頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第百十一話 エキシビションマッチ

ガオォン ギャン

 

「久しぶりートレちゃーん!」

 

時間は飛んで秋の感謝祭。ナナとは久しぶりに会うけど、あんまり変わらないな。人の事は言えないけど。

 

「ホントに久しぶりだね。何か月ぶり?」

 

グオン グオォン

 

「お正月からだから9カ月ぶりかな。それじゃ早速回ろー!」

 

「おー。」

 

「ところでトレちゃん、渋川さんは今どうしてるの?」

 

「駐車場かな?でも今会うのはやめておいた方が良いと思うな。ナナはさ、渋川さんがMFGってカーレースに出たのは知ってる?」

 

「もちろん知ってるよ。ネットニュースで初めて見たけどあの時は驚いたなぁ。」

 

「それでそっちの界隈にもウマ娘が浸透しててそういう人たちの参加が増えたってさっき電話があったんだよ。…電話越しにも分かるくらいの轟音だったよ…。」

 

パパン パパァン

 

「あー…さっきから聞こえるこの音ってやっぱり?」

 

「そういう事。」

 

「じゃあ回ろうか!渋川さんにはよろしく言っておいてよ!」

 

「おっけ。」

 

 

 

やっぱりクルマはいいなぁ。ランエボとかマジでかっこいいし。でもFRレイアウトのクルマも良いんだよなぁ。RXー8とか良いよなぁ。

 

セカンドカーどうしようか迷っちゃうよ。さて、お昼だし何食べようかな。

 

「やっほ、トレノちゃん、ナナちゃん。楽しんでる?」

 

「お久です渋川さん!次走ってジャパンカップですよね!作戦とかってあるんですか!?」

 

「作戦かぁ。耐える事かな?海外勢は基本的にフィジカルお化けだから仮にぶつかられてもキレずに耐えられれば、あとは実力勝負だね。

 

…正直、厳しいレースになると思う。でもトレノちゃん。」

 

「いくら厳しいからって勝算が無くなったわけじゃないですから、勝ってきますよ。宝塚の雪辱は果たして見せます。」

 

「その意気だよトレちゃん!」

 

気力も十分だね。あとは体を仕上げるだけ。私も今まで以上にサポートするからね。

 

「久しぶりだな、渋川。」

 

へー…聞き馴染みのある、生意気な奴の声が聞こえるじゃねえか。

 

「…よう、ペニンシュラではご立派な順位でございましたね。上毛三山スカイウォーカー、諸星瀬名さん?」

 

「上毛三山スカイウォーカー?」

 

「どうかな、アンタが出ててもオレがいたから6位どまりだったんじゃないか?群馬最速天使、渋川榛名?」

 

「ぐ、群馬最速天使?」

 

「人前でその呼び方するんじゃあねぇ。後言いてぇことがあるんだ。乙女のスマホを勝手に使うんじゃねぇよ。」

 

「おと…め…?」

 

まさかコイツ、誰の事か分かってないんじゃないだろうな。1年前だから記憶に新しいはずだぞ。

 

「渋川さん、自分の事を言ってるんだと思うんですけどその口調で乙女っていうのはちょっ……と世間が許さないと思います。」

 

「まずは辞書で調べることをオススメします。」

 

トレノちゃんにナナちゃんまで…。酷いよぉ。

 

「まあいいや。俺としてはそこはあまり気にしてない。それで、俺に用事があるんだろ?」

 

「まあな。秋名でバトルなんて言い出したのアンタだろ?片桐夏向まで引っ張ってきて。おまけにマルゼンスキーまでよ。」

 

「へぇ、マルゼンちゃん知ってるんだ。少し意外だよ。」

 

「群馬の情報網は今も健在でな。めぼしい走り屋がいればそりゃ広まるってもんだ。」

 

「そういうもんか。文句ねぇよな?実力は俺が保証する。…明日勝つのは俺だ、お前は…そうだなぁ…後ろから眺めててくれよ。」

 

「そうなるのはアンタかも知れないな?」

 

(ねぇトレちゃん。渋川さんって中二病だったりするの?)

 

(さぁ?元々があんな感じらしいけど…私はもう慣れたから何とも思わないけど。)

 

 

 

『さあさあファン感謝祭特別種目、4×2000リレー!3チームアンカーにバトンが繋がりました!

 

皇帝シンボリルドルフと怪物ナリタブライアン並走!その後ろから女帝エアグルーヴが迫る!田中洋二さん、どう見ますか?』

 

『目を見張るほどのデッドヒートです!ウマ娘のレースも熱い、MFGにも負けません!場内の歓声も凄まじいものです!中継を見ている皆様に我々の声は届いているでしょうか!

 

第3コーナーを曲がる!ナリタブライアン外から行くのか!?しかしシンボリルドルフがオーバーテイクを許さない!』

 

『アタマ1つ抜けました、最終直線に入ってエアグルーヴが上がってきた!ナリタブライアンに迫る!それを見てブライアンがさらにスピードを上げる!

 

先頭ルドルフに迫る2人!残り200!あと少しで届きそうな距離、しかし届かないのか!これほどまでに皇帝は絶対なのか!?

 

ゴール!シンボリルドルフ2バ身のリードでこのリレーを制しました!』

 

「ねぇカナタ、次はあっち行こうよ。ねぇー早くー!」

 

「急がなくても時間はありますよ、レン。」

 

それにしても、この学園はとてもエキサイティングだ。コンサートやいろんな出し物があって飽きません。

 

「あら?君、片桐夏向君よね? 感謝祭、来てくれてたのね。マルゼンスキーよ。」

 

「片桐夏向です。シブカワさんに挨拶をと思いまして。アナタがミスマルゼンスキーですか。片桐夏向です、明日のレースはよろしくお願いします。」

 

「よろしくね、夏向君。所で、お連れさんは彼女さんかしら?」

 

「いえ、彼女は…レンとはまだそういう関係ではありません。」

 

「そうなの…榛名ちゃんなら多分まだカフェテリアにいると思うわ。瀬名君もいたはずよ。」

 

「ありがとうございます。ですが、レンを待たせてしまっているので後で挨拶に行こうと思います。」

 

「それがいいと思うわ。それじゃあね、明日のレース、楽しみにしてるわね。」

 

ミスマルゼンスキー、かなりの腕前です。エキシビションマッチだからと言って手は抜けなさそうです。

 

 

夏向君、そういう関係じゃないとは言ってたけど遠くから見てた感じ、そういう関係にしか見えないのよねぇ。

 

距離感を見てもたまに会う関係じゃなくて、同棲してる感じだし。

 

…ま、そういう事にしておいてあげるわ。トレンディでマブいなお二人さん♪

 

 

 

『全世界3000万人のMFGファンの皆さん、こんにちは。実況の田中洋二です。昨日に引き続きトレセン学園合同企画という事で先日はウマ娘達のレースを中継しましたが、本日は諸星瀬名、片桐夏向、渋川榛名、そしてマルゼンスキー。

 

以上4名によるエキシビションマッチが行われます。本日、スペシャルゲストとして赤坂さんに来ていただいております。

 

『よろしくお願いします。普段はトゥインクルシリーズで実況を務めています。カーレースの実況は初めてですが、頑張っていきたいと思います。』

 

『コースはMFGのコースではなく渋川と諸星の出身地、群馬県は秋名山。コースを簡単に説明していきます。

 

スタートは秋名山頂上、ここから峠を下って伊香保温泉階段前に設置されたコーンを回って峠を上ります。

 

スタート地点を過ぎて秋名湖を一周して再び峠を下って1本目でターンをした場所がゴールとなります。』

 

『全長25キロ強のコースですが、田中さんはこのコースのポイントはどこだと思いますか?』

 

『そうですね、コース図を見た感じではこの5連続ヘアピンでしょう。MFGのコースでもヘアピンが連続するコーナーは珍しいですからね。

 

相当な駆け引きが生まれることが予想されます。』

 

「さて、スタートの順番決めようか。くじ引き作って来たから文句さえなければこれで決めるね。…はい瀬名。」

 

「オレにだけは徹底して猫被らないのな…。おっ『2』か。」

 

「次は私がいいな。いいかしら、夏向君。」

 

「はい、どうぞ。」

 

「ありがとうね。…やった、『1』ね♪」

 

「はい、夏向君。さて、どっちになるかな?」

 

「ボクはどっちでもいいんですけど…『4』ですね。」

 

「決まりだね。さて、出走まで時間も無いし、各自準備!」

 

 

「マルゼンスキー、彼らに勝つ算段は付いているか?」

 

「そうねぇ、あの3人はとにかく早いし、クルマのアドバンテージもほとんど無いでしょうね。正直当たって砕けろって感じかしらね。」

 

「君にしては随分と弱気だな。いつも通り…とは行かないかもしれないが、君らしく逃げてみてはどうだろうか。」

 

「…フフ、そうね。ルドルフ、頑張ってくるわね♪」

 

 

「雪平さん。オレはこのバトル、MFGよりも格段にヘヴィなバトルになると思う。」

 

「そうだな。群馬の異端、渋川榛名。その異端に認められてる未知数、マルゼンスキー。そして、もう一人の群馬プライド継承者、片桐夏向。

 

厳しくない方がおかしいだろ。」

 

「だな。だがそれだけ成長の機会もある。特にマルゼンスキーからは何か得られるものがあるかもしれない。

 

盗めるもん全部盗んで、群馬プライド見せつけて勝ってやるさ。」

 

 

「やっぱり緊張してます?」

 

「まぁね。相手が相手だけに、休む暇が一切ない位のバトルになりそう。ホームコースだし負けられないんだよね。」

 

「私から特に気が利いた言葉は言えませんけど、頑張ってください。応援してますから。」

 

「ありがとう、それだけで十分だよ。」

 

 

「軽いメンテは終わったぞ。足回りも奥山さんが言うには万全のセッティングらしい。」

 

「ありがとうございます。秋名山、とてもいい場所です。イカホの足湯もとても気持ち良かったです。」

 

「相変わらず緊張感無いなぁお前は。さぁ、行ってこい!」

 

「ラジャー、チャレンジしてきます。」

 

 

『出走の準備が整ったようです。MFGとは違い、ここには火山性ガスは発生していないので特例で、ギャラリーが認められています。

 

私もあの場に行きたい気持ちはありますが、こちらで実況に徹することにします。』

 

『私としては、マルゼンスキーに頑張ってほしいですね。彼女の逃げがカーレースでも見られるのか、楽しみで仕方ありません。』

 

『彼女の逃げは圧倒的だと伺っています。期待しましょう。カウントが始まるようです。カウントを務めるのはトレノスプリンターです。

 

スタートグリットに4台が並びます。どんなレースになるのか、予想が出来ません!スタート5秒前!』

 

『4…3…!』

 

『2…1…!』

 

『GO!!』

 

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