頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第十二話 知らせ

「ごめんナナ…待たせちゃって…ウプッ。」

 

「だ、大丈夫トレちゃん!?」

 

「だ、大丈夫、すぐ良くなると思うから。…やっぱごめん、あそこのベンチで休んでいい?」

 

「災難だったね…ほら、肩貸すよ。」

 

ナナの肩を借りながら私はベンチに座る。正直もう帰りたい、そのくらい疲れている。

 

「トレちゃん待ってて、水買ってくるから。」

 

「ありがとね、色々と。」

 

ナナが水を買いに行っている間、不思議とレースの事を思い出していた。そして案内してくれたウマ娘の事も。あの時、前を走ってるウマ娘をわくわくしながら追いかけてた。走ってて楽しいと思ったことなんて今までなかったのに。何なんだろうこの気持ち。

それにしても、今日はかなり走ったなぁ。そうやって背筋を伸ばしていると遠巻きに変な看板を見つける。

 

「えーとぉチームスピカ?入部しない奴はダートに埋めるぞ?どういう事?」

 

よく分からない。というか分かりたくない。なぜ犬神家なのか。あの絵をどうやって撮ったのか。あとコンプライアンス的にどうなの?

 

「おまたせー。はいお水。」

 

「ありがとう。ところでさ、あそこにスピカの看板あるじゃん?あれってどういうチームなの?」

 

「あーあれね…トレちゃん見ちゃった?あの看板。」

 

「うん…視界に入れちゃったらなんか目が離せなくてね。」

 

但し奇怪なものを見る目でだけどね。

 

「スピカっていうのはね、実力としては学園でもかなり上なんだけど、かなり奇行が目立つチームって聞いたことがあるよ。」

 

「うん、なんというか…だよね。」

 

察しはついてた。あんな看板出すくらいなんだもん。そう思って例の看板に目をやる。…?

 

「ほらこんな感じ。ライブでのスピカなんだけどね。」

 

「うん、普通に言ったけどライブってどういう事?」

 

「あっそういえばそうだったね。レースで勝ったウマ娘はウイニングライブって言ってこうやってライブするんだよ。」

 

「へー、それでこれがスピカのウイニングライブなんだ。」

 

ナナから渡されたスマホを見て絶句した。ライブなのに立ち尽くしてたりまるっきり違う振付のダンスを踊ってみたり。

 

「凄いね…なんか…。」

 

ふと気になって看板のほうを見てみる。…なんか近づいてない?

 

「あぁでもね!メンバーの強さは折り紙付きだよ!春の天皇賞二連覇のメジロマックイーンさん!「ガタッ」無敗のままクラシック二冠まで勝ったトウカイテイオーさんだったり「ガタッ」。まあ紹介してると長くなっちゃうからまた今度ね。」

 

「そ…そうなんだ…ハハッ…。」

 

看板が気になりすぎてほとんど聞いてなかった。さっきからガタガタ音が鳴ってるけどこの様子だとナナは気づいていない。それっぽいことを言って移動しよう。

 

「ねえ、そろそろ他の場所見にいかない?ほら、さっきお勧めの所に連れてってくれるって言ったじゃん。」

 

「そうだったね。よぉし、それじゃレッツゴー!」

 

「おー。」

 

扱いやすくて助かるよ。これで危険地帯を抜けられたかな?ポスっ

 

「あっすいません…え?」

 

ぶつかってしまったので謝ると目の前にはマスクとサングラスをしたウマ娘が4人いた。制服は来ているのでこの学園の生徒何だろうけど…言いたくないけど不審者感が凄い。

 

「あのお…誰でしょうか?」

 

この空気に耐え切れずにナナが聞く。誰って聞いても答える不審者いないでしょ。

 

「スカーレット!ウオッカ!スぺ!やぁっておしまぁ~い!」

 

「はい、ゴールドシップさん。」

 

名乗ったよ。名乗ったよこの不審者。もう変装の意味ないんじゃ。

 

「「ヘブッ!」」

 

「「「「えっほっえっほ!」」」」

 

ナナもろとも拉致られてしまった。余計なこと考えてないで逃げればよかった。まさか生きてるうちに拉致られるとは思わなかった。

 

「いよーいたかトレーナー!連れて来たぜー。」

 

「おいおい!本当に連れてきたのかよ!」

 

「そりゃあこんなおもしれえ事を放っておくアタシじゃあないからな。」

 

「…ぁあ!こうなったら元凶呼んで話合ってもらうしかないか。」

 

 

 

 

 

「驚愕ッ!気絶してしまったぞ!?」

 

「恐らく、それほどの衝撃だったんでしょうね。秘孔を突かれたみたいな声出してましたし。」

 

「とりあえず救護スタッフでも呼ぶか…。」

 

「あ、私がトレーナー寮まで運ぶのでいいですよ。それよりも理事長、良かったんですか?」

 

あの話を理事長が受けるとは意外でした。ウマ娘のためなら私財を投じてたまに暴走してしまう理事長ですが、ウマ娘の本位でないことは今までやってきませんでした。なぜ今回は受けたんでしょうか。

 

「熟考ッ!正直、私とてかなり悩んだ。確かにトレノ君が否定するなら深追いをするつもりはない。だがッ!」

 

理事長は立ち上がりながら続けた。

 

「渋川君の話もあながち間違ってはいないと思っているのだ!あのレースを見たら尚更そう思えて仕方がないのだ!」

 

トレノスプリンターさんのレース。私も見たときは驚かされました。あんな走りをする子がレースに興味が無いと言われても信じられない。

 

「だからこそ、自分の耳でも聞いてみたいというわけですか。」

 

「肯定ッ!そうと決まれば。早速行動だ!」

 

理事長はこういう時の行動はやっぱり早いですね。ですけど…。

 

「理事長、行くのはいいんですけどトレノさんがどこにいるか分かりませんよね?」

 

「憂慮ッ!私もそこは気にしていたが…。」

 

「あんなことがあった後ですし、もしかしたらもうすでに帰られたかもしれません。」

 

そうなると困りますね。何も情報のない一般ウマ娘を探すのは骨が折れますし。とおるるるるるるるるる

 

「あら、この電話は…渋川さんのスマホですね。相手はスピカのトレーナーさんですね。どうしましょう理事長。」

 

「渋川君は現在電話に出られぬゆえ私が代わりに話をしよう!」

 

もうすでに出ていらっしゃいました。

 

「えぇっ!理事長ですか!?そのぉ…すいません!うちの担当が一般のウマ娘を拉致してしまってですね。俺の監督不行き届きです。」

 

「驚愕ッ!もしやそのウマ娘の名前とは!」

 

「えっ?と…トレノスプリンターって子です。」

 

「待機ッ!君たちはそこで待っていてくれ!私も彼女に話があるからな!」

 

そういうと理事長は電話を切り、「渋川君を頼んだ!」と言って理事長室を後にしました。さてと、私もそこに寝てる渋川さんを運びましょうか。ただ何というか…もうひと悶着ありそうな気がします。

 




呪!正月休み終了!…短くないですか?
まだ休んでたいって気持ちもありますけどまあ致し方なし。リアルが忙しくなりそうなので更新遅くなりそうですがご了承ください。
また次回!
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