邪神の子 ~赤き瞳のクレイドル~   作:末末

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某ロボゲーで、執筆が滞っている人等が何人かいますねえ……音声のみ日本語対応とはいえ、半分おまこくですよね……箱ユーザーの気持ちなんて分からないのでしょうねえ……?(錯乱中)


(# ゜Д゜) 『コーホー』 ダークサイドの道筋──



第104話 碧水の翼 街への帰還 休暇の予定

 

 

拠点の食堂兼酒場。“盾と兜亭”──鶏肉と大根の煮物に、野菜たっぷりの雑炊。玉葱の酢漬け。衛兵向けなのか、濃い味付け。

日々、訓練に明け暮れる衛兵好みの味付けだろうな。当然、俺達冒険者の口にも合う──

 

食事を終え、あとは酒を楽しむ時間となった。

「明日、冒険者ギルドで今日の報告をするんだけど、そのあと少し休暇にしない?」

ワインを口に含むレンディア。休暇か……。

「うーん。そだねー、クレイドル加入してからは、なかなか忙しかったよねー」

鶏肉と青菜の炒めものを、ぱくぱく摘まみながら、シェーミィがいう。

加入前の、碧水の翼の活動は知らないが、そうなのか? まあ、ここ最近は、色々動き回った感はあるな。

「ふむ……休暇か。それなら、帝都の暗黒騎士団支部に戻って、直接報告をしなければならない事が、色々あるな……」

黒ワインを傾ける、グランさん。帝都か……いずれは、行くべき場所だな。

「ま、取りあえずは街に戻ってからよ。皆、休暇の予定を考えておいて」

レンディアは、ワインのお代わりを頼む。シェーミィは、果実酒炭酸割りと小魚の甘酢揚げを頼んだ。

「甘酢揚げ、美味しいんだよー」

にしし、と笑うシェーミィ。こいつの注文にハズレ無し、何だよな……それにしても、よく食べるな。猫族は皆、こうなのか?

 

 

もう、夜も更けてきたので宿舎に戻った。よし、一風呂……と思ったが、黒壁回廊の時の事を思い出し、止めた。

俺を風呂に誘いかけたグランさんが、「あ……そういえば、そうだったな……」

と、何か痛ましいものを見る目を向けてきた……深夜に、シャワーを浴びてやる。

 

グランさん、レンディア達も皆、風呂に行き、俺一人だけが残った……ふむ、一服して魔力制御といくか。

煙草盆を用意して、煙管に煙草葉を詰めて生活魔法で、火を着ける……すう、と一息吐く……。

うん、いい味だ──“西砂”。濃く爽やかな味わいと香り──ぷかりと吐いた煙が、開けた窓に流れて行く……お、月明かりだ。

こういう夜に、魔力制御は捗ると聞いていたな。よし……煙草盆に灰を落とし、片付ける。 さて、魔力制御の時間といくか……。

 

 

早朝、夜明け前。部屋に備え付けの洗面台で顔を洗う──レンディア達は、まだ寝ている。

朝食まで、まだまだ時間はあるな……よし、シャワー室は空いているだろう。昨夜は行けなかったからな。とっとと身体を洗い流そう──浄化はその後でいい。

 

朝食は昨日と同じ、“盾と兜亭”。宿舎で取ってもいいのだが。見習い連中の事もあるし、少し距離を取ろうとの事で、ここで朝食となった。

ベーコンと目玉焼きに丸パン。さっぱりとした味わいの、具沢山の野菜スープ。付け合わせは、ポテトサラダに酢漬け野菜。うん、シンプルな朝食だ。悪くない。

「昼過ぎには、街に戻りましょうか」

切り分けたベーコンを卵の黄身に付け、上品な仕草で口に含むレンディア。

「ふむ。休暇を取るのは、決定でいいのか?」

野菜スープに、分けた丸パンを浸しながらグランさんがいう。

「私は構わないよー、久しぶりに里帰りしたいしねー」

ベーコンと目玉焼きを一気に食べ終え、酢漬け野菜をつつくシェーミィ。ゆっくり食べなさい。

ん~、休暇なあ……であれば、帝都かな。帝都ミルゼリッツ──

「帝都には、いつか行かないと思っていたからな……うん、休暇なら俺は帝都に行くよ」

ふむ、とグランさん。にひひ、と笑うシェーミィ。

「私は……そうね、実家に戻るわ。久しぶりに、甥と姪っ子に会いたいわよ」

「魔導卿の、お子さんだっけか……確か、双子だったか?」

「ん、そうよ。男女だからあまり似てないけど、所々はね。あと、姉上の子も一人、ね」

グランさんに答えるレンディア。ラーディスさん、既婚者で子供二人いたのか……初めて聞いたな。

「一旦街に戻ってギルドに報告。それから改めて、今後の話し合い。それでいいわね?」

うん。何の問題も無しだ。

「じゃ、昼まで休憩ね。夕方までには、街に到着出来るように、各自準備をしておきましょうよ」

レンディアの締めの言葉で、話し合いは終わった。

 

 

朝食後、宿舎に戻り、ブリッジスさんとキールさんに、昼には出立する旨を告げる。

「そうか。世話になったな……改めて、礼をいう」

「御領主には、こっちからきちんと報告させて貰うからな。ありがとよ」

「何の、仕事よ仕事よ」

ブリッジスさん達に、ウィンクで返すレンディア。

せっかくだから、昼食を一緒にしないかとブリッジスさん。食堂だと落ち着いて食事が出来ないだろうから、外食にしないかと、キールさん。

そういう事ならと、レンディア。俺達も異論は無かった──

 

“剣と槍亭”へと来た。“盾と兜亭”の姉妹店だそうだ。

皆、同じメニューを取る事にした。鶏ガラで出汁を取った、鶏肉たっぷりの雑炊。青菜の胡麻油炒め。そして、酢漬け野菜。うん、いいな。

レンディアが、一杯だけならいいでしょと、ワインを頼んだ。

まあ、いいか、と苦笑するブリッジスさんとキールさん。

 

二人から、衛兵の話を、色々聞いた。十三歳から入団出来るが、本格的な訓練は体の出来る十五歳からだそうだ。それまでは、下っ端として使い走りらしい。要するに、雑用係だ。

「やる事は、沢山あるんだよ。掃除や片付けに、野菜の皮剥きやら、食器洗いとかな」

下働きというやつか。衛兵は軍隊だからな。

「武具の手入れや、馬の世話もだな。十五までの二年間での学びが、今後の衛兵生活を決めるんだよ」

分かります。とグランさんが頷く。

「騎士団でもそうでしたよ。懐かしいといえば懐かしいですね」

なるほどねー、とシェーミィ。当たり前の様に、二杯目の果実酒を頼もうとしてレンディアに止められた。

 

ブリッジスさんとキールさんが、態々馬車乗り場まで見送ってくれた。

「じゃあね。二人とも、体にだけは気を付けてね」

「ああ、お嬢達もな。たまには領地に顔を見せてくれ」

「衛兵連中の励みになるからな。それと、ラーディスの若に宜しくな」

ブリッジスさんとキールさん。馬車に乗り込みながら、手を振るレンディア。

「俺も、いい経験させて貰いました」

救助活動なんて無い方がいいんだろうが、こういう経験はためになるだろうな……。

「……正直、俺達ベテランは見習い連中の全滅を、覚悟していたんだよ」

キールさんが、声を潜めていう。ブリッジスさんが、苦笑を浮かべて肩を竦める。

馬車が出発の合図を出した。よし……戻るか。

「二人とも、お元気で」

おう、そっちもな。お嬢をよろしく、とブリッジスさん達。

いつか、二人に再会する時もあるかもな……。

 

遠ざかる馬車を見送りながら、キールがブリッジスに聞いた。

「あの顔見たか?」

「ああ……凄かったな」

二人の脳裏に、クレイドルの顔が浮かんでいた。優男、という訳では決して無く、妙な凄味のある容姿──輝く金髪に白磁の肌。整った目鼻立ち……特に、艶かしく濡れた様な薄紅色の唇……あれが、妖艶というものか──

「妙だったんだよ。ダンジョン内でずっと、フェイスガード下ろしてたからな」

はあ、とため息を吐くブリッジス。

「……まだ、鳥肌立ってやがる」

頭を振りながら、腕を擦るキール。ふうっ、と息を吐く。

「とんでもねえな、ありゃあ……」

ブリッジスが呟く。頷く、キール。

見えなくなった馬車を、目で追うベテラン衛兵二人──

 

 

レンディアの言った通り、ちょうど夕方までに街に到着した。真っ先に馬車から飛び出すシェーミィ。まだ停止してなかっただろうが……危ないな、おい。

「先ずは、ギルドに報告。シェーミィは、灰月亭に行って、ラルフさんに帰還の報告ね」

あいあーい、とシェーミィが駆けて行った。週単位の前払い契約なので、部屋はそのままだ。

 

「武人の練武場での救助依頼、終えて来たわよ」

レンディアが受付嬢に、キールさんの依頼達成のサインと、領主の仮印が押印された依頼書を渡す。受付嬢は緊張した面持ちで、依頼書を確認する……。

領主の仮印は、信頼の置ける各部署の人員に預けられるものだ。その信頼を損なったら?

結末は、一つ……死罪。場合によっては関係者も同様。家族すらもだ。

責任重大という訳だ……受付嬢が緊張するのも、当然だ。

「……確かに、確認致しました。ご苦労様でした」

頭を下げる受付嬢。ん。とレンディアが頷く。何か、肩の荷が降りた気がする……。

「ま、お茶にしましょうか。シェーミィも戻って来るでしょうよ。夕食は、朝陽食堂にしましょうよ」

おお、朝陽食堂か。うん、いいな……そういえば、大将にマリネの酢味噌和えを頼んでいたっけか……楽しみだな。

 

 

「こーんばんわー!」

シェーミィが、朝陽食堂の引き戸を開き、勢いよく店内に飛び込んだ。

「おう。いらっしゃい」

慣れたもので、大将が笑って出迎えてくれた。

少し早かったのか、店内には客は居ない。

「取りあえず、オウルリバー炭酸割りね」

レンディアが頼む。そして、それぞれ飲み物を頼んだ……食事は、まあその後になるかな。

「そういえば、クレイドル君。マリネの酢味噌和え、作ってみたんだ。試してくれないか?」

覚えてくれたのか……嬉しいな。

「はい、頂きます」

出された酢味噌和え。おお、酢の香りがいいな。早速、一口……美味いな。いや、お世辞無く美味い。酢と味噌の案配が、実にいいな……魚の口触りも、いい……でもな、大将。もう一味、足せるんだよ、これは。

 

「……うん、美味しいです。でも、あと一味足せますね。ニンニクの刻み切りか、薄切りの玉葱を足せば歯触りも良くなると思います」

「ああ、なるほどな。それだ。マリネの歯触りだけではイマイチと思っていたんだ……改良してみるよ」

ニヤリ、と笑う大将。

「なーによー、二人でニヤニヤと。えーとねー、前の焼き鳥丼出来るー?」

「ああ、出来るよ」

大将の頼もしい言葉。じゃあ、お願いとシェーミィ。嬉しそうだな。

レンディアとグランさんは、豚汁定食を米で頼んだ……ん~俺はどうするかな。

うん。そうだな……「豚肉の丼物、玉葱と一緒にお願いします」

一瞬、驚いた大将だったが即座に答えた。

「ああ、いいよ。甘辛のタレは充分あるからね」

頷く大将……やはり決まりだな。

大将は転生者。もしくは転移? 者だな。そして同郷──まあ、いい。今は食事を楽しもう。

 

「お邪魔するよ……何じゃ、早いなお嬢達」

ラザロさんが、やって来た。うん? と、俺を見る。

「お主が摘まんでいるのは、何じゃ?」

席に着きつつ聞いてくる。答えたのは大将だ。

「それかい。クレイドル君から教えて貰った、マリネの酢味噌和えだよ」

「ふうん? 酢味噌和えじゃと……試してみるかの。一つもらおうか」

「はいよ。刻みニンニクと薄切り玉葱、どちらにします?」

大将は早速、試す様だ。ふうむ、とラザロさん。「玉葱にしとくかの。あと黒ワインをな」

あいよ。と大将。

 

甘辛のタレがいい案配にかけ回された、豚丼──うむ、美味い。豚肉の焼き加減が絶妙だ。少しの焦げ具合が、いいアクセントになってるんだ、これが……まだ歯応えを残している玉葱が、いい感じだ。さすが、大将。

「果実酒炭酸割り、お願いします」

多少の脂っぽさを、炭酸割りで流そう──

「うむ……大将、オウルリバー炭酸割り頼む。酢味噌和えもな。今度は、刻みニンニクでな」

あいよ、と大将。おう……ラザロさん、気に入ったみたいだな。

「炭酸割り、お待ち……酢味噌和え、酒のあてにぴったりらしいね」

「嬉しいですね。あと、他の食べ方もあるんですけど、また今度」

楽しみにしてるよ、と大将がニヤリ、と笑う。

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