そして、ついに祭り本番の日がやってきた・・・のだが、最初から一触即発の事態になっていた。それは聖女スクールアイドル部と鶴見たちPWとの初めての顔合わせのときに起こった。
「今から聖女スクールアイドル部の相手となる学校の人たちを紹介します」
とお祭りの実行委員長が言うと、開口一番、鶴見がある人に向かってこう言ってきたのである。
「くっぷぷぷ、まさか車椅子の部員がいるなんて相手の負け確定でしょ!!」
なんと、聖女スクールアイドル部の部員のなかに車椅子の部員が1人いたのである。これには、鶴見、
(くぷぷ、車椅子の部員がいるなんて相手の負けは確定でしょ!!)
と自分の目の前ににいる聖女スクールアイドル部のことをバカにしては見下したような発言をしてしまったのである。むろん、これには聖女スクールアイドル部の男っぽい恰好をした部員から、
「開口一番それを言うなんて失礼極まれないだろうが!!」
と怒りに満ちた言葉を言われるもその部員は聖女の指導者らしき先生から、
「智、今は顔合わせの時間。だからこそ、静かにして!!」
と注意をなぜか受けてしまっていた。
その後、鶴見たちPWの対戦相手である聖女スクールアイドル部が鶴見たちに対して挨拶をしたのだが、このとき、鶴見、心のなかで、
(もう負けが確定しているグループなので挨拶は必要ないと思うけど形式的には挨拶はしないとな・・・)
と相手グループを小馬鹿にしてしまうのだがここは挨拶の場ということで仕方なく相手に対して挨拶をした。
「まぁ、負けるグループに対して挨拶をしたとしても無駄だと思いますがこちらも挨拶するのが礼儀なので挨拶させて頂きます」
この鶴見の言葉に相手グループの先生らしき女性はその意趣返しのような表情で、
「では、早速お願いします」
と言うも、鶴見、これには、
(いくら怒っても私たちには関係ない。私たちの恐ろしさをここで思い知れ!!)
と思うがままに自己紹介を行った。
「私の名は田町花帆(かほ)です。「勝利こそすべて」、それこそがこの世界の理です。そのことを今日はみっちりとわからせてあげます!!」(かほ)
「私の名は大塚美月。どんなものであっても完璧じゃないとダメ!!完璧じゃないといけない。そのこと、よくわかって・・・」(美月)
「そして、私はこのグループを束ねるリーダーの神田鶴見です。あの方の考えと同じように、「勝利こそすべて」、それこそが私たちのグループのモットー、いや、私たちの学校、国立勝どき学園、いや、国としてのモットー、なのです!!」
この鶴見たちの言葉を聞いた3人いる聖女の先生のうちの1人は愕然となってしまったのだが、そんなことはお構いなく鶴見はあることを言ってしまった。
「そして、今回、お前たち聖女スクールアイドル部を、私たち、PW、「PerfectWinner」が完全に叩き潰す、悪鬼様の目の前でな!!」
この鶴見の言葉に聖女のもう一人の先生は驚愕したような表情になった。これには、鶴見、
(もしかして、悪鬼様の・・・)
となにかを察した模様。
だが、そんなことお構いなしに話は続く。先ほど驚愕した先生の前にあの男が登場した、こう言いながら・・・。
「まさか、お前と再会できるとは思わなかったな・・・」
で、この男の姿を見て、その先生、さらに驚愕してしまう、こう言いながら・・・。
「お、お父様・・・、猪波悪鬼・・・」
そう、その男こそ悪鬼だった。このとき、悪鬼、こう思っていた。
(まさかここで、俺の娘、花樹と出会うとはな・・・)
そう、悪鬼を見てさらに驚愕してしまった先生こそ、悪鬼の実の娘、花樹、だった。その花樹からすれば実の父親が自分の前に現れるなんて寝耳に水だったようだ。
とはいえ、たとえ実の娘が相手グループの先生をしている、としても悪鬼は加減なんてしなかった。むしろ、悪鬼、こう考えていた。
(だがな、これこそ俺にとってある意味好機なり!!これで、あのとき、俺を陥れたメンバーが(理亜と花樹の)2人になったのだからな!!潰しがいがあるってものよ!!)
そう、あのとき、悪鬼を奈落の底に陥れた聖女スクールアイドル部SNOW CRYSTALのメンバーが(理亜と花樹の)2人がここにいるのである。その意味でもここで復讐を果たすのにはとても十分といえた。それはたとえ自分の実の娘であってもである。それくらい悪鬼のあのときの恨みは底が深いのである。
そのためか、悪鬼、恨み節を理亜たち聖女スクールアイドル部にぶつける。
「俺は、お前たち、聖女スクールアイドル部のせいで俺の人生をめちゃくちゃになった、その恨みを晴らすためにここまできたんだ!!いいか、お前たち、ここで完全に叩き潰す!!そう覚悟しておけ!!」
その悪鬼の言葉には(繰り返しにはなるが)悪鬼がそれほど聖女スクールアイドル部に対する恨みが深いことを意味していた。自分にとって絶頂のときに、自分の主のためになにかを成し遂げる、その瞬間まであともう少し、そんな絶頂のときに敵であった聖女スクールアイドル部にまさかの攻撃をくらった結果、これまでの悪事がばれてしまい逮捕されてしまうというどん底を味わったばかりか今の今までそのどん底を這いずり回っていた、それくらい、悪鬼は理亜と花樹といった聖女スクールアイドル部に対してとても大きな恨みを持っていたのである。そして、今回、その恨みをすべて晴らしてやる、そう悪鬼はここで断言したのである。
そんな悪鬼の恨み節なる言葉に呼応したのか、その悪鬼に心の底から心酔している鶴見がこんな言葉を言い放った。
「私は悪鬼様の考え、「勝利こそすべて」、その考えを広めるため、そして、悪鬼様の願い、お前たち聖女スクールアイドル部を完全に潰すこと、それを実現するためにここに来た!!ひれ伏すがいい!!そして、私たちをたてまつれ!!」
このとき、鶴見、こう思っていた。
(悪鬼様があいつらに対してどれくらい恨みをもっているのか、今、わかりました!!ならば、私たちを拾ってくれた恩に報いるために、この私、神田鶴見、悪鬼様の恨みの対象であるあいつらを完全に潰してあげましょう!!)
実は、鶴見、いや、鶴見を含めたPWの3人とも、悪鬼の過去のことなんてまったく知らなかったのだ。なぜなら、悪鬼は鶴見たちPWの3人に対して自分の過去のことなんてまったく話してはいなかったのである。というのも、悪鬼からすれば逮捕されてから勝どき学園に来るまでの長い期間は悪鬼にとって暗黒期でありその期間のことについては、悪鬼、誰にも話したくなかった、というか、悪鬼にとってこの暗黒期やそれに陥った理由を他人に話すことを恥としていたので誰にも話すことがなかったのである。だが、今回、悪鬼はその恨みの対象である聖女スクールアイドル部が悪鬼の前にいる、それならば、その恥なんて気にしない、自分が恥だと思えるくらいの膨大なる恨みをあいつらにぶつけてやる、そして、膨大なるその恨みをここで完全に晴らしてやる、そんな思いかくる悪鬼のその言葉の重みを悪鬼のそばにいた鶴見は瞬時に察知、これにより鶴見はそんな悪鬼の願い、悪鬼の膨大なる恨みの対象である聖女スクールアイドル部を完全に潰すこと、それを叶える、そうすることで悪鬼への自分たちの恩を、自分たちを拾ってくれた恩に報いることができる、その一心で、いや、悪鬼への忠誠のために鶴見は頑張ろうとしていたのである。
ただ、その一方で、この鶴見の言葉を聞いていたかほと美月はというと・・・、
(あいつらを徹底的に潰す、それこそ、「勝利こそすべて」、を体現できる!!)(かほ)
(完璧なものをして勝利する、ただ、それだけ・・・)(美月)
とこちらはただこの戦いに勝利することのみを考えていた。いや、かほと美月は悪鬼の恨みなんてなんにも考えていなかった。それくらい、悪鬼の恨みとこの戦いに対する思いについては鶴見とかほ、美月のあいだには温度差があったのだ。
そんな悪鬼と鶴見たちPWをよそに対戦相手である聖女スクールアイドル部の顧問である理亜は自分の部のメンバーを紹介する。
「まぁ、それはさておき、こちらも、私たち、聖女スクールアイドル部の部員たちを紹介する。3年でリーダーの紅奈、2年の智・・・」
だが、次にある部員の紹介をしたとたん、状況が急変する。
「そして、車椅子の部員は1年の乃亜・・・」(理亜)
この理亜が言った瞬間、悪鬼の表情がこわばってしまう、こう言いながら・・・。
「なぜ、ここに君がいるんだ・・・。なぜだ・・・、なぜだ・・・。たしかに・・・、俺は・・・、君を・・・潰したはず・・・」
それはまるで悪鬼がなにかに怯えているかのようだった。それは悪鬼の今の思いにも現れていた。
(う、うそだろ・・・。俺はちゃんとあいつを潰したはず・・・。なのに・・・、なんで・・・、なんで・・・、ここに・・・、いるんだ・・・)
本当になにかに怯えている、それくらい、悪鬼の頭のなかはパニックを起こしていたのである。
むろん、これには、鶴見、
(えっ、こんなに怯えている悪鬼様なんて見たことがない!!ここはなんとかしないと・・・)
とあまりにも怯えている悪鬼を見たことがないのか自分自身も少し混乱しつつもここはなんとかしないといけないと思ったのかすぐに、
「悪鬼様、少しは落ち着いてください!!」
と自分の主である悪鬼を落ち着かせつつも、
「それじゃ、首を洗って待っておきなさい!!勝つのは、私たち、国立勝どき学園スクールアイドルグループPW、なのだから!!そして、そんな私たちを見てこう思うのでしょうね、「勝利こそすべて」だと!!」
と言ってはいったんこの場から離れることにした・・・。
「どうしたのですか、悪鬼様?悪鬼様らしくないです・・・」
といまだもって混乱している悪鬼に対して鶴見が心配そうに言うも悪鬼はただ、
「いや・・・、まさか・・・、あの娘が・・・、潰したはずの娘が・・・、なぜここにいるんだ・・・」
と言うだけだった。そのためか、鶴見、
「私は悪鬼様がこんな状態だからあいつら(聖女スクールアイドル部)にはああ言ったけど、この状態がずっと続いたら私は・・・、私は・・・」
と鶴見も次第に混乱するようになった。今さっき、対戦相手であり悪鬼の恨みの相手である聖女スクールアイドル部に対して啖呵を切った鶴見であったがそれは鶴見自身にとって大切な存在である悪鬼を救うためであった。だが、悪鬼の今の状態がこのままずっと続いてしまうとさすがの鶴見もどうしたらいいのかわからなくなってしまうものである。
そんな鶴見に対しかほはこう考えてしまった。
(このままじゃ鶴見がダメになってしまう。いや、勝ち戦も負け戦になってしまう。ここはこの私がなんとかしないと・・・)
鶴見はこれでも自分たちPWのリーダーである。そんな鶴見が混乱した状態のままだとせっかくの勝ち戦も負け戦になってしまう、これだと、「勝利こそすべて」、の信念から外れてしまう、そうかほは思ったのである。
そのため、かほ、鶴見に対してこう言った。
「鶴見、よく考えて。たとえ悪鬼様が混乱していたとしても私たちが相手に勝てばいいわけじゃない!!私たちはこれまで全戦全勝じゃない、それも圧倒的な力でもって。それなら今回もそうであればいいんじゃないの!!」
そう、これまで鶴見たちPWは圧倒的な力でもって相手をひねりつぶしては勝ってきたのだ。それも、全然全勝、なのである。それなら今回も圧倒的な力でもって相手を、乃亜たち聖女スクールアイドル部を潰していけばいいだけ、というわけである、かほからすれば・・・。
そんなかほからの言葉を聞いてか、鶴見、一瞬で目を覚ます。
(たしかにそうだ!!私たちがいつもの通りに圧倒的な力でもってあいつらをひねりつぶせばいいんだ!!そうすればきっと悪鬼様も正気になってくれるはず!!)
鶴見は思った、今迄みたいに、悪鬼の信条、「勝利こそすべて」、圧倒的な力をみせつけてあいつらをひねりつぶすことで完全なる勝利をみせつければいい、そうすれば自分の主である悪鬼ももとに戻る、と。
その思いとともに鶴見はこう言い放った。
「あぁ、そうだ!!私たちが圧倒的な力でもってあいつらに勝てばいいんだ!!そうすればあの悪鬼様も元に戻るはず!!ならば圧倒的な力をあいつらに見せつけてやる!!」
この鶴見の言葉にかほはこう思った。
(そうだ。私たちはPerfectWinner、PW、なんだ!!圧倒的な力でもって相手をひねりつぶし完璧な勝利をする、「勝利こそすべて」、それを地で行くグループなんだ!!「勝利こそすべて」、それこそ大事なんだ!!)
かほのモットーは「勝利こそすべて」である。たとえなにがあっても圧倒的な力でもって完璧な勝利を遂げる、それこそ、かほにとってとても大事なものだった。だからこそ、今のメンバー、鶴見と美月と一緒に勝ち続ける、それこそがかほの願いであったのだ。で、それを実感したのか、かほ、鶴見と美月に対してこう言った、元気よく。
「あぁ、あんな弱い相手に対して圧倒的な力でもって勝利をもぎ取ろう!!」
その言葉のあと、かほはこんなことを2人に対してこう提案した。
「とはいえ、相手がどんなものなのかを知るために相手の練習を見に行くことにしよう」
たしかに相手は弱い。だが、どんなものを隠しているのかもしれない。なので、相手のことを知るのも大切である。そのため、相手の練習を見に行く、それをすることで勝利するための布石にする、それをかほを実行しようとしていたのである。まぁ、そんなことなんてすでに知っている鶴見と美月はかほのその提案に、
「うん、わかった!!」(鶴見)
「わかった、行く、べき」(美月)
と言っては同意していた。
こうして、鶴見たちPWは相手こと乃亜たち聖女スクールアイドル部がいる練習場所へと行くことにした。