邪神の子 ~赤き瞳のクレイドル~   作:末末

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息抜き回。という事で。


( ´-ω-)y‐┛~~


幕間 グランドヒルの新人達⑥ 森林街ミストウッズ

 

 

 

森林街ミストウッズ。周囲のほとんどを、森林に囲まれた街。帝国領内に出回っている木材の五、六割は、ミストウッズからの物だ。他国からの評判も良く、輸出量も多い。

老舗の材木商が建ち並ぶ木材通りの裏手には、木材の加工工場と保存倉庫が数多くある。

 

 

「商店通りも覗いて見るといい。質のいい工芸品も多くあるぞ」

先輩冒険者のランドさんが、私達を案内してくれている。

「ここに来る観光客や行商人は、よく工芸品を買っていくんだ。行商人は結構な数を仕入れて、他領に売り込みに行くらしいな」

木材通りを一通り案内してくれた後、商店通りを案内してくれた。

お店だけでなく、露店もある。シェリナは竜の瞳が彫られた、鉄で縁取られた木のネックレスを購入していた。

 

 

「昼時だな……よし、ご馳走させてくれ。美味い店がたくさんあるんだ」

ランドさんが云う。もう昼時なんだ。確かに、お腹空いたな……。

「土地柄、量も多くて濃い味だがな、冒険者の口に合うんだ。お勧めの店を紹介するよ」

「楽しみですね」

ランドさんの言葉に、ジョシュが嬉しそうにいう。シェリナは、さっき露店で買った竜の瞳のネックレスを撫で回している。

「よし、こっちだ」

ランドさんを先頭に、私達はその背に付いて行く。

 

 

ランドさんに案内されたお店。食堂と宿を兼ねた“竜鱗の欠片亭”。

中宿という事なので、ここに宿を取る事に決めた。

「ここはいい宿だぞ。食事も良いし、部屋も清潔だ」

ランドさんのお墨付きの宿。

 

取り合えず、一週間の契約をする。三人で約金貨三枚だけど、中期滞在という事で、金貨二枚と銀貨五枚とに、おまけして貰った。うん、パーティー貯金から出そう。

 

大皿に盛られた猪肉と山菜の炒め物。それと、鶏と卵のスープに丸パン。

私達の前に取り皿。なるほど、取り皿に取ってから食べるのね。

「猪の肉は、香辛料とハーブで臭みが上手く抑えられている。完全に消すと、旨味も消えるんだと」

ランドさんが、説明しながら私達の取り皿に、取り箸で料理を分けてくれる。取り箸なんて、初めて見たかも。

「料理はまだ来るからな……よし、食おうか」

ランドさんに勧められ、早速猪肉を口にする。

うん。ほんの一瞬の臭み……でも、ハーブの香りが臭みを覆い隠す──美味しい。

肉を食べているという実感が、湧いて来る。じゃあ、山菜は……シャキッ、とした歯触り。

山菜に残っていた水気が爽やかに口に広がり、猪肉の微かな臭みが、消えた──ここの料理っていいな。故郷に引っ込んで居たままなら、味わえない経験ね……。

 

 

鶏と卵のスープを啜る──薄味。猪肉と山菜の炒め物の濃い味に、合う。うん……美味い。丸パンも合うなあ。

地元から出て、良かったんだろうな。リーネ、シェリナの顔も明るくなっているな……俺も、二人からそう見られているのだろうか?

新しい料理が来た……蒸かしたジャガイモの上に乗ってるのは、バターだろうか。いい匂いだな……。

 

 

蒸かしたジャガイモに、塩を振ってバターを乗せた物が出てきた。そして、胡麻の香りがする山菜の炒め物──うん。城塞都市の食事とは違う、美味しさがある。

何だろう……野趣の味わいという感じなのかなあ……リーネもジョシュも、満足そうに頬ばっている。美味しい物が、食べられるというだけでも、冒険者になって良かったな……うん、今は食事を楽しもう。

 

お腹一杯になった私達の前にお茶が来た。それを見たランドさんがいう。

「温めの香草茶だ。消化を助ける効果があるんだよ。ここら辺の飯屋は、食後にこの茶を出すんだ」

香草茶を口に含む……うん、温い。でも、美味しい。お腹に染み渡る感じが何ともいえず、心地いい……。

 

「で、今日はこれからどうすんだ? 宿も取ったようだし、まだだったら、冒険者ギルドで、移動登録しておくのを勧めるぞ」

お茶を啜りながら、ランドさんがいう。ああ、そうだ。拠点移動をした際には、任意で移動登録をした方がいいんだったわね。

「この後、行ってきます」

城塞都市から、森林街ミストウッズ……ね。

「俺は、四、五日ほどミストウッズで休暇を取る。何かあったら、ラドレア家具店に来い。何時でも相談に乗るからな」

ランドさんが笑って言った。頼もしいな、先輩冒険者というのは……。

「頼りに、させて貰います……先輩」

ジョシュが、頭を下げた。次いで、私達も。

「ふん。遠慮するな。それが、先達の役割だからな……いいか、頼れ。一人前になるまでは、先輩冒険者に頼れ。後進の育成は、ベテランの仕事の内なんだ。いつかは、お前らもそうなる日が来るだろうからな」

ランドさんが、香草茶を飲み干す。

 

 

ランドさんと別れて、ミストウッズの冒険者ギルドに来た。なかなかに、混んでいる。昼過ぎに混んでいるのは、珍しい気がする……まあ、急ぎじゃないし、いいか。

私達は、待合室でテーブルを囲み、人の流れをぼんやりと見つめている──「よう、見ない顔だな」

荒くれ──そのままの厳つい人が、席に着いた。

「見たとこ、初級訓練を最近卒業したって感じだなあ……違うかい?」

図星だ。改めて、厳つい人を見る──二十半ばといった感じの人だ。

警戒していたジョシュから、緊張感が解けるのが分かった……それで、席に着いた厳つい人に対して、私達の緊張も解けた。

 

厳つい人を交え、少しばかり話をする……なかなかに有意義な話が聞けた。

「ここ森林街の依頼は、大した事は無い様に思えるが、なかなかに曲者なんだよ。採取にしたって、周囲を警戒しなければ、危ないんだ」

厳つい先輩冒険者のいう事には、採取依頼が、討伐依頼に被る事も珍しくないとの事だ。

「ここに来た時、山の頂きに霧がかかっているのが見えたか?」

そういえば……ミストウッズに入る前に、霧がかかった山が見えたっけ。

「あれはな、青き鱗の竜が山の神の所に遊びに来ているんだ。いや、おとぎ話じゃねえよ。実際問題なんだ。森の獣が竜の影響を受けて、魔獣化する事があるんだよ。そこで、俺達冒険者の稼ぎ時になるんだ」

にいっ、と先輩が笑う。

 

「ジャックさーん、買い取りの査定済みましたー! 買い取りカウンターまでお越しくださーい!」

こっちに向かって、ギルド職員が手を振っている。やっとか、といいながら、ジャックと呼ばれた先輩冒険者が立ち上がる。

「ああ、そうだ。何かしら依頼を受けるなり、森に興味あるんだったら、森の明るいとこで行動しろよ。薄暗いとこは、危ないからな」

「はい、気を付けます」

ジョシュが、見送る様に立ち上がる。後ろ手に手を振り、去っていくジャックさん。

色々、学ばないとね。ランドさんも、先輩に頼れと言っていたし……やる事はたくさんある。

「リーネ、受付カウンター空いたよ。移動登録しましょ」

シェリナが立ち上がる。先に行ってるよ、とジョシュがカウンターに向かって行く。

さて、移動登録したあとは一旦、宿に戻るかな……。

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