頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第十六話 影響

「ふぁぁあ~~」

 

昨日は走りっぱなしで疲れたから家に帰ってご飯食べてすぐに寝てやった。お父さんは特に何か言うわけでもなかった。

 

「ほら、こぼすなよ。」

 

「うん…あのさ、お父さん。」

 

「んん?」

 

「いや、何でもない。行ってきます。」

 

筋肉痛が凄い。さすがにあれだけ走れば無理もないか。

 

 

 

目つきが変わったな。トレセンで何かあったな。そういやシューズの蹄鉄がいつもより削れてたな。成程、そういうことか。それにしても、あっちでどれだけ走ったんだ?明らかに筋肉痛っぽかったけど。

 

「こりゃ何かありそうだな。…準備だけでもしておくか。」

 

それにしても、走るの嫌いなアイツがなぁ。まあ嫌いにしたの俺だけど。

 

 

 

「フ…フゥ…体が重い…。」

 

足が動かない。腕に重りをつけたみたいだ。結構余裕もって走ったつもりだったんだけどな。それでもここまで影響が出るとは。

 

「…ちょっと休憩しよう。後は帰るだけだし。」

 

休憩なんてとったの何年ぶりだろう。最初のほうは休憩をはさみながら配達してたけど今じゃ休憩無しで配達してる。今ほど紙コップの水をがぶ飲みしてやりたいけど結構前にやったら怒られた。理不尽。

 

「さて、そろそろ行こう。」

 

 

 

「ただいまー。」

 

「おうトレノ、ちょっといいか?」

 

「え?どうしたのいきなり。」

 

まさかお父さんから話を振られるとは。珍しいなぁ。

 

「お前、トレセンでレースしてきただろ。蹄鉄は削れたしかなり筋肉痛が出てるはずだ。」

 

「い、いや?そんなのやってないよ?」

 

何で分かった。仕草には出さないようにしてたんだけど。

 

「走り出しに少し違和感があってな。トレセン行って来てたから大体予想はつく。」

 

「普通に言ってるけど私からしたらかなりの恐怖なんだけど。」

 

「何年見てると思ってんだ。それ位簡単に分かるんだよ。」

 

「はいはいそうですか。じゃ私寝るから。」

 

 

 

 

 

 

車で二時間ほど、多少渋滞に巻き込まれながらのあまり喜ばしくない帰省になった。

 

「いやー久しぶりだなぁ、街並みもあんまり変わってないし。お母さん驚くぞぉ。」

 

家の前まで来た。何も変わってないのが私にとっては帰ってきたことを実感させてくれる。

 

「さてと、カギは開いてるしそろりそろりと「帰って来たんならただいまくらい言いな!」アバッフッ!」

 

びっくりさせるつもりが逆にびっくりさせられた。

 

「いつからそこの居たの!?というかなんで帰って来たってわかったの!?」

 

「アンタがやかましい車乗ってるのが悪いんだ。事あるごとにパンパン鳴らして。うるさくてかなわないよ。いい加減車買い替えな。」

 

また言われた。お母さんだけでなく私の友達も沖野さんも東条さんも買い替えろって言う。

 

「嫌だよ!今の車なんてオートマでFFでおまけにハイブリットだよ!?サイテーだよ車じゃないよ。」

 

私にとって車は純ガソリン車しかありえない。それでいて心臓に直接響くこの爆音!この音がたまらなくてインプを買ったようなものなんだから。

 

「そんなことはどうでもいいんだよ。榛名、今度は何やらかしたんだい。どうせまた人様にご迷惑をおかけしたんだろう?」

 

「うぐっ、そ…その通りです。」

 

「まあアンタの上司から全部聞いてるんだけどね。言ってたよぉ、こき使ってやってくれって。それこそ休む暇がないほどにね。」

 

これが天罰か、いや当然か。あれほどの事をしたんだから。お母さんがこう言うときはホントに容赦がない。

 

「うう…もう何でも来いってもんだよ!」

 

「ああそうかい、じゃあ今から豊田さんとこ行って豆腐買ってきな。ついでに夕飯の買い出しもな。」

 

「そんなことでいいの?じゃあ行ってくるね。「あと郵便局にこれ出してくるのとあとごみ袋もきらしてるから頼んだよ」…はーい。」

 

 

 

「トレノー!…トレノー!ちょっといいかー!」

 

「そんなに大きな声出さなくても聞こえるよ。何?」

 

「少し店番頼んだぞ、俺は商工会の寄り合いがあるからな。」

 

「分かった。いってらっしゃい。」

 

まあ店番と言ってもあんまりお客さん来ないから普段とあまり変わらないけど。

 

「暇だな~。」

 

でも店番になると外に行けないし手頃な暇つぶしがあるわけでも…。

 

「晩御飯の支度でもしようかな。」

 

どうせ誰も来ないし今のうちに準備しておけば夜楽ができる。…さっきから遠くのほうでパンパンうるさいけど。

 

「ごめんくださーい!」

 

珍しいこともあるものだなあ。人が来たみたいだ。…お客さん来たの!?

 

「ごめんくださーい!…あれ、いないのかな。」

 

「すいませーん、今行きますー。」

 

つい対応が遅れてしまった。せっかく来てくれたのに申し訳ない。

 

「はーい、いらっしゃいま…せ…。」

 

「え?…え?トレノちゃん!?」

 

気まずい空気が流れる。というか何でこの人がこんなところにいるの?

 

「えっと…何にします?」

 

「…っあ、えっと…木綿と…あと厚揚げ下さい…。」

 

ご注文いただいたので袋に包んで手渡す。…だけなんだけどなぁ、凄い体が重い。

 

「280円です。」

 

「あ、じゃあこれで」

 

「ちょうどですね、毎度ありがとうございました。」

 

………………何で帰らないのこの人。ここまで無言で佇まれても困るんだけど。

 

「あ、あのトレノちゃん!今ちょっと時間いいかな?」

 

「困ります、頼まれたとはいえ今は店番してるので。」

 

暇すぎて晩御飯の支度始めようとしたけど、早く帰ってもらいたくて忙しい雰囲気を出しておく。

 

「暇そうじゃん!今だって私以外お客居ないし。」

 

「結構失礼ですね…。私も思ってても口にしないことをこうズバッと言います?」

 

「ごめん…じゃなくて!この前の事、謝らせてほしいんだ!」

 

ちょっと見直した。まさかこの人の辞書に反省の文字があったとは。でも自業自得と自分勝手は無さそう。

 

「あの時はどうかしてた。嫌がってるのに無理やり編入させようなんて。ほんとにごめん。許してなんて言わないから。」

 

渋川さんが頭を下げる。この人から謝罪の言葉を聞けるなんて思わなかった。

 

「はぁ、反省してるみたいなのでもうこれ以上とやかく言いません。もうやらないでくださいよ?」

 

「…ごめん。ありがとうね、トレノちゃん。でもこれだけ最後に言わせて。」

 

「はい?」

 

「トレノちゃんのトレセン編入、私は諦めて切れない。もし気分が変わったらでいいから、連絡してね?それじゃあね。」

 

そう言って渋川さんは店を後にする。ほんとに反省してるのかな?でも反省してる感じだったから。…渋川さん凄い車乗ってたな。さっき聞こえてた爆発音あの人の仕業だったのか。やっぱり人は見かけによらない。

 

 

 

世の中狭いってよく言うけどこうやって体感すると本当にそう思う。まさかあんなところでトレノちゃんに会えるとは思わなかった。勝手ながらもう二度と会えないと思っていたから。だからこそ、トレノちゃんに謝れて本当に良かった。あのまま言えずじまいは嫌だったから。たづなさんにはお礼を言わないといけない。偶然だとは思うけど、こうやって謝る機会をくれたんだから。

 

 

 

 

 

「すまないな、小宮山トレーナー。時間取ってもらって。」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。それよりも、大変なことになりましたね。タマちゃんがここまで突っかかるなんて…。」

 

「タマモクロスから話は聞いてるか?」

 

「はい、土曜日にトレノって子と模擬レースをやるからトラックの予約頼んだって。いきなり来てこれだけ言って昨日は帰っちゃいましたけど。」

 

うーむ、この様子だとタマモクロスの説得はかなり難航しそうだ。まさかここまで固執するとは。

 

「そのことで今日は話が合って来たんだが。どうにかしてタマモクロスを説得できないか?」

 

「私もこのレースはトレノちゃんのためにもやめたほうがいいとは思うんですけど。タマちゃんかなり気合入ってるんですよねぇ。トレノちゃんがそれほどの相手ってことかな。」

 

「見てみるか?映像ならあるが。」

 

俺は小宮山トレーナーにスマホを差し出す。受け取ると食い入るようにそれを見る。…おぉおぉいい反応する。

 

「道理で…タマちゃんが熱くなる理由が分かりました。私もう少し簡単な話だと思ってました。」

 

「そういう訳だ、担当の事だ。少しは方法あるんじゃないか?」

 

「そうは言ってもですねぇ、怪我してるとかレースのプランがとかそういう理由が一切ないので難しいですよ。それにタマちゃんは」

 

「言っても聞かないかもって言いたいんやろ。」

 

当の本人、タマモクロスが割って入ってくる。よりにもよってこんなタイミングで。

 

「まあコミちゃんの言いたいこともよう分かるで。相手は一般のウマ娘や、それに嫌がってるやつを無理やりレースに引っ張り出すのはどうなのかってとこやろ。」

 

「そこまで分かってるならどうして…。」

 

「安心してやコミちゃん、トレノは絶対来る。…ウチの勘やけどな。せやからレースを取り下げへんで。ほな。」

 

タマモクロスは勘ではあるがトレノ君は絶対来ると言った。その自信はどこから来るのかは分からないが説得は出来そうにない。

 

「小宮山トレーナー、ここまで話しておいてなんだけど、説得は無理だな。」

 

「そうみたいですね。ならせめてこの話が広まらないようにしないといけませんね。」

 

「だな。それじゃあな、ありがとうな。」

 

「いえ、大したこともできませんでしたし。」

 

さて、どうしたもんかね。学園回った感じこの手の話が回ってる感じはないし。このまま過ぎていくのを待つしかない。タマモクロスの奴、トレノ君が来なかったらどうする気だ?

 

 




この時作者は不安に駆られていた。フローチャートとかなり違うしかなり無理やりストーリー進めてきたから整合性は取れてるのかと。まあいいんですよそこは。
問題なのはトレノのライバル枠を誰にしようかってところなんですよね。一切決まってないんですよ。一応シングレ、アニメと地続きでやっていこうと考えているのでかなり絞られちゃうんですよね。

「え?ウチちゃうの?」

タマちゃんはそもそも出演予定なかったから。

「ガーン!」

また次回!
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