午後5時30分
私は夕飯を作るために台所にたつ。
母親は私が小さいころにお父さんと離婚したので二人暮らしをしている。
なので、帰りが早い私が夕飯を作る。
「さて…と…。」
今日は麻婆豆腐と豆腐ハンバーグにしよう。
お父さんにまた豆腐かといわれそうだがお父さんが豆腐屋なのが悪い。
売れ残った豆腐を使っているので食費が浮く分助かるけど。
なので、今日に限らず家ではいつも豆腐がある。
そうして、夕飯を作り終える頃、
「帰ったぞー。」
「おかえりーお父さん。」
「なんだトレノ、また豆腐か?」
やっぱり。
「しょうがないでしょ。捨てるのもったいないんだから。」
「そりゃ分かるけどよ。なーんで豆腐屋なんか始めたかな俺。」
「自分でそれ言っちゃうんだ…。とにかく冷める前に食べようよ。」
「そうだな。頂きます。」
「頂きます。」
手を合わせ、夕飯に手を付ける。
おおよそ半分食べ終わったところで私は例の話を切り出す。
「あのさ、お父さん」
「ん?どうした?」
「今週の土曜日さ、ナナとトレセン学園の感謝祭ってのに行くことになったんだ。」
「ほーん。」
「それでさ、そのー…お小遣いの前借をしたいなと思いましてー…。」
「ふーん。」
うーん反応が薄い。若干眉が動いた気がしたけど。
これはもう少し押してみないとダメかな。
「2か月分…いや1か月分で「それでいくらいるんだ?」もいいからさ!…え?」
被ってしまっていたが確かに聞こえた。
いくらいるんだと確かに言った。
「一万くらいあれば足りるか?」
まじか。お父さんまじか。
何時もはその半分ですら渋るというのに。
あれだけの守銭奴だったお父さんに何があったのだろう。
まさか今日使った豆腐やば
「なんだその今日使った豆腐まずかったみたいな顔」
なぜそんなピンポイントで読んでくるの?
「じゃあほら」
「え!?…ぁあうんありがとう…?」
私はそう言うと次々と出てくる疑問を払いのけながら諭吉さんを受け取る。
何はともあれ金銭面が解決したので正直ホッとしている。
話をしているうちに食べ終わったので私は片付けをするために立つとお父さんが話しかけてきた。
「ああそうだ。」
「え?」
「遊びに行くのは構わねえけど朝は叩き起こすからな。」
…………………………はぁ。
「分かってるよ。じゃあ私お皿洗うから。」
「おう。」
毎日やっていることだが耳にするたびに何故か少し憂鬱な気分になる。
だからといってうちの貴重な収入源の一つのため辞めたいとは言えないのが現実なんだけど。
まあいいや。さっさと片付けを終わらせて寝よう。
明日も早く終わらせてさっさと帰るとしよう
いやーよかったよかった。トレちゃん誘えて本当よかった。
我が同志…デジタルさんにあそこまで言っていざ当日誘えませんでしたでは申し訳が立たないからね。
というわけで、早速デジタルさんに報告するため電話をかける。
とおるるるるるるるるるガチャ
「もしもしナナさんですね!?電話が来るということはつ ま り !お誘いに成功したんですか!?」
流石デジタルさん。トレセン学園を楽園と称し推しを間近で感じる為に入学したその愛は伊達じゃない。
ウマ娘の魅力を余すところなく教えてくれた私にとっては師匠のようなウマ娘だ。
「はい!誘ってみたら結構簡単に行くって言ってくれたんですよ!」
「さすがナナさんです!あーどんな方なのでしょう!楽しみです!」
「楽しみにしてて下さいねデジタルさん!…ただですねえ、うーん」
「ほえ?どうしたんですか?そんなに唸って。」
このことを言っていいのかな?まあ隠したとしてもトレちゃんの天然ぶりですぐバレるだろうしそもそもデジタルさんがこの程度のことで声を荒げるとも思えない。
よし。相談がてら話してみよう。
「ちょっとお願いというか聞いてほしいことがありまして。」
「はいはい。なんでしょう?」
「あの子、レース見たこと無かったらしいんですよ。」
「はい?」
「それどころかそういうことは飽きたとも言ってました。」
「まじですか…。」
「分かりやすくリアクションに困っているところ申し訳無いんですけどもう一つあるんですよ。」
「もうすでにお腹一杯になりそうなんですが。」
「トレセン学園すら知らなかったみたいです。」
ガシャン!ガラガラン
電話越しにもズッコケたであろうことが伝わってきた。
「だ、大丈夫ですか?デジタルさん。」
「お…。」
「お?」
「推せる!推せます!推しすぎます!!!」
デジタルさんのスイッチが入った。こうなるとデジタルさんは止まらない。トレちゃんは友達だから押しの観点から見てなかったけど。
なるほどこういう見方ができるのかと感動とともにまた一つ成長できた。
「あたしの知っているジャンルとは全くの真逆!ですがそこに魅力を感じざるを得ない!あぁ~想像するだけで薄いほ…じゃない創作が捗ります!ってすいません。それで、お願いとはなんですか?」
「トレちゃんにレースの魅力、レースの何たるかを教えてあげてほしいんです。」
「なるほど、トレノさんにレースの魅力をですか…。今のままでも十分キャラは立ってますがわかりました!しかし…うーん困りましたね。」
「やっぱり難しいですか?」
「そうですねぇ~。こればっかりは本人の問題ですし…。」
やっぱりというかそりゃそうだよねえ。デジタルさんもかなり唸ってるし。
飽きの問題っていうのはそう簡単には「ありました!」
「あったんですか!?」
「はい!トレノさんはレースを見たこと無いんですよね?」
「そうですけど。」
「だったら実際にやってみてもらえばいいんですよ!」
「なるほどぉ~?ってっそんなこと出来るんですか?」
「はい。実は今年の感謝祭ではウマ娘向けの企画として有名チームに体験入部出来るものありまして。二時間くらいのトレーニングの後に模擬レースやるんですよ。」
「え、ということはつまり…。」
「ナナさんも気が付きましたか。そう!この企画で私たちがまだ見ぬ推し!ウマ娘ちゃんたちが集まるんです!」
その言葉を聞いて私はその光景を思い浮かべてみた。
その光景はまさに。
「パラダイス!!」
「そうその通りなんですよ!あたしたちが直視することもおこがましいほどの未来の輝き!あぁ~た ま ら ん !」
「早く当日になりませんかねえ」
「全くです。…じゃなかった、本題を忘れていました。この企画にですね、トレノさんに参加してもらいましょう!ただ参加に関してはナナさんにお任せすることになりますが大丈夫ですか?」
「任せてください!トレちゃんの落とし方は知っているので!」
「分かりました!それではま…ハッ!」
「どうしました?デジタルさん?」
「このレースがきっかけでトレセンに編入してレースの世界でひと際輝く存在になる…。」
デジタルさんがうわごとのように呟いている…。
まさかまたスイッチが入ったんですか!?
「そしてほかのウマ娘ちゃんと交友を深めていく…。あああああああああ!尊 す ぎ る !」
ガシャンガシャン!
「デジタルさんの霊圧が…消えた…。」
どうしよう。おそらくデジタルさんは気絶している。
まあ話したいことは話したから電話切ってもいいかな?
ああ大丈夫だろう、そう思い電話を切ろうとすると。
「やあやあデジタル君の友人君!」
あれ?この声ってまさか!?
「今しがた帰ってきたところなんだがデジタル君が立ったまま気絶してるんだよ。何か知らな」
「ぎょええええタキオンさんだああああ!」
そこで私の意識も途切れた。
第二話ご覧いただきありがとうございます。
こうして書いてみてわかったんですが1000文字書くのにも苦労しますね。
文才がないせいで余計に時間かかってしまうのも難点ですかね。
まあボチボチやっていきますので気が向いたらこの先も読んでいただけると嬉しいです。
誤字脱字等ご指摘頂けると幸いです。