頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第五十三話 嫌な予感

「トレノちゃん!走るの止めて戻ってきて!」

 

渋川さんからの制止の声が聞こえた。戻るにしてもこのコーナーを超えないといけない。…ごめんなさい、このコーナーだけ走らせてください!

 

コーナーに入る決意を固めてスパートを掛ける。もしまたミスったら今度こそ何かケガする。私が対応できるか、一発勝負だ!

 

 

「トレノちゃん!お願い、戻ってきて!」

 

駄目だ、全然止まる気配が無い。このままだと勢いそのままにコーナーに突っ込んでいく。

 

せめてコーナーの出口で待って転んでもすぐに対応できるようにしておこう。さあ、いつでも来ていいよ!

 

 

一つ目のコーナーの時より速いスピードで曲がっていく。足がコーナーの方に曲がらないから自然と体が外側に行ってしまう。

 

行きたい方向と脚の向きが違うからなのか、脚がもつれ始める。

 

………………ココか!

 

 

 

「えー…いや、そんなっっえーー?」

 

コーナー始めこそ外に膨らんでいってまた転びそうになったけどさっきのコーナーでコツをつかんだのか、ものすごくきれいに修正してクリアしていった。

 

限られた舵角で曲がるには流さなくても、流しすぎてもアウト。でも慣れれば普段よりかなりとばせるようになる。

 

ワンハンドステアもガムテープデスマッチの延長線みたいなものだし。

 

…でもそんな簡単にこなせるルールじゃないんだけどなぁ。おかしいなぁ。って今はそんなことよりトレノちゃんの心配をしないと!

 

「何とか、…戻ってこられました。」

 

「大丈夫!?痛い所とか無い!?」

 

「今は大丈夫ですけど…これめちゃくちゃ難しいですね。」

 

「まあそりゃあこれやって事故った人は古来より数知れないからねってそんなことよりガムテープはがすよ!」

 

大急ぎでトレノちゃんに巻いたガムテープを痛くないように慎重にはがす。

 

「動かすけど痛かったら言ってね。」

 

そう言ってゆっくりと動かしていく。沖野さんのようにはいかないけど少しの違和感も見逃さないように神経を集中させる。

 

「あの…。」

 

「あっゴメン!痛かった?」

 

「いや…少しくすぐったいです。」

 

「それは少し我慢してね。」

 

「はーい。」

 

少しの間触診してみても特に異常は無さそうだった。

 

「一応は問題なさそうかな。でも明日とかに痛みが出てきたらすぐに言ってね。今日はもう」

 

「分かりました。じゃあもう一週走ってきますね。」

 

終わりにしようかと言おうとしたら驚きの一言が聞こえてきた。

 

「いやちょっと待って。今日は終わろうかなって思ったんだけど。もしケガしてて悪化したら大変だよ?」

 

そうなったら弥生賞はおろか皐月賞、ダービーも回避しないといけなくなる。それだけは絶対に避けたい。。

 

「さっきのやつ、めちゃくちゃ難しかったですけどコツを掴めた気がするんです。忘れないうちにもう一度走りたいんです。」

 

「掴んだの?あの1回で?…じゃああと1周だけだよ?」

 

「ありがとうございます。」

 

走っていくトレノちゃんを見てタイマーを押しながら疑問に思う。あの1周だけでコツを掴めたって…。いったい何が何だか。

 

最近ロータリーちゃんのトレーニングでも見学もとい偵察しようとしてもどうにも時間合わないし。あっちがどんな作戦で弥生賞走るのか分からないまま。

 

そんなことを思っているとトレノちゃんがコーナーに入っていく。すると驚くことにコーナーの入りがスムーズになっている。

 

今までは入り口で少し曲がりすぎてしまう癖のようなものあったんだけど。弱点と言えば弱点なんだけど、皐月賞までに治ってくれればいいやと思っていた。

 

それがこんな一瞬で治ってしまうなんて…。誇らしく思う反面恐ろしくもある。この恐ろしさは何というか、GC8に似ている気が…いや何か違うな。

 

ともあれ、これなら弥生賞、その先の皐月賞の勝算は十分にある。後は作戦かぁ…浮かばないなぁ。

 

 

良い感じにスピードが乗る。脚で曲げるより体全体をうまく使う方が速く曲がれるのか。

 

ケガこそしかけたけどそのおかげでまた成長することが出来た。成程、ガムテープにはそういう意味があったのか。

 

次のコーナーも体全体を使って曲がっていく。…うん、いい感じ。違和感もない。

 

唯一つ、言いたいことがあるとすれば、これ異常に危ないから他の人で絶対にやらないで下さいね。

 

 

 

「成程、これが追込の走り方か。」

 

対トレノに向けてヒシアマ姐さんの胸を借りている。最序盤さえ後ろで耐えることが出来ればあとは思いのほか好きに走れる。

 

「そこだロータリー!スパートを掛けてみろ!」

 

「ハアァ!」

 

東条トレーナーのも合図で俺と姐さんはスパートを掛ける。…付いていけてるぜ。トレノの末脚は姐さんほど鋭くない。超ロングスパート型って言ってたな。

 

これなら勝てるぜ。弱点だって分かった。弥生賞でアイツに勝って三冠への足掛かりにする。

 

 

 

 

 

「そのシャーペンカチカチやるのって癖ですか?」

 

「えっ?あっホントだ。無意識だったよ。…遂に来たね、弥生賞。今日まで頑張って来たけどそれは向こうも同じ。頑張ってきて。」

 

「はい、勝ってきます。…ところで作戦ってあるんですか?」

 

「作戦かぁ。…パドックでロータリーちゃんの様子を見て考えるからちょっと待っててね。」

 

本音を言ってしまえば何も思いつかなかっただけだけど。…何かいい作戦無いかなぁ。

 

「それ、何も思いついて無いだけじゃないですか?」

 

「ギクぅ!そそそそんなこと無いよ?」

 

「そんな事あるじゃないですか。それじゃ、行ってきますね。」

 

「う、うん。戻るまでに何か考えておくから!」

 

 

『ホープフルでは強烈な走りを見せてくれたトレノスプリンターは弥生賞2番人気です。』

 

『それでも人気で言えば1番人気と僅差です。好走を期待します。』

 

ホープフルがG1で弥生賞はG3。レースの格式はホープフルの方が上だけどそれでも同じくらいの観客が来ている。皐月賞のトライアルってだけあるな。

 

『さあ満を持して1番人気、イエローロータリーが入ってきました。』

 

『ここからでも分かるくらい気合が入ってますね。流石1番人気ですね。』

 

「遂に来ましたね、弥生賞。」

 

「ああ、今日お前に勝って皐月賞の足掛かりにする。悪いが踏み台になってもらうぜ。」

 

「私だって負けられません。地元で応援してくれてる友達もいるので。」

 

「まあそれもそうか。続きはレースが終わってからだ。」

 

ロータリーさん、気合の入りが違う。正直話してるだけでプレッシャーを感じてしまった。今日のレース、ホープフル以上に厳しいレースになりそう。

 

 

…何か嫌な予感がする。東条さんの作戦にか、それともロータリーちゃんにか。…その両方?

 

どうにか作戦を…ダメだぁ!何も出てこない!バトルの時はその場その場でっていうか”コース“で仕掛け所決めてたから…コース?

 

「そうだよ、中山なら1回多く走ってるからコースを知ってる分こっちが有利!となれば仕掛けるポイントはぁ…あー。」

 

よく考えたら中山の最後のストレートは上り、身体能力はロータリーちゃんが上。それまでにトレノちゃんが抜いていなければ絶望的。

 

「…どうしよ。」

 

 

地下バ道を通ってコースに向かっていると渋川さんが壁にもたれ掛かりながら何かを考えていた。

 

「作戦、思いつきましたか?」

 

「ゴメン、何も思いつかなかったよ。投げやりになっちゃうけどトレノちゃんらしく走ってきて。」

 

「はい。ただ今日のレース、ロータリーさんが何かしてくるかもしれません。」

 

「だね。だからこれだけ、何が起こってもおかしくないから何が起きても冷静さを保つようにして。…頑張って!」

 

 

『注目はやはりイエローロータリーとトレノスプリンターですね。』

 

『そうですね。先行で逃げ切るか、追込で差し切れるのか。注目です。』

 

軽くストレッチして、深呼吸する。冷静さを保つ…か。ロータリーさん相手にそんなこと出来るかな。タマモクロスさん、オグリキャップさんとやった時だって冷静さなんて保とうとしなかった。

 

考えても仕方ない。とにかくこのレースに集中しよう。

 

『ゲートイン完了、出走準備が整いましました。』

 

その合図でファンファーレが流れる。気持ちをレース1本に集中させてくれる。

 

『今、スタートしました!』




後書きがマジで浮かびません。

という訳でその道のプロに後書きを書くうえでもコツを聞いて行こうと思います。デジタルさん、よろしくお願いします。

「お任せを!解決してみせますよ!」

早速なんですけど後書きで書くことの代表例って何でしょう?

「まあ後書きですからね、自由なスペースなので近況報告なり作品に対する思いだったりですかね。作者さんは前書きを書かない人なので自由度はありますね。」

成程、近況報告ですか。クレーンゲームで沼りまくって6000円位使っちゃったとかでもいいんですかね。

「大丈夫だと思いますよ。どなたを取られたんですか?」

リゼロのレムと五等分の五月ですけど。

「ウマ娘ちゃんとちゃうんか~い!」

また次回!
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