頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第八十話 トレーニング再開

「久しぶりに会っても1カ月だけじゃあまり変わりませんね。」

 

「人はそんな簡単には変わらねえよ。にしても、もう普通に歩けるのな。朝は少しぎこちなかったけどな。」

 

「私にとってはようやくですよ。今日にでも走り出せるんじゃないかって思ってますよ。」

 

「あ、トレノさん!」

 

お昼ご飯を食べにロータリーさんとカフェテリアまで歩いていると、後ろからダイヤちゃんの声が掛かる。振り返ると隣にキタちゃんもいる。

 

「久しぶり、昨日ようやく戻って来たよ。この通り、普通に歩けるようになったし、走れるようになるのもあと少しかな。」

 

「また一緒に走れるのが今から楽しみです!」

 

「気長に待っててよ。本調子に戻すまでかなり掛かるだろうからさ。」

 

そのまま4人でカフェテリアに向かう。こんな日常が懐かしく思えるくらい、1カ月は長かった。だからこそ取り戻したいと思える。

 

 

「コーヒーが染みる~。」

 

疲れたなーあれだけ質問攻めになるとは思わなかった。いやまあ楽しかったけどさ。チューニングを聞かれると嬉しくなって仕方ない。

 

それにしても瀬名の野郎、人のスマホを、しかも年頃の乙女のスマホを覗きやがって。今度会ったらぶん殴ってやる。

 

「お、中二病トレーナーじゃねえか。たまには一緒に食うか?」

 

「ロータリーちゃんその言い方止めてくれる…?中二病じゃないし、大学まで周りが基本男だっただけだから。」

 

「そういう事にしといてやるよ。」

 

そういって4人が席に着く。私もそろそろ食べるかな。そうだなぁ、カレーかな。注文に行って席に戻ってトレノちゃんに話しかける。

 

「どう、トレノちゃん。だいぶ歩けるようになった?」

 

「はい、もう普通に歩けるようには。今日あたり走れるかもなーなんちゃって。」

 

「じゃあ、走ってみる?」

 

「えぇ?」

 

結構真面目に返したんだけど、嘘でしょ?みたいな顔をされる。

 

「そんな簡単に決めていいんですか!?」

 

「そうですよ!負担が大きすぎると思います!」

 

「流石に全力では走らせないよ。最初はジョギングくらいでそこから段々と走ってもらう感じだよ。」

 

「分かりました。皆、待っててね。」

 

「じゃあ放課後、トラックに集合ね。久しぶりのトレーニングだから短めにね。」

 

その後、軽く雑談しながら食べ終わったから食器を片付けようと立ち上がる。

 

「…あれ、まだ食べられそうだな。」

 

「へー、いつもこれ位なのに珍しいな。病院食は物足りなかったか?」

 

「そういう事じゃないんですけど、まだちょっと食べられるかなって。おにぎり1つだけでも食べようかな。」

 

「もしかして~、本格化迎えてたりして~。」

 

「いや、流石にないと思いますよ。」

 

ちょっと茶化して言うけどトレノちゃんは簡単に否定する。まあ、おにぎり1つ増えただけで本格化迎えてたら苦労しないよね。

 

 

 

「やぁ、さっきぶり。」

 

「さっきって言っても2,3時間くらい経ってますけどね。」

 

「それじゃ、お昼に言ったようにジョギングから行こうか。ほんの少しでも違和感を感じたら止まってね。」

 

「分かりました。じゃ、行ってきます!」

 

ジョギングとはいえ、久しぶりに走れることが嬉しくてしょうがない。トラックを左回りにジョギングで走っていく。

 

……?

 

なに……これ…。凄い変な感じがする。違和感ではある。でも体の方じゃない。心の方?そんな違和感を抱えたまま半分くらいまで言った時渋川さんから声が掛かる。

 

「イケそうだったら10パーセントくらいペース上げてみてー!」

 

10パーくらいだったイケそうかな?ペースを上げて走ってみる。すると違和感が強くなっていく。何なんだろう?全然分からない。……走りにくい。

 

「どうだった?久しぶりに走った感想は。」

 

「まだ全力で走ってないからまだ何とも言えませんけど、走りにくい感じがします。」

 

「1カ月の影響は結構デカいね。どんな感じに走りにくいかな?」

 

「うーん…、頭と体が連動してない…みたいな。理想と現実ぐらい離れてるんですよね。」

 

「やっぱりそうなるよね。でも走れるんだからすぐに元のように走れるんじゃないかな?」

 

私もそう思いたい。でも、事はそんなに簡単な事じゃないような気がする。考えすぎならいいんだけど。

 

「どうかな、大丈夫そうならもう一回走ってくる?」

 

「はい、頭と体の差を早く縮めたいので。」

 

という訳でもう1本走ってみるけど違和感は消えない。少しでもペースを上げれば違和感は強くなっていく。この違和感が消えるイメージが全く湧かない。

 

 

 

 

 

「全然だめだ、ナニコレ、走りにくい!」

 

退院して久しぶりの朝練で、危険を承知でかなりペースを上げて走っているけど、明らかにダービーの時より走りにくい。

 

どれだけ走っても、走りにくさが拭えない。この走りにくさって…パワーが無いのかな?

 

「…!」

 

少し気を抜いた瞬間に体が少しだけブレる。くっそ、こんな調子じゃ復帰なんか夢のまた夢だ。

 

 

 

「それじゃ、今日からは筋トレ中心でトレーニングしていこうか。体を思い通りに動かすんだったらもっと強くしていかないとね!」

 

「そうですね、リハビリも兼ねて頑張ります。」

 

そういう訳でダンベル持ってもらってるんだけど、トレノちゃんが今朝走ったって話を聞いた時は驚いたけど、ケガや不調が無いなら止める理由はないし、内容から予想出来る事はある程度の筋力低下とブランクによる感覚のずれって所かな。

 

解決法は、ひたすらトレーニングだよね。筋力も感覚も実際に体を動かして取り戻すしかない。次のレースの予定はないからのびのびとやっていくか。

 

少しトレーニングを見ていると、後ろから話しかけられる。

 

「渋川さんですよね…?今って大丈夫ですか?」

 

「え?いや、今トレーニング中でさ、ちょっと忙し」

 

そこまで言いかけるとトレノちゃんが割り込んでくる。

 

「大丈夫ですよ渋川さん。私はゆっくりメニューやってるので。…ていうか筋トレだと暇じゃないです?」

 

「ま、まあ、確かにそうだけどさ…。」

 

筋トレはトラックでやるトレーニングと比べてもやることが少ない。正直自主トレにしても良かったけど暇だからここに来ただけだし。

 

「じゃあ任せちゃうね。違和感があったらすぐ休んでね。」

 

「分かってますよ。それでは~。」

 

「何か気を使わせちゃったなぁ。ご用件は何かな?」

 

「コーナーを速く曲がるコツを教えてくれませんか?」

 

あーなるほど、それ人間の私に聞きます?それにトレノちゃんのコーナーの速さは私が教えたとは言えない。こうしたらいいんじゃないかって提案したら勝手に成長していった。それ位なのに。

 

「それだったらトレノちゃん呼ぼうか?そっちのほうが色々参考になると思うけど。」

 

「いえ、渋川さんのテクニックを聞きたいんです。MFG、ちらっとですけど見ました。凄い走りで、あの後のトレーニングも張り切れたんです。それで最近、コーナーに課題があったので参考に渋川さんのテクニックを聞きたいなと。」

 

「そういう事なら、参考になるか分からないけど出来るだけ詳しく説明するよ。」

 

どうだろうな、テクの説明をして、コースに対してどうアプローチするか説明すれば大体いいかな?

 

 

 

『MFG予選5日目、3日目で渋川榛名が打ち立てたCRは未だ破られていません!そんな中沢渡光輝が攻めています!暫定2位!』

 

芦ノ湖GTのCRが更新された時、カナタ・リヴィントンが来たのだとばかり思っていた。だが蓋を開けてみれば名前も聞いたことのないような奴が、デモレコードに迫るタイムを叩き出していた。

 

それでいざ挑んでるわけだが、いや、バケモンか?テイラーのおっさんのタイムなら楽に更新できたが、コイツは厳しいぜ。

 

それにしても相葉先輩も中々のタイム出すな。渋川ってのが先輩の底力を引き出したって所か?

 

『CRには近づいていますが、既にセクター4中盤!更新できるのでしょうか!?』

 

走りは見せて貰ったが、セクター1は明らかに調子が悪そうだった。だがセクター2からとんでもないペースでCRを叩き出した。こっちは最初から手ごたえはあったがそれでこれか…!

 

『ゴール!沢渡光輝は暫定2位!CRに2秒届きませんでした!』

 

「手応えあってこれか…。確か、トレセン学園のトレーナーだったよな。」

 

そんな環境でなんでそんなバケモンが生まれるんだ?

 




ハヤヒデとブライアンのお兄ちゃんになりたい。

あ、どうも。脹相に感化された男です。

事の発端はブライアンが「姉貴」を噛んで「兄貴」って言っちゃう妄想をしたら溢れ出したんですよ。存在しない記憶が。

それ以来短編で出そうかなーって思ってるんです。仕上がったら多分出します。

また次回!
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