鎮守府に提督が帰還しました   作:二クス

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明石が帰還しました

五月雨と鎮守府(家)に来てから二週間弱、鎮守府の建設作業は急ピッチで行われていた。

そのおかげで、資材置場は完成し資材の搬入が既に行われている。

建築ドッグや入渠ドッグは半分も出来てはいないが、今の状況であればもう二週間もあれば出来上がるだろう。

今日も燃料の搬入が行われるため、五月雨と共に港へ向かい輸送船と共に来る艦娘たちを迎え入れに行く。

「今日の燃料搬送はこの前言った通り、五月雨お前が誘導するんだぞ」

「はい! 五月雨にお任せください!」

子どもらしく元気ではつらつとした、敬礼をするが不穏な予感はぬぐえない。

「まぁ、頑張れ」

「はい!」

しかしそんな野暮なことを口にすることはせず、水平線の向こう側から来るであろう艦娘たちを待つ。

「そう言っているうちに見えてきたな」

水平線の向こうから複数の艦娘たちに、一隻の輸送船が姿を出す。

「みなさーん、こっちでーす!」

「……まだ聞こえないぞ五月雨」

「あっ、ご、ごめんなさい」

本気で言ってたよこの子。

ツッコむのに悩んだが、表情豊かな顔は自分の指摘が間違っていなかったことを雄弁に語っていた。

「いや元気なのはいいことだ」

「は、はい……」

恥ずかしがる五月雨を横に待つこと数分。

輸送型船を連れた艦隊が目の前にやって来る。

「あ、あの○○鎮守府の輸送艦隊旗艦暁、と、到着しました」

暁と名乗る艦娘と周りの艦娘はこちらに敬礼をしてくる。

自分の鎮守府とは違う暁の顔に性格。相変わらず少し慣れないものを感じながら敬礼を仕返す。

「こちら、○○鎮守府提督。貴官らの支援に感謝する」

互いにいい所で手を降ろすと、敬礼していた艦娘の中の一人が旗艦の暁を越して前に出てくる。

「はいはい、お久しぶり提督に五月雨ちゃん」

前に出てきたの前の鎮守府に所属していた明石だった。

輸送船が本部からのものであるため、明石が来れることに疑問は無いが何故来たのかには疑問が生じる。

「あっ明石さん! お久しぶりです!」

「何故明石がここにいるんだ?」

確か、本部で各地から集まる装備の改修依頼をこなすようにしたはずだが。

簡単に出てこれないレベルの仕事量であるはず。

考えるも疑問は消えない。

「んー、もしかして必要じゃなかったですか提督?」

にやにやといたずらをしている子供の用に聞いてくる明石。

必要だということを分かった上でしている彼女はいい性格をしている。

「いや、もちろん嬉しいが。お前○○での仕事はどうした?」

「もちろん大丈夫ですよ。ただこちらで仕事を続ける条件付きですけど」

「なるほど」

どうやら本格的にこちらに所属する様だ。

少し効率が悪いのではと思う所はあるが、素直に喜ばしいことではある。

頷きながら、本部との明石の運用について調整しなければいけないなと考える。

「それにしても五月雨ちゃん、元気にしてたー?」

「はい! ここの街の人も提督もみんなよくしてくれて、とっても元気です!」

「おぉ、そりゃ良かったね~」

陸と海の境界線で姉妹のように話し合う、二人。

昔と変わらぬ二人の関係に少し浸る。

やっぱり五月雨と明石は相性がいいんだろうな。

「仲がいいんだな五月雨」

「はい! 明石さんはですね、建造されて日が浅い私にとっても優しくてしてくれて、色々と教えてくれた、とっても優しい人なんです!」

よっぽど優しくしてくれたのだろう。

どんなことで優しくしたのかは分からないが、きっと五月雨がドジしたのを明石が色々とカバーしてくれていたのは目に浮かんだ。

「そうなのか。どんなことを教えて貰ってたんだ」

「例えば――」

「あぁー! 五月雨ちゃん! 提督! さっさと搬入作業始めちゃいましょうよ!」

五月雨がそのことについて話そうとすると、明石が急に大声を上げて話を遮る。

びっくりして明石の顔を見ると、何か恥ずかしいことを五月雨に教えていたのかみるみると、顔を赤く火照らせる。

不思議に思うが、言っていることは正しいため、明石の言葉を素直に受け止める。

「おっとそうだったな、すまないがあそこに輸送船を止めてくれるか」

「は、はい」

○○鎮守府の暁たちは、輸送船を誘導して向かってくれる。

「五月雨、作業している人たちを読んで搬入作業を始めてくれ」

「はい、任せてください!」

五月雨も五月雨で作業員さんたちを呼びに行ってくれる。

もしも万が一があっても作業員さんたちが、サポートして何とかしてくれるだろう。

作業員さんたちに五月雨を任せ、明石と二人の時間が出来る。

「それで何を教えてたんだ」

どうして五月雨の話を遮ってまで隠そうとした話が何なのか少し探りを入れてみる。

「えっ! な、何のことですか!」

「いや、だから――」

「そんなことよりっ! 私に何かしてほしいこととかないですか!」

これは俺について話してくれたのか? いやそれは自意識過剰だな。

昔の五月雨のことを話して、今回は俺に気を遣ってくれているのだろう。

顔を赤くして紛らわしいな。

「まぁしてほしいことはあるんだが」

「なら今すぐやりましょう! 久々に明石の腕見せてあげますから! さっ、何処です、速くいきましょう」

「そこまで言うなら資材置場へ行くか」

「はい!」

明石を陸上に上がらせて、資材置場へと向かう。

資材置き場に到着して、奥から大きな通信機を持ってきて明石の前に降ろす。

「これを直せばいいんですか?」

「あぁ、この前の搬入時に一緒に送られた物なんだが、いかんせん古いのか調子が悪くてな」

「なるほど、それで私がここへ連れてこられたと。ちょっと待ってくださいね状態を確認しますから」

通信機を明石の艤装と繋げ電気を通す。

音を聞き取りながら、慣れた手つきで通信機を開けて中を見る。

「うわー、これ大分いってますね」

明石の苦虫を噛み潰したような顔に、大分悪いんだなと思いながら他人事のように横目で見守る。

「とりあえず使えそうな部分はっと……なるほどなるほど」

「うーん、ほとんど最初から作り直したほうが早そうですねー」

「そうか、時間はどれぐらいかかりそうだ?」

「そうですねー、六時間……いや妖精さんフル稼働なあら四時間ぐらいですかね」

「そうか、それなら晩御飯までには余裕で間に合いそうだな」

「はい、それじゃ私は早速資材持ってきてもらいますので、提督は暁さんたちと私の分のお昼ご飯の用意お願いしまーす」

「分かってるよ」

その場は明石に任せ、言われた通り輸送船の誘導が終わっているであろう暁たちを迎えに行く。

暁たちを鎮守府(家)に迎え入れ、提督育成プログラムで習った調理技術と町の人たちが譲ってくれた新鮮な野菜、魚を使い、料理を振る舞う。

喜んでくれたようで、余分に作っていた料理は小さな艦娘たちの腹の中へと消えていく。

暁たちには財布から幾分かを渡し、町の探索に向かわせ、明石用の料理を資材置場へと再び向かう。

「おーい持ってきたぞー」

「そこに置いておいてください。今ちょっといい所なんで」

集中しているようで、それ以上の言葉は喋らない明石。

久々に作った料理、感想を直接聞いてみたかったんだがな。

少し残念に思うが、後から聞けばいいかと割り切る。

俺も色々としないといけないからな。

一度資材置場を後にし、ご飯を炊いたり、洗濯物を入れたりと忙しくして、ひと段落をしてまた資材置場へと戻ってくる。

「あっ、提督。ご飯いただいてます」

帰ってくると、明石はご飯を置くために持ってきた木箱の上に座りながら食べていた。

「まだ食べきてなかったのか」

「はは、すみません」

「それはいいが、進捗は?」

「八割ぐらいが終わったところですね」

まだ三時間ぐらいしか経ってないはずだが。流石だな。

少し気になり、作業途中ではあるが通信機の中を勝手にのぞかせてもらう。

よくは分からないが、埃まみれだった内部は綺麗に掃除されており、何となく使えそうだなと感じる。

「いい手際だな」

「そこはもちろん、下手に明石一の腕って豪語はしてないですよ」

「そう言えば昔、そんなこと言ってたな。懐かしいな」

空を見つめ、懐かしむ。

明石も懐かしんでいるようで、箸を動かさず、一言も喋りはしない。

「……提督はどうして帰って来たんですか」

感傷に浸っていると、明石が口を開いて聞いてきた。

責められているのだろうか。

……当然だな。

言い訳も何もない、明石達には責める権利がある。

素直に話そうと決め口を開く。

「……そうしなければいけないと思った、手紙を見たら」

「手紙ってもしかして私たちのですか?」

「お前たちと五月雨のだ……」

「そう……だったんですか」

「あぁ……」

また場が静まり返る。

どろりとした思い空気の中、そんな空気を破らんとする肌を叩く音が聞こえる。

何事かと、明石を見ると頬を赤くして、笑顔を作っていた。

あぁ、すまない明石。

「それで完全に持ち直しましたか?」

「完全にとはいかないなまだ」

「確かに、五月雨ちゃんを見てたらやっぱり思い出しちゃいますよねー」

「あぁ、五月雨を見てるとどうしてもな」

 

「だがもう大丈夫だ。もう皆を失わせはしない」

力強く述べると、明石は作っていた笑顔から自然な憂い気な笑顔を見せくれる。

「……そう言うことなら私もまた力お貸ししますよ提督」

「……助かる」

明石のその笑顔と意思を確かに受け止め、今一度深く心に刻みつけて気持ちを切り替える。

明石が明るくしようとしてくれた空気だ。存分に明るくしてみせよう。

「そうかそれじゃお言葉に甘えさせてもらおうかな~」

「はい! いいですよ」

「というわけではい」

ポケットから二枚の折りたたまれた紙を渡す。

「あ、あの提督。何ですかこれは?」

すると明石はさっきまでの自然な笑顔が一変。

なにやらわなわなとしながら聞いてくる。

「ん? 装備の開発予定の書類だが」

「それでもこの数はないでしょ! 妖精さんと私が過労死しますよ!」

「うーん」

首を傾げる。もちろんわざとである。

書類に書いてある装備のほとんどが二桁後半。特に使う予定の物は三桁に上っている。

鬼、悪魔、ブラック提督と心外な言葉が、何処かから聞こえてくる。

「まぁ冗談それぐらいにして、そこに書いてあるのは最終的に必要な数だ。とりあえず必要なのはそこに書いてある数字から10で割った数だ」

「取りあえずこれを二週間後までに――」

「無理ッ!」

「もちろんジョークだ。今必要なのはこれとこれとこれとこれとこれだけだ」

良かったと胸をなでおろす明石。

面白い反応をしてくれるなと、弄りがいのありそうな性格しているなと思いながら真面目に話す。

「いやそれでも十分に多いんですけど」

「だがやれんことも無いのだろう。我が鎮守府自慢の明石殿!」

「うへぇ……」

何処かうんざりしているような明石だが、この後すぐに通信機を直してくれました。そしてそのあと、狂ったように装備開発してくれました。

 

「そう言えばご飯の味どうだった」

「美味しかったですけど、随分と腕落ちましたね」

「やっぱりかー」

「いっぱい働くので提督もいっぱい料理してくださいよー」

「そうだな頑張るわ」

その夜、狂ったように料理を作る提督の姿がありましたとさ。




はい。
明石さんが帰還してくれました。
やっぱりこの人がいないと艦これは始まらないですよね。
大淀もこのタイミングで一緒に登場させようかと悩みましたが、当分は登場させないかもです。
要望があれば、そのうち登場させますが。
取りあえずそんな話は置いておいて。
提督と明石何で本部で会ってないんと疑問に思ったことでしょう。
はっきりと申しまして、単純に失念してました。
五月雨がいるので、単純に忘れていたというのも難しいですし、会いたくなかったというのも立ち直ろうとしている心境的に避けるという選択肢はあまり考えられません。
苦し紛れで設定をつけるなら、明石がちょうど遠征で他鎮守府にいるときに提督が本部で五月雨と会ったというぐらいですかね。
これはこれで、五月雨の建造時期がうんたらかんたら、明石の遠征期間がうんたらかんたらで矛盾が起こりそうなのでこれ以上は触れないでおきます。
ので深く考えないようお願いします。
以上ここまで読んでくださりありがとうございました。
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