頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第百十七話 麻雀

ウオッカ 「……?」カチン

 

シリウス 「……チッ。」カチン

 

ギムレット 「ほう。」カチャ パチン

 

ナカヤマ 「………ツモワリィ。」パチン

 

「…………。」

 

なんで渋川さんのトレーナー室で麻雀なんてやってるんだろう。渋川さんは面白そうに見てるだけだし。

 

「何でって顔してるから説明するね。」

 

「是非ともお願いしたいです。前回からのつながりが全く見えません。」

 

「メメタァ。事の発端は…。」

 

 

 

(この勝負、アンタらは何を賭ける?)

 

(そうだな、負けた奴は渋川の全開ダウンヒルなんかどうだ?前は激辛料理だったが、こっちもスリルあると思うぞ?)

 

(面白い!だが俺に示されるのは勝利(ヴィクトリー)のみだ!)

 

(俺だって大丈夫です!)

 

(この間はお前の幸運(フォーチュン)によって煉獄炎(ヘルフレイム)に焼かれることになったが、今回はそうはいかない。)

 

(鉄火場の恐ろしさを思い知るんだな?)

 

 

 

「という訳で罰ゲーム執行役兼ウオッカちゃんにルール教える係ってこと。んで今はシリウスちゃんから東一局、意外と始まったばっかりなんだよね。」

 

「あー…ごゆっくりどうぞー。」

 

「立直。」カチン

 

「ほう、自摸が悪いと言ってた割には随分威勢がいいな?ブラフか、ナカヤマ?」

 

「どうとでも取りな。ヒリつくにはまだ早いからな。」

 

「取り敢えず安牌を…。」パチン

 

「違いねぇなウオッカ。一発は避けさせてもらう。」パチン

 

「ぐおぉ、この牌がもたらすのは暗黒世界(ディストピア)か、楽園(エリュシオン)か!」パチィン!

 

「チッ…ツモは…ダメか。」パチン

 

「ど、どれを捨てればいいんだー!」

 

そういうウオッカちゃんの手牌を見ると安牌が見事に1つも無い。いや困るよこういうのは。ナカヤマちゃんの河を見てスジで切るのが安全そうかな。

 

「ウオッカちゃん、アドバイス、いる?」

 

「いいや、ここは俺だけの力で切り抜けて見せる!…お前に決めた!」

 

「ワリィなぁ、ロンだ。立直、チャンタ、三色同順、ドラ1。跳満だ。」

 

「カンリャンとはツいてないねぇ…。まぁ、どんまい。」

 

「つ、次こそはー!」

 

「皆さーん、お茶とお菓子持ってきましたー。」

 

 

 

「これがさっき上がった奴の牌かよ。」パチン

 

「そこから上がってくれるんだろ?期待してるぜ、勝負師さんよ。…ほう、こっちに行くか。」パチン

 

「…ねぇ皆、罰ゲーム決めておいてトップ賞決めてないの?」

 

「あーそうだなぁ、何か決めるか。…そうだ、アンタの担当を貸してもらおうか?」カチン

 

「え?」

 

急に名前が出てきて少しばかり驚いてしまう。

 

「あぁ、いいよ。特に予定も無いし。」

 

いや、そうなんですけど安請け合いしないでもらえませんか?ウオッカさんだったらいいんですけど他3名はあまりいい噂を聞かないんですけど?

 

「麗しの君をこの手に…!その暁には共に柵を破壊しよう!立直!」パチン

 

やだ。

 

「いくら何でも手牌が悪すぎる。様子見だな。」パチン

 

私は特に関係ないからギムレットさんの手牌を見に行く。三、六筒の両面待ちでメンタンピンで裏が乗れば満貫。

 

待ちがいいだけに何かの拍子に当たりそうで怖い。この人にだけは貸し出されたくない。何されるかよく分からない。

 

「フッ、悪いなギムレット。私も立直だ。さぁ、どっちが先に上がれるかな?」

 

「ならば付いてくるがいい!勝利の美酒たるこの俺に!…これこそ調和(シンフォニー)ツモ!メンタンピン一発!裏ドラ1で親ッパネインパチだ!!」

 

「綺麗な手だなぁ。まるでお手本のような上がり方だよ。ギムレットちゃんには似合わないくらい。」

 

「破壊だけでは美学とは言えない。時には枠組み(セオリー)に沿う事もまた肝要だ。」

 

「すげぇ、カッケーっすギム先輩!」

 

「感心してるところ悪いんだけど、ツモだからウオッカちゃんも点棒払わないと。6000点、ボッシュートになりまーす。」

 

「あ、あぁーー!あぁ…。」

 

これで残り7000点、東二局でこれはヤバいのでは?普通に点棒なくなるのでは?

 

「トレノちゃんが不思議そうな顔してるから聞くけど点棒ってマイナス行く?」

 

「ああ、半荘までやるからハコで終わりはしけちまうからな。イくならとことんまでな?」

 

 

 

 

 

「強ぇ、強すぎるぜ先輩たち…!」

 

順調に南入して可哀そうなくらい狙い撃ちされるウオッカちゃん。運が無い位にアタリ牌を掴んで来るから見てるこっちも悲しくなってくる。

 

「さぁ、本番はここからだぞ?その焼き鳥を返せるように頑張りな?」

 

「俺だって黙ってられません!一発逆転狙いますよ!」

 

「そいつは楽しみだな。」

 

さて、手牌の方は…字牌が多い。これなら字一色を狙って行ける。私ならまずは萬子を捨てていくかな。

 

「取り敢えずこれか?」

 

「待った!!!」

 

普通に北を捨てようとするウオッカちゃんを大急ぎで止める。1枚しかなかったとはいえ勿体ない。携帯の画面に字一色のがどんなものかを映して見せる。

 

(こんな感じのを目指してみようか。大丈夫、ここまで揃ってるんだからイケるはず。)

 

(なるほど、やってみるぜ!)

 

さて、誘導できたのはいいけどこの3人が見逃してくれるかな。役満の中でも字一色、九蓮宝燈は河である程度予想が付いちゃうのが難点かな。

 

「ウオッカよ、欲しいのはこれか?」パチン

 

「あ、それポンです!」

 

ああ終わった。完全にバレた。その文言でポンしたら言ってるようなもんだよ。ツモってくれば問題無いけど。

 

「お前もまた勝負師の通過儀礼(イニシエーション)に挑むか…いいだろう!俺がその登竜門となろう!」パチン

 

そこから6回ほど字牌をツモれないまま終盤まで来てしまった。ウオッカちゃんのポンから字牌が河に出ることも無くなってしまった。

 

「やっぱり甘くないか…。」

 

「立直。」パチン

 

シリウスちゃんが立直。残りは少ないけど河から予測すると混一色は確実か?そうなると字牌まみれのウオッカちゃんはちょっとなぁ。

 

あ、白ツモってきた。あとは西をツモってくればテンパれるんだけど。

 

「よっしゃああと1枚!こうするしかねぇだろ!」パチン!

 

「ロン。リーピンドラ1でザンクだ。」

 

「あれ、じゃあ他の字牌って誰か持ってる?」

 

「ああ、私だ。ほら。」

 

そう言って手牌を4枚ほど掴んで見せてくる。ツモってくる可能性もあったから念のため山も見てみる。

 

「あー、だめだこりゃ。未来のかけらもないね。」

 

「くっそー!」

 

ああ、突っ伏しちゃった。そそのかしたのは悪かったけどあの配牌で一発逆転を狙うんだったらまぁそっち行くよね。

 

「ただザンクじゃお前らには届いてねぇ、このツキは活かしてく。」

 

 

 

 

 

遂に迎えた南オーラス。最下位はウオッカさんで変わらないけどトップは3人で争っている。ここで上がった人に私が貸し出されるのか。

 

…私が貸し出されるって何?

 

「「「「…………」」」」パチン

 

オーラスだからか誰もしゃべらない。部屋には牌がぶつかる音が響く。

 

「立直。」パチン

 

河が8枚目に入るタイミングでシリウスさんが立直を宣言する。ここから他家がどう動くのか。聴牌を狙うか降りて流すか。

 

そこから2巡ほどで状況が動く。

 

「今更引く訳ねぇだろ?立直。」パチン

 

次はナカヤマさんか。2人から立直を掛けられてる状況で噛みつく人はあまりいないと思いたいけど、噛みつきそうな人は1人いる。

 

「立直!運命の女神(フォルトゥーナ)よ!私を、俺を導け!」

 

ギムレットさんも混ざってきて混戦状態になった。この状態になったら降りるしかない。

 

賭けにはなるけど立直に持っていければ四家立直で強引に流せる。

 

不意に、ウオッカさんの手が止まる。残りは1枚、ここを凌げば振り込みはなくなるし、仮に聴牌を捨てて安牌で行っても南場だから親の継続は保証される。

 

その時のダメージは3000点だけになる。

 

 

 

「ちょっちょっと長考すみません!」

 

「ああ、好きなだけ考えな。」

 

どうすりゃいいんだ!?渋川から立直が通れば流せるとは聞いたけどなんでか立直すると上がられる気がするし!

 

かと言って安牌切るってのもなんだかダサい気もする!だが価値を考えるんならここを凌ぐ方が良いはずなんだ!

 

……………すんません、先輩方!ここは貪欲に勝ちを狙わせていただきます!

 

パチン

 

 

「まぁ、妥当な判断だな。さぁシリウス、アンタのラスヅモはどうだ?」

 

「……フッ、すまねぇな。どうやらツキは私に巡ってたらしい。ツモだ。」

 

「おぉ、持ってるねぇ。どんな役かな?立直、海底撈月は確定だからあと2翻は欲しいけど。」

 

「そんなものは要らねぇな。立直や海底撈月すらもな。」

 

そう言いながら牌を倒す。その役を見て驚くしかなかった。

 

「マジかよ。」

 

「四暗刻…。」

 

「単騎!?」

 

「悪いな、ダブル役満で〆だ。」

 

「あー負けた負けた。役満出されちゃどうしようもねぇわ。」

 

「祝福しよう、その勝利にこそ、ギムレットを…。」

 

「シリウス先輩、次は負けねぇっすよ!」

 

「うんうん、いい友情だねぇ。という訳で、ウオッカちゃん罰ゲーム決定ね。」

 

「……………あ。」

 

 

 

 

 

という訳で秋名山という名の流刑地に麻雀メンバーで来たのでした。

 

「先に言っておくけど、ウオッカちゃんもレースやってるからあまり怖くないかもしれないよ?

 

それこそジェットコースターくらいかも。」

 

「おいおい、罰ゲームなんだから本気で行ってくれよ、渋川さんよぉ。」

 

シリウスちゃんに煽られるけど、本当の事だからそんなに言わないでよね。

 

「はぁ、それじゃ行くね。」

 

「た、頼んだぜ!」

 

回転を合わせてロケットスタートを決める。あまり本気で攻めてもアレだし90%くらいで行くかな。

 

 

どれくらいで突っ込むんだ?エキシビションと同じくらいか?でもそれなら全部見てたし大丈夫な気がして来たぜ!

 

さて、第1コーナー。確か左コーナーだった………な!?

 

「おい、ブレーキ!ブレ―キぃぃぃぃ!」

 

ガードレールが目の前まで迫ってくるような錯覚を覚えた。それでいて普通に曲がりやがった!

 

何でこんなことが出来るんだ、ホントにクルマに乗ってるのかよ!

 

こりゃ十分に罰ゲームだ、なにが怖くないかもしれないだよ、無茶苦茶怖いじゃねぇかよ!

 

コーナー立ち上がってすぐに次のコーナーが見えてくる……もう次のコーナーかよ!

 

「うわああぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

今度こそ壁にぶつかったと思った。いったい、どんだけマジな顔でドライブしてんだ?

 

「……………あ」

 

泣きたくなった。その顔は今にも鼻歌を歌いそうな、気の抜けた顔をしてやがる。

 

…だめだ、意識が遠くなってき……た………。

 

 

 

「あれ、君たちトレセン学園生?こんな所でどうしたの?」

 

白黒のクルマが私たちの前で止まる。制服着てる奴がいたら不思議に思うか。

 

「ああ、別にどうってことは無い。ま、罰ゲームの見届けって感じだ。」

 

「へー、じゃあ心配はいらないのかな?」

 

軽くあしらってご退場願おうとしたら1台上ってくる。あの車の音、渋川か?

 

「おかしいな、麓まで行ったにしては早過ぎねぇか?」

 

時間神(クロノス)の影響か、それとも私たちが時間跳躍(タイムリープ)を果たしてしまったか。」

 

「あれ、イツキさんじゃないですか。奇遇ですね。」

 

「榛名ちゃんじゃん!この子たちも榛名ちゃんの連れかい?」

 

「です。メンゴです、なんか面倒掛けちゃったみたいで。」

 

「いや、オレも今来たところだし大丈夫だよ。」

 

この男、渋川の知り合いだったのか。まあそれはいい。私はコイツに聞きたいことがある。

 

「おい、罰ゲームは麓に下りるまでって言っただろ。なんでこんなに早く戻ってきた。」

 

「あぁ、それは…こういう事。」

 

渋川が助手席を指さす。そこにいたのはとても安らかな顔で寝てるウオッカだった。

 

「そういう事。…そんなに怖かったかな。」

 

「榛名ちゃん…聞くんだけど、いくつ目のコーナーだ?」

 

渋川が指で3と示す。嘘だろ、そんなに早く?

 

「私は見たー!断末魔の絶叫が秋名山にこだまする、恐怖のダウンヒル!ウオッカちゃんコーナー3つで…失神事件!!」

 

 










こんな回があってもいいじゃない、二次創作だもの
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