ミシリス社長の兄ですが、何故か戦場スタッフです 作:シロクロ団子
洗った服が乾いた時には日が暮れ始めていた。急いで乾いている木々を集め、サバイバル道具で火をおこして暖をとる
久しぶりの野営に少し昔を思い出す。初めてできた仲間達と共に騒がしいが楽しい夜を過ごしたものだ。こんな些細なことでも思い出したりするのは、見かけによらず年を取っている証拠だと・・・
あれ?そういえば仲間の一人に今日、痛い目にあわされた奴の顔に似ていたな
「まさか、本人?いや、まさかな」
彼らはアークガーディアン作戦の時に死んだと聞かされている。生きているはずが・・・
しかし、あることを思い出し俺は取り返した刀に目を移した。だが・・・もしもだ、仮に本人だったら取り返しのつかないことをしたのでは。いや、ありえる。だって、あいつが生きていたんだ。ありえないことはありえない
「・・・アカン」
だとしたら、笑みを浮かべたあいつに1000%なますにされる。ヤバい、今になって余計寒気がしてきた
「あの」
「ウォオオオィ!?誰?何奴!」
「え?その声、まさか」
突然、背後からの訪問者に銃を向ける。闇から伸ばされた手からは困惑の声が。そして雲で遮られていた月の光が闇を少しづつ晴らしていき、そして
「嘘だろ・・・。生きていたのか、ラプンツェル」
そこにはかつての仲間であり、死んだはずの金髪のシスター、ラプンツェルが立っていた
「あなたも生きていたのですね、シリウス」
そして、なますにされるのは確定された
「本当に申し訳ない」
「私もすまない。今まで君が生きているとは思っていなくてね」
「その何気ない一言で余計傷ついた」
「なら、なますにしてあげよう」
「うーわ、思考転換してるはずなのに変わってねー」
「いや、お前は変わりすぎだろ」
ラプンツェルが紅蓮とスノーホワイトをつれてきて、俺は彼女達に言った『変わりすぎだろ』と
紅蓮は黒い服装が白にかわり、性格は穏やかだが酒乱に。スノーホワイトは可愛い妹キャラが凛とした女性に変わっていた。ラプンツェルは・・・通常運転だな、うん
リリーバイスやレッドフードが見たら唖然とするだろうな
「確かに。きみはもっと機械的な口調だった。それとも、それがきみの素だったのかね」
「あれも素だよ。だけど、いつだったか誰かに怖がられたんだ。だから、フランクに接しられるように勉強した」
「ちなみに何を参考にしたのですか?」
「漫画」
「それは個性的にもなりますよね」
「それにしても驚いたよ。まさか、死んだはずの仲間が生きてるなんて」
「それはこちらの台詞だ。お前はアークに避難する人々を守るために殿をつとめたとリリーバイスから聞かされた」
「それはもちろん、嘘。俺はアークに収監されたんだよ」
「まさか、体のあれやこれを。ハァハァ・・・!」
うん、君、悪化してる。聖女が煩悩全開でどうするんです。あなたを信じて送り出した人が見たら、即倒しますよ
「あー。そんな事は一回もなかったな。せいぜい、血液とか口の中の粘液採るぐらい。でも、戦場に戻ることはできなかった」
「なるほど」
「おそらくだが、当時の軍のお偉いさんは君が戦い続ける事を恐れたのだろう。そして地上で暴れられるよりアークで監視したほうが対処しやすいと判断した。何せ」
「紅蓮。それは」
ラプンツェルは紅蓮の話を遮ろうとするが、紅蓮は止まらない
「だけど、そうだろう?突然、私達の前に現れ、何度も殺しあいをしたのにもかかわらず、急に人類の味方になるなど、誰だって不審に感じるさ」
「正直、私は君が死んだと聞いて安心していた。一人で私達に何度も挑み、必ず私達の誰かが深手を負う、その恐怖がなくなったというのに」
そう言って、立ち上がる紅蓮。だけど、酒瓶の紐を持つ手は震えていた
「戦ってる時は君だとわからなかったから平気だったが・・・今になってこの有り様だ。君達も言いたいことがあるなら、今のうちに話しておいた方がいいと思うぞ」
川がある方に歩いていく紅蓮の背を見送ってから、俺は二人をみる。二人とも気まずそうに顔をそらしていて、俺も黙っていることしか、できなかった
20分ぐらい経ったが未だに口を開く人はいなかった。だがこの場にいる二人が未だに口を開かないということは、やはり俺を
「私も」
まるで俺の心を読んでいたような、タイミングでスノーホワイトが口を開いた
「お前に対して今でも恐怖を感じている。リリーバイスと対等に戦う姿を見て、彼女がいなかったらどうなるか・・・。想像
するたび、引き金を引く指が震えるだけじゃなく、時々、過呼吸が起こることもあった」
「だが、今までアークから出てきたニケを多く見てきた。それをみてアークは健全であることを信じていた。そして、お前がアークで生きていたのなら。私はお前を敵のスパイではなく、我々の味方だと、ようやく信じることができる」
「私も同じ気持ちです。もう、ゴッデス部隊として全員が一緒に戦うことはできませんが、これからはシリウスを信頼するだけではなく、色々と頼りにさせていただきます」
二人の目は、真っ直ぐ俺を見ていた。それだけで、少しうるっときたのだが・・・すぐに引っ込んだ
「ありがとう・・・。だけど、物資の横流しは難しいからね」
今度は、二人ともびっくりした表情をしていた。
「いやいや。だって、スノー、さっきから俺の携帯食糧食べすぎだし。ラプンツェルは・・・その手の雑誌が欲しそうな顔してるぞ」
「そふぁん、こごとはなふぃ(モグモグ)」
「ええ、私も!」
否定するラプンツェルの目からハートマークが点滅しているように見える・・・気がする。スノー、いい加減食べる手を止めろ。俺を飢えさせる気か
「でも、ちょっと元気でたわ。じゃあ、紅蓮のとこ行ってくる」
「シリウス、私もついていきましょうか?」
「いや、いいよ。それに紅蓮は言葉より、こっちで語るほうでしょ」
そう言い、置いていた刀を持って、紅蓮の元に向かった。しかし、俺の足取りが重かった
シリウスが紅蓮の元に向かった後、刀がぶつかりあう音と何かが倒れる音が僅かに聞こえてきた。しかし、私は行かなかった
思考転換しても、このどうでもいい二人の決闘はしっかりと憶えている。シリウスが入隊した時から、紅蓮はなにかとシリウスに対し、決闘を申し込んでいた。その決闘の数、数百にまで及ぶ
飽きもせず挑んでくる紅蓮に、シリウスは初めてノイローゼを患わせるほど、紅蓮はしつこかった
そして、その決闘の片付けは想像を絶するほど、大変だった。互いに加減を知らないので、野にはクレーターが山ほど、でき。移動に使っていた空中戦艦の甲板には、やっと整備が終わった戦闘機が、切断されている状態で並び、それを見た整備員達は、その場で崩れ落ちるしまつ
だから、動かない。動いたら最後、不幸が襲ってくる。だから、行かない絶対行かない
朝になり、シリウスのリュックから携帯食糧と思わしき物を口に入れて、川の方に向かう
そこには怪獣が暴れたような現場があった。だが、荒れ果てた場所には、満足した顔をして大の字に寝ている紅蓮と魂が抜けたような顔をして寝ているシリウスがいた
とりあえず私はシリウスに合掌し、残りの食糧をいただくことにした。気絶しているなら、食い放題だ
シリウス(その1)
第一次ラプチャー侵攻の時、紅蓮を引き入れたゴッデス部隊により初めて観測された人型ラプチャー
最強のニケと言われた、リリーバイスに匹敵するほど高い戦闘能力を備わっている
どういった経緯で人間側に味方するようになったのかは、未だに不明