こうして、乃亜、智、紅奈の3人は祭りの舞台についに立った。このとき、観客席からヤジが飛んできた。
「さっさと無様な格好をみせろ!!」(鶴見)
「まぁ、負けてとぼとぼと変えるのがオチだね」(かほ)
「完璧じゃないもの、みせて、終わる。それって最悪な結末・・・」(美月)
そう鶴見たちPWの面々だった。鶴見たちPWはヤジを飛ばすことで乃亜たち3人の意欲をそごうとしていたのである。
ところが、乃亜たち3人はそんなヤジなんてもろともせず、
(今はこのステージを全力で楽しむべし!!絶対に大丈夫!!)(乃亜)
(今はこのステージを楽しむことに集中!!楽しめばなんとかなるはず!!))(智)
(先輩たちはいつも全力で楽しもうとしていた。ならば、今の私だって、「道具」から解放された私なら、先輩たちと同じようにこのステージを楽しむことができるはず!!)(紅奈)
と3人ともこのステージを全力で楽しむことに集中していた。
そして、ついに乃亜たちの3人の・・・、初めてのステージが幕が上がった・・・。
函館編 第4話 聖女スクールアイドル部 挿入歌 「僕たちのFirst Step!!」
僕たちは 今 First Stepを踏み出す
(ワン)まわりを見て
(ツー)落ち着いて
(スリー)みんなと一緒に
(フォー)動き始める
これが僕たちの 初めての練習
合わせないと いけないのだけど
みんなバラバラで 合わせきれない
(これまでに失敗はなし!!いや、それ以上に、なにも気にせずに、全力でパフォーマンスができている!!まるですべてがうまくいっているかのようだ!!)(乃亜)
(ここまで失敗がないなんてすごい!!これが紅奈のいう「楽しむこと」の魔力なのかもな!!)(智)
そう、ここまでは失敗もせずにパフォーマンスができていた。初めてのステージのため、少しぎこちないものになっていたがそれでも失敗せずにパフォーマンスできているのは乃亜たち3人にとって大きな前身といえた。
でも、それだけではなかった。智は紅奈の方を見る。すると、智、
(なんか紅奈の動きが前よりもよくなっているじゃないか!!)
とつい思ってしまう。そう、紅奈のパフォーマンスが前よりも、いや、今までのなかで1番の動きをしていたのである。このとき、紅奈、こう考えていた。
(なんか以前よりも動きがよくなっている!!これって、もしかして、それってこれまで私が自分のことを「ただの道具」としか考えていなかったからかも。その考えを捨てたことで、そして、逆に「楽しむこと」を考えるようになったことで、私、これまで以上に動けるようになったんだ!!)
そう、紅奈の動きが前よりもすごくよくなっている理由、それはこれまで紅奈が自分のことを「ただの道具」としかみていなかった、からだった。自分のことを「ただの道具」としか考えていなかったときはそれが重しとなって紅奈の動きを制限していた、いや、「ただの道具」になっていたのである。だが、智のおかげもありその重しが取れたことで紅奈本来の動きを取り戻すことができたのである。そして、「楽しむことがすべて」という考えにより紅奈の動きはさらによりよくなったのである。
こうして、乃亜たち3人、ともに、いや、同時に、こう考えるようになったのである。
(((ならば、もっとこのステージを楽しんでやる!!!)))
その瞬間、
(えっ、智と紅奈の思いが一瞬流れた!!)(乃亜)
(なんで2人の思いが僕に流れてきたんだ?)(智)
(なんか2人の思いが一瞬わかったような気がする!!)(紅奈)
と3人の心は直結した。これには、乃亜、
(なんか智と紅奈の声が聞こえてきた。これって2人と心でつながったわけ?)
と思うとつかさず、智、
(たしかにその通りかもな!!)
と言い返すと紅奈も、
(そうともいえるね!!)
と言い返した。それは俗にいう、心のつながり、かもしれなかった。乃亜たち3人の思いがつながった瞬間、3人の心は1つになった、3人の心同士がつながった、のかもしれない。
とはいえ、乃亜たち3人とも順応が早かったのか、乃亜は智と紅奈に対しこう叫んだ。
(私たち3人の心はつながったんだ!!ならば、このステージ、3人一緒に、もっともっと楽しもう!!)
これには、智、紅奈、ともに、
((うん、わかった!!))
と元気よく返事した。乃亜たち3人はこのステージを全力で楽しもう、そう決意したのである。
初めてだけど とても悔しい
だからこそ僕たちは もっと練習して
絶対に絶対に 合わせてみせる!!
一方、鶴見たちPWは乃亜たち3人のパフォーマンスを見て困惑していた。
(うそだろ!!あいつらは私たちの完璧なパフォーマンスを見て絶望していたはず!!それなのに、なんで、楽しく、それもノーミスでパフォーマンスしているんだよ!!)(鶴見)
(えっ、なんでノーミスなんだ・・・。たしか、「勝利こそすべて」だったはず・・・。それなのに、なんで、楽しく、それでいてノーミスなんだ!!意味わからん!!)(かほ)
(たどたどしいけどノーミス・・・。完璧とは程遠いけど、それでいてノーミス・・・。理解不能、理解不能・・・)(美月)
乃亜たち3人ともそれほどうまくはなかった。たどたどしいパフォーマンスだった。それでも乃亜たち3人はまったくのノーミスで、それでいて楽しくパフォーマンスをしていた。そのためか、観客たちも次第に笑顔になっていた。いや、しまいには、
「聖女スクールアイドル部、頑張れ!!」
「もっと頑張って!!」
という声援が聞こえるようになってきた。それはまるで鶴見たちPWや悪鬼以外の観客すべてが乃亜たち3人の虜になった、そんな感じだった。そのためか、鶴見、
(これっていったいどういうことなんだ!!この状況を誰か説明してくれ!!)
とさらに困惑してしまった。これまで鶴見たちPWはいろんな高校に行っては対バンによりその高校のスクールアイドルたちを倒してはいつもそのスクールアイドルたちに対して絶望を与えてきた。だが、今はいつもの状況とは違っていた。今は鶴見たちPWの3人とも完全アウェーであり味方なんて誰もいなかった。いや、絶望すべき対象である乃亜たち3人は絶望もせずに楽しくノーミスでパフォーマンスをしている、その乃亜たち3人がこのステージを楽しんでいる姿を見て鶴見たちPW3人と悪鬼の除く観客全員が乃亜たち3人を応援している、そんなこれまでとは逆の状況に鶴見たちPW3人はさらに困惑していたのである。
一方、乃亜たち3人は自分たちの心をつないだまま、こう檄を入れた。
(智、乃亜、ついにサビに突入です!!今まで以上に全力を出しましょう!!)(紅奈)
これには、乃亜、智、ともに、
(わかりました!!もっと全力を出しましょう!!)(乃亜)
(紅奈、わかった!!今持てる力すべてをみんなにみせつけてやる!!)(智)
ここからサビに突入する、その思いとともに、乃亜たち3人はさらにヒートアップしていく、そう心に決め、さらに力を入れた。それにより乃亜たち3人のパフォーマンスはさらによくなった。この状態のまま、乃亜たち3人、サビへと、曲の最後へと突き進んでいった。
これが僕たちの FastStep!!
とてもぎこちなくて とても下手だけど
それでもそれでも もっとうまくなって
みんなに感動 させるくらいに
成長するために このFastStepを
大事にしてたい だからこそ僕たちは
楽しみながら 踊り始める
FastStep
これこそ僕たちの
1番最初のマイルストーン・・・
そして、曲は終わった。全体的にはおぼついていてうまいとはいえないものだった。だが、どんなときでも笑顔を乃亜たち3人は忘れなかった。それくらい乃亜たち3人はこの曲を3人一緒に大いに楽しんだのかもしれない。
そのためだろうか、曲が終わってすぐに、乃亜、智、紅奈、ともに抱き合っては、
「私たち、最後までやり切ったんだね!!私、とても嬉しいよ!!」(乃亜)
「あぁ、僕たちはさいごまでやり切ったんだ。初めて最後まで合わせることができたんだ!!」(智)
「私、初めて自分の意思で最後までパフォーマンスができた!!それもこれも智と乃亜のおかげだよ!!」(紅奈)
と喜びあっていた。そんな3人を見てか、観客たちからも、
「とても感動した~」「うぅ、嬉しいなぁ」
「なんか青春だね~、アオハルだね~」
と乃亜たち3人のパフォーマンスを見て感動を口にしたり、
「これが初めてなんて・・・」「よくやったな!!」
と初めて最後まで合わせることができた3人に対して声援を送ったりもした。
そして、乃亜、智、紅奈の3人はステージ上に並ぶと3人ともうれし涙を流しながらも観客たちに向かって、
「「「ありがとうございました!!!」」」
と、大きな声で、マイクを使わずにお礼を言うと観客たちから、
「よかったよ!!」「いいぞ!!」
という声援とともに、
パチパチパチ
という大きな拍手が鳴り響いたのであった・・・。