鎮守府に提督が帰還しました   作:二クス

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演習が始まります

海岸にて

「今日は五月雨、レーベの初陣だ。北上大井、そして明石はサポートをし過ぎないようにな」

「了解」

皆が元気よく返事して、向こうの艦隊が到着する。

「やっほー○○鎮守府所属の隼鷹でーすっ!」

「ほーい! 同じく○○鎮守府所属第六艦隊旗艦、北上様だ! 今日はよろしく」

「こちらこそよろしく頼む」

 向こうの北上と握手を交わす。

そうすると北上と自分の間に隼鷹が顔を突っ込んで割って入ってくる。

「おーい、提督ー? 無視かー、勝手に酒飲んじまうぞー」

演習ということもありちゃんと酒を断ってきてくれたようだ。

しかし奥側からは密かにアルコールの匂いは残っているが。

「相変わらずだな……」

「んあ? 何が」

「お久しぶりです隼鷹さ――」

「隼鷹はちゃんと私の装備持ってる!?」

大井が隼鷹に喋りかけようとすると、それより先に明石が隼鷹の肩を捕まえ問い詰める。

北上、大井の件があるとはいえ必死過ぎる。

「ったり前だろ。ほら私の自慢の烈風に流星だろ」

隼鷹は艦載機を取り出し、明石に見せてやる。

「うぅ、ちゃんと私のだー」

「うぇ、どうしちまったんだ明石の奴」

「まぁ色々とありまして」

「そ、そうなんだ」

隼鷹はあっちに任せておいて、北上は――

「へーあんたが、海域踏破した北上か」

「何?」

北上は向こうの北上と一触即発な険悪ムードを繰り広げていた。

大丈夫かと少し遠くから見守る。

「あんたに勝って、私が最強だって証明してやる!」

「あっそ、やれるならやってみたら。どうせ出来ないだろうしさ」

「それじゃあんたの言う通りやってやるよ!」

どうやらやる気が十分なだけで、大丈夫そうだ。

五月雨とレーベも向こうの駆逐艦たちと軽空母の人と仲良く出来ているようで一先ず関係は良好なようで安心する。

それから少し駄弁り、演習が始まる。

こちらは隼鷹を含めた六艦の編成、そして相手は軽空母一、軽巡二、駆逐三の編成。

こちらには前線向きではない、明石がいるとはいえ、隼鷹、北上、大井を上手く使えることが出来れば負けることはないだろう。

 

五月雨視点

「うぅ、緊張します」

「そんな肩肘張らなくて大丈夫だよ」

「そうそう、どうせ生死がかかってるわけじゃないんだしさ」

「レーベちゃんもそんな緊張してるんだったら、私の酒でも飲むか?」

「は、はい」

「ちょっと隼鷹さん」

「じょ、冗談だって」

皆さんいい人だな。

うぅ、頑張って皆さんの足を引っ張らないように頑張らないと。

気合を入れるように頬を叩く。

「作戦を開始してくれ」

「はい、○○鎮守府第一艦隊、出撃します」

提督の声を合図に海の上を走る。

 

「あれは」

数分海の上を走っていると、向こうの軽空母の人の艦載機が見える。

「あちゃー、こっちの居場所ばれちゃったね」

「ど、どうしましょ」

頭の中が真っ白になってしまって、あれだけ勉強したことが出てこない。

落ち着こうにも、どうしたら落ち着けるのか分からない。

「と、とりあえず隼鷹さんに索敵をしてもらったらいいんじゃないかな五月雨ちゃん!」

「た、確かに!」

「おっ、やっちゃう?」

「はい、お願いします」

隼鷹さんは早速、というよりすでに準備して私の言葉を聞くと同時に艦載機を飛ばしてくれる。

「うぅ、判断が遅くてごめんなさい~」

「初めてなんだからいいんだよー」

後ろから明石さんの声が聞こえ、落ちそうになっていた心が少し軽くなる。

そうだ、今は演習に集中して、反省会は後にしないと。

「おっ、ビンゴ、敵艦見つけたよー」

「それじゃ、えーと、こ、航空戦を始めてください」

「それじゃパーッと行きますかー。烈風、流星、発艦!」

取りあえずそれっぽく言えた。

少し嬉しく思っていると、後ろから大井さんが突いて上を見るような動作をしてくる。

何だろうと上を見ると、隼鷹さんの艦載機が私が行く方向とは違う方向へ飛んで行っていることに気付く。

そこで大事なことを聞き忘れていたことに気付く。

「あっ、ど、どっちですかー!」

「あー、八時の方向ー」

「八時の方向へ方向転換します!」

「了解」

旋回して、隼鷹さんの艦載機が飛んでいく方向へと走る。

「うぅありがとうございます。大井さん」

「そういうの今はいいですから、頭を回転させて」

「はい」

大井さんはなんて優しいんだろう。

いやいや、今のまま甘えてるだけじゃダメ。ちゃんと考えないと。

「うーん、腕は上げたみたいだけど、まだまだだね。五月雨ちゃん、敵の編成は軽空母一隻、軽巡二隻、駆逐艦三隻。それでそのうちの駆逐艦一隻は大破、現在帰島中だよ」

「了解です」

うー隼鷹さんも凄いな―。

私も頑張らないと。

「敵艦を発見。砲撃の準備を始めてください」

「了解」

「敵の艦攻が抜けてきたみたいだよー」

「は、はい。皆さん撃ち落とす用意を」

「……はい」

あ、あれ大井さんの反応が悪い。

なにか間違えちゃったのかな。

えーと、えーと。

「艦攻の攻撃来ます!」

「は、はい!」

機銃を立ち上げ、艦攻を撃ち落とそうとするが中々落とせない。

皆さんもかなり苦戦している様子。

「敵艦来てるよー」

「えっ!?」

まだ艦攻も落とせてないのに。

こういう時、どうすれば。どうすれば。

「て、撤退しながら迎撃してください!」

「五月雨、大井に指揮を譲渡せよ」

「えっ……」

頭が真っ白になった。

さっきのそれとは違う、まるで頭の中が置き去りにされたような感じ。

提督やっぱり、私駄目だったんですか。

「大井行けるな」

――

「……提督それでいいんですか?」

「五月雨には悪いが、今の出来だと次の演習を取り付けが難しくなってしまう。こちらもある程度、演習相手に相応しいということを示さなければいけないからな」

「大井、了解しました」

「五月雨さん

――

五月雨さんそういうわけだから、私が指揮するわね」

「はい……お願いします」

大井さんに後ろから肩を揺らされ気付く。

悔しくて涙を流しながら首を縦に振る。

私が何も出来ないせいで……。

「全艦打ち方止め。今より敵艦との砲撃を始めます。北上さん魚雷の準備をお願いします」

「了解ー」

「隼鷹さんはそのまま制空権を維持しながら、流星で敵の戦力を分散、レーベさんに五月雨さんは分散した戦力を集中攻撃してください」

私と違って大井さんは凄いな。

あんなに堂々としてて、それでいていっぱい考えてる。

私とは大違いだな。

「はい……」

「北上さん行きますよ!」

「久々に行っちゃうよー」

その後、大井さんたちの目覚ましいほどの活躍により演習は私たちの勝利で終わりました……。

 

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