頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第七十七話 ぶっちぎり

「ペースを上げてきたか、そう言えばこれは予選タイムアタック。攻める所は決めて、次の決勝にタイヤを温存しておかないとだからな。

 

追い付くのは予想より先になるな。…いけない、元の口調が出始めてる。」

 

『ついに暫定1位!ジャクソン・テイラーを捉えました!凄い、凄すぎます。もはやこれ以上の言葉はありません!』

 

気分が高まってくるとつい元の口調が出始める。普段がキャラ作りって訳じゃないんだけどな。普通に話すってなったら元の口調だと元ヤンだと思われるから。

 

「残りは半分、タイヤの余力的にここで飛ばすと4セクの後半で苦しくなる。いや、引き出しはまだあるんだ。このペースならCRは間違いない。行くっきゃないでしょ!」

 

『セクター3で相葉瞬がペースを上げたのを察知したのか、100号車もまたペースを上げ始めた!まだ伸びるとは思いませんでした!』

 

「いいぞいいぞ良い感じだぁ!このままゴールまで突っ走る!」

 

 

嘘だろ?こっちだってペース上げてるんだぞ。さっきより距離詰まってねえか?

 

ギャン ギャァアアアア

 

セクター3は高速コーナーが続く。高速コーナーならインプレッサより俺のGTRの方が有利なはず。なのに現実問題、後ろからは段々と近づいてきている。

 

『ブースより瞬へ!差は10秒!悔しいけど、譲る準備しとけ!』

 

マジかよ情けねぇ…。仮にも神フィフティーンの俺が決勝以外で追い抜かれるとは…。

 

パッパッ ギャン

 

ブレーキもコーナー侵入も、ライン取りもミスってる感じはしない。それでも1つ抜けるたびに確実に迫ってきている。

 

パパパン ギャオン

 

なんだ、このうるせえ爆発音は?100号車から発せられてるのは分かる。だが発せられる頻度が常識外れだ。あの車はあれで正常なのか?

 

『100号車渋川榛名、ついに相葉瞬に追いついた!』

 

そんなことを考えていたらいつの間にかもう後ろまで迫っていた。この先にはコーナーがある。先に行かせるならそこでいいだろ。

 

ギャァアアア

 

テールトゥノーズでピッタリと付いてくる。ドローンも前に来てイエローを示す。ほらよ、行ってくれ。

 

パッ パッ

 

「パッシング?抜く気はねえのか?何がしたいんだ?」

 

『何をしてるんでしょう、抜かないでパッシングしています。まさか、この予選の場でレースの申し込みでしょうか?』

 

舐めてくれるぜ。国産最高スポーツカーはこのGTRだ!

 

「受けて立ってやらぁ!」

 

『瞬、あまり感情的になるな!これは予選だぞ!タイヤだってどうする!』

 

「終わったら変えればいいだけの話だろ!売られた喧嘩だ!買わないでどうする!」

 

『ああもう、分かったよ!ここからは何も言わん!派手に暴れてこい、オーバー!』

 

言われなくても!神フィフティーンの実力、見せてやる!

 

 

「これって今すぐ止めるべきなのか?いくら何でも予選だからな。」

 

「一応本部長に確認取ってみる。繋いでくれ。」

 

「上有だ、これ位なら、予選のハプニングって事でそのまま続行だ。」

 

「ですけど、タイムに影響しないですかね。100号車の方とか。」

 

「彼女から仕掛けたことだ、それは承知だろう。それを買った相葉だ。何も問題は無いだろう。」

 

「分かりました。ドローンもその間イエローが出ないようにしておきます。」

 

連絡はこれで終わる。瀬名が言ってた渋川って子には驚きの連続だ。藤原のハチロクがちらついたかと思ったら今度は啓介のFDがちらついた。

 

ひょっとしたら彼女はとんでもない形で群馬プライドを受け継いだのか?

 

 

「いいねぇ最高だよ!全身の血が沸騰するこの感じ、これこそバトルだ!さぁ、ここからようやく前半戦だ!ペースダウンなんかしないでくれよ!」

 

ギャン ドギャ ヒャァオ

 

『何と、相葉瞬VS渋川榛名、一騎打ちが突発的に始まってしまいました!まさか予選でこの熱いレースが見られるとは思いませんでした!』

 

「やっぱり速い、流石GTRって所か。重たい割にタイヤも残ってるみたいだし…後ろから揺さぶってみるか。」

 

ステアを右へ左へ振る。特に乱れた様子はない。そのままコーナーへ突っ込んでいく。

 

「少し外に振ってっと。…成程、簡単には譲らないか。流石に神フィフティーンなだけあるか。付け入る隙が無い訳じゃないけど、城島さんみたいに少し勝ち方考えてみるか。」

 

バトルの時は抜けそうだったら何も考えないで抜いていくけど、ある程度のレベルになると戦略も重要になる。揺さぶってタイヤを減らさせるか?

 

「…ん?私、何考えたんだ?作戦立てるっていうのは悪くないけど、それって楽しいか?…楽しいけど、もっと楽しいことがあるだろ!」

 

ギャァアアアア パパン

 

「そんなもんじゃないだろうが、VR38DETTの実力は!星野さんならもっと速く走らせられるぜ!?」

 

ドギャ パパパン

 

「これだけ圧力掛けてミスらない、ペースを上げていってるのは流石だけど、挙動が少し怪しくなってるぜ。これで乱れちゃ、上位5位なんか夢のまた夢だぜ?

 

楽しいなぁ、逃げる車がいて、そいつを黙って見てられるかよ!こんな楽しいこと止められるかよ!」

 

 

「離れねぇ…。段階的にペースは上げていってるんだがな。」

 

『どうしたんだ瞬、ここに来て今までで1番の走りだ。こんな走りが出来たのかよ。』

 

「と、当然だろ…。大和魂背負ってんだ。これくらいなんともねえよ。」

 

『このペースなら暫定2位に食い込めるぞ、この調子で攻めろ、オーバー!』

 

ギャァアアアア

 

強がって見せたがはっきりとこれが今のオレの全開だ。これ以上は限界超えちまう。恐ろしいのは、奴の方には余裕がありそうな雰囲気がある事。

 

『付いて行っています渋川榛名!相葉瞬にビタリと張り付いてプレッシャーを掛けています!とんでもない下克上が起こっている気がします!』

 

バックミラーを見るとインプが斜めを向いていた。まさか、ドリフトしてんのか?それでオレより速いってどんな走らせ方したらそうなるんだ?

 

パパパン

 

「くっそ、うるせえな…。」

 

あの爆発が何か分からねえが、何かしらの恩恵があるのは確かって事か。

 

ゴア ヒュウウゥ

 

ストレートの僅かな全開区間で少し離れる。コーナーにブレーキ引きずりながら突っ込んでいく。それだけでインプとの差は無くなっちまう。

 

突っ込みじゃ完全に負けてるって事か。

 

ガオ ギャン パパパン

 

3速立ち上がりは互角。4速に上がるタイミングで離れるって事か。パワーはこっちが上。セクター4には駅伝ストレート、その先には2キロのヒルクライム勝負するならそこか。

 

それまでこのポジションを守っていけるかだな。

 

 

「タイヤを少しは使わせた。4セク入る手前くらいで行くか。惜しむらくは、今日が予選3日目だって事だな。そうしたら石神風神とバトルできたかもしれないのに。

 

でも楽しかったぜ、相葉瞬。君はまだまだ成長できる。来年のMFG、楽しみにしてるぜ。」

 

『2台連なってコーナーを抜けていく!少しの全開区間で離されますが、次のコーナーでその差はまた詰まる事でしょう!さぁ、次のコーナーが来ました!

 

渋川榛名が相葉瞬に段々と…いや、並んだ、並びました!GTRインのインプレッサアウトの形でコーナーに突っ込みます!』

 

「車体が半身出た。抑えさせてもらう。これで君は出口まで踏み切れない。それに次はインとアウトが入れ替わる。…じゃあな。」

 

パパパン

 

 

張り付けられて踏み込めねぇ!このまま立ち上がるとインとアウトが入れ替わる。簡単には前は譲らねえぞ!

 

『車両半分渋川榛名が前に出ました!次のコーナーで前に出てしまうのか、それとも相葉瞬が守るのか!?』

 

ビビるな、ハードなブレーキング競争は今まで何度もやって来ただろうが。こんな所で終わらねえぞ!

 

ギィィィィィ ギャン

 

おい、突っ込みすぎだろ…!曲がれる訳がねぇ!

 

パパパン ギャァアアア

 

リアを自分から振り出してった…?マジでドリフトでそんだけ速いのかよ…。完全に前に出られちまった。こうなったら開き直って後ろからその技術盗ませてもらうぜ。

 

ギャァアアア フッ

 

…! 消えた?いや、消えたわけじゃねぇ。立ち上がりでスッと離れたのか?疲れてるのか?

 

パパパン ドガ フッ

 

またかよ!さっきまでの走りはマジで余裕があったって事かよ!というか、フロントエンジンでそんだけ行けるのかよ。坂本のおっさんのR8を見てるようだ。

 

「やべぇ、どんどん離される!オレとあいつ、何が違うんだ!」

 

 

「ここからだ、ミスファイヤリングシステムと4駆の真価は!」

 

 

「とんでもなく強いオーラを感じるぜ。」

 

高橋涼介にも、弟の啓介にも、そしてあのハチロクにも感じたようなオーラを榛名から感じる。この予選じゃ絶対に破られないCRが出ることはもう確定だな。

 

最初はどうなる事かと思ったが心配しただけ損したって感じだぜ。

 

 

『相葉瞬を抜いてさらにペースを上げている渋川榛名!彼女の速さは底なしなのか!?駅伝ストレートを抜けて残り2キロ!ここからヒルクライムです!』

 

「見る目変わっちまうよなぁ。これだけ速いとなぁ。」

 

「この子たちと同じ、れっきとしたアスリートね。トレーナーとして接してくれる子がもっと減るんじゃないかしら。」

 

「そんな子いたか?おハナさん。」

 

「…いなかったわね。大概変人扱いだったわ。」

 

 

「ゴールはすぐそこだ。くっそ、流石にタイヤが言う事を聞かねぇ!幅半分アンダーか!だったらプッシュアンダーを消しにかかる!」

 

ギャン パパパン ギャァアアア

 

「見えた!料金所!」

 

『ゴール!とんでもないルーキーです渋川榛名!CRぶっちぎりで、予選トップに躍り出ました!』

 




どもどもトレノさん。最近出番無いですけど寂しくないですか?

「後書き困ってる人だ。と言うか出番無いってあなたの問題では?」

ふぐぅ、痛い所を突いてきますね。まあ次回は多分出番ありますよ。

「そうなんですか?もう少し引っ張ってくれてもいいんですけど。渋川さんを驚かせたいですし。」

およ?何かあったんですか?

「知ってるでしょ。考えてる本人なんだから。」

いや知ってますけど聞いてみたいじゃないですか~。

「言いません!」

えぇ~! よよよ~

「また次回です。」
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