ラブライブ!STAR PEACE   作:la55

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函館編 第4話 その9

「私はね、このホテルで育ったの・・・」

と紅奈はそういうと1枚の写真を智に見せた。その写真を見て、智、こう言ってしまう。

「このホテルって北海道にたくさんあるホテルじゃないか・・・」

そう、紅奈が智に見せた写真、そこに写っていたのは北海道各地にたくさん作らていたホテルであった。

 そして、智はついにあることに気づいてしまった。

(もしかして、紅奈って、そのホテルの・・・)

その思いとともに智はそのあること、気づいたことを口にした。

「もしかして、紅奈って、そのホテルのオーナーの娘・・・」

 すると、紅奈、こう答えてくれた。

「うん、私はそのホテルの、いや、ホテルチェーンのオーナーの娘なの・・・」

そう、紅奈は北海道に数多くあるホテルのチェーンの一人娘であった。このホテルは北海道各地に数多く設置されており、そのホテルのチェーンのオーナーは「北海道のホテル王」ともいわれていた。むろん、そのためか、そのホテルチェーンのオーナーは(元Aqoursのメンバーであった)小原鞠莉の父親(その人も、いや、(世界的財閥である)小原財閥の総帥でありその1つである世界的ホテルチェーン小原ホテルのオーナーでもある)からしても一目置かれていた人物でもあった。むろん、そのことを知っている智は、

「それって本物のお嬢様じゃないか・・・」

と紅奈の正体にびっくりするくらいであった。

 だが、そんな智に対し、紅奈、ある事実を話す。

「たしかにみんなからみれば私はお嬢様にみえるけど実際は私はただの道具でしかないの・・・」

その紅奈の言葉に、智、

(紅奈はたしかにお嬢様だ。だけど、紅奈はその裏でなにかを隠している。ならば、ここはどんな手でも使ってでも聞き出すしかない!!)

と思ったのか真面目な表情をして紅奈にあることを尋ねた。

「でも、さっきから紅奈は自分のことを「ただの道具」としか言っていないけど、どうして?正直に話してくれ」

それは紅奈の核心を、いや、紅奈の存在意義について包み隠さず言うように問うものだった。むろん、それについては今さっきから智が紅奈に対していろんなかたちで尋ねていたのだが、紅奈の正体がわかった今、それは(今さっきとは違い)完全に、紅奈の核心、紅奈の存在意義、それを包み隠さず紅奈は言わないといけない、そんな雰囲気になっていた。

 そんなことに、紅奈、

(もう智に隠すことなんてできないね・・・)

と察していたのか、智に対しある事実を、紅奈の核心を、紅奈の存在意義そのものを伝えた。

 

「私はね・・・、生まれたときから・・・、私の両親の道具としてみんなから扱われていたの・・・」

 

そう、紅奈は小さいときから、いや、生まれたときから自分の両親から、いや、みんなから「道具」として扱われていたのである。むろん、これには、智、

「・・・」

と言葉を失うほどだった。

 そんな智に対し紅奈はその理由を語った。

「私は生まれたときから「女性である」といった理由で、将来、政略結婚させること前提で私の両親から育てられてきたの。そして、そのことをわかっているのか、それとも、北海道有数のホテルチェーンのオーナーの娘といった理由で近寄ってくる人が多かったの・・・」

 このあと、紅奈はこれまで自分の身に起きたことを語った、言葉を失った智に対して・・・。

 

 紅奈の父親は絵にかいたような昔ながらの父親、いわゆる、昭和、いや、戦前の父親像みたいな人であった。そのため、関白亭主、いや、自分こそこの家の、ホテルチェーンのすべてだと思っている父親であった。そんな父親であったためか、生まれてくる子どもが男なら自分のホテルチェーンを継ぐべく英才教育を施し、女であったらこのホテルチェーンを継いでくれる、いや、自分の息のかかった男性と政略結婚させるための道具として育てることが最初のうちから決めていたのである。

 そして、その両親から紅奈が、女が生まれた。ただ、このとき、紅奈の母親にとって高齢出産だったということもあり、紅奈の父親は紅奈以外を生むことをしなかった。そのため、紅奈は政略結婚させるための道具として育てられることが決まったのである。

 こうして、紅奈は生まれたときから政略結婚させるための道具として育てられてきた。たとえば、良き妻として活躍・・・、いや、嫌な虫(男性)が寄り付かないように紅奈は小さいときから女性のなかだけで育てられてきたし、幼稚園のときから函館のお嬢様学校である聖女に通っていたのである。また、今でさえ登下校のときも自分の家の車で送り迎えをするほどであった。

 さらに、紅奈は小さいときから自分の父親からこんなことを言われていたのである、たびあるごとに・・・。

「紅奈、お前は私の道具なんだ!!ただの道具なんだからな!!」

この言葉は紅奈がどんなことをしても必ず言われる言葉であった。どんなときでも絶対にこの言葉を父親が発するため、紅奈の脳内ではその言葉の虜に・・・、いや、「自分は(自分の)父親の道具である」という刷り込みがなされたのである。なので、紅奈はどんなときでも「私はただの(父親の)道具である」と思い込んでしまうのである。

 また、紅奈は北海道有数のホテルチェーンのオーナーの娘である、その自室があるゆえに紅奈に近寄ってくる人はみな、、紅奈に対してよそよそしい対応をいつもしてきたのである。それは、小中高、すべてのときにおいてでもあった。それがたとえ相手が子どもであってもその子の両親から、

「あの子(紅奈)は北海道有数のホテルチェーンのオーナーの一人娘だからこそ今のうちに取り入ってなさい」

と言われ紅奈に近づこうとしていた、それくらい、紅奈のまわりの人はみな打算的であった。ただし、紅奈に近づく者はみな、紅奈の父親から

「私にとって役に立つやつしか近づけさせるな!!」

と言われては紅奈の父親の手によって選別されるため、紅奈に近づくことすらできぬ者が多かった。さらに、紅奈の父親に認められた者であってもその父親から、直接、

「紅奈は私の大事な道具である。そのことを忘れるな」

と言われてしまうため、その人ですら紅奈のことを「紅奈の父親の道具」として大事に扱われるほどだった。

 そのためか、紅奈からすればそれは「自分は本と運い自分の父親の道具なんだ・・・」とさらに思い込む結果になったのである。

 そして、聖女の高等部に進学したとき、紅奈は紅奈の父親の命でスクールアイドル部に入部した。それは聖女にとってスクールアイドル部は日本一になるくらい、とても有名な、そして、強豪である部であったこそ、さらに、

(紅奈に箔をつける意味でも入部させるか・・・)

という紅奈の父親の打算的な、紅奈という道具に箔をつける意味で紅奈はスクールアイドル部に入部させたのである。

 こうして、紅奈は自分のことをただの自分の父親の道具としかみれなくなったのである。

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