ミシリス社長の兄ですが、何故か戦場スタッフです 作:シロクロ団子
都市部をイメージした訓練場に来て、一時間。相変わらず金髪は目を覚まさないので、仕方なくもう一人の方、ドレイクの腕前を見ていたがこれがまた凄い。
ショットガンの散弾を一発も外さずに当てるし、軽やかな動きによる回避行動、俺が見た限りではミシリス内で五本の指に入るであろう身体能力の持ち主だ。ただ・・・
「どうだ!私の力は!」
少々、うるさいのが難点だな。
「凄い。だけど、もうちょい静かに行動してくれ。これからはチームで動く。物音、銃声、叫び声でラプチャーは寄って来るんだから、音は最小限にしてくれると助かる」
「・・・わかった」
「よしよし、いい子いい子」
「・・・むぅ」
ドレイクの頭を優しく撫でているとマクスウェルが羨ましそうにこちらを見ていた。
「いいなあ。私もなでなでして欲しいなあ」
「お前は装備の点検をしておけ、次はお前を測定するんだからな」
「はいはい、わかりましたよ~」
「!ヒーロー復活!!う゛っ!?」
「うるさい。・・・あっ、またやっちまった」
目を覚ました金髪の首目掛けてチョップするとまた金髪は意識を失った。これは二度あることは三度あるな。
「お前は鬼か」
「・・・否定できないかも」
ドレイクにツッコミされた。明日の天気は雨か雪だな。
ドレイクが金髪の看病(と言っても突っついているだけだが)をしているのを横目で見てから、マクスウェルを見る。彼女は冷静かつ、機械のような正確な動きで仮想敵を撃破していく。
そして、数体纏まっている敵に向かって強烈な砲撃を放ち、目をキラキラさせている姿を見て、やっぱり根っこからの開発者だなと改めて思った。
「どう?この威力、凄いでしょ」
「アーソウデスネ、スゴイスゴイ」
「棒読みに成る程良かった?ありがとう!」
そう言って抱きつこうとするマクスウェルを抱きつく勢いを利用し投げ飛ばす。受け身をとることなく、マクスウェルは背中から落ちた。
「痛っ~。ちょっと!少しは愛想よくしてもいいでしょ!」
「誰がするか。ドレイク、これ以上待つのも面倒だから開発室までお使いをお願いしてもいい?」
「何故、ヴィランである私がそんな面倒な事をしなければならないんだ」
「お使いしてくれたら、培養肉を買ってあげるよ」
「むぅ・・・わかった。行こう」
「安全かつ、早く持ってきてよ」
「ヒーロー起床・・・」
「やっと起きた。・・・そんなに身構えなくても、もうやらないから」
「・・・」
彼女が起き、こちらを見たとたん、金髪はその場でバク転し、ファイティングポーズを構える。そうなるだろうなと思ってはいたが、あちらさんも二度も気絶させられた恐怖で腕がプルプルしている。NIMPHの感情の抑制が効いていない程、怯えているとは思わなかった。
「あちゃー、警戒されてるね。ねえ、君、今どんな気持ちなのかな?」
「お前に新作のモデルガンをライターに改造された程度。あの時の惨劇をもう一度やってみるか」
「ごめんなさい。お願いしますから私の部屋を消火剤まみれにしないでください」
「・・・わかった。じゃあ、かわりに水、ばらまいておく」
「それもやめて!?」
「まあ、いいや。それはいずれやるとして、君の名前は?これでも俺は君の上司にあたるから、自己紹介お願い」
「ラプラス。ヒーロー、ラプラスだ」
「じゃあ、ラプラス。装備を確認した後、模擬戦を介して君を役割を考えさせてもらうから。それと、もし手を抜いたら特別コースの被験者になってもらうからそのつもりで」
「と、特別コース?」
口をひくつかせるラプラスを見て、マクスウェルは心の中で御愁傷様とラプラスに言った。
ラプラスの結果は・・・まぁまぁってところだろう。現段階のミシリスの技術を結集して作られたビームランチャーの火力は凄まじく、一発で複数の仮想敵をなぎ倒していく。
だが、ラプラスに問題がある。ランチャーの反動に耐えきれず、敵のコアから少しずれた所に着弾することが多い。
しかし、ラプラスもその事を自覚しているようで、険しい顔をしながら訓練終了まで反動を抑え、狙った場所に当てる努力はしていた。
いつかは光る石になり得るが、何時かは駄目だ、今すぐに荒削りしてある程度は光らせなくてはならない。
「お疲れ、ラプラス。30分の休憩挟んでから、特別コースを行うからそのつもりで」
「なにっ!?」
「おい!持ってきたぞ!重い荷物を私に持たせるな!」
「ありがとう。はい、お駄賃」
「次も私に頼め!」
「あれ?二つ?ベビー、この大きい方のコンテナはなに?」
「開発部に頼んで作ってもらった。こいつは人でも扱える対ラプチャー兵器、レールガン。装弾数は30発、バッテリーは交換式だけど容量はタフだ」
「待て!まさかだと思うのだか、君も戦うのか?」
「そうだけど、何か悪い?」
「ニケは人間を守る存在だ、私達と一緒に前線に出るのはおかしい。それに戦いの最中、君の安全が保証できない!」
「あー、そう。ニケでありながら、何回も人間に気絶させられたのにそんな事言うんだ。・・・、じゃあ、特殊コースは三人で行おうか」
俺はレールガンに弾装を装填し、もう一つの小さなコンテナを開け、中に入っていた刀を背負った。
「お前らにはラプチャー殲滅の他にヘレティックを破壊、捕獲する任務が優先的に回ってくる。テストは俺をヘレティックと仮定し捕まえる、もしくは戦闘能力を奪えば三人の勝ち。もし全滅したら、そうだな、ラプラスだけ欠陥扱いで前線には投下せずに、哨戒任務だけを主にするって進言させてもらう」
「なに!?」
「使えない人材を優遇するほどミシリスは甘くない。じゃあ、俺が所定の位置についてから戦闘を開始する。・・・そうそう、三人とも全力で来ないと」