頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第八十二話 解明

「うーん…ストライドからピッチに変わって、そこからまたストライドに変わると加速が鈍る…。そもそもこんな走り方トレノちゃんしかしないからその対処法なんかあるわけないよな~。」

 

トレーナー寮に戻って動画を確認しながら解決策を見つけようと画面に穴が開くくらい見てるけど、全く思いつかない。

 

でも何か引っかかるんだよなぁ。このかゆい所に手が届かないような…答えがすぐそばにあるような…。何だろうな。

 

 

 

「お疲れ様です、沖野さん。」

 

「よう、こっちは収穫無しだ。そっちは…俺と同じか。」

 

「顔だけで察するの止めてくださいよ。その通りですけど。今日の合同トレーニング、受けてくれてありがとうございます。」

 

「気にするな。何がきっかけで封印が解けるか分からないなら、何でもやってみないとな。基本的には俺が仕切るが問題ないか?」

 

「それでお願いします。私は補佐に回るので。」

 

 

「トレノさん、その…併走出来るんですか?」

 

「多分ね。ただ走る分には問題ないからさ。ただ、私の真後ろにはいて欲しくないかな。多分凄い迷惑掛けちゃうから。」

 

「分かりました。あまり無理はしないで下さいね!」

 

「うん、今日はよろしくね。」

 

「それじゃ、トレノ先行でキタサンが後追いで行くぞ。用意…スタート!」

 

トレノさんの真後ろには入らないようにする。トレーナーさんに聞いてた通り、確かに前より遅い感じがする。でも体は仕上がっているらしい。

 

ピッチ走法もかなり上がってきている。そろそろストライドに戻

 

「うわ!?」

 

つい声が出てしまった。真後ろって程でも無いけど、それでも斜め後ろのかなり近い所にいたからトレノさんを見ていなかったらぶつかっていたかもしれない。

 

スピードが1度落ちてしまったから回復しようとするけどトレノさんの加速が鈍い。前と比べても鈍いことが分かる。そこからまたピッチに変わっていく。

 

ととっ、コーナーだ。この状態のトレノさんがどんなコーナリングするんだろう …いや、突っ込みすぎじゃ!

 

「フッ…!」

 

曲がれるの…!?コーナーでの暴れ方は前と変わってない。むしろ凶暴になっているようにさえ感じる。いや、本当に速い。

 

コーナーを抜けて走り方がストライドに変わった瞬間、また加速がもたついた。何だろう、あたしにも伝わってくる違和感。ストライドに変わる直前には加速しているように感じる。

 

これがトレノさんが戦ってる違和感…。苦戦するのも納得だよ。

 

 

 

「トレノさん、凄いですね。その状態でここまで走れるなんて。」

 

「まだ全然走りにくいよ。マジで訳分からない。何をどう工夫してもうまくいかないんだ。」

 

「結構深刻なんだよね、ねえキタちゃん。一緒に走ってみて何か感じたことは無い?どんなことでもいいんだけどさ。」

 

近くで走ったキタちゃんなら私が気付かなかったことに気付いているかもしれない。少し考えこんだ後に話し始める。

 

「そうですね…。渋川さんも気付いてると思いますけど、ストライドになった瞬間に加速がもたつくことですかね。」

 

「そうだね。原因不明、お手上げだよ。」

 

「でも、変わる直前は加速が伸びてる感じがしました。気のせいかも知れませんけど。」

 

「成程ね。…うーん。」

 

変わる直前には加速してる感じがした…。それで変わるともたつく…。これじゃ欠陥エンジンだ。ドカンと来るターボにも、スーパーチャージャーにも劣る。

 

…あれ、何で急にエンジンの話になったんだ?これはトレノちゃんの、ウマ娘の話。関係は一切無いはず。でも、トレノちゃんには私のドラテクが何故か通用した。

 

だったら…今回も…?

 

「やってみるしかない…。」

 

「渋川?」

 

「ごめんなさい、今日のトレーニングはここまででいいですか?トレノちゃん、付いてきて。」

 

「えぇ?いやちょっと待って下さいよ。」

 

「そうだぞ。どうしたんだ急に?」

 

「多分ですけど、分かりました。トレノちゃんの違和感の正体。私の勘が正しければの話ですけどね。」

 

そのまま駐車場に足を進める。この違和感を伝えるには実際に感じてもらうのが1番だ。

 

駐車場に着いて、インプをトレノちゃんの横に付ける。

 

「助手席乗って。今から2回走るから、1本目と2本目でどう違うか感じてみて。」

 

「は、はい…。」

 

困惑しながら助手席に乗ってくれる。よく見ると、沖野さんもスピカの皆も来ている。…あとでたづなさんに報告とか止めてくださいよ?

 

 

助手席に乗ってシートベルトを付けたタイミングで渋川さんが話す。

 

「ああそうだ。いいって言うまで目をつぶってくれるかな。目の情報より肌で感じて欲しいからさ。」

 

「分かりましたけど、さっきから変ですよ。事情も説明しないで。」

 

「後から説明するからさ。さ、行くよ。」

 

言われた通り目をつぶる。すると車が急に加速し始める。力強く加速していく。

 

パパパン ギャァア

 

ものすごい勢いで体が振られる。まるで車が1周したみたい。に今すぐにでも目を開けたいけど言われてるから一応つぶったままでいる。

 

するとまた車が加速する。いや、よく考えたら車の事なんか何も知らないのに違いが分かる訳が

 

ぐわ

 

ない。そう思った瞬間にさっきより加速が鈍い感じがする。そこからどんどんとさっきのような加速感が戻ってくる。

 

パパパン ギャァア

 

「開けていいよ。どうだった?」

 

「2本目の方が、加速がもたついた感じがしました。それこそ、私みたいに。」

 

「そう感じられたなら、ほぼ確実なのかな。それじゃ、詳しく説明していくね。車にはパワーバンドっていうのがあってね。1番力を発揮する回転域があるんだ。

 

普通に走ってるとそんなに気になることは無いんだけど、エンジンいじると変わってくるから色々と調整するんだけどさ。」

 

だめだ、意味分からない。分かろうとしても分からない単語がどんどん出てくるから理解が追い付かない。

 

「さっき加速がもたついたって言ったでしょ?あれがパワーバンドが外れてる状態。トレノちゃんと同じように加速がもたつくし、それが続くようなら車の性格すら変わるんだ。

 

トレノちゃん、運転席乗って。」

 

言われるがまま運転席に乗る。視線が低い。シートが固い。よくこの状態で運転できるなこの人。

 

「パワーバンドが外れる原因は考えられる限り2つ。まずは単純にシフトミス。もう1つはチューニングで出力特性が変わるからかな。

 

前者は初心者ならやるけど、後者は滅多に起こらない。基本計測しながらチューニングするだろうし。でもトレノちゃんは後者、本格化で体が仕上がってきて、そのパワーバンドが変わったことに気が付かなかったって所かな。

 

トレノちゃんが車で言うところのメカチューンって所かな。私のインプのようにターボチューンだったら普通馬力が上がってもパワーバンドはそう変わらないんだ。

 

メカチューンでパワーを出すとなると、排気量を上げるか、回転数を上げるかなんだけど、パワーバンドが変わるとなると回転数の方かな。」

 

回転数…それが私と何の関係があるんだろう。今はただ黙って渋川さんの話を聞く。

 

「NAで回転数を上げてパワーを絞り出すとなると、相当回転数を上げないといけないんだ。その真ん中にあるタコメーターは9000回転まで対応してるけど、トレノちゃんの場合、全然上が足りないんだよ。」

 

「えっ…。」

 

「トレノちゃんのピッチ走法が車で言うところの何千回転回ってるのかは、調べてみないと分からないけど、そういうエンジンは基本、10000回転はぶん回るはずだよ。」

 

「10000回転…!?」

 

「少なくとも、トレノちゃんのピッチ走法の上限の認識を変えないと、封印は絶対に解けない。」

 

ピッチ走法の上限…そんな事考えたこと無かった。そもそも走り方をあまり気にしたことが無かった。

 

「問題は…どこまで回して良いかだけは、誰にも分からない。チューニングのデータがどこかに吹っ飛んでる状態だからどこかから素性も知らないエンジンを乗せたみたいだよ。」

 

「なぁ渋川、簡単に言ってるけどよ、それってかなり」

 

「まずいですよ。上限…レブリミットが分からない限り、全開バトルは無理です。復帰の目途が立たなくなりましたよ…。」

 

「しますよ、絶対。そのレブリミットが見つかればいいんですよね。だったら見つけましょうよ。」

 

正直話の7割入ってこなかったけど解決策自体は見つかったんだ。凄い難しいことかもしれないけど道があるなら諦めたくない。

 

「…だよね!出力特性が分かればある程度の事は分かるから。協力してくれそうな人探してみるよ!タキオンちゃん辺りだったら色々協力してくれそうかな?」

 

「急に不安になって来たんですけど…。主に人選。」

 

「…あ、おい渋川。」

 

「大丈夫大丈夫!実験関連だったらまともだと思うから!明日から忙しくなるぞー!」

 

「…渋川さん、後ろ後ろ。」

 

「ん?どうした…の…。」

 

瞬間、渋川さんの頭を鷲掴みにする手が現れる。その特徴的な緑のスーツは間違いない。

 

「先ほどかなりの音が聞こえてきてみれば…敷地内で何してるんですか~?この黒い跡は何ですか~?」

 

死んだ。確実に死んだ。だって青筋が見えてるもん。

 

「いや、これには事情がですね…あはは…。」

 

「…はぁ、トレノさんの事ですよね。話は聞かせてもらってましたから。大目に見ます。」

 

「さっすがたづなさん!話が分かるぅ!」

 

良かった、少しどうなるかと思ったけど穏便に済みそうだ。でもそんな簡単に話が終わるのかな。

 

「ですが敷地内でやるのは些か疑問ですね~。」

 

「…あの~。情状酌量とかはぁ。」

 

「ありますよぉ。アスファルト修繕費を本当だったら全額持ってもらおうかと思いましたが8割で我慢してあげますよ~。」

 

「あの、黙ってついていくので手を放してもらってもぉ!」

 

「始末書はこちらですよ~。」

 

悲鳴を上げながら引きずられる渋川さんを見届けながら、今後の困難を想像する。大変なんだろうな、色々と。

 

「明日からもっと頑張らないと!」

 

「そうだな。俺たちも協力するからな。」

 

「いでででででで!!」

 




あの後タイシンさんに泣きついてですね、お勧めのゲームを引き出したんですけど、なかなか面白いですね。ウマ娘とか他ゲーのスタミナが無くなった時とかですけどたまにやってるんですよ。

さてさて、ここで1つ思い立ったわけですよ。トレノさんとか榛名さんとかの立ち絵は入るかなって思ったわけですよ。

でも悲しきかな。僕には絵の才能はないのです。こっちの才能も無いだろって?シラナーシラナーイ。

中古のタブレットでも買ってなんやかんやしようかな?

また次回!
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