頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第百四話 芦ノ湖GT 開幕

『ここまで渋川榛名の走りを見ていると、片桐夏向と共通する点が多く見受けられます。挙げ始めるときりがないような気がしますが、特筆して語るとするならドリフトを多用することでしょうか。

 

昨年の渋川榛名は確かにドリフトを使用していましたが、多用するほどではありませんでした。しかし、片桐夏向に触発されてなのかは分かりませんが明らかにドリフトを多用しています。

 

この2人に何かしらの関係があるのかは定かではありませんが、気になるところであります。』

 

「さぁて、残りも少ない。タイヤもまだ残ってる、ペース上げて逃げ切ってやるか。ゴーストで見て…6秒って所か。10秒は引き離しておかねえとな。

 

見とけミハイル、いつまでも玉座にいられると思ったら大間違いだぜ!

 

せぇ…の!どりやぁ!」

 

ギャン ドン パァンパパン

 

『豪快なドリフトと共にコーナーをクリア!暫定トップ!ゴールしたミハイルと比較しても6秒差!しかしミハイルも駅伝ストレートからのヒルクライムでスパートを掛けてきました!

 

このアドバンテージを守り切れるのか!?100号車が駅伝ストレートに突入します!ノーマルでも当時自主規制値280馬力を誇るEJ20ターボですが排気量の点ではどうしても他車両に分があります!

 

じりじりとですが差が縮まってきています、トップスピードそのままにコーナーに突入します!』

 

「もうここからはタイヤを労われない。目一杯ヤバい領域に踏み入れないとな。インプはいつでも応えてくれる。後は俺の心しだい…!」

 

 

「ラスト2キロ。ここからね、去年は見れなかった榛名ちゃんの本気が見られるかもしれないわね。」

 

「本気って、去年ですら本気を出し切れてなかったって事なのか?」

 

「ええ、榛名ちゃんが本気で攻めると、そこにいたはずなのにいつの間にかいなくなってしまう。例えるならそうね…あ、いい例えがあった♪

 

簡単に言えば、トレノちゃんみたいな感じになるのよ。」

 

「え、私?」

 

私の名前が出てくる。突然のことで面食らったけど構わずに解説を続ける。

 

『ミハイルとの差は5.5秒!これは、起こってしまうかも知れません、絶対王者が早くも陥落してしまうのか!?』

 

「トレノちゃんの立ち上がり加速がまるでタイシンちゃんやタマちゃんの末脚みたいなんだけど、それと同じようなことが起こっちゃうのよ。

 

榛名ちゃんがインプレッサに乗ったら引き出しは無限大にあるでしょうね。その結果、あり得ないことが当たり前のように起こってしまうのよ。

 

皆、インプレッサがあんな動きが出来る凄いクルマだと思うでしょうけど、MFG上位100台より出来る事は少ないはずなの。」

 

「それじゃ、なんでこんなことが出来るのよ?いくら引き出しが多いからって…。」

 

「だからこそ、トレノちゃんと同じことが起こるって言ったの。だって、トレノちゃんだってあの走りができる時点でトレセン学園でも異常なのよ?」

 

「えぇ…。」

 

異常って言われても、こっちからしたらあなた方が速すぎて対抗するにはああするしかなかったんですよ。

 

『残り1キロ、ミハイルが4秒差まで迫ってきている!ここまで来たらもう確信してもいいでしょう、致命的なミスが無い限り、P.P.は確実でしょう!』

 

「…不思議よね、あれだけ本気で走ってるのに、どこか楽しそうで…なぜかほんの少しだけ“マージン”を取ってるように見えるんだもの。」

 

 

やっぱり、星野さんのマネっていうのは難しすぎる。GT-Rでドリフトは俺も出来るけど、あそこまで派手できれいなドリフトはまだまだ無理だ。

 

本気も本気だけど、奥の手だけは取っておく。あのラインを見せるのは決勝の最終ラップでないといけない。

 

ミハイルに対してじゃない。夏向対策としてだ。あれほどのウデがあれば一瞬で吸収されてしまう。対抗策は、最後まで取っておかねぇとな。

 

「おっら!ゴールはこの先だ!」

 

『ゴール!3.5秒差、逃げ切りました!昨年に続いてCRで芦ノ湖GT予選を制しました!』

 

 

「あそこまで集中してたら流石にバテるな…今日はもう帰って明後日に備えよ…。」

 

「マジかよ渋川、スゲェ奴だよホントに!」

 

「相葉君、来てたんだ。あれ、当日の関係者しか入れないんじゃなかったっけ?」

 

「オレクラスになれば顔パスだ。セコンドブース申し込んでないのを知った時には驚いたがよ、なんでだ?」

 

「普段から1人で走ってるからさ、インカム通して走るのに抵抗あるだけかな。決勝は多分ほぼ強制で付けないといけないだろうから誰か考えないと…。」

 

池谷さん…は忙しそうだし、中里さんに頼もうかな。この前1週間丸々空いてた位だからいけそうな気がするけど。

 

「だったらトレノちゃんでも座らせておけばいいんじゃねえか?クルマとウマ娘じゃかなり違うだろうが、今後の参考にはなるんじゃねえか?」

 

「グッド、その案頂いた。君さ、意外とトレーナー向いてるんじゃな………いや、無いね、ゴメン。」

 

「おい、それはどういう意味だぁ?」

 

 

 

「ここまで来ておいてなんですけど、本当に私がセコンドでいいんですか?何にもできないような気がするんですけど。」

 

MFG決勝に向かう途中のレストランでお昼を食べる。渋川さんに連れられてきたけど、本当に来てよかったのかな。

 

「大丈夫、トレノちゃんはブースのモニターを見ててくれればいいからさ。見方は緒方さんが教えてくれるからさ。」

 

「まぁ…はい。それより気を付けてくださいよ?雨の中であんなスピード出したらいくら渋川さんでも危ないですよ?」

 

「大丈夫、と言いたいけどね、1セクの死神だけは不安かな。この雨だとどうなってるか分からないし、何の前触れもなくスピンするかもしれない。

 

正直、雨は怖いよ。でも夏向君にとっては違うだろうな、味方にしちゃうかもしれない。」

 

「…渋川さんってこんな気持ちだったんですね。」

 

「え、何が?」

 

「レース前ですよ。いつもは私が走って、渋川さんが送り出す。今日は逆じゃないですか。だから渋川さんがあんなに緊張してたのが分かったんです。

 

思いっきり走ってくださいね。応援してますから。」

 

「うん、期待しててね!」

 

 

 

「それじゃ緒方さん、後お願いね。」

 

「任せてくれ、初めましてトレノちゃん。カナタのメカニックの緒方だ。早速説明するよ。」

 

緒方さんからモニターの説明を受ける。テレビ中継で見るよりも細かい情報が映されている。どんな走りをしているのか、こっちからでも分かるようになってるんだ。

 

「説明はこんな所だな。何か分からないことがあったら言ってくれ。レース中でも大丈夫だからな。」

 

「でも緒方さんもセコンドで忙しいですよね?」

 

「カナタは凄すぎてオレはセコンドで驚いてばかりなんだ。あまり仕事らしい仕事もしてないから大丈夫だと思う。それじゃあな。」

 

そう言って緒方さんは自分のブースに戻っていく。私も出来る事をしないと。夏向さんの時みたいに、何か参考になるかもしれない。

 

 

「アイバ先輩、シブカワさん、グットラック」

 

「おう、そっちもな。」

 

「頑張ろうね。…相葉君、夏向君って直前でも落ち着いてるよね。」

 

「だろ?箱根でもあんな感じだったんだ。プレッシャーを感じねえのか?」

 

「それでもって闘争心マックスな走りが出来るんだから凄いよねぇ。多重人格疑っちゃうよ。私はああいう感じのプロじゃないからさ。」

 

「どの口がそれ言ってるんだよ…まあいい、スタートまで時間ねえぞ。じゃあな。」

 

「うん、また後でね。」

 

相葉君とも別れてクルマに乗り込む。渡されたインカムを付けて少し話してしてみる。

 

「あー、あー…聞こえてるー?」

 

『聞こえてますよ。私から何かできる訳じゃないですけど何かあったら言ってくださいね。』

 

「ありがとね、さあ本番だ。……見ててくれ、俺の走り。」

 

『スタート1分前です。2戦目にして100号車、渋川榛名がミハイル・ベッケンバウアーからポールポジションを奪い取りました。

 

約20年前のインプレッサが電子制御、ハイパワーエンジンで武装したモンスターたちを引き連れているこのこの光景を、まさかみられるとは思いませんでした。

 

池田さん、この光景をどう見ますか?』

 

『中々に考えさせられる光景ですね。いくら4WDと言っても基本設計の古さ自体はどうしようもないですからね。その中で予選の結果を見ればミハイル君、沢渡君、そして片桐君以外は大敗と言ってもいいでしょう。

 

それにこの雨がどう作用するのか、注目ですね。』

 

『そうですか、さて、ポールポジションの100号車が先導されてゲートを出ていく。最後尾の16号車が今…ゲートを抜けたぁ!

 

15基のドローンが一斉にブルーシグナルを点灯させます!』

 




後書きで書くことが何も無いです。こんなに悩むくらいならなんかしらの形で戦闘を続けてた方が良かったなとほんのちょいとだけ思いますね。

最初っから何も書いて無ければよかったんですけどね。マジで困る。殺すぞ過去のボク。

まあ嘆きはこれ位にして、また次回!
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