頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第八十四話 探し物

「お、榛名ちゃんだ。よ、芦ノ湖GTトップ!」

 

「お久ですー武内さん。まぁ、予選ですけどね。ハイオク満タンで。」

 

スタンドに来ると武内さんが出迎えてくれた。その後から池谷さんも奥から出てくる。

 

「群馬じゃ大騒ぎだぜ。物凄いコースレコードでそのままトップ通過って事で走り屋たちは大歓喜だったんだ。」

 

「あの時はただがむしゃらに走ってて、学園戻ってから元の口調が出ちゃったくらい楽しかったですよ。やっぱり、走るなら公道に限りますね。」

 

「トレセン行くってなって口調直すの大変だったよな。不意に健二が来た時なんか普通に俺って言ってみたり。」

 

「生まれてからも、大学に行っても周りが男しかいなかったんですからしょうがないじゃないですか。池谷さんも健二さんも何も言わなかったですし。」

 

「俺はそこまで気にならなかったからな。よう榛名ちゃん。」

 

「お久です~。」

 

まあやっぱり来るよね健二さん。私がバイトしてた頃もほぼ毎日来てたもん。

 

「っとそうだ、本題を忘れる所だった。池谷さん達に探してほしいものがあるんですけど。中で話せませんか?」

 

 

「これなんですけど。」

 

「これは…出力特性のグラフじゃないか。何の車なんだ?」

 

「トレノちゃんのです。本格化を迎えてたみたいで、それでも走りにくかったらしいので色々やった結果、原因は回転数不足でした。それで色々とやった結果、ここにたどり着いたんです。」

 

「トレノちゃんの…。」

 

「それで池谷さん達にお願いがあるんです。これに似た出力特性を持ったエンジンを見つけてもらえませんか?」

 

「このエンジンを?」

 

はっきりとは言えないけど、ほぼ100%あのエンジンだ。AE101から採用された5バルブヘッドの新型をベースにチューニングした、超高性能エンジンだ。

 

心当たりと言えば、これしかない。偶然なのか、不調の原因も拓海と同じだ。解決策も知ってることは知ってるけど…。

 

「どうですか?お願いできますか?」

 

「…分かった。こっちでもいろいろ探ってみる。」

 

「ありがとうございます!こっちでも探ってみますので、何か分かったらお願いします!」

 

勢いよく外に飛び出していく。何故か、このタイミングで教えちゃいけない気がした。さて、厚揚げ買いに行くついでにトレノちゃんの事教えに行くかな。

 

 

 

「樹、榛名ちゃんは?」

 

「良い音鳴らしてかっ飛んでいきましたよ。何かありました?」

 

「いや…ちょっと出かける。すぐに戻る。」

 

「はーい。」

 

13に乗って藤原とうふ店に向かう。多分、これを見せればそれなりの反応をしてくれるはずだ。

 

「ごめんくださーい、ちわーす!」

 

「はいはい、今行きますよっと…ってアンタか。」

 

「久しぶりです、藤原さん。厚揚げ下さい。」

 

「はい、毎度。」

 

包んでくれた厚揚げを受け取る。この流れだけであの頃が懐かしくなる。俺もこんなおっさんになっちまって…いや、本題本題を忘れちゃいけない。

 

「あの、藤原さんに見て欲しいものがあるんです。」

 

「見て欲しいもの?今更こんなジジイに何の用だ?」

 

「これなんですけど、俺の後輩、トレセン学園でトレーナーやってまして、そいつの担当の」

 

「トレノだろ?豊田からまあ色々と聞いてる。これだって載せ替えたエンジンの奴だろ?8000までしかない所を見ると、レブリミットが分からなくてあくせくしてるって所だろ。」

 

アレを見ただけでそこまで分かるのか。やっぱりこの人は凄い。ドラテクでもいつまで経っても敵わないな。

 

「アンタもその後輩…渋川だっけ?そいつから俺が言ったことは聞いたんだろ。だったらアンタが教えても良かったんじゃねえか?」

 

「そうしようとも思ったんですけど、あの場で教えちゃいけないと思ったんです。だったら藤原さんの口から伝えたほうがいいんじゃないかって。」

 

「俺みたいなジジイが出てきたら、それこそ場違いってもんだろ。それは俺たちじゃなく、若いもんが頑張ることだ。」

 

「いや、相手はトレノちゃんなんだ。ハチロクなんだ!藤原さんの力が必要だと思うんです!俺、諦めませんから。あの時、拓海を寄越してくれた時みたいに、藤原さんには何か考えがあるはずなんだ。また来ます。」

 

久しぶりに長く話したけど、藤原さんは何も変わってない。俺には考え付かないような、先の事を考えているのかもしれない。この先絶対にトレノちゃんの助けになってくれるはずだ。

 

とはいえ、榛名ちゃんにどう伝えたらいいんだ?

 

 

何時ぶりかねぇ。池谷が来て、何か頼んでくるってのは。弱いんだよなぁああいう熱い奴に。…いかんいかん、年甲斐もなく血が騒いできた。

 

 

 

池谷さんに頼んだからには、私も出来る限り探さないと。自室に戻ってネットを漁ってみる。手当たり次第に出力特性を照らし合わせる。

 

そう簡単には見つからないのは分かってる。でも虱潰しに当たっていかないと取りこぼしがありそうだから。

 

でも流石に無理があるか?国内外で総合すれば今まで発売された車なんて相当数になる。いくら細かくやっても取りこぼしが出てきそうだ。

 

「いや…待てよ?」

 

トレノちゃんのエンジンは推定10000回転は回るトンデモエンジンだ。チューニングされたエンジンなら、こんな事やっても意味はない。

 

「……ハァァ~~。」

 

かなりでかいため息を吐きながらPCを閉じる。正攻法じゃどうしたって辿り着けないかもしれない。

 

その筋に詳しい人がいればいいんだけど、いないんだよなぁ。瀬名もどこで何やってるのか分からないし。誰か……。

 

「そうだ!」

 

 

 

 

 

「今日からのトレーニングも、今まで通り特に工夫はしないで行こうと思う。でも走ってる時は、回転数、ギアは意識しておいて。」

 

「分かりました。」

 

「それじゃ2000メートル、スタート!」

 

走り出して、頭の中にタコメーターをイメージする。もうすぐで8000…ここでセカンドに上げる。脚の回転に合わせてタコメーターも5000の辺りに戻る。

 

コーナーに入る。朝トレでもイメージしながら曲がっているから上手くいくとは思うけど、どうかな。

 

ギアを1つ落としてコーナーに入っていく。うん、良い感じ。もたつきにも慣れたからか、この状態で曲がるのもそんなに苦ではなくなってきている。

 

そのままコーナーを抜けてギアを上げる。

 

…このもたつきからはいつ解放されるんだろう。

 

「タイム、どうでした?」

 

「凄いよ、退院した時より速いタイム…それでいてダービー直後並のタイムは出てるよ。走りにくくても、ここまで戻しちゃうなんて…。」

 

「走りにくさにも慣れてきたのか、これに合わせたような走り方しちゃうのかも知れません。」

 

「本格化の影響をひしひしと感じるけど、これでまだ先があることを考えると現状には素直に喜べないんだよね。」

 

そう言ってペンを頭に当てて悩み始める。私だって全然喜べない。それにこんな状態じゃレースなんて出来ない。

 

とおるるるるるるるるる

 

「ちょっとごめんね…やっほ、相葉君。例の件、どうかな。……え、もう分かったの?いくらなんでも早くない?まだ3日しか経ってないよ?……そう、分かった。待ってるよ。」

 

「相葉って多分MFGで渋川さんと走ってた人ですよね。例の件ってなんですか?」

 

「池谷さんにもお願いしてたんだけど、トレノちゃんの脚と同じ出力特性のエンジンを探してもらってたんだ。まさかこんなに早く見つかるとはね。今からこっちに来てくれるみたいだからそれまでトレーニングしてようか。」

 

 

 

とおるるるるるるるるる

 

「もしもしー……あ、着いた?分かった今から行くー。…トレノちゃーん!トレーニング終わりー!私のトレーナー室集合ねー!」

 

「はーい!」

 

相葉君には正門で待ってもらっている。トレノちゃんには先に行ってもらって私だけで迎えに行く。

 

「久しぶり、相葉君。ごめんねー真鶴で忙しいのに。」

 

「まあな。メカニックやセコンドにも共有してようやく見つけたんだ。説明すると長くなる。ゆっくり話せる場所に行こうぜ。」

 

「そうだね、付いてきて。」

 

 

「……ん?」

 

ありゃ渋川か。その後ろの奴は……誰だ?

 

「ロータリーさん?」

 

「よう、キタサンか。ダイヤも一緒か。ちょうどいい、アレをどう思う?」

 

「あれって渋川さんですよね。後ろにいる男性はどなたでしょう?」

 

「よく考えたら不思議じゃねえか?渋川もいい年して浮いた話が一つもないなんてよ。」

 

「ま…まさか……。」

 

「そのまさかじゃねえかって俺は睨んでる。その尻尾掴んでやろうぜ。」

 

 




ここ数話、後書きで僕の事を狂人だと思う方がいらっしゃると思うので釈明します。

僕は正常です。

「それで、なぜ私が呼ばれたのかしら。」

いい質問ですアヤベさん。そう、これは僕が正常たらしめるエピソードです。

ウマ娘やってて不意にアヤベさんを守護らねばと思った瞬間、お兄ちゃんとしてっとも思ったんです。

「もう帰っていいかしら。」

もう少々お待ちを。そんなに急がなくても布団乾燥機は僕が動かしておきましたので。

「訴えるわよ?」

踏みとどまってください。それでですね、そう思った瞬間にこう思ったんです。

いや、あり得ねえな。アヤベさんが妹とかねえなって。全然想像付かないやってね。

「アヤベさん危なーい!」

うお、カレンさ…うぼあ!? ガフッ

「大丈夫でしたアヤベさん!?」

「大丈夫よ。それよりも、私たちの部屋のセキュリティを強化しておきましょう。こんな変態が入ってこないように。」

「そうですね!あ、画面の前のお兄ちゃん、お姉ちゃん!また次回ねー!」
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