そして、双葉を含めて練習が始まった。
「1,2,3,4、2,2,3,4」
先生の合図とともに双葉も、
(1,2,3,4、2,2,3,4)
と心のなかで声を出しながら準備体操をしていた。これからスクールアイドルとしての一番大事な体力づくりをするためでもある。ケガをしないためにも準備体操は大事であった。
とはいえ、双葉以外まだ入りたてに1年生だったため、双葉以外のまわりの人たちはまだぎこちない感じであった。そんな新入生に対して九はこうアドバイスする。
「スクールアイドルは楽しんでなんぼだよ!!だから、今をもっと楽しまないと!!」
その言葉を聞いた瞬間、まわりの人たちからぎこちなさが消えていった。いや、みんなが笑顔になっていった。それを見ていた天と隣にいた愛に対してこう言った。
「九って先生、凄いじゃない!!一瞬でここにいる生徒たちの緊張をほぐすなんて・・・」
そう、まさに天の指摘している通りであった。生徒たちがごこちなかったのはこの学校に入ったばかりだから、といった理由だけではなかった。天に愛というこの学校を代表する2人がいたからであった。2人に認められたら上に行くチャンスがある、そう生徒たちは思っていた。だが、その気持ちによって焦るに加えて学校を代表する2人がいることだけでも生徒たちは緊張していたのである。焦りと緊張、それが生徒たちがぎこちなる原因を作っていた。だが、九はそれではなく、「スクールアイドルを楽しむ」、その重要性をたった二言で生徒たちに説いてみせた結果、生徒たちはその重要性知り自ら今を楽しもうと、スクールアイドルを楽しもうとするようになったのである。
そんな九を見て、愛、こう思った。
(やっぱり雪穂の一番弟子であるね。「楽しむことがすべて」、それをたった二言で体現したのだから・・・)
愛からすれば九の先生であった雪穂は戦友で会った。雪穂がいたからこそ愛はこれまでスクールアイドルとして、「楽しむことがすべて」、を教える先生としてやってこれたのである。そんな雪穂の一番弟子である九こそ雪穂イズムを継承している、それくらい凄い先生である、と思ったのである。それくらい愛も九のことを認めていることの表れだったのかもしれなかった。
そんななか、九はある生徒を見つける。
「あれっ、なんでみんなと一緒に練習しないのかな?」
そう、九が見つけたのは練習に参加していない3人組であった。その3人組に九は近づくと九はこんなことをその3人組に言った。
「ねぇ、どうしてみんなと一緒に練習しないのかな?一緒に練習すると楽しいよ!!」
ところがその3人組はそんな九に対してこんなことを言って反論してきた。
「なんで1年生と一緒に練習しないといけないんだよ!!」
「「そうだ!!そうだ!!」」
九に対し反抗的な態度をとる3人組、そんな3人組に対して九はこんなことを言った。
「みんなと一緒にスクールアイドルを楽しもう!!それが1番だよ!!」
だが、そんな九の叫びも3人組には効いていなかった。それどころか・・・、
「私たちは1年とは違うんだ!!」
「「そうだ、そうだ」」
リーダー格の少女の口撃に追撃を加える2人、これにはさすがの九も、
「う~、話が通じないよ・・・」
とがっかりするしかなかった・・・。
そんな九の頑張りを見ていた少女が1人・・・、
(あれっ、九先生、がっかりしている・・・。一体どうしたのかな?)
その少女はがっかりしている九とこの3人組を見てふと思ったのか、その3人組に近づいてみた、こう言いながら・・・。
「そこの3人組、一体どうしたの?」
これには、その3人組、その少女に対してこんなことを言った。
「お前こそ今日入ってきたばかりの新人だろうが!!私たちに文句を言うつもりか?」
「「そうだ、そうだ!!」」
ところが、その少女はその3人組に対してこんなことを言ってきた。
「私、あなたたちにちょっと興味が湧いてきたよ!!」
これには、3人組、
「えっ、それってどういうこと・・・」
「「ううう・・・」」
とタジタジになってしまう。まさか、反抗的な態度をみせたのにその少女はまったく予想外の態度をとってきたのだから・・・。
そんな3人組に対してその少女はどんどん食い入るようにこうこたえた。
「私、百道双葉、福外の3年生なんだけど、もっとあなたたちのこと、教えてくれない?」
その少女こと双葉は3人組にどんどん迫っていく。これにはさすがの3人組も、
「迫ってくるな!!」
「どっかに行って!!」
「こ、こわい・・・」
と怖がってしまう。
ただ、それでも双葉はその3人組に対して、
「そんなに怖がらなくても大丈夫だから!!」
とついに3人組のそばまできてしまう。これには、3人組、
「「「もういや!!」」」
と涙目になってしまった・・・。
それでも双葉は3人組の懐に来ては・・・、
「こら、双葉、これ以上この3人組を困らせないこと!!」
と、ここで、九、3人組に近づく双葉を止めに入る。これには、双葉、
「は~い!!」
と言って3人組に近づくのを辞めた。そのためか、3人組、
「「「ほ~」」」
と胸をなでおろした・・・のも束の間、双葉からこんなことを言ってきた。
「でも、3人組に興味を持ったのは本当だから、この3人組と一緒に話をしてもいい?」
これには、九のそばにいた愛、天からも、
「この子たちのためになるならいいよ」(愛)
「もしかすると落ちこぼれからなにかに変わるきっかけになるかもしれないからね」(天)
と双葉の考えに同意してしまう。。これにはその3人組から、
「愛先生と天先生の裏切り者!!」
「「そうだ、そうだ!!」」
と抗議するも、双葉、
「それじゃ、3人組のこと、もらっていくからね!!」
と3人組の首根っこを掴んではどっかに行ってしまったのである。そんな双葉に対し、九、
「双葉のどこに3人組を連れていくほどの力があるのかな・・・」
と少し疑問になるも、すぐに近くにいた愛と天に対してこんなことを尋ねてみた。
「ところで、あの3人組、一体だれなの?」
すると愛がこんなことを言ってきた。
「あの3人組・・・というか落ちこぼれなのですが・・・」
キキィ
双葉は3人組を掴んだまま空き教室に到着するとその勢いのまま、
「ところで、あなたたちって、名前、なんなの?」
と尋ねると連れてこられた3人組とも、
ガクッ
と肩を落としてしまった。まぁ、双葉も双葉でこの3人組についてなにも知らず興味本位でここまで連れてきたのですから・・・。
すると、3人組のリーダー格がこんなことを双葉に言ってきた。
「まずはお前から名乗るのが常識だろうが!!」
これには、双葉、
「たしかにそうだね!!」
と納得の表情。
というわけで、双葉、自ら名乗りでる。
「私の名前は百道双葉、1か月間、スクールアイドル修行のために福博女子付属に来た福外の3年生!!」
これには3人組のリーダー格の少女は、
「修行・・・、この福博女子付属で修行・・・」
と言うと、双葉、
「な、なにかあるの?」
と言うとそのリーダー格の少女はこんなことを言った。
「この福博女子付属で修行なんて命知らずだね。ここ福博女子付属はスクールアイドルになりたい少女ばかりいるんだぞ。それなのに修行だなんて・・・」
だが、双葉はまじめにこう言い返した。
「私は福外のためにラブライブ!優勝を狙っているのです!!だからこそこの福博女子付属でスクールアイドルの基礎をみっちりと覚えないといけないのです!!」
この双葉の真面目な言葉に3人組のリーダー格の少女はこう答えた。
「ラブライブ!優勝・・・、それを真面目に言うなんて・・・」
このリーダー格の少女にとっても双葉の言葉はココロに響くものだったのだろう。そのためか、リーダー格の少女は続けてこんなことを言った、心の叫びとともに・・・。
「お前の気持ち、たしかに届いた・・・。私たちもラブライブ!優勝を目指したい。でも、私たちはたんなる落ちこぼれ・・・。お前みたいに夢見ることなんてできない・・・。どうすることもできない・・・」
このリーダー格の少女の言葉に双葉は呼応する。
「なんで落ちこぼれ名の?落ちこぼれにみえないのだけど・・・」
たしかに双葉の言う通りであった。リーダー格の少女を含めて体つきは運動部員並みにすっきりしていた。いや、筋肉はついている、それがわかるくらいすっきりとしていた。どちらかというと3人とも男っぽい感じであった。それだけでも落ちこぼれにはみえなかったのだ。
だが、リーダー格の少女はこう言う。
「みんなから落ちこぼれとみられているんだ。そう考えるだけで私たちは落ちこぼれにしかみえないんだ・・・」
すると、双葉、もう一度こう言っては尋ねてみた。
「私からみたら落ちこぼれとはみえないよ。なにか原因があるのかな?
この双葉の質問にリーダー格の少女はこう答えた。
「もしかするとみんなとの方個性の違いかもしれない・・・」
これには、双葉、
「方向性の違い?」
ともう一度尋ねると3人組は空いたスペースを使ってあることを始めた、こう言いながら・・・。
「そりゃ、はっと、はっ、とう!!」
これには、双葉、
「うわ~、凄い、凄い!!側転にバク転ができるなんて凄い!!」
とかなり喜んでいた。そう、3人組が始めたのは側転やバク転といったアクロバットであった。3人組は側転やバク転といったアクロバットを次々と成功させていった。むろん、これには、双葉、
パチパチパチ
と3人組が繰り出すアクロバットの数々にかなり喜んでいた。
一方、そのころ、愛、天の言葉に九はこう反応した。
「あの3人組が落ちこぼれ・・・。愛さん、天さん、どういったところで落ちこぼれなんですか?」
すると愛がこう答えた。
「あの3人組はアクロバットを多用するのです。それをほかの生徒たちが真似するとケガをしてしまいます。だからこそ、あの3人組にアクロバットをしないように言ったのです。その結果、あんまり練習しない落ちこぼれになったのです」
この愛の答えに、九、かぶりつく。
「それってあの子たちの個性を潰しているだけじゃないですか!!それって愛さんや天さんの求めている「楽しむことがすべて」に反していませんか?」
この九の言葉に天は、
「たしかにそうですけど・・・」
と言葉に窮してしまう。愛や天はスクールアイドルは「楽しむことがすべて」を体現すべく生徒たちを教えてきた。しかし、大事な生徒たちを守るのも愛と天の務めである。もし、あの3人組みたいにアクロバットをまねようとする生徒が現れたらその生徒がケガをする可能性だってある。だって、アクロバットはケガがつきものだから。なので、生徒たちに気軽にアクロバットをさせたくない、それが愛や天の親心ともいえた。その理想と親心、現実のなかで愛と天は苦しんでいいのである。
そんな愛と天に向かって九はこう言った。
「九がスクールアイドルのとき、アクロバットの得意なメンバーがいたよ。そのメンバーのおかげでグループとしてまとまっていなかった状態のなかで県予選を突破できたんだよ!!」
そう、九がスクールアイドルとして、アイランドスターズとして活躍していたとき、アクロバットが得意な1年生がいたのであるが、まだグループとしてまとまりに欠けていたとき、県予選敗退の危機があった。ただ、その1年生の機転でその1年生がアクロバットを披露したことにより九たちアイランドスターズは県予選を突破することができたのである(詳しくはアイランドスターズをご覧ください)。で、その事実を知っている愛と天からすると、
「たしかにそうだけど・・・」
とまたもや言葉に窮してしまう。やはり、ほかの生徒が3人組の真似をしてアクロバットをしてしまうことを気にしているようであった。
ただ、そんなとき、その2人を陰から見ている人たちがいた、こう言いながら・・・。
「いいこと聞いちゃったね、カオルちゃん」
「たしかにそうだね、イリヤちゃん・・・」
一方、そのころ、3人組のアクロバットに感動した双葉はこんなことを言った。
「落ちこぼれじゃないじゃない!!凄い特技、あるじゃない!!」
この言葉にリーダー格の少女は、
「ほ、本当・・・。いつも「危ない」から辞めるようにいわれるのに・・・」
と驚きに満ちた答えを言った。自分たちのアクロバットを見て感動の言葉を言ってきたのが双葉が初めてだったからだった。アクロバットはケガがつきものである。そのため、ケガをしながらもこの3人はアクロバットを極めてきたのである。だが、それを褒めてくれる人がいるなんていなかった。いつもは「危ないから」の一言でアクロバットをするのを辞めさせることが多かった。それが、今日、初めて人を、双葉を感動させたのである。その意味でも今回のアクロバットは意味あるものだったのである。
そんな驚くリーダー格の少女、いや、
「今回やってよかったな」
「「うんうん」」
と嬉しさを前面に出す3人組に対して双葉はこんなことを尋ねた。
「ところで、あなたたちのお名前ってなに?」
すると、3人組は元気よく自分たちの名前を言った。
「私はリーダー格の川端美沙!!」
「七隈須恵!!」「藤崎千代!!」
「「「3人あわせてアクロバッツ!!」」」
そんなかっこよく決める3人組アクロバッツに対し、双葉、こんなことを考えてみる。
「でも、スクールアイドルってアクロバット以外にも歌うことやダンスも大事だよ」
すると、リーダー格の美沙がこう答えた。
「たしかにそうかもしれないけど、それなら大丈夫!!!」
と、今度は歌やダンスを双葉の前で披露する。これには、双葉、
「とてもうまい、うまいよ!!」
とまたもやアクロバッツを褒めたたえる。だって、アクロバッツは・・・、
「まぁ、私たち、みんな3年生だからな!!」(美沙)
「私たちはすでに1・2年のときに基礎を学んでいる!!」(須恵)
「だからこそアクロバットができるんだ!!」(千代)
そう、アクロバッツの3人はともに3年生であった。なので、1・2年のときにスクールアイドルの基礎はすでに学んでいたため、スクールアイドルに必要な「歌唱」「ダンス」ともにマスターしていたのである。
そんな3人組アクロバッツに対し、双葉、
「あっ、そうだ!!」
となにか名案が思いついたらしく、3人に対してこんなことを言ってきた。
「それなら、夜の自由時間のときに私が3人の練習に付き合うっていうのはどうかな?」
夜の自由時間とは放課後の練習のあとの自由時間のことであった。福博女子付属のほとんどの生徒は寮に住んでいる。そのため、放課後のあとの時間は夕食と自由時間を生徒たちのほとんどがとっていた。その自由時間であるが撮り方は人それぞれであった。自分の課題に向けた練習をする者、グループメンバー同士のキズナを深めるために談笑する者など。学校の外でなければ本当に自由であった。むろん、それは1か月間福外での時間以外はスクールアイドルの修行のために福博女子付属の寮に済むことになっている双葉にも同じことがいえた。その自由時間を美沙たちアクロバッツに使おうと双葉に提案してきたのである。
そんな双葉の提案に美沙たちアクロバッツは、
「でも、私たちはラブライブ!優勝を競う身のはず。大丈夫なの?」
と美沙は双葉に尋ねると双葉はこう答えた、笑いながら・・・。
「大丈夫、大丈夫。だってその方が面白そうだもん!!」
そう、双葉はそんな人物だった。ある目標のために一生懸命頑張る双葉にとって楽しむことがすべてであった。だからこそ双葉は福外において生徒会長をやることができたのかもしれない。だって、福外ではこれまで(学校存続のために)みんなが楽しめるようなイベントを双葉が中心となってやってきたのだから・・・。
そんな双葉の言葉に対して美沙たちも、
「うん、なら、双葉、お願い!!」(美沙)
「私たちの技術を伸ばしていくからね!!」(須恵)
「楽しく待っていてくれ!!」(千代)
と嬉しそうに答えてくれた・・・。