頭文字D プリティーステージ   作:サラダ味

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第八十六話 邂逅、解放…対決

「トレノちゃん、どうしたの?何かあった?」

 

「…。」

 

「トレノちゃん!」

 

「…ハッ!渋川さん!?どうもぼーっとしてたみたいです。」

 

車を降りてから周りの景色を見てから、不思議を通り越した、奇妙な感覚にはまっている。ここは初めて来るはず。それなのに。

 

「どうしたの?結構ぼーっとしてたよ。心ここに非ずって感じでさ。」

 

「なんでか…懐かしい感じがして…。特にこの駐車場に止まってるこの車…。」

 

これが目に入った途端、何も考えられなくなった。理由は分からない。それでも釘づけにされてしまっていた。

 

「多分、店長さんの車だと思うけど、カバー被ってるからしばらく使ってないと思うよ。」

 

「しばらくどころか20年は動いてないな。息子が置いときたいって言うからな。俺も解体屋送りにするつもりもないからな。」

 

「そんなに動いてないんですか?てことは、廃車なんですか?」

 

「動くことは動く。定期的なメンテはしてるからな。だがこいつはもう限界だからな。普段乗りは出来ても、バトルは無理だ。」

 

「バトルは無理…どんな車だったんですか?」

 

「ハチロクだよ。普通の。」

 

ハチロク…ハチロク…。この響きにも、どこか懐かしさを覚える。まるで私が昔そう呼ばれてたような。途端気になってしまった。この車が今どんな状態なのか。

 

「あの、店長さん。この車、見せて貰ってもいいですか?」

 

「見たいのか、アンタ。…トレノっつったか。ちょっと待ってな。」

 

店長さんが慣れた手つきでカバーを外していく。そこから出てきたのはきれいに整備された白黒の車だった。

 

「あれぇ?この車どこかで見たことあるような…。それよりも、20年も前から86ってあったんですね。」

 

「こいつはもう40年前の車なんだがな。今ある86の由来はこのAE86の型式から来たんだ。」

 

「AE…?まさかAE101ってこの車の後継機だったりしませんか?」

 

「101は知ってるのか。まあ、そうだな。その後の111でAEは終わっちまったがな。」

 

「へー、今の車だったら分かるんですけど、昔の車はさっぱりです。…トレノちゃん?」

 

1歩1歩、引き寄せられるように白黒の車に、トレノに……”ボク“に近づいていく。真正面に来て、膝をついてボンネットに触る。

 

 

『走り屋なら自分が走りこんで身につけた技術にプライド持てよな!!』

 

このセリフ、聞いたことある。どこかでうっすらと聞いたことがあるんだけど。

 

『小さなステージに満足しないで広い世界に目を向けてけよ・・。』

 

…思い出した。確か、病院で目を覚ます前に見てた夢と同じだ。でもこの前より鮮明ではっきりしている。声もしっかりと聞き取れる。

 

『頂点に立つドライバーになりたいんだ。』

 

もちろん私の記憶じゃない。でも覚えがある。誰が誰なのかは分からないけど、こんなことがあったなって思い出が確かにある。

 

場面が変わり、見渡すと藤原豆腐店の前で高校生くらいの男の子と、店長さんがいた。今と比べると若い。

 

『タコメーターつけたんだ。どこまで回転をあげていいのか教えてくれ。』

 

タコメーター、回転。この単語に反応する。私が今探し求めている答えが見つかるかもしれない。

 

店長さんがタバコをふかして、2人とも黙り込む。ふと店長さんが振り返ってお店に戻っていく。

 

『1万……回転までキッチリ回せ!!』

 

1万…渋川さんが言ってた数字だ。でも詳細までは聞き取れなかった。でも店長さんが知っていることは確実だ。

 

「トレノちゃん…トレノちゃん!」

 

「…あ、渋川さん。また私ぼーっとしてました?」

 

「ぼーっとどころじゃないよ。ボンネットに手をついてから全然動かなかったんだよ?」

 

「そうだったんですか。それよりも店長さん。」

 

「なんだよ。」

 

少し言葉に詰まる。あの記憶が本当なのか、私の妄想なんじゃないかとも思う。でもさっきの店長さんとこの店長さんが別人とは思えない。

 

「私、今日トレセンに帰ったらレースするんですけど。」

 

「私何も聞いてないよ?」

 

「タコメーターつけたんです。どこまで回転あげていいのか、教えてくれませんか。お願いします。」

 

なんて言えばいいのか分からない。だから思い切って記憶そのままのセリフを言ってみる。

 

「……。」

 

「藤原さん、私からもお願いします。」

 

店長さんがタバコを出してふかす。そのまま振り返ってお店に入る直前、立ち止まった。

 

「…変わんねえな、お前は。」

 

「え?」

 

「一万一千回転までキッチリ回せ!!」

 

「「!」」

 

「勝ってこいよ。」

 

そう言ってお店の中に入っていく。…サンキュー、”オーナー“。

 

「トレノちゃん聞いた!?遂に分かったね、レブリミット!」

 

「そうですね。これでようやく封印は解放ですかね?」

 

「そうとは言い切れないよ。感覚を合わせないといけないし、何より体がまだ出来上がってないかもしれない。だからレースはまだやらせてあげられないかな。」

 

「すいません、最後のは聞けません。帰って…いや今すぐにでもレースがしたいんです。本当の封印を、解放したいんです。」

 

まっすぐに、その目をじっと見つめる。渋川さんは私の勢いの押されて少し後ずさりする。少しして、諦めた様にため息をつく。

 

「…分かった。トレーナーとしては全力で止めないといけないんだけど、生憎と…今は走り屋成分が多めだからね。俺としては止める理由はないかな。それに折角解放されたんだから、目一杯走りたいでしょ?」

 

「…! はい!…それより、一人称俺に戻ってますよ?」

 

「今だけ特別。それで、相手は誰にするの?タマちゃん?オグリちゃん?」

 

「……BNWの3人、この人たちと走ってみたいです。」

 

「オッケー。それじゃ連絡取って予定空けてもらうかな。車乗って待ってて。」

 

とおるるるるるるるるる

 

助手席に乗ろうとすると渋川さんの電話が鳴る。手で待つように合図されたのでそのまま待つ。

 

「噂をすればって奴かな?…豊田さん?もしもーし。」

 

「これから模擬レースするんだって?それだったら俺の所に来てくれ。渡すものがある。」

 

「分かりました。なるはやで行きます。…そういう訳だから先にそっちだね。」

 

「了解です。連絡は移動中に私が取りますね。」

 

 

 

ハヤヒデさんに連絡を取ったらチケットさんとタイシンさんも近くにいたみたいで、すぐにオーケーが出た。そういう訳で家の前に着く。

 

「豊田さーん。来ましたよー。」

 

「早かったな。渡したかったのはこれだ。」

 

お父さんが奥の方から出してきたのが黒の真新しいシューズ。今私が使ってるシューズと少し似ている。

 

「新しいシューズですか。レースの事も知ってましたし、タイミングいい…まさか、本格化を予想してたんですか?」

 

「大体な。本格化となると、多分今まで使ってたシューズだと走ってる時に壊れるかもしれないからな。そのためのシューズだ。」

 

「ありがとう、お父さん。…勝ってくるね。」

 

「そう気負うな。負けて得るものもあるんだからな。」

 

 

 

 

 

「来たか、トレノ君。まさか君まで勝負服で来るとはな。」

 

「これで4人とも気合十分だ!うおー燃えてキター!」

 

「2時間くらい前からずっとそんな感じじゃん…。まじでどうなってんのコイツ。」

 

学園について、気合を入れる為に勝負服に着替えてトラックに行くと3人とも勝負服でストレッチしていた。

 

「皆さん、今日は私の我儘に付き合ってくれてありがとうございます。」

 

「いいさ。私たちも君と走れるのを楽しみにしていたのだからな。全力で相手させてもらおう。」

 

「ホントにちゃんと走れるようになってんの?舐めた走りしたら蹴っ飛ばすから。」

 

「大丈夫です。今まで封印されてた分、暴れるつもりです。」

 

「よーし!それじゃ模擬レース、スタートだー!」

 




あっぶねぇ…。ギリギリのギリギリじゃあねえか。

この後書きを書いてる時点で投稿予定時刻のなんと5分前という恐ろしい出来事に見舞われています。

ですから多分誤植とか大量にあると思うので見つけ次第直していく所存にございまーす。

多分ドボメジロウ先生もこんな感じで焦ってるんですかね。

ヤバいあと4分だ。

また次回!早く次に取り掛からなくてはー!
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