頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第五話 疑惑

「お疲れートレちゃん!」

 

「うん、お疲れ。」

 

学校がようやく終わり放課後になる。

いつも思うけどナナのこの元気はどこから出てきているのだろう。

 

「それでさあ朝の話の件だけどさ、どうかな?出てくれる?」

 

「ああ、それね。その話もう少し待ってくれない?」

 

「まあそう簡単には決まらないか。レースは明日なんだしそれまでに決めてくれればいいよ。」

 

「分かった。ごめんね、待たせちゃって。」

 

「気にしないでいいよ。無理言っちゃたのは私なんだし。」

 

とは言え、ナナが出してくれた条件は今すぐに飲んでしまいそうな位の魔力を持っている。

どうしようかなぁ。

 

 

 

 

 

遂に!遂に!!遂に!!!

ウマ娘ちゃんたちのウマ娘ちゃん達によるウマ娘ちゃん好きのための感謝祭!

学園内では明日の感謝祭の準備が着々と進められています!

普段はライバルとしてお互い切磋琢磨していますが、この感謝祭では手を取り合いあたし達ファンに感謝を伝えてくれる!

あぁ~準備を進めている推しを見ているだけで至福があふれ出てきますぅ。

しかし!あたしの今の最推しは何といってもトレノスプリンターさん!

いったいどんな方なのでしょう!早く明日になりませんかね~。

 

「やぁやぁデジタル君!随分と探したよ。」

 

「ひょえ!?た、タキオンさん!?」

 

「そんなに驚かないでおくれよ。今日は話があって来たんだ。」

 

「おおおお話ですか!?何ですか!?あたしにできるお話なら何なりと!」

 

タキオンさんのお話って何でしょう!タキオンさんのお話であれば例え一日中であろうともお付き合い致します!

 

「この前電話で何か話していただろう?その内容について詳しく聞きたいんだが。」

 

「ほえ?そんなことでいいんですか?というかあたしの話になってしまいますが?」

 

「それでいいとも。長くなっても構わないから順を追って話してくれたまえ。」

 

「分かりました!それではですね……」

 

そこからあたしはナナさんと話していたこと、トレノさんの事を事細かに説明しました。

かなり長い話になったと思うのですがタキオンさんは飽きることなく、時折メモを取りながら聞いてくれました。

 

「ふぅン、成程ねえ。レースに興味のないウマ娘かぁ。」

 

そういうとタキオンさんは少しの間考えた後、天を仰ぎながら話を続けました。

 

「確かにウマ娘といえどその在り方は多種多様、レースに興味のないウマ娘もいてもおかしくはないだろう。しかしレースを見たことも無ければそもトレセン学園も知らないとはねぇ。」

 

その後も独り言のようにトレノさんの考察を続けるタキオンさん。こんなタキオンさんを間近で見られるなんて!

あぁ~尊い。満たされまくっていましたがこのままでは気絶してしまいそうです。

 

「ふむ、時にデジタル君。…デジタル君?」

 

「はっはい!何でしょう!」

 

危ない危ない、ついつい尊死してしまいそうでした。

 

「トレノ君は今回の企画の模擬レースに出るのかい?」

 

「はい。ナナさんがトレノさんの説得に成功していれば出てくれるはずです。」

 

「ふうむ、成程。デジタル君、貴重な話をありがとう。それではこれで失礼するよ。」

 

「はうっ!」

 

まさかこれだけのことでお礼を言って下さるとはっ!ああっ尊みが溢れていく。

わが生涯に一片の悔いなし!

 

 

 

 

 

大方話も聞き終わったのでデジタル君に別れを告げ、研究室に戻る。

後ろから誰かが倒れたような音がしたがどうせデジタル君なので放っておく。

それにしてもトレノ君か…レースに興味がないならまだしも飽きたとはね。

…?”飽きた”とはどういうことだ?彼女はレースを見たことがないらしい。ならば出たことも無いだろう。

一度もやったことがないものに”飽きた”という表現を使うだろうか。

ふむ、実に興味深い。この企画の模擬レースは見る価値がありそうだな。

 

 

 

 

 

ようやく帰ってこれた。学校から家に帰るときはなぜか地味に遠く感じる。

 

「ただいまー。」

 

「おう。」

 

基本お父さんは家にいるんだけど、テレビつけながら新聞読んでるんだよね。

一応まだ営業時間なんだけど?職務怠慢すぎない?

そんなことを思いつつ二階の自室へ登っていく。

 

「ふぅ~。」

 

学校から帰ったらいったん布団に体を預ける。これが気持ちいいんだよね。

 

「はーどうしようかなあ。」

 

正直まだ悩んでいる。レースに出れば行きの電車代、勝てば更に帰りの電車代がおごりになる。

だが正直ナナにそこまでの大金払わせるのもどうかと思う。

 

「ナナが自分で払うって言ったんだからいいじゃん。出てその分貯金に回そうぜ?」

 

悪魔が出てきた。貯金に回せる…ゴクリ。

 

「駄目だよ!払うって言ったって金額が金額だよ?かわいそうだよ!」

 

天使が出てきた。そうなんだよね。結構お金かかるんだよね。それ考えちゃうとなあ。

 

「少しはナナのことも考えてあげなよ!」

 

「うるせえ!本人がそういったんだからいいじゃねえか!」

 

ヤバい。ケンカし始めた。というか悪魔の私、すこし口が悪くない?そんな話方しないよ?

 

「FF外から失礼します。それならレースには出て悪目立ちしない程度に走って二位か三位でゴールすればいいんじゃないですか?」

 

誰だこいつ。「ジャックだ」…ジャックとかいう奴が提示した案を聞いた両者は戦いの手を止めた。

 

「「それだ。」」

 

それだじゃないよ?突然出てきたよく分からない人に流されないで?

…何はともあれ決まった。一時はどうなるかと思ったけどどうにか丸く収まった。ありがとうジャック。

…たぶん二度と出てこないだろうけど。てか出てくるな。

 

「さて、明日の準備しよ。」

 

財布やら何やらをリュックに詰める。レースに出るから一応配達の時に着てるジャージやタイツの予備なども詰めていく。

 

そうだ、出ることナナに言っておかないと。

そう思い、ナナに電話をかける。三コールほどでナナが出た。

 

「ヤッホートレちゃん。珍しいね電話なんて。」

 

「あのさ、レースの件なんだけど、出てみるよ。」

 

「ホント!?やったぁー!ありがとうトレちゃん!」

 

「そういうわけだから忘れないでね?」

 

「…んん?何のこと?」

 

今変な間があったような気がする。さては逃げようとしてないよね?

 

「電車代、忘れないでよね。」

 

「…ぐすっ、はーい…。」

 

泣くくらいならそんな条件出さなきゃよかったじゃん…。

 

「じゃあそういう事だからまた明日ね。」

 

「うん、また明日ね。」

 

そう言って私は電話を切った。ってもうこんな時間か。そろそろ夕ご飯作らないと。

それにしても何というか、レースに出るといってから悪寒が凄い。風邪をひいているわけじゃないんだけどな。

まるで明日酷い目に遭うことを予期しているかのようだ。

…やめよう。考えれば考えるだけ悪寒が増していく。気のせいだろうと自分に言い聞かせる。

 

 

 

………………気のせいだよね???

 




第五話ご覧いただきありがとうございます。
キャラのセリフ考えるだけで頭使いまくって宇宙猫しそうです。
キャラ崩壊はなるべくしないように書いていますが、もういいやってなった瞬間に崩壊する可能性がありそうで怖い。
…タグに書いてあるしいいか。
それではまた次回!
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