さて、ハヤヒデさんが来る前に避難しておきますかね。っとと、その前に
本編どうぞ!
駐車場に車をおいて豆腐を冷蔵庫に入れトラックに小走りで向かう。
「やっと着いた…何気に遠いんだから。ってすごいギャラリー。凄い注目度だなぁ。」
学園のウマ娘が集まっている。リギルもスピカもいて…BNWもいる。バイバインのように事が大きくなってる気がする。
「あら?あなた謹慎中じゃなかったかしら。」
「と、東条さん!?もしかして、トレノちゃんのレース見に来たんですか!?」
「それはあくまでおまけ。私はまあ、もしものための保険?かしらね。それよりも、私の質問に答えてもらってないけど?」
「私は…トレノちゃんをここまで送ってきたのでせめてでも見届けてあげたいなって。後帰りも送ってあげないとなので。」
ここまで送って来たんだから責任ってわけでもないけど、ちゃんと送り届けないとね。そういえば…
「そうだ、沖野さんと東条さんにお土産買って来たんだった。このレース終わったら渡しますね。」
「お土産?何かしら。」
「まあそんなに面白いものじゃないないですけどね。うちの近所の豆腐です。意外と美味しいですよ。」
「そう、じゃあ後でいただくわ。そろそろ始まりそうよ。」
「あばばばば…トっトレノさんがタマモクロスさんとレース!?どうなっているんでしょう!?兎に角、ナナさんに連絡です!」
目の前の薄いほ…じゃない創作意欲しか沸かない案件をナナさんに伝えるべく電話する。
「もしもし、デジタルさんですか!?ちょうどよかったです!トレちゃんそっちにいませんか!?電話がつながらなくて!」
「まさにその件です!今目の前でレースが始まってしまいそうです!」
「えええええええッ」
やはり驚いていますね。
「待ってください、今カメラにするので。」
「ほ、本当だ…トレちゃん行かないとは言ってはいたんですけど…ちょっと、いやかなり様子がおかしかったですから。」
「かなりの観客も集まってますからね…。」
「勝てますかね、トレちゃん。」
「アタシとしてはお二方とも推しなのですが、トレノさんを応援したいですかね。今イチ推しの方ですから!」
トラックを見るとトレノさんがウォーミングアップアップを終えタマモクロスさんから説明を受けているみたいです。
「やあやあデジタル君!君もレースを見に来たのかい?」
「「タ、タキオンさん!?」」
タキオンさんも見に来るとは、やはりトレノさんは注目の的ですね!
「いやなに、窓からトレノ君が走っていく姿が見えたのでね。データを集めようと思ってね。」
「データ…ですか?」
「そうとも、彼女はかなり興味深いからねぇ。貴重なサンプルになるだろうねぇ。」
「トレちゃん、大丈夫かなぁ。私の心配は恐怖を感じるほど増大していくよぉ。」
「そんなに心配しなくても…っとそろそろ始まりそうですね。」
「用意…スタートッ!」
合図とともに走り出す。先頭を取ったのはやっぱりタマモクロスさん。やっぱり直線じゃ勝負にならなさそう。…だけど思ったよりは差が開いていかない。
「…?前より走りやすい?」
何でだろう。前のレースと変わったところ…靴?前とは走りやすさが違う。靴がちゃんと芝に食いついてくれている。靴を変えろってこういう事だったんだ。
「これなら前よりもペースを上げられる…!」
「5…いや6バ身位やな…。」
もうすぐ直線が終わってコーナーに入る。ホンマはもうちょい離しておきたかったんやが。スパートでスタミナ切れしてもうてもアカンからな。
フンッ…!コーナー曲がって突き放せる…
「シュッ…!」
訳ないわなぁ。
なんだ…あのコーナリングは…!直線でのスピードは特筆すべきものはなかった。並のウマ娘より少し早い位か。5~6バ身程度しか離れなかったのはタマモクロス先輩がスパートに向けてスタミナを温存しているからだろう。
「凄いよあの子!タイシン見てよ!タマモクロス先輩について行ってるよ!」
「見てるから…。私やタマモクロス先輩と同じ脚質だと思ったけど…違うのかな。」
「今は判断がつかないな。だがあのスピードは私たちが真似しようとしても簡単にはできないだろうな。」
何せあれほど離れていた距離が見る見るうちに縮んで今ではほとんど差がなくなってしまったんだからな。
「トレノちゃん…前より速くなってる?」
「そうね…この前のレースよりも数段レベルアップしてるわ。この短期間でどうやったら…。」
「踏み込みも…コーナーでのライン取りも以前よりも正確になってる。それでいてあのスピード。」
「ルドルフと同じくらいトレーナーの必要性を疑いたくなるわね。」
トレノちゃんが自主的にトレーニングを?事実トレセンに来るときにあの格好になったわけだし。となると尚更引っかかる。
レースに興味がなければあのような服を用意する意味が無い。車に興味が無い人がレーシングスーツを持ってるようなものなんだから。
「これほどとは思ってなかったわ。このレース分からないわよ。」
「そうですね、こうやって目で見るまで勝つのは無理だろうと思ってたんですけど…これなら。」
カーブもそろそろ終わる。やっぱり手ごわい、抜きにかかろうとしてもそう簡単には行かせてくれない。やっぱり”アレ”やるか。アレをやるのは雪の時だけだと思ってたけど。
仕掛けるのはこの先のカーブの入り口…その少し手前からスパートをかけて抜いて見せる…タマモクロスさんを!
「ハァ…ハァ…ハァ…!」
コーナー抜けて直線に入ってトレノとの差が開き始めとる。確実に開いとるはずやのに…プレッシャーは強くなっとる。
せやけどな…こんなプレッシャー受けたくらいじゃウチは掛からんで!オグリに比べたら大したことないわ!このままいけばウチの勝ちや。
ふぅン。トレノ君がこれほどとは嬉しい誤算だね…。データとしては大変申し分ない位に取れている。ますます君を研究したくなるじゃないか。
レースも終盤、さて、トレノ君はどう仕掛けてくるのかな?
もうすぐ最終コーナー、タマモクロス先輩とトレノ君との差は6~7バ身程度開いている。勝負あった…といったところか。
いくらコーナーを速く曲がる技術があってもここまで離されては勝ち目はないだろう。タマモクロス先輩相手に健闘したといった所…そこから仕掛けるのか!?
もうすぐコーナーだというのに!?そんなスピードで曲がれるわけない!
コーナー直前でスパートやと!?曲がり切れるんか!?ウチよりコーナーが速いんは認めるが、あまりにも無茶や、何考えとるんや!
カーブ直前でタマモクロスさんに並んだ。このスピード感…イケる!
ココだ!
ガリッ
なんや!?今のは!ウチよりインで走って…ウチより速いスピードで曲がるやと!?
抜き去った?最強と謳われたタマモクロスちゃんを?いったい何が起こったの?
「あり得ないわね…見てる私たちでさえ何をしたのか分からないわ。」
「はい…ただ分かるのはインからスパーッっと抜いて行ったくらいです。」
状況を整理しようとしても理解できない部分が多すぎて整理しきれない。それ位異常なことが起こっている。
トレノとの差が5バ身…6バ身…どんどんと開いとる。たかがコーナー一つでここまで離されるんか。目の前で見るとショッキングやな…。せやけど、ウチの脚やったらこの先の直線で巻き返せる!
見とれよトレノ…お前が相手にしとるんは引退したとはいえ最強やぞ。その意地見せたる!
あれは、領域か…時代を作るウマ娘が入ると言われているらしいが…心理的には極限まで集中することで起こるものだろうねぇ。
タマモクロスを抜くだけでは飽き足らず、あれを使わせるとは…。
「見ましたデジタルさん!トレちゃんがタマモクロスさんを抜きましたよ!」
「ええ見ましたとも!ですがまだ分かりませんよぉ!まだ尊死するには早いですよデジたん!」
「ええその通りです!一瞬気を失いかけたけど最後まで見届けるよトレちゃん!」
少々外野がうるさいのは放っておいて…それにしても気になるのはトレノ君が仕掛けるときに使ったあの技?原理としては分かるがあれを実践でやろうとはだろも思わないだろう。
この勝負は決まったようなものだろう。あれほど差が開いているのだ。いくらタマモクロスでも差し切るのはもう1バ身足りないだろうね。帰ってデータをまとめるとしようか。しばらくは寝不足になるだろうねぇ。
ラストの直線、離れたと思ったタマモクロスさんがどんどん追い上げてくる。息ができない、足が重い、でも…”負けたくない”!その一心でゴールまで走る。
「「おおおおおおお!」」
声にもなってないような声で叫ぶ。これほど叫んだのはいつぶりだろう。いや、初めてだろう。もうさっきまでの差は無いだろう。負けるかもしれない。それでもいい。ただ純粋に楽しかったんだから。
「ゴール!!」
スピカのトレーナーの声で減速しながら大の字に倒れる。心臓がうるさい。けどそれがいい。心の底からの笑顔がこぼれる。
「勝者…トレノスプリンター!」
観客からの歓声が聞こえる。そうか、私…勝ったんだ…。
「お疲れさん!いいレースやったな!」
そういうタマモクロスさんの息も上がってはいるけど私より余裕がありそうだった。
「随分…余裕そう…ですね……。手加減でもしてくれたんですか?」
「そんなわけないやろ。ウチも全力やったわ。せやけど勝たれへんかった。ホレ、立てるか?」
タマモクロスさんが手を差し出す。その手を取って立ち上がる。
「よいしょっと…おっととッ。」
「無理せんでええ、肩貸すで。コミちゃんの部屋いこか。」
ビワハヤヒデだ。作者が急な体調不良に見舞われてしまったので後書きは私が担当しよう。
さて、トレノ君とタマモクロス先輩のレース、見どころが満載だったな。作者の語彙力の無さが悔やまれるよ。
特に最終コーナーでの追い抜き、まさかあんなことをやるなんてな。
何をやったかだって?それは次回トレノ君が説明してくれるさ。
ではまた次回。私もトレーニングしたくて仕方がないよ。