頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第三十七話 適性

「お、終わった。凄い長く感じた…。」

 

「お疲れ、どうだった?って聞くにはまだ早いか。」

 

「そうですね、これからトレーニングもありますから。ロータリーさんもですよね。」

 

「ああ、お前のメニューは何なんだ?」

 

昨日の夜にLANEが来ていた。割と事細かに書いてあった。

 

「確か全距離、芝、ダートのタイム計測とライブの練習です。」

 

「となると先に適性測るって事か。ほぼ決まってるようなもんだろうけど。」

 

「適性ですか…私としては長い方が良いですかね。」

 

「まあだろうな。お前の走りはどう見たってステイヤーのそれだ。」

 

「ステイヤー?」

 

分からない単語がまた出てきた。カルチャーショックとかジェネレーションギャップじゃないけどついていくのに精いっぱいだ。

 

「長距離…2400メートル以上で活躍するウマ娘って事だ。ステイヤーだとマックイーンさん、ライスさんが代表だな。」

 

「マックイーンさん…スピカのですか?」

 

「そうそう、まあ続きはお前のトレーナーに聞いてくれ。」

 

 

 

「お疲れ、トレノちゃん。今日は昨日LANEで送った通りにやっていこうかな。まずストレッチからやっていこうか。」

 

ストレッチということで体育の前にやる準備体操みたいなものをやったりトラックを一周ジョギングしたりしてもらった。

 

「まあこれくらいでいいかな。じゃあまず短距離から計っていこうか。1200メートルでいいかな。ゴールはコーナー一つ抜けてだね。」

 

「分かりました。」

 

「それじゃ、用意、スタート!」

 

合図に合わせてトレノちゃんが勢いよく飛び出す。多分だけど平均タイムより遅くなるんじゃないかな。トレノちゃんの適性は恐らく中、長距離。

 

短距離、マイルだと上がってくるのに時間が足りないと思う。

 

 

「ハァ…ハァ…。」

 

「お疲れ、どうだった?」

 

そう言いながら水を手渡す。それを受け取ると飲んでからこう言った。

 

「何というか、スピード上げてくぞってタイミングで終わっちゃった感じでした。」

 

「成程、となるとマイルもそうなるかな。」

 

手元のストップウォッチに目を落とす。1分16秒。平均と比べるとやっぱり遅れている。トレノちゃんは加速力が無いからストレートが短いと思ったように走れないのかも。

 

「どれくらいですか?早いのか、遅いのか。」

 

「1分16秒、平均が8秒位だから遅い…かな。こればかりは適性の差もあるし、あまり気にしなくてもいいかな。」

 

「成程。」

 

マイルになれば少しは平均との差は縮まると思うけど。憶測で決めるわけには行かないので次に行こう。

 

「そろそろ次に行こうか。次はマイル、1600メートルで行こうか。スタート位置を変えるから気を付けてね。」

 

「分かりました。」

 

 

 

「いつでもいいです!」

 

「オーケー!それじゃ、用意、スタート!」

 

合図で走り出す。さっきよりは直線が長くなったからスピードを乗せてコーナーを曲がれる。さっきはそれほどスピードが乗ってない状態でコーナーに入ったからか少し曲がりにくかった。

 

「フンッ…。」

 

ラインを乗せてコーナーを曲がる。うん、思い切って入っていけたからさっきより曲がりやすい。スパートを掛けつつ立ち上がっていく。

 

「ハァア!」

 

そのままゴールまで走っていき、ストップウォッチの音で減速する。

 

「どうでした?」

 

「1分37秒…平均より3秒遅い位だね。うん、段々と適性距離に近づいてきてるね。はい水。」

 

「ありがとうございます。ロータリーさんに私はステイヤーだって言われたんですけど渋川さんもそう思います?」

 

「本音を言っちゃえばね。適性をこうやって測ってるのも最終確認の意味を込めてなんだよね。ロータリーちゃんにステイヤーについてどれくらい聞いた?」

 

「中距離以上で活躍するウマ娘で、代表格がメジロマックイーンさんと…ライスさんって聞きました。」

 

ロータリーさんに聞いたことをそのまま言うと渋川さんは頷く。

 

「それくらい知ってるなら大丈夫かな。強いて言うなら特徴としてトップスピードでよりスタミナが優れたウマ娘がそうなりやすい位かな。」

 

「スタミナですか、確かにそれなら自信があります。」

 

往復4キロ、配るときに大体1キロ。合計9キロ位の道のりを毎日走ってれば嫌でもスタミナが着く。

 

「タイム計り終えたらでいいけど、豊田さんのトレーニングについて聞いてもいいかな?」

 

「良いですよ。でも大したこと無いと思いますよ?っとと、そろそろ次行きませんか?」

 

「オッケー。それじゃあ中距離、2000メートル行ってみようか。」

 

 

 

「用意、スタート!」

 

二つの距離を走り、ようやく本命の距離を走り始めた。前二つのデータはやらなくても分かってた。要らねえソースを求めるのは新人だからだろうな。

 

スピードが乗って軽快にコーナーを曲がっていく。いつ見ても鮮やかなこった。

 

「ハァ!」

 

さて、オグリキャップとのレースのデータをまとめてParcaeに打ち込むと身体的成長があまりにも少なすぎた。

 

無論一週間ばかりでそこまでの急成長なんて期待しちゃいない。だが本格化を迎えたウマ娘のそれではない。試しに成長度合いを推移して割り出してみたが。

 

「意味ワカラネェ。」

 

この先もほんの少しずつしか成長していかないと来た。何かが根本的に間違っているとしか考えられない。

 

つまりトレノは身体能力のハンデをテクだけでその差を縮めていることになる。どんなトレーニング環境ならそれほどのテクを身に着けられるんだ。

 

どんなトレーナーが着けばあんなクレイジーなことが出来る?

 

「ゴール!1分59秒…平均より1秒も早いよ!」

 

「本当ですか?良かったぁ。」

 

予想通りだ。この回のトレノのタイムは1分59秒になるとParcaeは導いていた。驚きはしねえが納得も出来ねぇ。

 

「全くッ、ロジカルじゃねえ。」

 

 

 

「芝の最後は長距離だね。うーん、距離どうしようかな。出来る事なら3000メートル計りたいけどまだ早いかな?」

 

「3000メートルなら大丈夫だと思いますよ。いつもそれ位走ってますから。」

 

「ホント?…じゃあ行ってみようか。」

 

3000メートルを大丈夫と言うとは、豊田さんにどんなトレーニングを受けたんだろう。

 

「それじゃ行くよ!用意、スタート!」

 

今まで通り勢いよく飛び出していく。先週確かに2500メートルを物凄い気迫で走り切った。でもその直後に咳込んでかなり苦しそうだった。

 

それでも今の所軽快に走っている。ペースが落ち込んだところで止めないと。

 

「シュッ!」

 

「良いペースで走れてる。区間タイムもいい感じ。」

 

トレノちゃんの言う通り、大丈夫そうだ。となると咳込んでいたのはレースの反動って事かな。何も考えないで全部出し切れたって事になる。

 

思わぬところでトレノちゃんの長所に気付けた。勝負所でほぼ100パーセントを出せるのはレースの世界だとこれ以上ない位の才能だ。

 

2000メートル通過、ペースを上げ始めてる。いや、スタートしてから今に至るまでペースは上がり続けていた。

 

 

 

「デビュー前であんなに走れるものなのか?」

 

「ええ、あのレースを見た後で言うのもなんだけどクラシック、シニアを現役で走ってますって言われたほうがまだ納得できるわね。」

 

スぺもリギルの入部テストの時中々に走れていたがそれでもこれほどで無かった。

 

「でも豊田さんの所で、5年もトレーニングを受けていたって知ってると何故か納得できちゃうのよね。」

 

「同感だね。いやーこの先が恐ろしいね。超が付くほど強力なライバルだ。今3000メートル走らせてるのを見ても三冠狙ってんのは確実かね。」

 

「三冠を狙ってるのはロータリーも同じよ。噂だとサトノダイヤモンドも狙ってるとか。」

 

「ああ、キタサンから聞いてるよ。そのキタサンも三冠狙ってるし、厳しいねぇ。今年は大乱戦だね。」

 

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