頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第八十五話 手掛かり

「どう、真鶴に向けての準備は?」

 

「どうにもな、GT-Rも仕上げないといけないけどよ、何よりオレ自身、真鶴が苦手なんだよ。」

 

「超高速と、超低速セクションが入り交じってるからでかいし重たいGTRだと結構つらいんじゃない?同じ日産だし、Zって手もあるけど。」

 

同じメーカーだったら乗り換え自由ってルールは結構自由度広がるけど、走り屋の私からしたら正直邪道ルールでしかない。私なら絶対に乗り換えない。

 

「乗り換えだけは絶対しねえぞ!オレはGT-R一筋でここまで来たんだ、ここに来て裏切ることは出来ねえよ!」

 

「そうそう、そう言ってくれなきゃ。言ってみただけだよ。」

 

「それに大和魂っつったらGT-Rだろ!」

 

「んだとぉ!?大和魂背負ってるのはインプも同じだけど!? …ンン、これは後で話そうか。さ、着いたよ。」

 

今からでも熱弁してもいいけど、1番優先しないといけない本題がある。

 

 

「予想が外れたか?」

 

「いえ、ケンカしてましたが男女があれほど顔を近づけるなんて…間違いなくカップルですよ!」

 

「いや、あたしは違うと思うな…。」

 

「おい、トレーナー室入ってくぞ。聞き耳立てるぞ。」

 

 

「お待たせートレノちゃん。この人が相葉君。ヤンキーっぽいけど多分良い奴だよ。」

 

「二言余計だ!…よろしくな。早速本題だ。これが渋川が送ってきたエンジンのデータに似た奴だ。」

 

「相葉さん、全部車の写真なんですけど…。」

 

車の事はよく分からないけど、いろんなところにステッカーが貼ってあっていわゆるレーシングカーであることは分かった。

 

「これってグループA?これとトレノちゃんが関係あるの?」

 

「結論から言うと、詳細は分からなかった。だが探ってたらグループAの名前が出てきた。その筋で探したら、コイツにぶち当たったんだ。」

 

「…まさか、グループAのエンジンなの?」

 

「多分な。ただここまでしか分からなかった。そういうデータが出回らないのはお前もなんとなく分かるだろ。」

 

「だよね…。ありがとう、これだけでも大分絞れるよ。」

 

「そうか…それともう1つ、面白いことが分かった。コイツなんだが。」

 

そう言って写真を指さした。私にはなんのことかさっぱりだし、渋川さんも分からなさそうな様子だった。

 

「これがどうしたの?」

 

「こいつはAE101って言う型式の車らしい。オレやお前が生まれる前の車だ。こいつは姉妹車でな、カローラレビンと“スプリンタートレノ”ってあるそうだ。」

 

「えっ!?」

 

「私と名前が同じ?」

 

「渋川からトレノちゃんの名前は聞かされてたからオレも知った時は驚いたぜ…。こんな偶然があるのかよってな。」

 

偶然…それにしては出来過ぎてるような…。

 

「こんな偶然が重なったんだ。この車、詳しく調べてもいいかも知れないぜ。」

 

「トレノちゃん、豊田さんから名前の由来とか聞いたこと無い?学校の授業とかでさ。」

 

「無いですよ。全然気にしたこと無かったですし。それに本当に唯の偶然かも知れませんよ。世の中同姓同名の人だっているんですから。」

 

口ではそう言うけど、私の中で偶然では片づけられていない。胸でつっかえて魚の小骨のように取れないでいる。

 

「…ま、だよね。でもこの線で調べてみようかな。本当にありがとね、相葉君。」

 

「ああ…そろそろ時間か。お暇するぜ。」

 

「正門まで送ってくよ。トレノちゃん、待っててね。」ガン!

 

…鈍い音が聞こえた。渋川さんが扉を開けた瞬間に。何事かと思って立って覗いてみるとキタちゃんが頭を抱えて倒れていた。その後ろにダイヤちゃんとロータリーさんもいる。

 

「イッタぁ…。」

 

「ご、ごめんね!まさかいるなんて思わなかったからさ!」

 

「い、いや…ドアに張り付いてたあたしのせいですから気にしないで下さい…イテテ~。」

 

「それで、皆なんでここにいるの?私の用事あった?」

 

「いや、特に。話してたことは聞いちまったが、誰にも話さねえからよ。」

 

 

 

とおるるるるるるるるる

 

「よう榛名ちゃん、何か進展あったか?」

 

「あったんですよ。MFGの相葉君にもお願いしてみたら、見つけてくれたんです。どうにもグループAの、それに出てるAE101がかなり怪しいんじゃないかって。」

 

「そうか、俺の方でもその線で調べてみるよ。」

 

とは言ったが、かなり核心まで迫ってる。ただあのエンジンはストリート仕様にデチューンされてる。だったらやっぱり頼りの綱は藤原さんだ。

 

「榛名ちゃん、トレノちゃんと行ってもらいたいところがあるんだ。藤原とうふ店って所だ。」

 

「それってお見舞いに来てくれた時に持って来てくれた豆腐屋ですか?」

 

「ああ、そこの店主が助けになってくれるかもしれない。」

 

「分かりました、今週末行ってみます。」

 

電話を切って天井を見る。正面から行っても教えてくれないかもな。でもトレノちゃんのピンチに何もしない藤原さんを想像できない。

 

それに榛名ちゃんがついていれば、何か進展があるのかもしれない。

 

 

 

 

 

「この辺りなんだけどな…ここ右か。」

 

「でも池谷さんはなんで豆腐屋さんの店主さんを紹介してくれたんですかね。」

 

「人は見かけや肩書に寄らないって事かな。実際豊田さんもそんな感じじゃん?」

 

「ですね。」

 

「ここを左…あ、あのインプレッサ…!」

 

店の前に車を止めて、慌てた様に降りる。…間違いない、このリアウィング。あの時ぶち抜いていったインプレッサ!

 

「どうしたんですか、そんなに慌てて。」

 

「私さ、この近くの秋名山で全開で攻めてた時、この車に追い抜かれたんだ。前の三が日の時にさ。」

 

「渋川さんも相当速いですよね。それで追い抜かれたんですか?」

 

「そうだね…この話は後でね。中に入って話を聞いてみよ。」

 

お店に入ろうとしてふと横の駐車場にカバーされている車が目に入る。セカンドカーかな?

 

「ごめんくださーい!…こんちわー!」

 

「聞こえてるよ。そんな大声出さなくても。全くうるせー車乗ってんな。」

 

この人が池谷さんが言ってた藤原さん…。この人に負けたのか…いや、今はそれは置いといてトレノちゃんの事だ。

 

「あの、私トレセン学園でトレーナーやってる渋川って言います。ある人からあなたが私の担当のトレノちゃんの不調について、何か分かるんじゃないかって紹介されてここに来ました。」

 

「来てもらって悪いけど、俺は専門外だね。なんか買ってくかい?」

 

「あ、じゃあ厚揚げを。」

 

何やってるんだ私は。簡単に引き下がっちゃダメだ。池谷さんが紹介してくれたんだから絶対何か意味があるはずだ。

 

「藤原さん、グループAのAE101のエンジンに心当たりありますか?知っていること、何でもいいんです。教えてくれませんか?」

 

「どんな理由か知らねえが、ウマ娘のトレーナーがそんなエンジンのこと聞いてどうするんだ?」

 

「色々込み入った事情があって、私の担当の不調の原因が、エンジンにあるんじゃないかって思ったんです。これ、見てください。」

 

カバンからトレノちゃんのデータを出して藤原さんに渡す。

 

「へー、これがアンタの担当のエンジンって事か。ただあいにくだが、俺から教えられることは無いぜ。」

 

「本当に何でもいいんです!何かありませんか!」

 

「…すまんが、そいつは無理な注文だ。不調の原因がエンジンとアンタが言うならその通りなんだろう。回せばその不調は治るだろうが、他にもやりようはあるだろ。

 

回転数に頼らないで中回転域のトルクを太らせるとかな。それに回せば回すほど速い…なんてことは無いのはアンタも分かってるんじゃないか?」

 

「確かにそうですけど、エンジンの全容が分からないとどうセッティングしたらいいのかも決められません。足回りもボディもエンジンとのバランスで決まりますよね。

 

分からないとなるとトレノちゃんがしっかりバランスが取れているのかすら怪しくなります。だからこそエンジンの詳細が知りたいんです。」

 

「なるほどな。アンタなりに考えがあっての事か。けど答えは変えられねえな。」

 

…ダメか。ここまで粘ってダメだったら今日は諦めよう。

 

「分かりました。でも、多分また来ます。今日はありがとうございます。…あれ、トレノちゃーん?」

 

お店を見渡してもトレノちゃんが見えない。外に出てみるとカバーの掛かっているセカンドカーをただ、じっと見つめていた。

 




最近後書きで酷い目にしか会っていないので今回は誰も呼びません。

死にかけるわカレンさんにぶん投げられるわで散々でしたよ。

この季節になりますと朝、お布団がなかなか離してくれないことが多発しますが、まあそんなことは置いておいて…書くことが今無くなりました。

考えていることをそのまま書いている後書き欄ですが、この後に続くことが無かったのでお開きです。

また次回!
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