ミシリス社長の兄ですが、何故か戦場スタッフです   作:シロクロ団子

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ピックアップが・・・ピックアップが仕事をしない・・・!!




怒るときは納得するまで怒りましょう

 

いくつかある副司令室の1室で1人の男と向かいあい、互いに拳銃を向けている。1人は冷静に、もう1人は目を鋭く尖らせ怒りの表情を露わにしていた。

 

「なんのつもりだね?」

 

「なんのつもりだと?それはこっちが聞きたい」

 

私と彼・・・元部下がこうなってしまったのには少し前まで遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《数時間前 ミシリス》

 

「てなわけで、公式な発表はまだだけど部隊名はメティスに決定された。近いうちに本当の実戦を経験してもらうからそのつもりで。・・・何か聞きたいことは?」

 

「はい!」

 

すごくいい笑顔で元気に手をあげるラプラス。それを見て悔しそうに見るドレイク。人が話しているのに端末を操作しているマクスウェル。あとで説教です。

 

「はい、ラプラス」

 

「出撃するときは後ろで爆発は起きるだろうか!」

 

「それは派手だな!アーク内に私のヴィランとしての知名度が増すことだろう!」

 

「起きるわけないでしょ。そんな過激なアーク内を混乱させたらどうすんの。そんなアピールしなくても地上で戦って、ある程度の結果を出せばマスコミは大袈裟に騒ぎまくって、メティスの知名度爆上がりなんだから」

 

ゴッデスの頃から戦闘用ニケの活躍だけは大きく取り上げられる。地上奪還を願う民衆はその手の記事を見ると過度な期待をして、その者達を崇めたり、同業の一部のニケからは尊敬されたりする。

 

正直、その対象になる彼女達にはかなりのプレッシャーになっているとつくづく思う。

 

「混乱させるのは駄目だ」

 

「そんな・・・ヒーローの出撃には後ろで爆発が起きなければ、格好良くない!」

 

「そんなこと知らないよ」

 

「ベビー、ちょっといい」

 

マクスウェルが自分の顔と俺の顔が近づくように俺の体を引き寄せた。そして2人には聞こえない声で話始めた。

 

「ベビー、ラプラスに一般論言っても無駄だって。その時その時で対処しないと身が持たないよ」

 

「そこまで極論が多いの?ラプラスは」

 

「うん。おまけにちょっとしたことで会社から飛び出しては•••」

 

『今日の午前10時頃、〇〇ビルで火災が発生しました。当時現場には5階に子供が取り残されていたとのことですが』

 

テレビのニュースを聞いて、マクスウェルがあちゃーと言いながら頭を抱えた。

 

『突然現れた謎のニケがビルの壁を突き破り、5階に残されていた子供を救助したとのことです』

 

「•••これ?」

 

「これ」

 

うわぁ、なんてことをしてくれたのでしょう。お披露目前なのに目立ってるどころか、ラプラスのいらない行動が施設を余計に破壊してる。

 

『先日、ロイヤルロードに出店していたドーナツチェーン店、ドミノのドーナツと材料が開店前に現れたニケにより買い占められました』

 

今度は普通のニケと思い、取り乱す気持ちを抑えるためにカップの水を口に含むと

 

『が、後に調査を行うと生産工場で毒物が材料に混ざっていたことが判明。この毒物は多量に摂取すると最悪死に至るとのことです。買い占められた現場にいた市民のインタビューです』

 

『ええ、ヴィランのドレイクと名乗ってその場を去っていったんです』

 

吹いた。今度は名乗りやがった。もうお披露目回をしなくてもかなり目立つ存在になる。目論見は破綻するがな。

 

だがドレイクは騒ぐどころか、軽く放心状態になっていた。

 

「どうして・・・私はヴィラン・・・」

 

もうそっとしておこう・・・

 

「マクスウェル」

 

「何かな、ベビー」

 

「やっぱり水浸し・・・」

 

「やめてぇ!!」

 

マクスウェルが2人を制止できなかったようなので、NGワードを言ういじわるをやってやった。

 

必死に抗議をするマクスウェルをよそにラプラスを見ると誇らしそうにドレイクを見ながら褒めている。それを見て、昔の仲間にあったせいなのか・・・ラプラスを見ているとどこかレッドフード(あいつ)に似てるような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《中央政府 副司令官室》

 

「入りたまえ」

 

「久しぶりだな。3日間地上に取り残されていたようだが、久々の地上はどうだった?」

 

アポ無しでここに来るのは一部のお偉いさんか、()()()()しかいない。そしてドアから現れたのは機嫌が悪そうなシリウスだった。

 

「・・・いつも通りだ。ラプチャーに見て見ぬふりを続けられている。クイーンの演算上には、まだ俺が有効活用できる算段があるのだろう」

 

「なら、まだ我々が力を蓄えられる猶予があるということだな」

 

シリウスはラプチャーにとって裏切者だが、それでも彼が襲わない限りラプチャーは彼を認識できない。どれぐらい認識できないかというとマザーホエールの背で彼が昼寝をしていたとしても、マザーホエールはゆっくりと移動するだけだ。・・・昔、彼はそれで何度も行方不明になっていた。倒そうにも銃も届かない空の上にいるのだから、次第に自力で帰ってくるようにと私の唯一無二の部下に言われていた。

 

しかし、だからと言ってアークに通じるエレベーターの位置を特定されるのはまずい。その事を本人に伝えると、ラプンツェルを参考に、すでに髪の毛の1つ1つをジャマーにしてある。よほどのことが無い限り感知されない、と。何当たり前こと言ってるんだと言いたそうな顔で言われた。

 

そんな事を思い出しながら、彼の顔を再び見ると不服そうに私を見ていた。

 

「なにかね」

 

「いや、俺達に力を蓄える猶予など本当にあるのかと思っただけだ。アーク内や付近に残された資源は最低でも2、3年、長くて5年で枯渇するとドリリーは言っていた。近いうちにアークから離れた地上を奪還し、勢力を拡大していかなければ身内での奪い合いになるぞ」

 

「わかっている。だが、君も知っているだろう。ニケを指揮する者達の練度不足を」

 

「あれは士官学校が悪い。志願した者達に地上を奪還するのはお前だ、英雄になれば好待遇を約束する等と出来の悪い頭に夢物語を叩きこんだあげく。洗脳された新兵が意気揚々と地上に上がれば小型ラプチャーの群れで怯え、その場で死ぬか帰還しても使い物にならなくなる」

 

「俺はそいつらに付き合わされるニケ達が気の毒に思える。彼らも戦士として地上奪還を目的にその身を捧げているというのに・・・。昔と違い、今の彼女達を一部の市民共は化物を見るような目で見て、指揮官連中はただの消耗品だと言われ続ける」

 

段々と彼の声が震え始め、次第に黒かった瞳が赤に変色していく

 

「もういっそのことアークの全てを破壊して

 

「シリウス。もうそれ以上は言うな」

 

私は彼の言動をやめさせた。この会話が他の者達に聞かれでもしたら、それにつけ込まれ立場が危うくなる。互いにそれは望んではいないはずだ。

 

「・・・そういえば、地上で面白いものを見た」

 

「面白いもの・・・。それはなんだね」

 

落ち着きを取り戻した彼が口を開いた。だが面白いものとはなんだろうか。まさかラプチャーの新しい習性を見つけたのだろうか

 

「侍、色欲教皇、白きガンスミス」

 

「それは、ッ!」

 

彼と私は携帯していた拳銃を同時に向けた。予想を反したキーワードを聞いて私は即座に理解した。彼は知ってしまったのだ、彼女達が受けた人類の裏切り行為を

 

「その反応。お前彼女達が、ゴッデス部隊が生存していたことを知っていたな。なぜ俺に嘘の情報を与えた」

 

「・・・仮に言ったとしてどうする。アークの封鎖を完璧にするにはゲートを守りきらなければならない。数々の勝利を収めてきた彼女達の献身がなければ「騙してでもか」!」

 

「スノーが言っていた。リリーバイスが倒れ、隊長代行を務めていたドロシーがアークと連絡を取っていた。だが、1日毎の定期報告をしていたのにも関わらずアーク側の返答はなく、後処理が必要になった時にだけ通信してきたと」

 

ピシッと何かが割れた音が静かに響いた。よく見るとシリウスが持つ銃のグリップ部分に亀裂ができていた。

 

「お前もその時、アークにいた。なのに・・・!」

 

次第に拳銃全体に亀裂が走り、最後は割れたフレームと小さな部品が手の隙間から溢れ、床に落ちた。

 

「どうして彼女達の行いに対して俺達は何もできなかったんだ」

 

「━━━シリウス」

 

彼は銃を降ろし、踵を返して言った。

 

「お前に銃を向けたことは謝罪する、すまなかった。一室に閉じこもっているので鈍っているのではないかと思っただけだ。俺はこれで失礼する。彼女達にも話したいからな」

 

ドアを静かに閉めて彼は出ていった。すでに私にはその場に残った破片を片付ける気力すらなく、座り心地がよくなりつつある椅子にその身を深く預けた。

 

「そこまで自分を責めるな。君は、俺にはできなかった選択肢を成功させたのだから」

 

端末を操作し、独自のデータベースでアークガーディアン作戦について検索した。

 

当時、アークの入り口は2つあり、1つはゴッデス部隊が封鎖まで守り抜いた事が記載され、もう1つは封鎖後、シリウスの命令違反により、第2世代フェアリーモデル3人と量産型ニケの2人が地上から帰還したことが記載されていた。

 

 

 

 

 

 

 

《???》

 

扉が開くと真っ暗な空間があったが、足元に設置されている小さなライトが点灯していき、1つの棺をわずかに照らし出した。

 

棺はガラスで構成されているが中にある体は近づいて見てもぼやけて見ることはできない。

 

「久しぶりだな。なんというか、地上で偶然スノー達に会った。スノーと紅蓮はもう昔の面影を感じなかったがラプンツェルは・・・、変わってなかったと思う」

 

「ドロシーはいなかった。最近会ったスノーが言うには彼女が何か良からぬことを計画していると言っていた。俺は・・・火に油を注ぐことになるかもしれないが、彼女に会いに行かなければならないのかもしれない」

 

「お前と俺が最後に会ってもう・・・何年経ったかは忘れてしまったが、お前が守ったあの子は最強の分隊の一員になっている。だがまだ危うい、助けが・・・。いや、これ以上は過保護だとお前は笑いながら言いそうだな」

 

最後まで言い切り少し経ってから小さくため息をついた。

 

「また来る」

 

部屋から出るとすぐに扉が閉まりだした。帰路の途中、横目で棺があった場所を見たが、そこには闇があっただけだった。

 

 

 




アンダーソン
《注意!個人考察です》
ゴッデス部隊を指揮していた人物。
アークガーディアン作戦発令時、ゴッデス部隊を地上に残し、更にアークに1人取り残された。
ゴッデス部隊を率いた手腕を活かすため、彼女達に謝罪をする為に自身の体をサイボーグ化したが施術ミスにより、定期的に生命維持装置を繋げなければ生きられない体になってしまった。
シリウスと再会したのは、彼女と再会した後の事だった。
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