらしく催促をした。理亜としても大切な部員たちに対して嫌味を言ってくる少女にちょっとした意趣返しをしたようである。

 とはいえ、相手グループの2人が自己紹介を始めた、なぜかリーダー格の少女を差し置いて・・・。

「私の名は田町花帆(かほ)です。「勝利こそすべて」、それこそがこの世界の理です。そのことを今日はみっちりとわからせてあげます!!」(かほ)

「私の名は大塚美月。どんなものであっても完璧じゃないとダメ!!完璧じゃないといけない。そのこと、よくわかって・・・」(美月)

「勝利こそすべて」と言い切る少女ことかほ、完璧さを追い求めているであろう美月という個性的なメンバーたち、であったが、その2人を束ねるリーダー格、そして、乃亜たちのことを貶した少女はついに自分のことを紹介した。

「そして、私はこのグループを束ねるリーダーの神田鶴見です。あの方の考えと同じように、「勝利こそすべて」、それこそが私たちのグループのモットー、いや、私たちの学校、国立勝どき学園、いや、国としてのモットー、なのです!!」

そう、その少女こそ、国立勝どき学園のスクールアイドルグループのリーダー、鶴見、であった。

 そんな鶴見の言葉に桜花ははっとする。

「国立勝どき学園・・・、国が世界における勝者を育成するために作られた学校・・・」

国立勝どき学園、桜花の言う通り、国が世界における勝者を育成するために創立された学校であった。そこの卒業生はいまや世界で勝者になろうとしている、そんな噂が流れるほどだった。そんな学校のスクールアイドルグループがここに来た、ということで、桜花、こう考えてしまう。

(まさか、自分たちの考えを体現するためにここに来たって言うわけ?それって昔の(私の)父木松悪斗と旺夏姉さまに似ててなんかいやな気分になるけど・・・。まぁ、昔の私もそんな感じだったのですけどね・・・)

そう、この鶴見を見て桜花はまるで自分の昔の家族のようにだと考えてしまったのである。昔、桜花の父木松悪斗と姉旺夏は「勝利こそすべて」の考えのもと、沼津にある由緒ある女子高、静真を支配していた。それにより静真に統合された浦の星のスクールアイドルグループAqoursのメンバーはこの親子に苦しめれていたのだ。むろん、これには桜花も関わっていたのだがAqoursや静真の生徒会長である月の働きにより桜花は改心、改心した桜花の働きもあり父木松悪斗と姉旺夏は失脚してしまった。ただ、その親子もAqoursと桜花のおかげもあってか今ではその考えから脱却することができた。だが、その考えを持つ者がここに現れたことに桜花はある危機感というか昔の自分たちのことを思い出しては嫌な気分になってしまったのである。

 そんな桜花を見てか、鶴見、乃亜たちんい対してこう宣言した。

「そして、今回、お前たち聖女スクールアイドル部を、私たち、PW、「PerfectWinner」が完全に叩き潰す、悪鬼様の目の前でな!!」

 その鶴見の言葉を聞いた瞬間、花樹、はっとする。

(えっ、まさか、お父様!!)

その瞬間、花樹、がたがたと肩を振るわせていた。まさか、自分の父親が、殺人の罪で警察に捕まったあの父親が、目の前に現れるなんて・・・。

 そして、ついにその瞬間が訪れてしまう。突然、祭り本部のテントに大男が現れては花樹に対してこう言ってきたのである。

「まさか、お前と再会できるとは思わなかったな・・・」

その大男に対し、花樹、こんなことを言ってしまう。

「お、お父様・・・、猪波悪鬼・・・」

そう、その大男こそ、花樹の本当の父親、猪波悪鬼、であった。猪波悪鬼、前作の「SNOW CRYSTAL」ではおなじみであろう、花樹の父親にして木松悪斗のために函館においていろんな悪事を働いた人物であった。だが、理亜やあつこ、花樹の働きなどにより、いや、それ以上に、自分の母親を殺した罪で悪鬼は警察に捕まったはずだった。それなのに、まさか、この場にその悪鬼が現れるなんて花樹からすれば寝耳に水だった。

 そんな花樹たちに対し、悪鬼、恨みつらみのごとくこう言った、大声で・・・。

「俺は、お前たち、聖女スクールアイドル部のせいで俺の人生をめちゃくちゃになった、その恨みを晴らすためにここまできたんだ!!いいか、お前たち、ここで完全に叩き潰す!!そう覚悟しておけ!!」

そう、この戦いそのものは悪鬼の恨みによるものが大きかった。悪鬼は昔といえ、高校時代の理亜やあつこ、花樹のいた聖女スクールアイドル部によって人生をめちゃくちゃにされた、と今でも思っていたのである。だって、その契機となったのだが花樹たちがいた聖女スクールアイドル部、いや、理亜、あつこ、花樹たち、聖女スクールアイドル部「SNOW CRYSTAL」との戦いだったのだから・・・。その戦いによって悪鬼はこれまでの悪事が、自分の母親殺害のことがばれてしまったために警察に逮捕され、長い間、獄中生活を余儀なくされたのである。なので、悪鬼からすれば、昔のこととはいえ、今でもそのときのメンバーである理亜や花樹がいる聖女スクールアイドル部への恨みを持っており、その恨みを晴らすために、いや、完全に潰すためにここに現れた、といえた。

 そんな悪鬼の言葉に対し、理亜、こう考えてしまう。

(なんか器の小さい人にみえる、あの悪鬼・・・。まさか、私たちへの恨みを晴らすため、ここにきた、わけ・・・。なんか引いてしまう・・・)

理亜からすれば悪鬼のこの行動は完全なる逆恨みとしかみえていなかった。たしかに悪鬼が去れたのは自分たちの昔の行動のせいともいえた。ただ、それは悪鬼がこれまでいろんな悪事を働いたため、だといえた。それを、まさか、理亜たちのせいとされたらなんて思ったらそれは単なる悪鬼の逆恨みではないかと理亜はそう考えてしまうものである。

 ただ、こんな悪鬼の言葉に対して誇らしげにする人物が1人いた。それは鶴見であった。悪鬼の言葉に続けとばかりにこう言ってきたのである。

「私は悪鬼様の考え、「勝利こそすべて」、その考えを広めるため、そして、悪鬼様の願い、お前たち聖女スクールアイドル部を完全に潰すこと、それを実現するためにここに来た!!ひれ伏すがいい!!そして、私たちをたてまつれ!!」

これには、智、

「う~、完全に引いてしまう・・・」

とドン引きするくらいだった。

 だが、悪鬼たち国立勝どき学園の方は一応自己紹介した、ということで、礼儀を尽くすべき、なのかどうかは別にして、理亜たちも簡単ではあるが聖女スクールアイドル部の部員たちの自己紹介を行った。

「まぁ、それはさておき、こちらも、私たち、聖女スクールアイドル部の部員たちを紹介する。3年でリーダーの紅奈、2年の智、そして、車椅子の部員は1年の乃亜・・・」

その理亜の言葉を聞いた瞬間、悪鬼、これまで勝ち誇ったような表情から、一転、顔をこわばらせてしまう、こう言いながら・・・。

「なぜ、ここに君がいるんだ・・・。なぜだ・・・、なぜだ・・・。たしかに・・・、俺は・・・、君を・・・潰したはず・・・」

それはまるで悪鬼がなにかに怯えているような感じだった。むろん、これにはこれまで自分の父親の突然の登場で怯えていた花樹も自分と同じようになにかに怯えている自分の父親、悪鬼の今の姿に、

(えっ、悪鬼が、私の父が、なにかに怯えている。これって一体・・・)

と不思議に思ってしまうほどだった。

 そんな悪鬼を見てか、鶴見、

「悪鬼様、少しは落ち着いてください!!」

と悪鬼に言うとともに理亜たちに対して、

「それじゃ、首を洗って待っておきなさい!!勝つのは、私たち、国立勝どき学園スクールアイドルグループPW、なのだから!!そして、そんな私たちを見てこう思うのでしょうね、「勝利こそすべて」だと!!」

そんな鶴見たちを見てか、智、こう考えてしまう。

(相手は勝つ気満々だ!!それじゃ、僕たち、負けてしまう・・・。だって、僕たちのグループは一回もすべてを通して合わせることができなかったんだから・・・)

そう、相手は「勝利こそすべて」、その考えのもと、勝つ気満々の鶴見たちである、対して、自分たちは、智たちは、一度もすべてを通して合わせることができなかった、それくらい2組の実力の差は歴然だったのである、なので、そんな自分たちが相手に太刀打ちできるなんてできない、圧倒的な差で負けてしまう、そう感じてしまったのである、智は・・・。そのためか、智、少し焦りを感じていた。

 ただ、その一方で乃亜はこんなことを考えていた、その場を去っていく鶴見たちを見ながら・・・。

(本当に「勝利こそすべて」なのかな・・・。なんか違う気がする・・・)

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