邪神の子 ~赤き瞳のクレイドル~   作:末末

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地味な作品が、ここまでになるとは……これからも、キチンと更新していきます。今後ともよろしく──(SICARIO・DAYofTHESOLDADO)を観ながら。


Ψ(`∀´)Ψ サンキュー


幕間 グランドヒルの新人達⑤ 見聞を広めに

 

 

ジャンさん達。“鋼の風槍(てつのかざやり)”が、調査隊護衛の依頼を終え、帰還して来た。結構長かったな……ジャンさんは今、ギルドマスター室に呼ばれている。

 

「よし……と。ご苦労さん。これは、むこうさんの感謝状と、追加報酬だ」

ダルガンデスが、金貨の入った袋をジャンベールに渡す。なかなかの重さに、ジャンが目を見張る。

「感謝状にも、一応目を通しておけ」

「……感謝状なんて、初めてですよ」

ダルガンから渡された感謝状に目を通しながら、ジャンがいう。

「ま、正しく感謝の気持ちだからな。紙切れなんて馬鹿にゃできねえよ」

目を通し終えたジャンが、ふう、とため息をつき、ダルガンに感謝状を返す。

「これは飾って置くぞ。“鋼の風槍(てつのかざやり)”、そしてギルドの箔と信頼に繋がる物だからな」

「まあ、そうなりますか。謹んで受けますよ」

「おう、そうしな……そういや、クレイドルだがな、野郎今、“碧水の翼(へきすいのつばさ)”に加入してるぞ」

「碧水の翼……魔導卿の妹、レンディア嬢がリーダーのパーティーでしたか」

「そうだ……碧水の翼も、感謝状貰ってるぞ。ウォーキンス子爵とギルラド子爵からだ」

ダルガンは、よっ、と立ち上がり、茶の準備に取りかかる。

「馴染んでいる感じでしたか?」

「野郎の性格だからな。馴染むのは、早かっただろうよ」

早くも茶の薫りが漂って来た。

「トロル討伐に加え、ねぐらから、ギルラド子爵がウォーキンス子爵に贈ったものの、行方知れずになってた、黒銀の短剣が見つかったらしくてな、それを返したそうだ……ま、飲め」

カップに、茶を注ぐ。 頂きます、とカップに口を付ける。

「初級のBに、昇格させたよ。Aランクになるのも、時間の問題だな」

美味そうに茶を啜る、ダルガン。

「そうですか……鍛えた甲斐がありましたよ」

ジャンは、目を細めて、嬉しそうに茶を啜る。

 

 

喫茶室でお茶を飲みながら、おしゃべりをしていると、レンケインさんがやって来た。

「リーネ達、何か久し振りだね」

いつもの深緑色のローブ姿ではなく、珍しく、普段着だ。淡い緑色の長袖のシャツ。

「レンケインさんの普段着姿、初めて見たかも」

シェリナがいう。レンケインさんは苦笑しながら言った。

「今回の依頼は、ちょっと疲れたんでね。しばらく僕らは、休暇だよ」

「確か、結構遠くにある、遺跡の調査と聞きましたけど?」

ジョシュが、焼き菓子を摘まむ。うん、と頷くレンケインさん。

「遺跡自体には、危険は無かったんだけどね。その道程が、少し危険だった。僕らの任務は調査隊の護衛だったんだ……すいません、注文お願いします」

レンケインさんが、店員さん呼ぶ。

 

それからしばらく話をしていると、ジャンさんとミルデアさんが来た。そして、皆で昼食を取る事となった。場所は宿舎。マーカスさんの料理だ。

 

「……これって、どういう料理何ですか?」

ジョシュが、呟く様にいう。私も、初めて見る料理……大きめのお茶碗。どんぶり、というらしい。そのどんぶりの上に、揚げた衣で覆われた肉と、野菜。玉葱に白菜。それらが、半熟ぽい煮玉子?で包まれている──「肉は、豚肉を揚げたやつだ。それに、炒めた玉葱と白菜を、半熟に煮た玉子で覆った物だ。肉と野菜の下は米だ。まあ、食べてみろ」

揚げた豚肉と、炒めた玉葱と白菜。それを半熟玉子で覆った? 想像つかない……でも、この匂いは、たまらない……付け合わせは、酢漬け野菜──キャベツだ。

 

とても、美味しかった。少しばかりがっつき過ぎたと思うけれど、一口、揚げた豚肉を口にした瞬間、揚げと野菜の歯触りに、甘めの味──皆、夢中になって、平らげた。

食後、マーカスさんが出してくれた温めのお茶が、口に残る油を洗い流してくれた……ふう。美味しかった……他所で、食べられるかな?

 

 

「マーカスさん、さっきの料理って、いつかクレイドルが言っていたやつですよね」

レンケインが、すっかり腹が膨れたリーネ達を見ながら言った。

「うん? ああ、料理名は……何て言ってたかな、ちと忘れた。だが、あの料理は洗い物が楽になるんだよ。一皿減る。次は、汁物を一品増やすかな」

すっかり満足して、だらりと寛いでいるリーネ達を見るマーカス。その顔に、笑みが浮かんでいた。

 

 

「聞いたぞ。初級のEランク、正式に冒険者になったらしいな……おめでとう」

ミルデアさんが、嬉しそうに言ってくれる。面と向かって言われると、やはり照れるわね……。

それから、色々話をした──そして、レンケインさんが、ここ城塞都市以外の土地を、知った方がいいんじゃないかと、言ったのだ。

確かに……ここ城塞都市の雰囲気に、充分慣れているのよね──周囲の街は、近い順に港町ハルベルトリバー。林業が盛んな、ミストウッズ。

 

「城塞都市から、一、二時間で行ける、そこら辺が妥当だろうな。他の街は、半日か一日がかりになる。馬車移動に慣れる意味でも、近場がお勧めだ」

ジャンさんが、砂糖まぶしの炒り豆を摘まむ。 どことなく、優雅なのよね。

ハルベルトリバーに、ミストウッズ……う~ん。まあ、話し合って決めよう。港町、興味あるなあ……淡水と海水が混じった大河。汽水?だっけ? 山村育ちとしては、大河や海は一度は見たいと思っていた。村では、川や小さな湖は何度も見たけど……。

「直に冬だ。今、ハルベルトリバーの大河沿いは、もう冬風吹いてないか?」

ミルデアさんが、お茶を啜りながら言った。

……ジョシュとシェリナが、顔をしかめた。今の時期、寒いんだ……私達の村も、冬はなかなかに冷え込むのよね……行き先は、もう決定かな。

 

 

「移動先は、ミストウッズですね。ミストウッズの事を、説明いたしましょうか?」

微笑む、狼族のジェミアさん。灰色の毛並みをした、可愛いお姉さんて感じの受付嬢だ。

この人と、獅子族のリネエラさん、猫族のサイミアさんは、ギルドの看板娘として有名だ。

「少しは聞きましたけど、改めてお願いします」

「では、こちらへ」

ジェミアさんは、他の職員さんに引き継ぎを頼むと、私達を仕切りのある場所に案内する。

 

 

今、私達は馬車で移動中。城塞都市からミストウッズまでは、約二時間。一時間移動したなら、三十分の休憩。実質、二時間半ちょっとだ。

(馬車移動の時はね、運賃ケチるのは良くないよ。特に長距離はね)レンケインさんの助言だ。

三人で、銀貨三枚の馬車。中クラスの馬車だそうだ。私達は、武装している。これも、レンケインさんの助言。武装状態での移動に慣れるためとの事だ。

六人乗りの馬車の中には、私達ともう一人。

先輩冒険者の、ええと……ランドさんだ。がっしりとした体格。ジョシュより身長は低いけど、体格は一回りは大きい。ジョシュは、何度か稽古を付けて貰っていたそうだ。

 

ランドさんはミストウッズの出身で、今回はたまの里帰りだそうだ。実家が、家具屋を経営しているとの事。

「あそこの依頼は、採取と討伐系が基本になるだろうな。採取はともかく、森の影響で魔獣化する獣の討伐の難易度は、ピンキリだ」

ランドさん曰く、年に一度、山の頂上に霧がかかる時期があり、その後に獣が魔獣化する可能性があるそうだ。

「ダンジョンは無いから、俺達冒険者からしたなら、余り美味しくない土地だと思われがちだが、そうでもない」

魔獣化した獣の肉は高く売れるし、毛皮も状態によっては、高く売れるとの事。

「活気のある、いい街だ。それなりに荒くれ連中がいるが、お前達だったら適当にあしらえるだろ。なあ、ジョシュ」

「もちろん」

にやり、と笑うジョシュ。

 

 

ミストウッズが──いや、山が見えてきた。頂上に濃い霧がかかった山。神秘的にさえ思える。

シェリナが、はあ、とため息を吐いた。

「青き鱗の竜が、訪ねて来る季節か」

ランドさんが、何か嬉しそうに言った。




続けてみるものですね。コンゴトモヨロシク。
Ψ(`∀´)Ψウィヒヒヒ
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