ラブライブ!STAR PEACE   作:la55

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函館編 第4話 その10

 と、そんなことを簡単に、そして、わかりやすく智に話した紅奈であったがそれを聞いて、智、ある思いに達する。

(それってたんなる紅奈の父親のわがままじゃないか!!それなのに紅奈はなんでそんな父親の道具としか自分をみれないわけ?それっておかしいことだよね!!)

智からすれば紅奈の話はあまりにもイラつくものだった。智は自分が男であると思っているにも関わらずほかのみんなから女としか扱われなかった。そのため、智、その人たちに対し「僕は男である」と反発してきたのだ。なので、智にとって理不尽だと思えるものには、智、いつも反発していたのである。そして、今回の紅奈の話を聞いて、智、紅奈を自分の道具としかみていない紅奈の父親だけでなく自分のことを父親の道具だと思い込んでいる紅奈に対して理不尽であると怒っていたんである。

 そのためか、智、紅奈に対しこんなことを言い出す。

「紅奈、それって紅奈の父親も紅奈自身も理不尽すぎる!!紅奈はただの道具?それってとてもおかしいことだよ!!」

これには、紅奈、

「智、それは仕方がないことなの・・・。私は本当にただの私の父親の道具なのだから・・・」

と小声で言い返すも、智、紅奈に対しはっきりと、

「紅奈、「私はただの道具」という呪縛、いつまでもかかっているわけ?」

と言うとさらにこんなことを言ってしまう。

「僕からすれば紅奈のその言葉はただの、紅奈が自分自身にかけたただの呪縛にしかみえないよ!!」

これには、紅奈、

「私は本当にただの道具・・・」

と言い訳を言おうとしていた。

 だが、ここで、智、

(もうこんな紅奈はいやだ!!ならば・・・)

と意を決したと思うと紅奈に対し、

「紅奈!!」

と言ってはどんどん紅奈に迫ろうとしてきた。これには、紅奈、

「・・・」

となにも言えずにただ後ろに下がろうとするも、

ドン

と壁にぶつかってしまう。その瞬間、智

ドンッ

と紅奈に対し思いっきり壁ドンを繰り出した!!これには、紅奈、突然のことだったためか、

(えっ、これってどういうこと?)

と頭の中がパニックになってしまった。

 そんな紅奈に対し、智、

(ならば、その「道具」という紅奈の呪縛、僕が解いてあげる!!)

と思うとともにこんなことを大声で紅奈に対して言った。

「紅奈、「自分はただの道具」、その考えは紅奈にとってたんなるまやかしでしかないんだ!!」

だが、この智の言葉に紅奈はただ、

「私はただの道具・・・、それはまやかしなんかじゃ・・・」

と否定的な言葉を発する。これには、智、

(もしかして、紅奈、自分の父親によって洗脳されているのでは?そうにちがいない・・・)

と紅奈が今置かれている状況に気づく。そう、紅奈は自分の父親によって「自分は父親の道具」であると洗脳されていたのである。そのためか、智が熱く言っても紅奈は智の言葉を聞き入れてくれなかったのである。

 そこで、智、

(ならば、別のアプローチを試してみるか)

ということで紅奈へのアプローチは少し変えることにした。まず、智、鬼気迫る表情から一転、優しい表情になる。これには、紅奈、

(えっ、智、いったいどうしたの?)

とさらにパニックになるも、智、そんなことを気にせずに紅奈に対しこう優しく語り替えた。

「紅奈、紅奈と僕は似ているよね、自分のまわりの環境が・・・」

これには、紅奈、突然の智の不意打ちにみえたのか、

(えっ、えっ!!)

と困惑に次ぐ困惑になってしまった。そのためか、紅奈、

「えっ、それってどういうこと・・・」

とついつい智の話の流れに飲み込まれてしまった。これには、智、

(よしよし、ようやくくらいついてきたな)

と思ったのか紅奈に対しこんなことを話始めた。

「僕は小さいときから自分のことを男だと思ってきた。だけど、僕の両親は、いや、まわりのみんなからは「智は女だ」と強要されてきたんだ」

そう、智は小さいときから自分のことを男であると思っていた。だが、智の両親は、いや、智のまわりにいるみんなは智に対して女であることを強要してきたのである。これには、紅奈、パニック状態から早く抜け出したのか、それとも、自分と同じ同類である、という安心感を得たいのか、どうかはわからないが、智のこの言葉に、

(えっ、それって私と同じ状況・・・)

とつい考えてしまう。でも、そう紅奈がそう考えても仕方がないことだった。紅奈も智と同じく、自分の両親、いや、自分のまわりにいるみんなは紅奈に対し「紅奈は紅奈の父親の道具」であることを強要してきたのである。その意味でも智が言う通り智と紅奈はまわりの環境が似ていたといっても過言ではなかった。

 そんな紅奈に対し智はさらにあることを尋ねた。

「でもね、紅奈、たしかに僕と紅奈は自分の両親や自分のまわりから供されている点は確かに似ている。だけど、僕と紅奈にはまったく違うところがあった。それってなにかな?」

この智の問いに紅奈はただ、

(私と智が違うところってなに・・・?それって、なに?)

とわからなくなったのか、ただ、

「・・・」

と黙ってしまった。それくらい、智の問いは紅奈にとってとても難しい問いだった。

 そんな紅奈の困っている姿をみてか、智、なにかを決めようとしている表情になるとともに、

(ならば、それを紅奈に教えてやる!!)

と思うままに紅奈に対し智と紅奈にある決定的な差について大声で伝えることにした。

「それはね・・・、まわりに対してあらがおうとしているかどうかなんだ!!」

この智の言葉に、紅奈、

(まわりに対して抗う?)

ときょとんとなるも、智、続けとばかりにその理由を紅奈に伝えた。

「僕はまわりに対して抗うことをしたが紅奈は抗うことをしなかったことだ!!」

そう、智は「自分は男である」と女であることを強要してくるまわりに対してあらがっていた。それに対し、紅奈は「自分は自分の父の道具である」と自分の父親から洗脳されてしまった結果、まわりにあがらうことなんてしなかったのである。で、その点を突かれたのか、紅奈、

「まわりにあらがっていない・・・」

と動揺しまくっていた。一種の洗脳状態である紅奈にとって智の言葉は今まで生きていたなかで一度も言われたことがないものだったからである。そのため、紅奈、智の言葉に動揺しまくっていたのである。

 そんな紅奈に対し、智、さらに畳みかける。

「紅奈、このままだったら紅奈はずっと自分の父親からただの道具として扱われてしまう。そうなってしまうと紅奈はずっと不幸な人生を、茨に包まれたままの人生を歩むことになってしまんだぞ!!」

たしかに智の言う通りであった。もし、紅奈がこのままだったら、自分の父親の道具としてずっと生きていくのであれば絶対に紅奈はずっと不幸な人生を、茨に包まれたままの人生を歩むことになる、だって、紅奈のことすべてを自分の父親によって決められてしまう、紅奈の意思に関係なくすべてが決まってしまう、そんな不自由な人生を生きることになるのだから・・・。

 そんな智の言葉に紅奈は悩んでしまう。

(私はただの道具・・・。でも、ずっと、私の父の道具・・・。でも、それって・・・、私の人生・・・、ずっと・・・、ずっと・・・、不自由になる・・・。それって、それって、不幸なこと・・・なの・・・?どうなの・・・)

紅奈、「これからの自分の人生が不幸になる」という智の言葉を聞いて、それが本当なのかどうか、本当にそうなるのか、悩んでいた・・・、というか、本当にそうなってしまうのかわからなくなってしまったのである。そのためか、紅奈、智に対してこんなことを尋ねてしまう。

「智、本当にこのままだと不幸になるの?どうなの?」

それは紅奈にとって心からの叫びなのかもしれない。

 そんな紅奈の心からの叫びを受け取ったためか、智、

(よし、あともう少しだ!!)

と思ったのか、すぐに紅奈に対しこう優しく語りかけた。

「紅奈、たしかにこのままだと紅奈はきっと不幸な人生を歩むことになる。それだと僕も悲しくなる。そう考えると、僕、紅奈にそんな悲しい人生を歩んでほしくないと思えるんだ」

こんな智の優しい問いかけに、紅奈、こんな戸惑いをみせる。

(えっ、本当にこのままだと私は不幸になるわけ!?それって・・・、それって・・・)

紅奈からすれば、智の、自分のことを大事に思っている、でも、自分の不安を助長させる、そんな優しいと不安が入り混じった問いかけはこれまで生きてきたなかで味わったことがないものだった。これまで紅奈は自分の両親から厳しく育てられてきた、いや、自分の両親の言いなりだったのである。なので、紅奈、いつも自分の両親からは命令口調で言われ続けられてきたのである。また、紅奈のまわりも北海道有数のホテルチェーンのオーナーを父にもつ紅奈を持ち上げるようなことばかりされてきたのである。そのため、紅奈は智がみせた優しく自分のことを大事に思っている、でも、自分を不安にさせるような対応に初めて触れたことで紅奈の心にはこれからの不安が生まれ、そして、それはさらに助長していったのである。

 そんな紅奈は智に対しこんなことを言った、不安そうに・・・。

「智、私、これかの人生、不幸になるの・・・、不幸のままなの・・・。それって・・・、それって・・・」

すると、智、不安そうになる紅奈に対し、

「うん、紅奈、このままだと本当に紅奈の人生は絶対に不幸になる」

と紅奈の言葉に同意してしまう、いや、同意したのである。

 こうなってしまうと紅奈はこうなってしまうものでして・・・、

「う~、私、不幸のまま一生を終えてしまうんだ・・・。うぇ~ん!!」

と、紅奈、泣き出してしまう。そう、ついに紅奈のなかにある不安が紅奈自身の限界を越えてしまったのである。これにより紅奈の体のなかは不安でいっぱいに・・・、いや、絶望でいっぱいいっぱいになったのである。

 そんな紅奈を見てか、智、こう考えてしまう)

(これまでは僕のシナリオ通り。なら、ここからは紅奈を僕が救うことにしよう)

そう、ここまでは智のシナリオ通りになっていたのである。というのも、智、紅奈が洗脳状態であることがわかると別からのアプローチを、紅奈を不安にさせるようなアプローチをとるようにしたのである。まず、智は紅奈に対し自分と同じ環境であることを言うことで共感を得るものの、紅奈とは別々の道を歩んでいること、このままだと紅奈は不幸になる、そうゆさぶりをかけることで紅奈に不安を与えそれを助長させ、最後にダメ押しをすることで紅奈は(紅奈の父親とは別の意味での)絶望を与えたのである。そんな紅奈に対し、智、ついに、ついに、自分の決定的なターンを決めようとしていたのである。

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