「到着しました!ここがグラウンドです!」
「うっはー!やっぱりいつみても広ーい!」
「そ…そうだね…ゼェ…。」
グラウンドに着いた…らしい。
疲れた。また疲れた。疲れすぎて膝に手をついて肩で息してる。
学園の入り口から走りっぱなしでここまで来たんだけど遠くない?広すぎない。
というか二人ともなんでそんなに元気なの。デジタルさんは分からないけどナナに至っては走る前より元気そうだ。
「ほらトレちゃん!いつまでも下見てないでグラウンド見なよ!びっくりするくらい広いから。」
「わかったから、今見るからそう急かさな…広っ。」
広すぎる。グラウンドとはとても思えないくらい広い。うちの学校がすっぽり入ってしまいそうなくらい広い。
ここでレースすると思うと気がどんどん重くなる。どれくらい走るのか分からないけど体力が持つのか心配だな。
しかも結構見てる人いるじゃん。…辞退って間に合います?
「ささっトレノさん!エントリーはこちらですのでお願いします。」
「分かりました。えーっとこれどこに名前書けばいいんですか?」
名前を書こうにもエントリー用紙が何枚もあってはどこに書けばいいんだろう。
「あぁこれですね。トレセン学園にはいくつかチームがあるのでエントリーしたいチームの用紙に書いてくださればOKです。」
参加したいチームって言ってもなぁ。そんなの知らないしなぁ。お勧めのチ
「だったらリギルにしなよ!」
「びっくりしたぁ。急に耳元で大きな声出さないでよ。」
「ごめんごめん、トレちゃんチームの事知らないと思ったからさ。お勧めのチーム教えてあげようと思ってつい。」
「へー、そのリギルってチームはどんなチームなの?」
お勧めされたからにはどんなチームなのかは気になる。あんまり有名どころは勘弁してほしいけど。
「あ、そこはあたしから説明しますね。チームリギルはですね学園にあるチームの中でむぐぐぐ!」
「えっ急にどうしたのナナ?デジタルさん説明してたじゃん。」
「まあまあ細かいことはいいから!早く名前書いて!開始まで時間あるしほかのところも回ろ!」
デジタルさんの口を塞いだまま、ナナが離れていく。…何話してるんだろう。今のうちに名前書いておこ。
(ナナさんいいんですか?リギルの説明全然出来ませんでしたけど。)
(いいんですよ。レースを肌で感じてもらうには周りが強いほうが効果あると思うんです。)
(なるほど。)
(それに有名だとトレちゃんいやな顔するんで隠しておいたほうがいいんですよ。)
(流石ナナさんです。トレノさんの事をよく理解していますね。)
(伊達に幼馴染やってませんよ。)
「デジタルさーん。書いたんですけどこれでいいですかー?」
「あっはーい。今行きまーす!」
書き終えたのでデジタルさんを呼んで確認してもらう。さっき何を話していたのか聞いてみようかな。
「はい!これで大丈夫ですよ!開始は午後1時からみたいなのでそこでまた会いましょうか。」
「確認ありがとうございます。そういえばさっきナナと何話してたんですか?」
「いえ、特にこれと言っては。」
「それにしては結構話し込んでるように見えましたけど。」
「はっ!もしやトレノさんもウマ娘ちゃんを語りたかったのですか?」
…何かヤバい気がする。このままだと終わらない話を延々と聞かされそうだ。
とりあえず会話を終わらせてナナと屋台でも回ろう。
「いや、そういうわけじゃ無いんですけど。」
「だとしたら申し訳ねぇ!先ほどはあたしだけが舞い上がりあたしだけが萌えていました!」
「えっとデジタルさん…?」
「トレノさんにも好きを叫んでほしい!推しの推しポイントを教えてほしい!推しのあれやこれやを共有したい!」
逃げよう、さっさと逃げよう。最初はどうにか止めようかと思ったけどこれをどうすれば止められるのか分からない。
ナナと何話してたかなんて聞かなければよかった。心底後悔してる。…うん、ナナを連れて逃げよう。
「ナナ、書き終わったし午後1時からみたいだし他の出し物見に行こっか。」
「OK!じゃあデジタルさん!また後で~!」
これ以上面倒な状況になる前に私はナナを抱えて走った。
「東条さーん!どうですか?参加者のほうは集まってますか?」
「フリーだからって気楽ね榛名。そうね、予想よりは参加者がいたわね。」
「へー。ちょと名簿見せてくださいよ。」
「いいわよ、はい。」
そう言って手渡された名簿に目を通す。うわぁ、私がスカウト失敗した子もいる。ちょっと気まずいかも…あれ?
「東条さん、この”トレノスプリンター”って子誰ですか?知ってます?」
「ああその子ね、ほとんどが学園の生徒…それも新入生なんだけどその子だけ一般の参加者なのよ。」
「この子だけですか?珍しいですね。」
「そうなの、私が知らないだけかと思ってルドルフにも確認してもらったけど心当たりがないって。」
「そうなんですか、ぁあでもでもリギルを選ぶくらいですからきっと中々の実力者かもしれませんよ。」
「そうだといいんだけどね。」
うーむ、トレノちゃんか…この子は要チェックかもしれない。記録用のカメラ持ってこようかな?
開始は午後1時みたいだし、お昼ついでにもって来よう。
「東条さん、また後で来ますね。」
「ええ、また後でね。」
デジタル君からトレノ君がチームリギルの模擬レースに参加するという報告があった。
トレーナー君に実験している最中ではあったが優先事項ができた。トレーナー君には後でレポートを提出してもらおう。
さて、昼食でも取ったらグラウンドに向かおうか。そう思い一度研究室に戻る。
「おやっ…あれは…。」
窓越しに見えたのは人を抱えて走る一人のウマ娘。まるで何かから逃げているようだが…。
ルートから見て中庭に向かっているんだろう。彼女はそのまま中庭に続く道を…
「ッ!?」
ぶれた。彼女が道を曲がったと思ったら彼女の輪郭がぶれたように見えた。
正確に表現するなら目がついていかなかったのだろうが、一体彼女は何者なのだろうか。
まさか彼女が…。ククク…実に…実に興味深いねぇ。
第七話ご覧いただきありがとうございます。
エンターキー適当に連打してたら後書き何も書かないまま投稿してました。バカス。
このペースで行くとトレノが走るのあと一、二話先になりそうです。
書いてたらこうなった。バカス。
また次回!